世界をめぐる、銀白の翼
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
なのはA's ~拠点と接触と共闘なの~
この「闇の書事件」が正式にアースラ主導の物になると決定した。
それに伴い、現地での活動のため拠点は海鳴市のなのは宅近くのマンションになった。
それが発表されたとき、なのはとフェイトは手を取り合って喜んだ。
蒔風は自分の荷物があるからと、住所だけ聞いて、地球に降り立ってから別行動をとった。
------------------------------------------------------------
「すっご~~~い!!!」
なのはがフェイトの住むマンションの一部屋に入っての第一声である。
そこは海鳴市を見渡せるような高層マンションで、すぐ近くになのはの家もあるので、いつでも会えるという好ポジションだ。
「あ、あそこうちだよ」
「え?どこどこ?」
フェイトとなのはがベランダから階下を覗いてはしゃいでいる。
さらにこの部屋、現地での本部でもあるため、いたるところにモニターが出たり、何かとハイテクになっている。
キッチンなどの技術はこの世界の物だが。
「そうだ、屋上からの眺めがすごいんだよ!!」
「みたいみたい!!!」
そう言って片づけをしているエイミィに一声かけ、部屋を出る二人。
エレベーターで最上階に向かい
屋上への階段を上り
扉を開けた。
そこには想像してた以上の光景が広がっていた。
「スキップ」
「ウノ」
「ウノ」
「あ、じゃあドロ2」
「私もドロ2」
「残念、持ってますよ。ドロ2」
「・・・ドロ4」
「・・・・・」
「主?」
「お前ら主を敬うってことしないのか!?」
「「「「ゲームではしない」」」」
「くっそう!何枚だ!!」
「14枚だの」
「ああそうかい。いちにいさん・・・」
「待て主!?騙されているぞ!?」
「もういい構わん!!その程度でお前らの勝因になると思うなよ!?」
「・・・負けたら私にプリン十個」
「をい!!最初三個だったのがおかしいぞ!?」
「じゃあシュークリームでいいです」
「この野郎!!!」
五人の男たちが屋上に丸く座り込んでウノをやっていた。
四人は十代後半の青年で、あとの一人は蒔風だ。
屋上にテントが張られ、そこの外で行われている。
テントのそばに破壊された看板があり、「久々だと、つい、やっちゃうんだ。ランランルー」と書かれていた。
「舜君?」
なのはが声をかける。
その声に蒔風が反応する。
「おー、なのは。身体は大丈夫かい?」
「うん。怪我の方は大丈夫。魔法はまだ駄目だけど」
「なに、身体が大丈夫なら全然平気だよ」
「舜、このお兄さんたちは?」
「んあ?そっかそっか、知らないか」
蒔風がその場の青龍、白虎、朱雀、玄武を紹介した。
「俺の召喚獣たちだよ。おまいら、戻っとけ」
その一声に四人が剣に戻り、蒔風の脇の鞘に収められ、消える。
「す、すごい」
「で?何しに来たの?こんな屋上に」
「えっと・・・景色を見に来たんだけど・・・」
「舜は?」
「暇だったから遊んでた」
「このテントは?」
「荷物。ここにテントごと置かれていた」
「へ、へぇー」
「そういえばレイハとバルはどうした?」
「うん・・・二つとも破損が激しくて・・・」
「まだ治らないみたいなの」
「そうか・・・結構やられたからなぁ」
と、そこでフェイトが思い当たる。
「舜はこんなところで暮らしてるの?」
「ん?いや、前回はなのはの道場に泊めてもらったな」
「じゃあ、今度はうちに泊まる?」
「・・・・はいぃ?」
蒔風がフェイトに聞きなおした。
が、フェイトはこれは名案、と考えを変えない。
「うちに住めば今後の活動もしやすいし、もしかしたら「奴」の事も見つかるかもよ?」
「まあ、俺としてはありがたいが、リンディさんはいいと言うのか?」
「「言うと思う」」
二人が同時に言い、そして下に戻ってリンディに訊くと、
「了承」
「一言っ!?」
あっさり決まってしまった。
だが蒔風が硬くなに拒んだため、リンディにもうひと部屋借りてもらって、その部屋を蒔風が使うことになった。
------------------------------------------------------------
それから数日
その間にもヴォルケンリッターによる魔力蒐集は続けられていた。
だが探知しているものの、そこらの局員では話にならず、ただ「闇の書」の餌になっていくだけだった。
「お?これが被害者?ってか、大型生物もかよ」
蒔風がリビングに出てきて、クロノに訊く。
なんだかんだで蒔風は寝る以外はこちらの部屋にいる。
風呂上がりのようで、その手には牛乳パックが握られていて、そこから直接飲んでいた。
リビングには大型モニターが映り、そこに被害になった局員及び生物の写真が映っていた。
「他の無人世界の生物だよ。ああいう生物にはリンカーコアがあるからね」
「魔力がありゃいいってわけか・・・ん?」
蒔風が何かを発見する。
「どうした?」
「いやぁ、なんでも~♪」
蒔風がベランダの柵を乗り越え、自分の部屋に帰っていく。
そしてパジャマから着替え、出かける準備をした。
------------------------------------------------------------
巨岩が点々と置かれ、広大な荒野の広がる世界。
ここにベルカの騎士の気合が響いた。
「うをおおおりゃああああ!!!!!」
ドゴォン!!!!
