英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
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外伝~レン皇女との面会協力~
~グロリアス・客室~
「おお……!」
「ああ……!」
レンを見たハロルドは明るい表情をし、ソフィアは涙を流し
「あ~!スミレ色のお姉ちゃんだ~!」
コリンは無邪気な笑顔でレンを見つめ
「………………………”初めまして”。”ハロルドさん”、”ソフィアさん”。私の名前はレン・H・マーシルンと申します。」
レンは複雑そうな表情でハロルド達を見つめた後上品な仕草で会釈をし
「なっ!?」
「レ、レンちゃん!?」
「ええっ!?」
「お、おいおいおい……!仮にも本当の両親に向かって初対面扱いはねえだろう!?」
「…………………………」
「レン姫………………」
レンの言葉を聞いたロイドとエリィ、リィンは驚き、ランディは声を上げた後目を細めてレンを見つめて指摘し、リフィアは黙って真剣な表情で不安そうな表情をしているエリゼと共にレンを見つめ
「何の事かしら?レンの名前はレン・H・マーシルンで”パパ”はリウイ・マーシルン、”ママ”はペテレーネ・セラ。この名を名乗る時より”レン・ヘイワース”という名の少女はこの世から消え去っているわ。」
レンは静かな表情で答え
「フム…………あくまで”レン姫”として接するつもりなのか……」
「そ、そんな…………」
レンの答えを聞いたワジは真剣な表情で呟き、ノエルは辛そうな表情でハロルド達を見つめたが
「……いいのです、皆さん。」
「はい…………私達はこの娘に嫌われて……いえ、憎まれて当然の事をしたのですから…………」
ハロルドは真剣な表情で呟き、ソフィアは悲痛そうな表情で呟き
「ふえ~?」
周囲の空気を理解していないコリンは首を傾げていた。
「それで…………私に面会したいとの事ですが、一体何の御用でしょうか?」
そしてレンは真剣な表情でハロルド達を見つめて尋ねたその時
「――――すまないっ!」
「――――ごめんなさいっ!」
ハロルドとソフィアは同時に頭を深く下げた!
「………っ!…………………」
2人の行動を見たレンは目を見開いて驚いた後複雑そうな表情でハロルド達を見つめ
「私が……あの時、危険な相場に出さなければレンに辛く、悲しい思いをさせる事はなかったのに……!すまない……!私が不甲斐なかったばかりにレンに辛く、寂しい思いをさせて…………!」
ハロルドは辛そうな表情で答え
「いいえ!あの時、私が知り合いに預ける事に賛成した事が悪かったのです……!ごめんなさい……!ごめんなさい……!」
ソフィアはハロルドの言葉を否定した後涙を流しながら謝罪していた。
「……………………………………御二人共、顔を上げて下さい。」
そしてレンは目を伏せて考え込んだ後、静かな表情でハロルド達に言い、レンの言葉を聞いたハロルド達はレンを見つめ
「……一体誰に対して、謝罪しているのかわかりませんが…………私に謝罪されても困ります。私は貴方達と今日”初めて”会うのですから。」
ハロルド達に見つめられたレンは静かな口調で答えた。
「なっ!?」
「レンちゃん!」
「レ、レン姫!?」
「やれやれ……なかなか厳しいお姫さんだね……」
「おいおいおい……!いくらなんでも、それはあんまりじゃねえか!?」
「そうですよ!ハロルドさん達はずっと貴女の――――」
レンの言葉を聞いたロイドは厳しい表情をし、エリィは表情を厳しくして声を上げ、リィンは驚き、ワジは真剣な表情でレンを見つめ、ランディはレンを睨んで言い、ノエルも続くようにレンを睨んで言いかけたが
