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英雄伝説~光と闇の軌跡~(零篇)

作者:sorano
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第101話

~夜・東クロスベル街道~



「はあはあ………さすがにここまで追って来る気配はないな。」

街道へと行く橋の途中で立ち止まったロイドは息を切らせた後、安堵の表情でクロスベル市を見つめ

「ええ………課長達や、さっき助けてくれた方達のおかげでしょうね。」

「………無事だといいんですけど。」

「今は女神に祈るしかねぇな………」

エリィは疲れた表情で呟き、ティオは心配し、ランディは溜息を吐いた。

「ああ………それと心配なのは街中に”悪魔”達が出てきた事だけど………」

ランディの言葉に頷いたロイドは真剣な表情でクロスベル市を見つめ

「そういや、ティオすけはさっきの悪魔共を倒した2人を知っているようだったよな?」

ある事に気付いたランディはティオに視線を向けて尋ねた。

「ええ………今の方達も”影の国”で出会った人達で剣士の方は”神殺し”のセリカさん。わたしと同じくらいにみえる女性の方は本物の”神”のレシェンテさんです。」

「ええっ!?じゃ、じゃあ今の剣士の方があの”世界の禁忌”とまで恐れられている”神殺し”なの!?」

ティオの説明を聞いたエリィは信じられない表情で叫んだ。

「はい。ですからクロスベル市の事は心配いりませんよ。だってあの人、リウイ陛下以上の実力を持っている剣士ですから。」

「マジかよ………あのとんでもない強さの”剣皇”のさらに上がいるなんて……」

そして”神殺し”セリカ・シルフィルの強さを知ったランディは驚きの表情で呟いた後、溜息を吐いた。

「ああ……………キーア、シズクちゃん。大丈夫か?」

「は、はい。」

「キーアもへいきだよー。えへへ、みんなとはじめて会った時みたいだねー。」

ロイドに尋ねられたシズクは頷き、キーアは頷いた後無邪気笑顔をロイド達に見せた。

「はは……そうだな。」

「あの競売会からまだ一月ちょっとかよ………」

「ちょっと信じられませんね………」

「ふふっ………―――さてと。このまま街道に出るとして。先にタングラム門に連絡する?」

「ああ、頼む。繋がりにくかったらノエル曹長の方でもいいだろう。」

エリィの提案にロイドは頷いて言った。

「ええ、わかったわ。」

ロイドの言葉に頷いたエリィはエニグマを通信モードにして通信を開始したが誰も出なかった。

「………話し中みたい………」

「無理もねぇ………相当、混乱してんだろ。」

「しばらく通信は繋がりにくいかもしれませんね。」

「仕方ないわ。直接ノエルさんの方に―――」

ランディとティオの言葉を聞いたエリィが通信をやめて、別の所に通信をしようとしたその時!

「グルルル………」

ツァイトはロイド達の前に出て唸りだした!

「なんだ………!?」

「おい、まさか………」

それを見たロイドは戸惑い、ランディが目を細めたその時、なんとロイド達の目の前にマフィア達や軍用犬達が現れた!

「ルバーチェ……!?」

「病院を襲撃したのとは別働隊みたいですね………」

「300人近い大所帯だ。他にもいるとは思ったが……」

マフィア達を見たロイドは驚き、ティオは静かに呟き、ランディは目を細めてマフィア達を睨み

「ここは突破するしか道はなさそうね………」

エリィは静かな表情で呟いた。

「キーア、シズクちゃん。出来るだけ下がっててくれ。」

「………うんっ………!」

「は、はいっ……!」

そしてロイドの指示に頷いたキーアとシズクはロイド達から出来るだけ離れ

「「……………………」」

虚ろな目をしたマフィア達はロイド達に襲い掛かって来た!



「「………………………」」

重機関銃を持ったマフィア達はロイド達に向かって怒涛の銃撃を放ち

「………………………」

小銃を持ったマフィアは銃を連射してロイド達に放った!

「―――させません!」

しかしティオが魔導杖を掲げて自分を中心にドーム型の結界を展開して銃撃を防いでいた!

