おぢばにおかえり
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第三十二話 あちこち回ってその十一
「っていうかお金はね」
「信者さんのお供えですよね」
「そうよ。無駄遣いなんてもっての他よ」
ですから教会も本部もおみちの人は皆質素なんです。
「普通の倍なんて」
「あの人にとっては当然の使い方なんですよ。戦隊ものだと馬出したことありましたし」
「馬!?」
「ええ、戦隊のメンバーが馬に乗って出て来るんですよ」
これは考えもしませんでした。
「凄かったですよ」
「手間かかるんじゃないの?」
馬は生き物ですから。おぢばでは天理高校北寮のところや天理大学で大学の人達が乗っておられる時があります。
「おまけにお金だって。オートバイよりは」
「ですから途中からあまり出なくなりました」
「そうよね。馬に乗ることだって勉強しないといけないし」
「そんなハリウッド並のことをテレビの特撮でしちゃう人だったんですね」
「本当にお金と時間のことは考えない人だったのね」
「しかもそっちの方はどんどんパワーアップしていましたし」
どうにも始末に終えない人みたいです。本当におみちにいなくてよかったです。それだけお金や時間や人を滅茶苦茶に扱っていたらもちません。
「クウガだって」
「あれね。オダギリジョーさんよかったわよね」
「第二話の教会、あれわざわざセッティングして燃やしたんですよ」
「わざわざ!?」
「そうだったんですよ、あれ」
あれだけのものをですか。
「それで数ヶ月はロケのお弁当が質素になったらしくて」
「そこまで使ったの」
「他にもリアルだって時間厳しく撮影していたり」
そういえばクウガは時間がその都度出ていました。
「怪人の着ぐるみもライダーのも凝って。そこにも予算が」
「それってやっぱり響鬼も?」
「勿論です。あんな大きなものをどんどん入れてCGだって」
「お金。幾らあっても足りなかったのね」
「あるだけ、というかあるだけの倍使うって感じで」
問題外です。
「で、更迭と」
「東映の人達も大変だったのね」
「はい。それで後任ですけれど」
「誰だったの?」
「アギトとかファイズのプロデューサーさんでした」
「ああ、龍騎やカブトもそうだったわね」
「電王もでしたね」
阿波野君もよく知ってます。
「確か」
「あの人だったの」
「で、脚本家があのファイズの最終回にも出て来た」
「工事現場にいたあの人?」
「そうだったんですよ。この二人が後半引き受けたんですけれど」
その交代の事情もどうやら相当複雑なことになっていたんだなあ、って考えながら話を聞いていました。お化け屋敷の赤と黒の世界の中で。
「それで。起こった話は」
「どうなったの?」
「前半のファンが大騒ぎしたんですよ」
「大騒ぎ?」
「もうネットでも何処でもあちこちで大騒ぎして」
とりあえずネットがいい意味でも悪い意味でも書き放題なのは知っています。最近では携帯でも書き込めることができますし。ただし天理高校では携帯は持ってはいけません。寮ではそこがとても厳しいです。やっぱり天理高校の校則は締めるところは締めています。
「物凄かったんですよ」
「そんなに?」
「あちこちでそのプロデューサーと脚本家の悪口書いて」
いきなり酷いことになっているのがわかる阿波野君の説明でした。
「しかも後半出て来た役者さんまで叩かれまくって」
「役者さんって誰?」
「電王でゼロノスやってた人です」
「中村優一さん?」
「はい」
「あの人凄いよかったけれど」
電王での話です。電王では桜井侑人役が物凄く素敵でした。少し素直ではないですがそれでも優しくていざという時にはいつも助けてくれる。そうした役で大好きでした。
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