新妹魔王の契約者~龍剣使いの神皇帝~
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2巻
決戦後の生活
「と言う事は一真さんは勇者の里に行って、対ドウター戦をしてきたと」
「一真だけ行かせてよかったの?」
「心配無いわよ澪。一真だけで行かせる訳ないじゃない、私達の仲間と引き連れて行ったのよ」
「朱音の言う通り、ドライグらと一緒に蒼い翼関連の者も一緒にいるから心配いらん」
「そーだよ。澪や万理亜が心配する程でもないからねー」
一緒に食べていた朱音達も追加説明していたが、余り心配する程でもないので今日は一真抜きでの登校となった。皆挨拶してくれるが、担任の坂崎によると一真と柚希は家の事情で今日は休むと連絡が入っていた。妹の深雪に聞いても病気ではなく、当主としての仕事を果たす為だと説明したが柚希に関しては分からず仕舞い。
「そう言う事なので織斑兄は次期当主としての仕事の為に今日は休みとする。野中に関してもだが、家の事情であれば俺らから口を挟むべきではない。引き続きクラス委員長を副に任せる形とする。以上何でホームルームを終了する」
「起立、礼」
そして授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響き、それから深雪と澪の周りには友人からの心配の声が聞こえるが心配無いように笑みを浮かべていた。委員長と蒼翼のプリンスがいないのか、いつもより教室に静けさがあったようだけど澪と深雪でカバーしていた。柚希達勇者との戦いは三日前、一真が発った次の日には柚希のマンションを訪れても予想通りの展開を見ていた。
「あれは何の業者かしら?」
「やはり織斑様の勘は当たるようですね。引っ越し業者ではなくリサイクルとゴミ処理を行う業者のようです」
「お兄様の勘は神の勘か未来予知ですけど、やはり澪達を連れて来なくて正解だったわね」
「はい。柚希さんが部屋を解約し、残された家具や荷物処理を頼んだのでしょう。そして次の日には柚希さんはウチにやって来る」
「本来だと学校側に退学届を出されるはずが、あちら側では無かった事にしてそのまま蒼翼町にて澪を監視する側となる事も全て知っていた。《里》では対ドウター戦をしてると思うからそろそろ帰りましょうか」
そう言って深雪と桜花が乗る車は、蒼翼町にある大豪邸である織斑家へと向かう。認証カードを提示してからゲートが開く仕組みとなっていて、宅急便業者やアポ有りの客人に対してもこちら側で発行されたカードが無いと入れない。
だから今日お兄様がいないと知っても、蒼い翼関連の仕事だと言って納得してもらっただけに過ぎない。今頃一真は蒼翼町に向かってると思っていたが、昼休みだと忘れてたので声を掛ける深雪。
「大丈夫なの?一真君は」
「ええ大丈夫ですよ、次期当主の仕事なので色々とお忙しいのよ」
「でも驚いたなー。まさか一真君が私達と同じ歳で次期当主って言うのがね」
「私も私も!織斑君が文部両道なのは知ってたけど、まさか次期当主として既にビジネスやってるとは!」
深雪に声を掛けたクラスメイトの相川志保と榊千佳の二人で、澪も本来とは違う様子なのでいつも通りとなっている。本来だと三角関係だと思われているが、四人の内二人が休んで残りの二人が憂鬱な顔ではなく微笑んでいる。普段から誰とでも分け隔てなく接する澪や深雪、現魔王派の魔族から狙われて巻き込みそうな感じはあるけど特定の友人を作ってはいけないような決まり事はない。
「今日は私らのお母さんが作ったお弁当だから早く食堂へ行こ」
「おー、澪の母親が作ったお弁当気になるー。いつもは一真君の弁当だけど、たまには私達が落ち込まない味になっていてほしいわ」
「それはどうでしょうか。お兄様のより落ち込まないけど、味については高級レストラン並みなのだから」
「深雪が言うのなら早く行こーう」