「ティ、ティオちゃん………こんな凄い結界も貼れたの………!?」

それを見たエリィは驚き

「………翼を隠す為の余計な魔力を回す必要がなくなりましたから広範囲の結界も貼る事もできます。………ですがルファディエルさん達のようにあまり長く持ちませんから、できるだけ早く決着を付けて下さい!」

「ああ!―――クイックトリガー!!」

「エニグマ駆動!そこよ!ホーリーミラージュ!!」

ティオの説明を聞いたロイドは武器をトンファーから2丁の銃に変えて、2丁の銃で怒涛の連射で広範囲を攻撃するクラフト―――クイックトリガーを、エリィはオーブメントを駆動させた後光の魔力を纏わせたエネルギーを放つクラフト―――ホーリーミラージュを放って、銃撃を放つマフィア達を攻撃した。しかしマフィア達は”グノーシス”の影響を受けている為か、銃弾をその身に受けてものけ反らず撃ち続けていた。

「こいつでどうだ!!」

そこにランディがクラフト―――クラッシュボムをマフィア達の中心地に投擲し、ランディが投げたスタングレネードは爆発してマフィア達の目を眩ませ、攻撃の手をやめさせた!

「「グルッ!!」」

しかし軍用犬達はスタングレネードを受けても怯まずロイド達に襲い掛かって来た!

「グルルル………ウォン!!」

「「ギャン!?」」

そこにツァイトが炎の闘気を纏って敵陣を蹂躙するクラフト―――鳳凰牙で襲い掛かってダメージを与え

「貫けっ!!」

「喰らえっ!!」

「「グルッ!?」」

そこにロイドとランディがそれぞれクラフト―――ヴァリアブルトリガーとサラマンダーで追撃してダメージを与えた。ダメージを受けたのけ反った軍用犬達だったが、すぐに立ち直って鉈を持ったマフィアと共にツァイトに襲い掛かった!

「ガウッ!!」

「!?」

その時ツァイトは回転しながら突撃し、敵を吹っ飛ばすクラフト―――空破特攻弾で攻撃を回避すると共に鉈を持ったマフィアを吹っ飛ばして気絶させ

「ワオオオオオ――――ン!!」

「「グルルルル………!?」」

狼の咆哮で敵を怯ませるクラフト―――遠吠えで軍用犬達を怯ませ

「グルルル………!!」

そしてツァイトは全身にすざましい闘気を纏った。するとツァイトの背後に巨大な蒼い毛皮の狼の幻影が現れ

「ガウッ!!」

「「ギャンッ!?」」

「「「!?」」」

目にも止まらぬ早さで軍用犬達やマフィア達に次々と攻撃を加え

「ウオオオオオ―――――ン!!」

敵全員を攻撃した後吠えた!すると闘気による大爆発が起こり、軍用犬達は絶命し、マフィア達は大ダメージを受けた!

「わあー、ツァイトすごーい!」

ツァイトが放った神狼の闘気を纏って敵全員を蹂躙するSクラフト―――神狼牙を見たキーアははしゃぎ

「デミガンナー起動………アブソリュート………ゼロ!!」

マフィア達の攻撃の手が止むとティオが氷の魔法弾をマフィア達に放って凍結させて動きを止め

「やあっ!フレアバタフライ!!」

エリィは駆動を終えたオーブメントでアーツを放った!高威力を持つ炎のアーツをその身に受けたマフィア達は地面に倒れて気絶した!



「よっしゃ、何とか切り抜けられたか!」

「みんな、このまま街道に―――」

戦闘終了後、ランディは明るい表情をし、ロイドがエリィ達に指示をしようとしたその時、なんとルバーチェが使っている運搬車が来て、次々とマフィア達が降りてロイド達に向かって来た!

「……な……」

「チッ……さすがにアレは無理だな………!仕方ねぇ、一度街に戻って旧市街あたりにでも………」

それを見たロイドは驚き、ランディは舌打ちをして提案しかけたが

「あ………」

何かの気配に気付いたティオが振り向くと、なんとクロスベル市方面から装甲車がやってきて、そこから次々と警備隊員達が降りてきて、ロイド達に向かって来た!

「くっ………!」

「そ、そんな……」

「絶対絶命ってやつか……」

次々と近づいて来る警備隊員達を見たロイド達が唇をかみしめるとマフィアと警備隊員達はロイド達を包囲した!

