魔道戦記リリカルなのはANSUR~Last codE~
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Eipic6-D古代遺失物管理部・機動六課~First Mission~
前書き
いろいろと言われてるベルセリアですが、私は楽しめましたし、ああいうのでも良いと思うんですがねぇ~。
†††Sideはやて†††
機動六課が稼働して早2週間ちょっと。私はこれからここ部隊長室で、とある人と会議することになってる。室内に設けた隊長陣との会議を行ったり、休憩するためのスペースの長ソファに座ってる。私の右隣には広域捜査担当のフェイトちゃんとアリシアちゃん、左隣には監査役でもあるルシル君が、私とその人との会話に耳を傾けてる。
「久しぶりやね、カリム。ごめんな、なかなか逢いに行けへんくて」
『ううん、気にしないではやて。またゆっくり出来る日があったら来てちょうだい。・・・では、コホン。今日は忙しい中、時間を取ってくれてありがとう。フェイト執務官とアリシア執務官補、そしてセインテスト調査官も、ご苦労さまです。しばらくお付き合いくださいね』
「「はいっ」」
「いえ。これも仕事ですのでお構いなく」
モニターに映る通信相手は、機動六課設立に協力してもらった聖王教会・騎士団の騎士、カリム・グラシア。管理局にも籍を置いてる二足の草鞋騎士(誰が言い始めたんかは忘れてもうたけど、言い得て妙や)。局内での役職は理事官で、階級は少将。通信を繋げた後は当たり障りない挨拶だけをして、すぐさま本題に入った。
『まずは、教会騎士団のレリック捜査担当部隊、朱朝顔騎士隊から報告のあったガジェットドローンの新型についてです』
新しく展開されるモニターに、これまで見たことのないタイプのガジェットが表示された。ガジェットドローン、通称ガジェットはロストロギア・“レリック”に反応して集まってくる機械兵器のことや。正式名称は開発者しか知らへんから、局は勝手にそう名付けた。
「かなり大きいねコレ。成人の平均身長よりも一回り大きいくらい」
『ええ。遭遇した騎士シャルロッテとの戦闘映像もお見せします』
職務中のシャルちゃんのことを敬称付きで呼んだカリム。以前は騎士イリスやったけど、聖王教会の教皇でフライハイト家の当主やったシャルちゃんのお婆さんが半年前に亡くなったことで、シャルちゃんもフライハイト家の次期当主ってゆう肩書きになった。シャルロッテを名乗れるのは当主と次期当主だけってこともあって、シャルちゃんもようやく正式に、シャルロッテ、って名乗れるようになった。
「アームケーブルに光学兵器、あと蛇腹の腕2本・・・」
「腕2本以外はⅠ型と同じなんだね」
2m近い直径をした球体状のⅢ型は、その巨体さと形状を活かして転がっての体当たりってゆう攻撃方法も取る。しかもAMFの濃度も効果範囲もⅠ型以上のようで、空に居た「シャルちゃんの紅翼が一瞬で・・・!」掻き消されてもうた。まぁそれでもシャルちゃんは落下中に絶対切断のスキルを用いた斬撃を放って、Ⅲ型を真っ二つに斬り裂いて破壊した。
『以上です。Ⅲ型の残骸は本局の技術部に要請して回収し終えています。本題はここからです』
Ⅲ型の映るモニターから「このケース・・・!」見覚えのあるケースが映し出された。そんで「レリック・・・!」フェイトちゃんとアリシアちゃんが声を上げた。4年前に発見された“レリック”が収められてたケースと同形や。
『中身は確認できていませんので確実とは言えませんが、おそらく。一昨日付けでミッドチルダに運ばれた不審貨物、確認されたのは2つです。内1つは幸いなことに北部の、ベルカ自治領の近場でしたから今現在、ロート・ヴィンデが追跡中です。もう1つは陸路を使って中央区画に輸送されたところまでは確認できたのですが、不覚なことに見失ってしまいました』