巨大なワニガメのような生物が岩場のそばで地面に倒れる。
他にも二、三体、同じ生物が点々と同じように倒れていた。
死んではいないようだが、その体からはリンカーコアが抜かれている。
「こんなもんかな?ちっちぇえけど、効率はいいんだよな」
そう言って魔力を取っているのはヴィータだ。
この無人世界で、こう言った巨大生物から魔力をいただくのが最近の主流だ。
「まったく、管理局に気付けれなきゃこんなめんどいこと・・・」
「だったらぶちのめせばいいじゃん」
「それじゃあ傷つけちまうかもしれねえし下手したら殺しちまうかもしれねえ。主の名前を穢さないためにも、それだけはやらないと決めたんだ」
「結構なことだな。その主って誰なの?」
「それは、ってうをおおおおお!?」
「あ、気付いた」
近くの岩場に、蒔風がしゃがみこんで座っていた。
ニコニコ笑って、手をヒラヒラと振っていた。
「てめえは!!!」
ヴィータが蒔風にいきなり攻撃を仕掛ける。
武器であるハンマー、グラーフアイゼンからのジェット噴射で回転し、その勢いで殴りつけろうとする。
蒔風が岩場からひらりと跳んで、その真上を飛び越していって、巨大生物の背中の甲羅に乗った。
蒔風がたった今までいた岩場の先端を砕き、ヴィータか蒔風の方を睨む。
「おおすげえ!!!何回転してんだ!?」
「お前、何しに来たんだ!!」
ヴィータがもう一度攻撃しようと構えるが、蒔風が手のひらをヴィータに向ける。
「三人がかりで、いきなりとはいえ君たちを落とした男にそんな心情で戦っても勝てないよ?」
「うぐっ・・・・」
「それよりも知りたいんだな。なんで蒐集してんだ?完成させれどうするのよそれ」
蒔風が闇の書を指さして聞いた。
「それは・・・いえねえ!!言ったってお前ら管理局は・・・主をとっ捕まえんだろ!?」
「はぁ~~ん」
「そーゆーのから主を守るの騎士だ!!あたしはそのためにだったら何とでも戦う!!!」
「俺は管理局員じゃないよ」
「信じられっかよ!!!」
「そうだよねえ・・・お?」
蒔風が地面を見る。
「あ?どうしたんだよ」
「お母さんが御怒りのようだ」
ドゴオオオアアアア!!!!!!
地面にひびが入り、そこから巨大な何かが出てきた。
なんということでしょう。
地盤を砕いて現れたそれは、そこらに倒れているカメの二倍はあろうかという大きさがあります。
どうやら彼らの母親なのでしょうか。その瞳には怒りの炎が燈っております。
「く・・・」
「おい!!どうやらやる気らしいぜ!?」
ドゴオ!!!
蒔風とヴィータを前足でなぎ払おうとし、それを二人が避けて、地面に降りる。
「お前さん、疲れてんだろ?どうだい?こいつとりあえずやらないか?」
「だ、誰がお前なんかと!!!」
「いいの?なら別に俺はいいんだけど。だけどこのまま戦って勝てる確率は五分五分。もし負けたら闇の書がどーなっちゃうのかなぁ?」
「う・・・・・」
ヴィータがガリガリと頭をひっ掻き、考え込む。
「うーーーーあーーーー!!!!!」
「ほらほらどうする?そこまで来てるよ?」
母ガメが猛然と二人に迫ってくる。
このままでは押しつぶされてしまうだろう。
「だーーーーー!!!わかったよ!!手伝えお前!!!」
「いいよん(ピィン)」
蒔風がどこからか音叉を取り出し、鳴らす。
そして焔に包まれ、変身する。
「久々のぉ~~~~響鬼ぃ!!!!」
ドンドン!!!!