何か悩み事があれば何でも友人に頼れと言っていた一真であり、どんな些細な事でもいいし頼れる友人を作っておいて損はない。友達同士での些細な会話により助かっていた澪であり、深雪は義妹であっても本当の妹のように頭をポンと乗せていたりする。この日は二人抜きの放課後となるけど、深雪らが楽しく会話している時には織斑家に到着していた俺と柚希。
『認証カードを提示して下さい』
「渡したカードを貸してくれ、これからも使うカードとして発行するんでな」
「これがあるから入れる・・・・ある意味鉄壁に近いかも」
『認証完了しました・・・・お帰りなさいませご主人様』
ゲートが開くとそこには大豪邸とも言える建物が小さく見えていた。車で走ると駐車場に停めてから玄関へ入る俺と柚希、ドアを開けたら柚希の目の前には大勢のメイド達から歓迎されていた。既に連絡済であり、部屋も清掃されていて残りは好みの家具を取り揃えるだけだ。朱音らと話していると藍音が各部屋の案内をし終えていたし、行きたい場所を念じればショートワープ出来る。
「これからもよろしくな柚希」
「これからもよろしく一真」
「俺達は疲れたから部屋に行かせてもらうぜ」
「ドライグ達は自由時間だから今日は好きに過ごすといい、その間に俺と柚希で家具と服を買いに駅前へな」
一瞬柚希はあそこに行くの?みたいな顔をしたが俺達は味方であり、行き交う人々の姿で賑わっている所で柚希と別れた場所でもある。十日前にあったとしても気にせずに普段着となり、車を取りに行く俺と護衛。そんで駅前から都心へ向かって初デートをした服屋へ行き、下着から普段着全てを買い揃えた事で空間へ入れる。家具は既に織斑家に運んだので、あとは帰るだけとなって織斑家に帰宅。
「さて、そろそろ深雪達も帰ってくるから万理亜もいつも通りにしておけよ?」
「はい。お任せを!一真さんに柚希さん」
「澪は驚くかな?」
「そりゃ驚くさ、何せ一度は敵だとしても今では味方なのだからな『ご主人様、深雪様と澪様がお帰りになられました』お、丁度良い。俺と柚希で夕食作りをしておく」
「じゃあ私も手伝う・・・・何から手伝えばいい?」
家に帰ってきた深雪と澪は今日何があったかを簡単に話しながら送迎車で帰宅後、何やら美味しそうな匂いで充満していた。恐らく一真が帰ってきて夕食の準備でもしてるのだろう、制服から部屋着に着替えた深雪と澪はリビング兼ダイニングルームへと入ってきた。
「何やら美味しそうな匂いね、今日は何なの?」
「・・・・一真特製ビーフシチュー」
「やはりと言うかアンタもいたのね、話は深雪姉さんから聞いてるから別に驚きはしないわ」
「ま、そう言う事だ。《里》と話し合いの結果、澪を消滅対象から監視対象へと戻った。監視任務する上で必要な家具やら家がないのであればと思い、俺から貰い受けた認証カードが役に立った。俺らから長老達とコンタクトを取ってなかったが、対ドウター戦となってからは言わなくても分かるよな?」
「お兄様の勘が当たったと言う事で、歓迎会を開くと言う事ですね。今回もだけど万理亜は何やら見せたがっています」
「はい。澪様と一緒に住むのであればと思い、深雪さんに許可を下りてからパソコンで作業してました」
万理亜はリビングにあるテレビの電源を入れてディスクを取り出したが、俺的には嫌な予感しかしないので分身体としていさせて本体は散歩だと言って滝川がいる場所まで行く。あのディスクについては知ってるし、深雪が許可出したのなら文句ないからだ。
『ああっ、やぁん、はぁっ・・・・んぅ、お兄ちゃん・・・・んっふああぁっ!』
「やはりか・・・・陶酔した喘ぎ声と共に画面一杯に映し出されたローション塗れになって表情が蕩けている澪の姿」
「このままで良かったのでは?」
「俺的にはマズイ展開なので撤収したが、絶句する澪に深雪と万理亜は上機嫌だろうな」
情事している映像を見ているし、澪のはしたない顔といやらしい胸。これは円盤に保存じゃないと勿体無いので、高画質でフルハイビジョンだが悲鳴を上げたとしても近所迷惑にはならないだろうな。すると神速で万理亜からリモコンを取ると速攻で停止ボタンを押す。