悔しげに顔を歪ませるカリムに、「カリム。ガジェットの動きはどうなってるん?」私はそう訊ねる。
『北部では、ケースの輸送路である海路に沿って進むガジェットが昨日から確認されているわ。中央区画ではどうなのかしら?』
フェイトちゃんとアリシアちゃんに視線が向く。すると2人は顔を見合わせて、首を横に振った。私らは中央区画の他の陸士部隊に捜査協力を申し出た。最初は難色を示してた各部隊の部隊長たちやったけど、“レリック”の危険性が認めて協力を受け入れてくれた。そやから何かあれば連絡が入るはずや。と、そう思うてた時、部隊長室にアラートが鳴り響いた。
『八神部隊長!』
司令室のグリフィス君から通信が入る。中央区画東部の一区画を管轄としてる陸士部隊からで、エーリム山岳丘陵地区を走るリニアレールをガジェットが襲撃してる、ってゆう内容の報告が入ったとのことや。私はすぐに「すぐ司令室に向かう!」グリフィス君に伝えた。続けて「なのは隊長!」に通信を繋げる。
『うんっ! 今、フォワードとリインを連れてヘリポートへ向かってる!』
「了解や。フェイト隊長!」
「うんっ、私もすぐにヘリポートへ向かう! アリシアには事後処理の為に一緒に来てほしいんだけど・・・。はやて、良いかな?」
「許可します。2人とも、お願いな!」
「「了解!」」
フェイトちゃんとアリシアちゃんが部隊長室を飛び出してくのを横目で見送って、モニターに映る「カリム! 機動六課、出動します!」に敬礼する。
『ええ、気を付けて!』
カリムとの通信も切れて、私も指揮を執るために司令室へ向かう・・・その前に「セインテスト調査官は・・・!?」って、ソファに座ったまま何かしらを考えてるルシル君に声を掛ける。すると「私も行こう」そう言うて私の後を追って来た。そんで司令室に着いて、隊長席に座る。
「八神部隊長。たった今、フォワード部隊が現場へ向けて出動しました」
「ん。こちらはやて。スターズ、ライトニング、聴こえるか?」
ヴァイス陸曹の駆るヘリに搭乗してるなのはちゃん達に通信を繋げると、『聴こえます!』みんなから返ってきた。私はみんなに現場の状況を伝える。ガジェットは今現在、“レリック”を知らずに運搬してるリニアレールを襲撃中。
無人の貨物列車とゆうこともあって人的被害は無し。そやけどガジェットによって車両の制御は奪われてて遠隔操作できひん。さらにはガジェットは車両内に最低でも30機。それに飛行型のⅡ型、新型のⅢ型までも出現する可能性あり、と伝える。
「初出動にしてはかなりハードな任務や。スバル、ティアナ、エリオ、キャロ。問題あらへんか?」
『『『『はいっ!』』』』
「うん、良いお返事や! なのは隊長、フェイト隊長、リイン、現場指揮と管制をお願いな! アリシア執務官補は事後処理の方をお願いや!」
『『『『了解!』』』』
さぁ、機動六課の実力を存分に発揮したろな。
†††Sideはやて⇒フェイト†††
機動六課としての最初の任務はあまりに突然だった。私が隊長を務めるライトニング分隊、なのはが隊長を務めるスターズ分隊は、副隊長のシグナムとヴィータを除いて今はヴァイスの操縦するヘリに乗って現場へ向かってる最中。
スバルとティアナの手には2人の為に製作されたデバイス、“マッハキャリバー”と“クロスミラージュ”が握られている。ぶっつけ本番で専用デバイスの使用だけど、これまでのなのはの厳しい教導があったことを思えば、きっと最初からでも十分に使いこなせると思う。
(問題は・・・)