「お前達は黙ってろ!この問題はあの娘とあの夫妻だけの問題だ。」
ヴァイスは真剣な表情で声を上げてロイド達に注意し
「そうね、第3者である私達にとやかく言う権利はないわ。」
「私達ができるのはレン皇女との面会の手配です。本来でしたら私達はこの場にいるべきではないのです。」
エルファティシアとアルは静かな表情で答え、3人の言葉を聞いたロイド達は複雑そうな表情で黙り込んだ。
「レン………………」
「私達は謝る事もできないの…………?」
一方ハロルドは辛そうな表情で、悲痛そうな表情をしているソフィアと共にレンを見つめた。するとその時
「…………”私”が貴方達と”初対面”なのは事実です。――――ですが。貴方達の娘であるレン・ヘイワースとは出会った事があります。」
レンが静かな口調で言い
「「え…………?」」
レンの言葉を聞いた2人は呆けた表情でレンを見つめた。
「……私がレン・ヘイワースと出会った時、彼女は瀕死の状態だった為、彼女は私に遺言を残して女神の元へと召されました。」
「遺言…………」
「そ、その遺言とは一体……?」
レンの話を聞いたソフィアは呟き、ハロルドは真剣な表情でレンを見つめて尋ねた。すると
「―――――”レン”は”パパ”と”ママ”の娘として産まれて幸せだった。」
レンは優しげな微笑みを浮かべてハロルドとソフィアを見つめて言い
「「!!」」
優しげな微笑みを浮かべたレンに見つめられた2人は目を見開き
「短い間だったとはいえ、3人で過ごした時間はとても暖かく、”幸せ”だった…………――――――”パパ”と”ママ”は悪くないわ。全ては不幸な偶然が重なっただけ。だから……”レン”の事は後悔しないで、2人は”幸せ”になって。それが”レンの願い”だから…………」
「レン…………!」
「う、う、ううっ…………!」
優しげな微笑みを浮かべながらも一筋の涙を流しているレンの言葉を聞いたハロルドとソフィアは涙を流し続けて、レンを見つめ
「レン……」
「レン姫…………」
「ったく、相変わらずマセた嬢ちゃんだぜ…………」
「やれやれ……参ったな…………さすがの僕も今のは結構きたよ…………」
その様子を見ていたロイドとリィン、ランディは口元に笑みを浮かべ、ワジは溜息を吐いた後静かな笑みを浮かべ
「グスッ……よかったわ…………」
「ええ…………本当によかったです…………」
エリィとノエルは涙を流し
「「「…………………………」」」
ヴァイス、アル、エルファティシアは何も語らず静かな笑みを浮かべ
「うむ!その懐の広さ、大きな器こそ我等マーシルン家の娘として相応しい証拠……!」
「もう、リフィアったら…………少しは空気を読んであげなさいよ…………」
リフィアは胸を張って頷き、その様子を見たエリゼは微笑み
「ふえ~?どうしてパパとママがが泣いているの~?どこか痛いの~?」
コリンは首を傾げてハロルド達を心配した。
「コリン…………」
「ハハ……何でもないよ。ちょっと目にゴミが入っただけだよ……」
コリンに見つめられたソフィアは涙をぬぐった後微笑み、ハロルドも涙をぬぐった後笑顔を見せた。
「――――エリゼ。ハロルドさんに私が貴女に運ぶように頼んだ物を渡してあげて。」
「え?―――はい、かしこまりました。よいしょ……っと。…………どうぞ。」
そしてレンに指示されたエリゼは一瞬不思議そうな表情をしたがすぐに察して会釈をした後自分の傍に置いてあるスーツケースを持って、ハロルドに渡した。
「これは一体……?」
スーツケースを渡されたハロルドは不思議そうな表情をし
「――――開けてもらって構いません。」
レンに促されたハロルドがスーツケースを開けると、なんとケースの中にはかなりの数のミラの札束が入っていた!