「あっ、澪様一体何をっ?一番良い所はこの後だと言うのにっ」
「アンタこそ何考えているのっ!?ってゆーか、こんなの何時の間に撮ってたのよっ!」
「勿論最初からですし、一真さんからの許可も貰ってます。初めての調教と言えば、運動会や学芸会を越える家庭の録画必須イベント。そんな大事な思い出をこの私と一真さんが撮り逃すとお思いですか!」
「そりゃアンタのサキュバスだけの話でしょっ!と言うか一真も許可出してたって何時よ?」
「これについては私ら親子が二つ返事出しましたから問題ないはずですよ、それではリモコンは返してもらって再生ボタンを」
「・・・・一真、今のは何やの?」
それまで黙っていた柚希が据わった目でこちらを見てきたが、深雪も知っていてこの状況を作りだした事に変わりはない。なので分身体の俺は勇者との決戦よりも対ドウター戦で、少しでも戦闘能力を上げる為の行為だと告げる。今の映像は情事ではなく前戯、澪にやってて柚希にしてないとなると自動的に同じ事をしたいと言うだろう。
「ウチはまだ一真とした事ないのに・・・・でも一緒に寝たから同一」
「澪も柚希も気付いてないと思うけど、ここにいるお兄様は分身体よ。今頃お兄様は散歩に行ってるから、柚希の分はまた今度と言う事になるわ」
そう言うと分身体俺が消え去り、相手がいなくなったので静かになった澪と柚希。今日から暮らすのであれば、今の内に歓迎会を開くとなるとケーキを買ってくるのだろうと言って収拾ついた。
「お疲れさん一真っち」
「ああ。俺はあくまで散歩してきたが、そちらも疲労困憊のようだな」
「ま、成瀬澪とお付きのサキュバスにこれからは野中まで一緒に暮らす事とは。だが俺ら側でも観戦してたが、何やら最後ら辺から見えなくなったけどな」
「そりゃそうだろう。勇者との決戦は見せられても、対ドウター戦までは見せられるかって。アレに関して知ってるのは俺らのみだ」
澪と言い争う相手が学校から家となり、増々ストレスとなるかもしれんが俺にとっては勇者側のボディーガードとも言える。長老らと交渉し、素性を知られた勇者と一緒に住む方が監視としても有難い。織斑家に空き部屋はあるし、澪と万理亜に加えて新たに柚希が加わる事で問題は差ほどないとも言える。澪と柚希との喧嘩は増えるかもしれんが、俺としてはゼストの方が気になっている。
「ところでそちらは確認したい事は終えたのか?」
「まあな。興味深いのを見れたから一旦報告しに戻るだけだが、一真っちが気になっているのは俺じゃなくてゼストだろう?戦いが終わった後、成瀬澪が霊槍使いに放った力と対ドウター戦で使ったもんもな」
「やはりゼストは澪が作り出した重力子フィールドは、俺が使役してるドラゴンが張った結界よりも弾いたからな。驚愕よりも冷静に分析する事で、澪が徐々にウィルベルトの力に目覚める事になると」
「成瀬の覚醒はゼストの想定の範囲外だったらしく、最後に放った重力球もそうだが一真っちが使った技も見ていた。発動した魔法や精霊とのチャンネルを消し飛ばす力を今頃魔界でゾルギアに報告しているだろうよ」
「ゾルギアね、澪の養父母を殺した張本人。何時か俺の手で殺してやるが、今はまだ泳がせておこう」
「その時は俺も一緒にやろうぜ『最初からそのつもりさ』俺の事も調査済みなら知ってるだろうよ」
澪が受け継いだウィルベルトの強大な力を狙っているのは、現魔王派のトップで前魔王の後釜として座った新たな魔王として君臨。ゾルギアが諦めていない事を承知の上で、俺らは澪を奪いに来る事、まだその時ではないが俺と滝川の手でゾルギアを破滅へ導いてやる。
その後、織斑家で静かになったと報告来たので滝川と別れて家に帰ると万理亜にはディスク保管を頼まれて、澪には破壊しようとするが念力で停止させて柚希には俺らの強さを後程知る事になると告げた。
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