不安げなキャロのことが気掛かりだ。これまで陸士隊と特務隊で実戦を肌で感じたとは言っても、そのどれもでキャロ自身が戦ったわけじゃない。キャロに降りかかる危険を察知したフリードが暴走して敵味方問わずに被害を齎した。そのトラウマがまだキャロには残ってる。
(でもだからってここで止めるのはもっといけない。心を鬼にしてキャロを送りださないと。そうしないとキャロはいつまでも自分と向き合えない・・・。だけどフォローくらいは良いよね、うん)
私となのはとアリシアの座る長椅子の真正面に設けられてる長椅子に座るフォワード4人。スバルとティアナは緊張はしてるけど、それでも災害担当とは言え陸士隊で実戦経験を積んでるからガチガチじゃない。エリオも良い緊張具合。私とアリシアとアルフで少しばかり鍛えたおかげかも。
「キャロ」
「あ、はい?」
私の隣に座るアリシアがキャロに声を掛けた。しまった、いろいろ考えている間に遅れを取っちゃった。アリシアはキャロの真正面に立った後に屈んで、キャロの頬に両手を添えた。
「初めて自分で戦わないといけないっていう状況で不安なんだよね?」
「あ、いえ、わたしは・・・!」
「大丈夫だよ、誰だってそうだもん。でも忘れないで、キャロ。キャロはね、独りじゃないんだよ」
そう言ってアリシアはキャロの頬から手を離して、隣に座るエリオ達へと顔を向けさせた。スバルとティアナは力強く頷いて、「僕も、精いっぱいキャロを護るよ」エリオは男の子らしさを振り撒いた。ちゃんと仲良くなってくれてるようで一安心・・・じゃない。
「う、うん! それにね、キャロ。私やなのはだって居る。ちゃんとキャロが見える位置で見守っているから。エリオ。それにスバルとティアナも。ちゃんと私となのはが付いてる。だから緊張するな、恐れるな、なんて言わないけど、でもあなた達の側に私たちが居ることは憶えておいてほしい」
私もアリシアに続いてキャロ、そして忘れずにエリオ達にもフォローを入れる。今は不安で押し潰されて身動きを鈍らせないようにしておきたい。私は『ごめんね、なのは。これ、なのはの役目だよね?』フォワードの戦技教導を行ってるなのはに謝る。
『にゃはは、良いよ。キャロやエリオには私よりフェイトちゃんやアリシアちゃんの方が響くと思うしね。スバルとティアナには・・・そうだね、2人に言われちゃったし、何か別の激励でも――』
なのはがそこまで言いかけたところで、『こちらロングアーチ』シャーリーから通信が入った。シャーリーと出会ったのも“レリック”が関係していた。今ではアリシアと同じように私の補佐官だ。そんなシャーリーの通信に「はいです!」リインが応じた。
『航空型ガジェットⅡ型、確認できるだけで約50機が現場へ向けて飛行中です』
「りょ、了解です! なのはさん、フェイトさん・・・!」
リインの目が私となのはに向けられる。こんな時に限って私となのはが外さないといけない状況になるなんて。なのはが「フェイト隊長。私1人でも良いけど・・・?」そう提案してきた。
「フェイトさん。僕とキャロ、それにスバルさんとティアさんは大丈夫です」
「はいっ! あたし達に任せてください!」
「決して下手は打ちません」
エリオ、スバル、ティアナと、自分たちで解決したいって申し出てきた。私は「・・・私も空に上がるよ」エリオ達を、そして2週間とエリオ達を鍛え続けて来たなのはの教導を信じることにした。ううん、そもそも不安に思うことなんてきっと初めからなかったんだ。
「こちらフォワード。空へはなのは隊長とフェイト隊長が上がるです! リインはフォワード4名と一緒に降下、サポートするです!」
そういうことで、私となのははガジェットⅡ型の殲滅を担当することになった。なのはが「ヴァイス君! 私とフェイト隊長で空を抑える!」ヘリを操縦するヴァイスに伝えた。
「うっす! 今ハッチを開けます!」
