英雄伝説~菫の軌跡~(零篇)
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第77話
~太陽の砦~
「どうだ………ティオ?」
”太陽の砦”の入口付近に到着したロイドは立ち止まり、振り向いてティオに尋ね
「………悪い予感が的中です。時・空・幻………上位三属性が働いています。”塔”や”僧院”と同じですね。」
尋ねられたティオは考え込んだ後真剣な表情で答えた。
「そう、やっぱり………どうやらこの先は一筋縄では行かないみたいね。」
「って事は、あの得体の知れない化物や悪魔どもが徘徊してるってことか。やれやれ、ゾッとしない話だぜ。」
ティオの答えを聞き、自分達が今いる場所は”星見の塔”や”月の僧院”のように上位属性が働き、得体のしれない魔獣達がいる事にエリィは表情を引き締め、疲れた表情で溜息を吐いたランディは目を細めた。
「……あたし達も”影の国”を探索した時、同じような状況になったわ。」
「正直、どんな魔物が現れても不思議じゃないだろう。万全の体制で臨んだ方がいい。」
「そうね………中には私達の姿を化けて襲い掛かって来る魔物もいたわね。」
「うふふ、まさに”最終決戦”に相応しい場所ね。」
「”影の国”………フィーが巻き込まれた例の件か。」
「フィーの話やと、今まで見た事がないワケのわからない魔獣どころか本物の”悪魔”とかがゴロゴロいたそうやからな……クク、腕がなるな。」
エステルとヨシュア、ルフィナはそれぞれ自身が体験した似た状況の時の事を思い出してロイド達に助言し、レンは不敵な笑みを浮かべ、レオニダスは静かな口調で呟き、ゼノは口元に笑みを浮かべた。
「そうか………わかった。当然、敵による待ち伏せもあるはずだ………みんな、気を引き締めて行こう!」
エステル達の話に頷いたロイドは静かな口調で言った後エリィ達を見回して号令をかけ
「「「ええ!」」」」
「「おおっ!」」
「はい………!」
「うんっ!」
「「ああ………!」」
ロイドの号令に仲間達はそれぞれ力強い返事をした。その後遺跡の探索を開始したロイド達は探索の最中に襲い掛かって来る魔獣達を撃退しながら仕掛けを解いて先に進んで行くと”D∴G教団”の紋章が描かれた壁の前に来た。
「あ………!」
「あれは………!」
「”僧院”の礼拝堂の奥にあった紋章と同じ………!
紋章が描かれた壁を見つけたティオとロイド、エリィは声を上げた後仲間達と共に紋章が描かれてある壁に近づいた。
「これって………例の”教団”の紋章よね?6年前の事件の資料にあったものとは少し違うけど……」
「ヨアヒムの野郎が置いて行ったファイルの表紙とも少し違うな。確か翼が付いてた気がするが………」
「多分、こちらは簡略化された”教団”の紋章なんでしょう。ひょっとしたら、現在の紋章の原型になったものかもしれません。それがこの場にあるという事は……」
エステルとランディの疑問に対してヨシュアが自身の推測を答えた。
「………”教団”のルーツは500年以上昔に遡る……しかも、このクロスベルが発祥の地かもしれないってことか。」
「ああ、君達が発見した”僧院”の紋章もしかり………500年前の戦乱の時代、この地の有力者を取り込んで勢力を拡大したのかもしれない。」
「なんてこと……」
「いずれきちんとした歴史を紐解く必要がありそうだな……」
(うふふ、ケビンお兄さん達もクロスベルに来て調べた方がいいのじゃないかしら?)
(クロスベルはエラルダ大司教の意向で”星杯騎士”が来訪する事は難しいわ……だけど”教団”の件に加えてこんな遺跡もあるのだから、冗談抜きで”星杯騎士”もクロスベルを調べるべきでしょうね………)
ヨシュアの推測を聞いたエリィは疲れた表情で溜息を吐き、ロイドは考え込み、レンに小声で囁かれたルフィナは複雑そうな表情で答えた後真剣な表情で周囲を見回した。
「!気を付けてください……!」
その時何かに気づいたティオが警告したその時ロイド達の目の前に魔法陣が現れた後、そこから”僧院”で現れた時に似た姿をした”悪魔”が現れた!
「早速現れよったか……!」
「”影の国”で現れた悪魔達の仲間……!?」
「これが”本物の悪魔”か。なるほど……そこらの手配魔獣とは”格”が違うな。」
「やはりこの一帯が異界化しているのか……!」
悪魔の登場にゼノとエステルは真剣な表情で声を上げ、レオニダスは悪魔の強さを、ヨシュアは遺跡の状態を分析し
「とにかくブチ倒すぞ!」
ランディの号令を合図にロイド達は戦闘を開始した!
