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破壊ノ魔王

作者:紅蓮刃
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一章
  30



とんでもないものを見せられた

もう、落ちたかも。あんなの普通の飛空艇にできっこない
どんな手段をしたのかわからないけど


それより、なんであの人の顔が頭に浮かぶんだろ……


「いやー。スッゴいのみたね」

「!???」


そこにいたのは白髪の少年。小柄でぽやっとしてて猫みたいな…そして一メートルくらい浮いている

知ってる。軍人の顔はすべて覚えた


「……ルーク・ラヴィーナ…」

「え。なんでフルネーム?」


軍人のなかでも有名な部類だろう。あの魔王ゼロを追っている最強の名がついた軍人だ。まだ年も二十歳を越していないはず。少なくともそう見える


「なぜここに?」

「休みをもらったんだ。のんびり満喫中」

「ゼロがここにいるの?」


少なくとも、この人の目的はそれだけのはず
墜ち人どうこうって性格じゃない


「んーー……そうだねー。今はそんなに探してなかったんだけどねー」


ルークは大きく伸びをして、空中で膝を抱える。白い髪も相まってクラゲのようにみえた


「ただ、ヴァンのデビューになった大会を見ようと思って、レベル落ちたなーって思ってたんだ。ひとり上手だったけど」


それはどうも


「そしたら…あの最後のすごいの。間違いないよ。あれ、ゼロだ」

「は!?」

「シルクって…あのちっちゃいの。あの子じゃない。飛びかたのクセもゼロのまんまだ」

「ちょっと待って!この大会にあの魔王がいるの!?今は太陽もでてるのに!?」

「ゼロはねー。確かに太陽がだいっきらいで弱点だともいえるけど、ムリではないんだよー?日にさらされること。昼間追っかけまくったことあるもん」


そうか。あの男は、魔王ゼロ
なら納得もつく。魔王と呼ばれるようなやつなら、なにができてもおかしくない
翼があることくらいしか、ゼロについての情報はないし……そうか。消すこともできるのか


「……ゼロを追わないの?」

「だって休みだもん」


いや。休みでも軍人でしょ
休みだったらなにもしなくていいわけじゃないでしょうに


「それより、大変だね。おねーさん。相手はどうやったか知らないけど、空のプロだよ?ヴァンでも追い抜けない相手だ。勝てる?」

「…………さあ」


ほんとサイアク
レベルの高い大会のなかで、別次元のやつがいるなんて。運がないどころじゃない。絶望的…


『それでは技術テスト、結果を発表いたします!!』


空まで届くような音声が響く。この街のどこまでも聞こえそうな機械音。そして、出走順から順位が告げられていく。あぁ、いやになる。じれったい。ゼロと自分以外の順位なんてまるで興味をわかない


『リオ・アカツキ!』


どくんと鼓動が高鳴った


『ランク、一位!!ナンバーワンです!!』


………え?

…………え??


次々と告げられる順位
なぜかぼうっと聞こえる

あれ?二位ってもう言わなかったっけ?
ならゼロは……?え?


『シルク!』


『ランク、ナンバーテン!残念!最下位です!』









 
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