ヘリ後部のハッチが静かに開いていく。私となのはで後部ハッチに向かって、「リイン。4人をお願いね」なのはと、「4人とも。しっかりね」私は最後にそう告げてから・・・
「スターズ1、高町なのは!」
「ライトニング1、フェイト・テスタロッサ・ハラオウン!」
「「行きます!」」
ヘリから飛び降りる。私は待機モードの“バルディッシュ”を、そしてなのはは“レイジングハート”を取り出して、「セーットアップ!」起動させて防護服へと変身する。向かう先はこちらに向かって来ているガジェットⅡ型数十機。
『思えばフェイトちゃんと同じ空を飛ぶのって何気に久しぶりだよね』
『あー、うん、そうだね。1年くらい一緒に飛んでないね』
『また一緒に飛べることが出来たのは嬉しいけど・・・』
『久しぶりに一緒に飛べたのにこんな状況の中というのは、ちょっと悲しいね』
『でもやっぱり・・・』
『一緒に飛べるのは嬉しい♪』
『うんっ♪』
隣を飛ぶなのはと微笑み合う。そしてガジェット群を視界に入れたところで「行こう!」なのはと拳を打ち合わせた。私たちは今デバイスにも自身にも能力限定――リミッターが掛けられている。その理由は部隊ごとに保有できる魔導師ランクの総計規模によるもので、その中に私たちが収められるためには、私となのはとはやての隊長、シグナムとヴィータの副隊長はどうあってもリミッターを掛けないといけなかった。
(万全な状態じゃないけど、でも単なる機械兵器、そしてAMFに遅れを取るほど私たちはヤワじゃない)
そのリミッターがある所為で魔力出力は悲しいほど低くなっちゃっているけど、『Ⅱ型にAMFが無いのは救いだよね~』飛行型のⅡ型はⅠ型やⅢ型と違ってAMFを搭載していない。だから少ない魔力でも十分に破壊が可能だ。
「レイジングハート!」
≪Accel Shooter≫
「バルディッシュ!」
≪Plasma Lancer≫
「シューット!」「ファイア!」
編隊も何もない単に密集して飛行してるⅡ型へ向けて先制攻撃。私たちが放った攻撃を回避しようとしても、味方である他のⅡ型が邪魔になって避け切れない機体も出た。ガジェットは総じて頭が悪いのが救いだ。とは言え、開発者はガジェットが得た経験を基にさらに頭の良いAIを積んでくるみたいだけど。とにかく私となのははⅡ型の掃討を開始。私たちの役目はリニアレールに1機たりともⅡ型を通さないこと。
「みんなの初任務、絶対に邪魔はさせない!」
≪Haken Saber≫
「せいっ!」
大鎌形態の“バルディッシュ”を大きく振るって、展開している魔力刃を飛ばす。ある程度の誘導操作が効くから一度の攻撃で数機を撃墜することが出来る。なのはも空を翔け回りながら高速砲で素早くⅡ型を破壊して回って、私と合わせて2分としないでその半数以上を撃墜した。
『攻撃タイプが揃ってビームだけみたいだね』
『うん。レールガンやミサイルポッドを搭載した機が全く見えない。レールガンタイプが居ないのは嬉しいけど、なんか引っ掛かる』
Ⅱ型には今のところ3種類が確認されている。1つは今戦っている光学兵器を武装とした物、1つは小型ミサイルを何十発と収めたポット3つを搭載した物、1つは電磁力を使って弾丸を超高速で撃ち出すレールガンを搭載した物。光学兵器とミサイルはさほど問題じゃないけど、レールガンは厄介だ。発射から着弾までが短過ぎるし、何より威力が高いうえに射程も広い。
(私となのはなら回避も防御も出来る。けどリニアレールやスバル達を狙われたらアウトだ。スバル達じゃいくら物理攻撃のレールガンでも防げない)
それだけは絶対に防がないといけない。Ⅱ型もようやく「全機撃墜!」となったところで、『スターズ1、ライトニング1! 新手を確認しました!』シャーリーから通信が入った。方角は南南西、距離は900、新手の速度から言ってエンゲージまで・・・あと僅か。