「むむっ……!」

「………お、お父さん……」

包囲されたキーアはマフィア達を睨み、シズクは不安そうな表情をした。

(くっ………こうなったら、ルファ姉達に頼んでこの子達だけでも逃がしてもらうしか―――)

そしてロイドが唇をかみしめたその時、何かが近づいて来る音が聞こえた。

「あれは………!?」

「車がもう一台………!?」

音に気付いたロイドとティオがエリィ達と共に街道の方面を見つめるとそこから豪華な車が次々と駐車してある運搬車を避け、マフィア達に突進し、突進して来た車に気付いたマフィア達は回避をし、そしてロイド達の目の前で停車した!

「このリムジンは……ディーター総裁の!?」

車を見たロイドが驚いたその時、車のドアが開いてマリアベルが出てきてロイド達に言った。

「さあ!早くお乗りなさい!」

「ベル………!」

「マリアベルさん!?」

マリアベルを見たエリィは明るい表情をし、ロイドは驚いた。

「話は後だ!とにかく乗りたまえ!」

その時車からディーターの声が聞こえ

「は、はい!キーア、乗り込むぞ!」

「うんっ!」

「シズクちゃん、掴まれ!」

「は、はいっ!」

声を聞いたロイドとランディはキーアとシズクを抱き上げて車に乗り込み、エリィとティオは牽制攻撃を行った後車に乗り込み、ツァイトは素早い動きでの屋根に乗った。そしてロイド達が乗ったリムジンは警備隊員達の銃撃を受けても平気の様子で、クロスベル市に向かい始めた。



「ルバーチェのみならず警備隊までもか………」

「………何というか……とんでもない状況ですわね。」

ロイド達から話を聞いた車を運転するディーターと、隣に座っているマリアベルは疲れた表情で溜息を吐いた。

「………ええ。正直、悪夢を見ている気分です。」

「ところで、おじさまたちはどうしてあんなタイミングで?」

2人の言葉にロイドは頷き、エリィは疑問に思っている事を尋ねた。

「ああ、共和国での商談があってその帰りだったんだが………タングラム門を超えたあたりでマフィア達の襲撃を受けてね。何とか振り切って街に辿り着いたら君達が襲われていたというわけさ。」

「そうだったんですか……」

「いや~。マジで助かったッスよ。この車、もしかして防弾ッスか?」

ディーターの話を聞いたエリィは頷き、ランディは嬉しそうな表情をした後尋ね

「ああ、特注品でね。ガラスも防弾だから簡単には破れないはずさ。」

尋ねられたディーターは嬉しそうな表情で答えた後、口元に笑みを浮かべて説明した。

「ラインフォルト社製の最新の防弾リムジンですね。」

「なるほどねぇ……」

「でも、さすがに砲撃までは耐えられないでしょうし………―――お父様。このままIBCに戻っては?」

「ああ、そのつもりだよ。彼らも疲れているだろうからゆっくりと休んでもらおう。」

「そんな、これ以上、ご迷惑をおかけする訳には……」

「その、お気持ちはとても嬉しいのですけど………」

マリアベルとディーターの話を聞いたロイドは驚き、エリィは申し訳なさそうな表情をして言ったその時

「エリィ。水臭いことを言わないで頂戴。」

マリアベルは笑顔で答えた。

「IBCのゲートは特殊合金製だ。簡単に破られる事はないだろう。それにIBC総裁としてクロスベルの治安については無関心でいられない………できれば、詳しい事情を君達から聞かせて欲しいんだ。」

「ディーターおじさま………」

「………わかりました。ご迷惑をおかけします。」

「うふふ、決まりですわね。」

ロイドの言葉を聞いたマリアベルが口元に笑みを浮かべたその時

「「………………………」」

キーアとシズクはうとうとしていた。

「2人とも……なんだか眠そうだな?」

「えー………?キーアねむくないよー。」

「だ、大丈夫です………」

ロイドの言葉を聞いたキーアとシズクはそれぞれ強がった。

「無理もないわ。もう10時近くだし………」

「あれだけの修羅場に付きあわせちまったからなぁ。」

「うふふ、IBCに着いたらベッドを用意しておきましょう。」

「よし、そうと決まればせいぜい飛ばすとしようか!」

その後ロイド達を乗せたリムジンはIBCに向かった…………


 
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