提督がワンピースの世界に着任しました
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第17話 月日は過ぎて
過去を探る為にオハラにある図書館を訪れてみたが、結果として過去を知るという目的を達成することは出来ずに、空振りに終わってしまった。
けれど、全くの無駄足になったという訳ではなく、過去に考古学者として世界を回って、現在は図書館の館長をしているという、知識人のクローバーさんと関係を結べた事が出来た。そして、世界から集められた資料が保存されているという図書館にも気軽に訪れる事が出来よように成ったので、行ってみて結果的には良かった。
それから、一年の月日が流れた。
この一年間について、特筆すべきことはあまり無い平凡な日々が続いた。けれど、何も仕事をしないでグータラと過ごした訳ではなく、色々と小さな変化は有った。
それぞれについて詳しく説明すると、以前から不安視していた食糧を補給するルートについて、食料問題に関しては商人たちとの交渉を進めて、先日無事に契約をすることが出来ていた。
商人たちから食料を購入する為のお金は、以前の遠征で海軍と接触した時に偶然手に入れた宝石等の財宝についてを商人に換金してもらって、そのまま食材の購入に充てることが出来た。
そして、この一年で急激に数を増やしていった海賊との戦闘が度々発生していて、彼等を返り討ちにしては海軍に連行して賞金を貰うことが出来たので、お金にはあまり困ることはなかった。
ちなみに、海賊が最近増えたのは大海賊であったゴールド・ロジャーの最期の言葉が、大きく影響していると言われている。彼の公開処刑という最期は、新聞によって西の海に居る人達にも知れ渡っていた為に、俺も直ぐに知ることが出来た。そして、コレがワンピースという漫画の始まりであると知っている俺にとっては感慨深いものがあった。
基本的には、海軍とも海賊ともに海の上で見つけても近づかないで避けるようにして、戦闘は極力無くすようにと艦娘達には言っていた。
ただ、海賊たちは近隣の島に上陸しては略奪を始めるという一味も多くて、そんな海賊を見かけた場合には島の人達を守るようにと艦娘達に命令を出していた。島の人を守ろうとしている艦娘を、略奪の邪魔をしてくると海賊たちは考えるのか、こちらから手を出していないのに皆揃って襲いかかってくるので、返り討ちにするという流れがあった。
海軍との関係は、捕まえた海賊を引き渡して賞金を受け取るとき以外には特に重要な交流は持っていなかった。
俺は、原作の海軍に関するエピソードによる悪い印象や、先の遠征の時にあった海軍との初対面で発砲してきたという出来事の記憶が強くて、海軍に不信感を抱いていた。海軍との間に、何かきっかけがあれば交流を持つか関係を断つか、その判断をするまでは今のような中立の立場を暫くは取ろう、というスタンスであった。
クローバーさんとの初対面の時の話し合いで交わしていた約束について、人食い島に招待するというイベントも既に行っていた。クローバーさんを連れて、人食い島に無事上陸することが出来たので、彼を初めての客人として神威鎮守府の中にも案内して見て回ったりした。
クローバーさんにとっては、過去に島に近づいて見るだけだった、上陸が出来なかったという島だけれど、現在は近づいてもかつてのように体調を崩すこと無く、上陸できて少しだけ感激したという様子だった。
そして、神威鎮守府の前まで案内すると、その外観を見て立派な建物だと驚いたりしていた。鎮守府の中にも連れて案内すると、すぐに色々と観察を始めていた。
人食い島の中は、今のところ神威鎮守府以外には特に見るべきものは無かった。鎮守府の案内も終わった頃に、島の中全体を見て回ってみたいというクローバーさんの要望に答えて、一緒に島の中を見まわってみたりもした。
予想通りと言うべきか、残念ながらと言うべきか、島の中に新しい発見も無く、依然として神威鎮守府以外に見るべき価値が有るという物は無かった。
その後、鎮守府にまで案内した対価として、俺達はクローバーさんに色々な事を教えてもらうことになった。例えば、世界にある常識について、海軍や海賊の関係、グランドラインに入るときに通る山であるリヴァース・マウンテンについて、世界で使用されている通貨単位であるベリー、そのおおよその物価等を教えてもらった。それらの知識は、俺達や艦娘達が月に2回ほど図書館に通いながら教えてもらっていた。
そして、教えてもらった知識は、既に商人との取引の時に大いに役立ったりしていた。
残念ながら、この一年で艦娘を新しく建造することは出来ていなかった。開発資材や悪魔の実を使わないで、資材だけで建造する方法を考えてみたり、建造に使える悪魔の実が有りそうな場所を探してみたり、開発資材については世界に存在しているか分からず見つかりそうにも無かった。
逆に武器の開発は順調に進んでいて、何故か開発資材を使わず資源だけで製造が可能だったために色々と取り揃えていった。例えば、戦艦である長門の為に大口径主砲の41cm連装砲や九一式徹甲弾を、空母である加賀の為に烈風や流星といった艦載機を、そして練度が上がって雷巡と成ることが出来た北上の為に甲標的等を開発して揃えていった。
このようにして平々凡々とした日々を過ごしながらも、着実に鎮守府を防備していった。しかし、そんな穏やかな日々は続かない。クローバーさんと出会って一年経った今、その出会った場所であるオハラの図書館に一人の女性がやって来たことで、大きな異変が始まろうとしていた。
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