『視認!・・・って、アレは・・・!』
『まさか・・・!』
『シャックスとマルファスか・・・!』
なのはと私、さらに隊舎司令室に居るはやてからも驚きの声が上がった。新手と言うのは、以前ルシルから貰ったデータにあった「プライソンの航空兵器!」3機だった。陣形は逆三角形で、こちらに向かって低速で飛行中。
先頭を飛ぶ2機は、蒼を基調とした塗装の前翼・前進翼・外に向かって斜めにある2枚の垂直尾翼・双発エンジンの機体で、“シャックス”シリーズとされる掩護機。その後方を飛ぶのは、迷彩柄の長い胴体・後進翼・T字の垂直尾翼・エンジンは左右の主翼下に2基ずつの計4基の機体で、“マルファス”シリーズと呼ばれる輸送機。
『て、敵航空機下部のハッチが開放! 加え転移反応!』
一番後ろを飛ぶ“輸送機”の機体下部のハッチが開き、その下方の空間がぐにゃって歪んでレンズのような物が展開された。そしてそこから「ガジェットⅡ型!!」が40機と転移して来た。これで確定。ルシルがプライソンのアジトで手に入れた数々の兵器の資料。その内の航空兵器から、製作者不明のガジェットドローンが召喚されてきた。それすなわち今回のガジェット騒ぎは全て・・・。
「「『プライソンが首謀者!』」」
私とアリシア、そして秘密裏にルシルが追っていた広域次元犯罪者・プライソンが、ガジェットを使って“レリック”を集めている。なんの為に。決まっている。“レリック”を使ってまたふざけた研究をするためだ。
「させない・・・、そんなこと・・・!」
「レイジングハート!」
新たに投入されたⅡ型からのビームを回避しつつ、私となのははお返しの攻撃を加えて撃ち落としながら、この場から離脱しようとする“シャックス”・“マルファス”の撃墜を試みようとする。まずは飛行速度の遅い“マルファス”だ。他の2機はAMFを全開にして“マルファス”や自身への攻撃を拒もうとしている。
「(魔力が足りないのが少しネックだけど。足りないなら足りないで工夫するのが魔導師だ・・・!)なのは、少しフォローお願い!」
『了解!』
“マルファス”の掩護だからか“シャックス”の速度も遅い。一網打尽にするなら今しかない。あれほどの機体、ガジェットに比べて量産できるような物じゃないはず。少しでも機体数を減らした方がきっと後々、私たちとって良い方向になると思う。
「アルカス・クルタス・エイギアス。煌めきたる天神よ。いま導きのもと降りきたれ。バルエル・ザルエル・ブラウゼル。撃つは雷、響くは轟雷。アルカス・クルタス・エイギアス」
ガジェットをなのはに一時的に任せて、私は対AMFのための気候操作の儀式魔法を発動させる。発動には魔力を使うけど、落雷は純粋な自然現象。AMFでは防がれないのは既に確認済みだ。黒雲が空に渦巻いてゴロゴロと稲光が発生。
「え・・・!?」
落雷まで僅かと言うところで掩護機の“シャックス”の機体上面、主翼の付け根付近にあるウェポンベイが開いて、そこからレールガンユニットが出現。そして砲塔は上を向き、轟音と共にレールガンを発射。同時に雷撃が落ちたんだけど、純粋な金属である弾丸であることもあって雷撃が全て集中してしまった。
「だったら――」
『フェイトちゃん! ごめん、ちょっと手が足りない、かも・・・!』
なのはから苦悶の声色に満ちた念話が。Ⅱ型が次々とリニアレールに向かって突撃していく中、なのはが懸命にそれを阻止してた。私は撤退を続ける3機より『ゴメン、すぐに合流する!』Ⅱ型の掃討を選択した。
(悔しいけど今は六課としての自分を貫こう。ガジェットもプライソンが製作したなら、いつか必ずぶつかるはずだから・・・!)