「分析を開始します―――――情報を入手しました。弱点属性は”僧院”の時と同じ空属性!水属性は無効化し、地・火・風属性は50%を下回っています!空以外にまともに効く属性は時と幻です!さらに状態異常は能力減少効果も含めて全て無効化します!エニグマ駆動………」
「エニグマ並びにアークス駆動………」
戦闘開始早々に導力杖にインストールされている特殊魔法で目の前の悪魔を分析したティオは仲間達に助言をした後戦術オーブメントを駆動させ始め、レンも続くように二つの戦術オーブメントを駆動させ始めた。
「フンッ!!」
「オラアッ!!」
レオニダスとランディは左右からそれぞれマシンガントレットとスタンハルバードで一撃を叩き込んでダメージを与え
「…………」
「「!!」」
ダメージを受けた悪魔は腕を振るって左右にいるレオニダスとランディに反撃したが、反撃に気づいた二人は一旦後ろに跳躍して回避し、距離を取った。
「オォォォォォ………ブレイブラッシュ!!」
「せいっ、せいっ、せいっ……!ヤアッ!!」
距離を取った二人と入れ替わるように今度はロイドとエステルが悪魔の左右から攻撃を仕掛け、ロイドはトンファーで衝撃波を発生させる程の猛連撃を叩き込むクラフト―――ブレイブラッシュで、エステルはカシウス直伝である棒による連打技―――百烈撃で攻撃した。
「……………」
悪魔は再び自分を挟み込む二人に反撃しようとしたが
「絶影!!」
「!?」
「隙あり!シュート!!」
「喰らえやっ!!」
ヨシュアが神速の速さによる一撃離脱技を叩き込んで注意を逸らし、悪魔の注意が逸れるとその機会を狙っていたかのようにエリィとゼノがそれぞれ狙撃して追撃を叩き込んだ。
「………………」
次々と攻撃を受けた悪魔はロイド達に攻撃された部分を自己再生しながらアーツを放つ為に自身に霊力を溜め込み始めた。
「させない!アークフェンサー!!」
「!?」
悪魔がアーツを放とうとしている事に逸早く気づいたルフィナは法剣の刃を伸ばして悪魔を叩き据え、その衝撃によってアーツの発動を中断させた。
「それっ!ラストディザスター!!」
「えいっ!ラストディザスター!アルテアカノン!!」
その時仲間達の攻撃によって悪魔が仲間達に気を取られている隙に長い駆動時間を必要としている高火力のアーツをティオとレンはそれぞれ発動させ、敵を空間ごと崩壊させる、無慈悲な閃光―――――ラストディザスターと天から降り注ぐ裁きの光――――アルテアカノンを悪魔に叩き込んだ。
「――――――!!??」
弱点属性かつ高火力の聖なる光で魔を滅する空属性のアーツを3回受けた悪魔は悲鳴を上げながら身体が崩壊し、最後には消滅した!悪魔が消滅すると”D∴G教団”の紋章が描かれた壁が動き、先に進めるようになった。
「これって……」
「……どうやらこの先が真の意味での拠点みたいだね。」
「ああ………入ってみよう。」
そして先に進むためにロイド達が奥へと向かおうとしたその時不気味でそれぞれにとって聞き覚えのある男性の声が聞こえてきた!
ククク……この時を待っていたぞ……
「へ……」
「!!」
「この声は……!」
「まさかこのタイミングで現れるとはね………――――”殺戮の狂戦士”バルバトス・ゲーティア!」
聞き覚えのある声を聞いたエステルは呆け、予想外の強敵の登場にヨシュアとレンは目を見開いて厳しい表情をし、ルフィナが真剣な表情で声の持ち主の名――――バルバトスの名を叫ぶと先へと進めるようになった通路を塞ぐかのような位置にバルバトスが突然現れた!
「あの男は……!」
「”星見の塔”で現れた……」
「チッ、面倒な時に現れやがって……!」
「あいつは………!」
「団長と”闘神”の決闘に割り込み、二人を殺害した狂戦士――――バルバトス・ゲーティア………!」
バルバトスの登場によってバルバトスとの戦闘が起こる事を察したエリィとティオは表情を引き締め、ランディは舌打ちをし、ゼノとレオニダスはそれぞれ怒気を纏ってバルバトスを睨んでいた。
「このタイミングで現れた事を考えるとまさか……ヨアヒム――――”D∴G教団”と繋がっているのか!?」
ロイドは厳しい表情でバルバトスに問いかけたが
「あ~……横から口を挟むようで悪いけど、そいつにそんな事をするような協調性は一かけらもないわよ。」
「大方レンやエステル達の時みたいに成長して強くなったロイドお兄さん達と戦う絶好の機会だから、現れたって所でしょうね。」
”リベールの異変”にて何度もバルバトスと対峙し、更にバルバトスの事をよく知るリオンや”影の国”で出会ったリオンのかつての仲間達―――カイル達からバルバトスの事を聞いていた事によってバルバトスの性格等を把握していたエステルとレンが呆れた表情で指摘した。
「ククク……その通り。しかもかつてこの俺を楽しませた者達もいるとはな………ハハハハハハハッ!面白い!全員纏めてかかってくるがいい!」
「ったく、このクソ忙しい時に現れやがって………少しは空気を読みやがれ!」
「ま~、そら無理な話やろ。何せ”猟兵王”と”闘神”の一騎打ちをも邪魔するくらいKYな奴やからな。」
「二人の決闘を汚した事に対する”落とし前”をつけてもらう為……そして団長の仇を取らせてもらうぞ………!」
凶悪な笑みを浮かべて自分達を挑発するバルバトスの行動に疲れた表情でブレードライフルを構えたランディにゼノは口元に笑みを浮かべながらも目は笑っていない状態で指摘しながら得物であるブレードライフルを構え、レオニダスはマシンガントレットを構えてバルバトスを睨み
「既にバルバトスと対峙した事があるなら、わかっているとは思うけどバルバトスを相手にするときはアイテムの使用は極力控えて、バルバトスの独自のカウンターに気を付けて!」
ルフィナはボウガンと法剣を構えてロイド達に警告した。
「さあ!全員纏めて俺の糧になるがいい!ぶるあああああぁぁぁぁっ!!」
そしてバルバトスの咆哮を合図にロイド達はバルバトスとの戦闘を開始した―――――!
後書き
と言う訳でこのタイミングでまさかのバルバトス戦ですww次回の戦闘BGMはお馴染みのバルバトス戦専用のBGMだと思ってください♪
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