蒔風が仮面ライダー響鬼に変身し、その姿にヴィータが驚く。
「それなんだよ!!前のと違うぞ!?」
「気にするない。ほらっ、来たぞ!!」
ドゴォン!!!
蒔風とヴィーダのいたところを踏み砕き、暴れまわる母ガメ。
その勢いに蒔風がクルクルと吹き飛ばされた。
「おお゛う!?こりゃすげえ・・・」
「おい!!まじめにやれ!!」
「はいはい。はぁ!!!」
蒔風がその背に飛び乗って、甲羅に音撃鼓・火炎包をセットする。
たちまちそれが回転しながら巨大化し、母ガメの動きを束縛した。
「いまだ!ぶったたけ!!!」
「おう!!行くぞアイゼン!!!」
ガシュウ!!!!
グラーフアイゼンから薬莢が飛び出し、魔力が装填される。
アイゼンに赤い魔力がともり、その全力で音撃鼓にぶち当てるヴィータ。
キュゴアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!
その一撃で音撃鼓から全身に音撃を叩き込まれた母ガメは、雄たけびを上げて倒れた。
「っと、こんなもんか。やるじゃん」
「うっせー。お前本当に何なんだよ」
蒔風が変身を解き、ヴィータに声をかける。
「そうだな・・・お前黒い影みたいな男、知ってっか?」
「しらねーよ」
「じゃあいいや。ま、俺は世界最強、と覚えておけよ?」
「・・・・・あたしを捕まえないのか?」
「そうだなぁ・・・ダチ襲撃の件はもうその時にぶちのめしたからもういいし・・・うん、けえれけえれ」
「・・・シグナムに言った、あの言葉・・・・本当なのか?」
「おお。さすが古代ベルカから存在した騎士だね」
「じゃあ・・・本当に・・・」
「それを信じるかどうかは君だよ。まあ?こんな胡散臭い男は信じないに限ると思うにょ?にょにょにょ~~」
「・・・・・じゃあな」
ヴィータは蒔風のうやむやな感じに、もうどーでもいいや、といった感じになり、その世界から去って行った。
あとには蒔風が残される。
「ふう・・・誰も殺してないし、殺すつもりもない、か。しかもそれは主のためにね。いい奴らだ。まあ話してはくれないだろうしなぁ~」
そういって蒔風が空を仰ぎ見る。
「ま、華のあるいい戦いしたし、いい気分だ・・・だからお前らいらないよ」
ドゴォン!!!!
地盤を砕き、一斉に巨大ガメたちが襲いかかってくる。
五、六体はいるだろうか。サイズは最初にヴィータが倒してた物と同じだ。
それらが地盤から勢いよく飛び出し、そのまま蒔風を圧殺しようとする。
が、しかし、蒔風の眼が薄く開かれ・・・・・
------------------------------------------------------------
そこから数百キロ離れたある場所。
広大な荒野の世界。
風の吹く音しか、今はしない。
・・・・・・ドォン!!・・・・・・・
何処か遠くでとんでもでもなく大きな音がした。
ここではそこまで大きな音ではないが、少しだけ衝撃がここまで伝わった。
それは風となって、そこに咲く小さな花を揺らした。
------------------------------------------------------------
蒔風の周囲に先ほど襲いかかってきた巨大ガメが転がっている。
ある者は甲羅を砕かれ、ある者はひっくり返り、ある者は四肢をだらりと下げて、気絶している。
それらに一瞥し、蒔風も世界を去る。
[Gate Open]
世界名が告げられることなくゲートが開く。
そこをくぐって蒔風もいなくなる。
とりあえずの接触はした。
さて、この物語はどの方向に歪むのか。
to be continued
後書き
アリス
「次回、新たなる力」
ではまた次回
熱血バトル魔法アクションアニメ!
ア「DVDのCM・・・「少女」の字を捨てましたね・・・」
ページ上へ戻る