そうして私となのはは、全てのガジェットを車両に近付けることなく全機撃墜してやった。
†††Sideフェイト⇒キャロ†††
「エリオ君!」
機動六課として初めての任務は、六課の運用理由のロストロギア・“レリック”の回収。最初は緊張と恐怖で震えが止まらなかった。でもアリシアさんとフェイトさん、それになのはさんやエリオ君たちの言葉のおかげで和らいだ。
(でも・・・、でもやっぱり、わたしは・・・)
ダメだった。“レリック”を狙ってやって来る機械兵器・ガジェットドローン。それと真っ向から対峙して、わたしはまた湧き上がって来た恐怖で足が竦んで、「うわぁぁぁぁ!」エリオ君がⅢ型っていう大きな球体状のガジェットと戦って傷ついてるのを黙って見てるしかない。
「あ・・・あ・・・! エリオ・・・君・・・!」
「うぐ・・・! 大丈夫! 僕に任せて、キャロは下がってて! ストラーダ!」
エリオ君は槍型のアームドデバイス・“ストラーダ”を手に、Ⅲ型から伸びるアームの打撃を受け止めたり、本体から放たれてくる光線をギリギリで避ける。でも段々と追い詰められて行っちゃう。
(わたし、また護られてばっかり・・・)
――君はまだあまりにも幼い。守る側じゃなく、今はまだ守られる側なんだよ。確かにの竜使役は凄さまじい戦力だろう。だからと言って君のような子供が、こんな泥臭い戦場に立つ必要はないんだ。まずは自分の力と向き合おう。一番の早道は意味を持たせる、というのが良いかもしれない。俺は、守りたいものを守り、救いたいものを救う、その信念でこの力をコントロールしている――
――いつかあなたが守りたい人のために、恐ろしいかもだけど竜使役をコントロールしていこう。その時までどれだけ恐がられようとも、あなただけは信じてあげて。自分の力を。絶対に君の為になると思うから――
ルシルさんとルミナさんは言ってくれた。ルシルさん、ルミナさん。わたし、守りたい人が沢山できました。わたしを保護してくれたフェイトさんとアリシアさん、六課で出会ったみんな。もちろんルシルさんとルミナさんをも守りたいって思います。
「うわぁぁぁぁーーーー!」
「っ!! エリオ君・・・!」
エリオ君がⅢ型のアームに捕まって、そのまま車両の外にまで運び出された。そして「あ・・・!」崖下へと放り投げられてしまった。エリオ君。六課のみんなの中で最初に会った人、エスカレーターを転がり落ちそうになったわたしを助けてくれて、同じライトニングの仲間として、お友達として今日までわたしを支えてくれた。
(守りたい・・・。優しくて、わたしに笑いかけてくれるみんなのことを・・・守りたい。わたしの力で・・・守りたい!)
わたしは「エリオ君!!」を追って車両から飛び降りた。飛行魔法なんて使えない。でも、わたしには「お願い! フリード!」が居てくれる。大丈夫、わたしはもう恐れない。
(自分の力を信じる。守りたい人を守って、救いたい人を救う。ありがとうございます、ルシルさん、ルミナさん。わたし・・・やります!)
AMFを放つⅢ型の居る車両から遠く離れたことで魔法が扱える。落下してるエリオ君を抱き止めてフローターを発動、落下を抑える。側にまで来てくれたフリードに「ごめんね、ずっと。窮屈な思いをさせて・・・」これまでのことを謝った。わたしが恐れるから、フリードもまた自分を抑えてたと思うから。
「だけどわたしはもう大丈夫。ちゃんとあなたを制御するから、わたしに委ねて。あなたの翼を、フリード」
「きゅくるー♪」
初めて聞いたかも。フリードのこんな嬉しそうな鳴き声。わたしは頷き返して足元に召喚魔法陣を展開。
「蒼穹を走る白き閃光。我が翼となり、天を駆けよ。来よ、我が竜フリードリヒ。竜魂召喚!」
フリードを本来の姿に戻すための詠唱を終える。そしてフリードは元の大きな竜へ戻って、咆哮を上げた。フリードの首の根元に付けられた鞍に跨って、手綱を握ったところで「助けてくれてありがとう、キャロ・・・」気を失ってたエリオ君がいつの間にか目を覚ましていて、わたしにお礼を言ってくれた。
「ううん。わたしも、エリオ君にありがとうだよ」
「「えへへ♪」」