「なっ!?」
「ミ、ミラの札束!?そ、それも1万ミラの札束ばかり…………!」
「ヒュウ♪こんなにも多くの札束なんて初めてみたね。」
「一体どんだけあるんだよ!?少なく見積もっても1000万ミラはあるんじゃねえか!?」
ケースの中身を見たロイドとエリィは驚き、ワジは口笛を吹いた後口元に笑みを浮かべ、ランディは驚いた後声を上げ
「――――全て合わせて3000万ミラあります。」
「え……………」
「さ、3000万……?そ、そんな……!その額は……!」
レンの説明を聞いたソフィアは呆け、ハロルドは呆けた後ある事に気付いて驚いた。
「……その額に何か心当たりがあるのですか?」
ハロルドの様子を見たエリィは尋ね
「はい…………3000万ミラは8年前、私達が負ってしまった債務の額と一致しているんです……」
「ええっ!?」
「そ、それは……!」
「マジかよ!?」
ハロルドの説明を聞いたノエル、ロイド、ランディは驚いた。
「――――そのお金は亡くなったレン・ヘイワースから預かったお金です。……自分を”幸せ”にしてくれた家族が2度と自分のような不幸な出来事に巻き込まれない為に……と。遠慮なく受け取って下さい。それはレン・ヘイワースが貴方達に遺した遺産にして感謝の気持ちです。」
「…………わかった。ありがとう、レン…………!」
レンの説明を聞いたハロルドは決意の表情になってスーツケースを締めて大切そうに抱きしめてレンを見つめ
「…………私に感謝する必要はありません。私は預かっていた物を本来の持ち主に返しただけですから…………」
見つめられたレンは目を伏せて答えた。
「…………私の話は終わりです。明日の通商会議に備えて私も色々と準備がありますので私はこれで失礼します―――」
そしてレンがハロルド達に上品な仕草で会釈をした後背を向けて去ろうとしたその時
「おねえちゃん……帰っちゃうの……?」
コリンがレンに声をかけ
「コリン……!」
コリンの行動にソフィアは驚き
「………………」
レンは背を向けたまま何も答えず立ち止まった。そしてコリンはレンに近づき
「おねえちゃん!ずっと会いたかったよ~!ねえねえ~、一緒に遊ぼうよ~。」
レンの服を引っ張って懇願するかのような表情でレンを見つめ
「…………貴方、名前は。」
見つめられたレンは振り返ってコリンを見つめて尋ねた。
「ボク~?ボクはコリンだよ~。スミレ色のおねえちゃんは~?」
「――――レンよ。……コリン。お姉ちゃんは貴方のパパのように仕事があるから、遊んであげる事はできないわ。」
「ふえ~?じゃあ、いつ仕事が終わるの~?」
「……たくさん仕事があって残念ながら一緒に遊べる暇はないの。」
「え……それじゃあ、ここでお別れなの……?」
「……ええ。」
「ふえ……やだやだ―――ッ!おねちゃんと一緒に遊べる事、楽しみにしていたのに~!ふええええええんっ!!」
そしてレンの答えを聞いたコリンは泣き出し
「コリン……!」
「コリン!我儘を言っては駄目だ!」
コリンの様子を見たソフィアとハロルドは駆け寄ってコリンを注意したが
「ふええええええええんっ!」
コリンは大声で泣き続けた。
「……ああもう…………やっぱりレンもエステルやロイドお兄さんの甘さやお人好しがうつったのかしら……?」
するとその時レンは疲れた表情で溜息を吐いた後コリンを見つめ
「へ……」
レンの言葉を聞いたロイドは呆け
「……コリン。貴方は男の子なんだから泣いたらダメよ?泣き虫な男の子だと将来、立派な大人にならないわよ?」
泣いているコリンをあやすかのようにコリンを抱きしめて背中を撫でながら優しげな口調で話しかけ
「ひっく!でも……!」
話しかけられたコリンはしゃっくりを上げて答えかけた。すると
「…………仕方ないわね。ある程度仕事が片付いて暇ができたら、お姉ちゃんが貴方のお家に遊びに行ってあげるわ。」
抱き締めていたコリンから離れたレンが溜息を吐いた後口元に笑みを浮かべてコリンを見つめて言い
「ふえ……?」
「「え…………」」
レンの言葉を聞いたコリンは泣き止み、ハロルドとソフィアは呆け
「だから……その時が来るまでは泣いたりちゃ駄目よ?」
「うん!じゃあおねえちゃん、指切りしよう~!」
レンに微笑まれたコリンは頷いた後嬉しそうな表情でレンに言い
「フフ、ちゃっかりしているわね…………そういう所は似ているのね……」
コリンの言葉にレンは苦笑した後コリンの指と自分の指をからめ
「「指切りげんまん、嘘ついたら針千本、の~ます!指切った!!」」
レンとコリンは指切りをした。
「……それじゃあね。いつかレンが貴方のお家に遊びに行くまでパパ達を困らせない良い子でいるのよ?」
「うん!」
そしてレンに微笑まれながら頭を撫でられたコリンは嬉しそうな表情で頷き
「あ、ああ……!」
「コリン……!」
レンに頭を撫でられているコリンを見ていたソフィアとハロルドは涙を流し続けていた。その後ハロルド達と共にロイド達は”グロリアス”を後にし、レンからもらった高額のお金を預ける為にIBCに行くハロルド達に付き添い、お金を預けるのを確認したロイド達はハロルド達と別れようとしていた。
~IBC~
「みなさん……今日は本当にありがとうございました……!」
「コリンの事と言い、本当にありがとうございます……!」
「いえ……お役に立てて幸いです。」
「本当に………よかったですね。」
「……これからが幸せに満ちた人生である事を祈ってるッス。」
仲間達と共にハロルドとソフィアに感謝されたロイドは口元に笑みを浮かべて答え、エリィは微笑み、ランディは口元に笑みを浮かべて言った。
「はい……!あの子の願い通り、必ず私達は幸せになってみせます……!」
ランディの言葉にソフィアは頷いて微笑み
「みなさんには本当にお世話になってしまって…………これはレンに会わせてくれた感謝の気持ちです。どうか、お受け取り下さい。」
ハロルドは笑顔でロイド達を見つめて言った後ロイドにマスタークオーツ『シュバリエ』を渡し
「マスタークオーツ……!」
「へえ……?貿易商とはいえ、珍しい物を持っているんだね……?」
マスタークオーツを見たノエルは驚き、ワジは意外そうな表情でハロルドを見つめ
「……いつもご贔屓させてもらっている取引先の方からたまたま頂いたものですので……私達には必要ない物ですからどうか遠慮なくお受け取り下さい。」
「……わかりました。大切に使わせて頂きます。」
ハロルドの説明を聞いたロイドは頷き
「それでは私達はこれで失礼します。」
「今日は本当にありがとうございました……!このご恩は一生忘れません……!」
「ばいばい~!」
ハロルドとソフィアは頭を深く下げた後コリンと共にロイド達から去って行った。
「……これでハロルドさん達もようやく肩の荷が降りたでしょうね。」
「ああ。しかもあの嬢ちゃんともまた会えるしな。ティオすけにも今回の事、後で教えてやらないとな。」
ハロルド達が去った後エリィは微笑み、ランディは頷いた後口元に笑みを浮かべて言い
「フフ、それにしてもあのレンってお姫様もよくもまあ、あんな大金を用意したものだね。」
「し、しかもハロルドさん達がかつて負っていた借金と同額って……絶対狙ってやっていますよね。」
ワジは口元に笑みを浮かべて言い、ワジの言葉に続くようにノエルは苦笑しながら言い
「ハハ……本当にあの娘には驚かされるよな。―――さてと。それじゃあ、そろそろ行こうか。」
ロイドは苦笑した後仲間達を促し、次の支援要請を受ける為に次の依頼者の元に向かった。
~グロリアス・甲板~
「あ~あ……何であんな約束しちゃったのかしら…………?やっぱりエステルやロイドお兄さん達の影響かしら?」
ロイド達がIBCから去ったその頃レンは甲板で手すりに背を預け、空を見上げながら苦笑しながら呟き
「フフ……プリネの優しさがうつったのかもしれんぞ?」
隣にいたリフィアは口元に笑みを浮かべて言い
「…………そうね………………そういう事にしておきましょう。だって、レンはプリネお姉様の妹なんだから…………フフ…………」
リフィアの言葉を聞いたレンは静かな笑みを浮かべて頷いた後優しげな微笑みを浮かべていた……………………
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