お礼を言い合ってると自然で笑い声が出ちゃった。でもこれで終わったわけじゃない。まだⅢ型が残ってる。スバルさんとティアさん、リイン曹長は“レリック”の回収のために後部車両に向かってる。わたしとエリオ君を信じてくれてるからこそ。だったらわたしは、わたしの出来ることをやるだけ。
「フリード! お願い!」
指示を出してⅢ型の居る車両へとフリードを向かわせる。Ⅲ型は車両間の移動をしないようで、さっきと同じ場所に陣取ってた。迎撃のために本体から光線が放たれてくるけど、フリードなら簡単に避けられる。攻撃が途切れたところで・・・
「ブラストレイ!・・・ファイア!」
フリードに火炎砲撃を発射させた。わたしのブーストデバイス・“ケリュケイオン”とわたしのブースト魔法で威力は強化してあるんだけど、「硬い・・・!」Ⅲ型自体の防御力を突破することが出来なかった。
「Ⅲ型のあの形状だと砲撃じゃ貫きづらいと思う。僕とストラーダに任せて、キャロ」
「うん。お願い、エリオ君。わたしはブーストでエリオ君を支えるから。・・・我が乞うは、清銀の剣。若き槍騎士の刃に、祝福の光を・・・」
≪Enchanted Field Invalid≫
――エンチャント・フィールドインベイド――
「猛きその身に、力を与える祈りの光を」
≪Boost Up. Strike Power≫
――ブーストアップ・ストライクパワー――
AMFなどのフィールド魔法貫通効果を付加するフィールドインベイド、さらに打撃力を上げるストライクパワーを、「ツインブースト・スラッシュ&ストライク!」エリオ君自身と“ストラーダ”に付加させる。
「エリオ君!」
「うんっ! うぉぉぉぉーーーーッ!」
エリオ君がⅢ型目掛けて突撃。Ⅲ型はアームケーブルや2本のアームをエリオ君に伸ばして迎撃するけど、「スタールメッサー!!」振り払われた“ストラーダ”の先端から伸びる魔力刃で斬り払われた。
「ストラーダ!」
カートリッジを2発ロードしたエリオ君。“ストラーダ”のブースターが点火して、「一閃必中!」ものすごい速さでⅢ型へ向かってエリオ君は突進。そして魔力刃でⅢ型を突き貫いて・・・
「でりゃぁぁぁぁーーーーっ!」
――メッサー・アングリフ――
そのまま“ストラーダ”を振り上げて、Ⅲ型を真っ二つに斬り裂いた。そして爆発。わたしとエリオ君、そしてフリードでちゃんと敵を倒せることが出来たんだ。それからスバルさん達が“レリック”の回収を終えたこと、フェイトさんとなのはさんがⅡ型のガジェットを殲滅し終えたことが、ロングアーチのシャーリーさんからの通信で判った。
『こちらはやて。フォワード部隊、ええ仕事を見せてもらったよ。お疲れ様や!』
六課の課長、八神部隊長から任務完了の知らせが入って、わたしとエリオ君は「やったね!」ハイタッチを交わした。今回の初任務だけでいろいろあったけど、わたしはきっとこれから変わっていけると思う。ルシルさんとルミナさんの教えを胸に、六課のみんなと最後まで歩き切って見せる。
後書き
ラーバス・リータス。ラバ・ディアナ。ラーバス・ヴァーカラス。
とりあえずプライソンのアジトでクイントら首都防衛隊が見た航空兵器4種の内2種を登場させました。
掩護機シャックスは、エースコンバットZEROの「ADFX-02 モルガン」をモデルにしています。本来の武装にレールガンユニットはないですが、本作のモルガンモデルのシャックスの兵装を増やすために追加しました。
輸送機マルファスは、航空機メーカーのガルフストリーム・エアロスペースが開発した輸送機・「ガルフストリームⅤ」をモデルにしています。アメリカ沿岸警備隊などが運用していますね。下部ハッチはオリジナルです。
それにしても・・・基盤とするストーリーがあると執筆が楽ですな~。
イラスト4枚の投稿を忘れてました。とりあえずレヴィ/リヴィア、嫉妬レヴィヤタン、フェンリル、色欲アスモデウスをアップ。アスモデウスなんですが、なんでしょう・・・どっかで見た頭部なんですよね。パクったつもりはないんですが、描き終えた後に・・・
「あれ? なんか別の作品にこんな顔してる奴いなかったっけ?」
となりました。誰だったでしょうね・・・。管理人さんからアウト判定が来たら描き直します。
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