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おぢばにおかえり

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第三十二話 あちこち回ってその二

「時代劇の世界にいるって感じがしますよね」
「そうね。何か渡るだけで」
「いい感じですよね。ここでよく金さんが歩いたりして」
「最近あのシリーズもしていないのが寂しいわね」
 このことが少し残念だったりします。
「またやってくれないかしら」
「僕もそう思います。やっぱり名作ですしね」
「そうよね。けれど阿波野君」
「はい?」
「今度は何処に行くつもりなの?」
 ちょっと気になって阿波野君に尋ねました。橋を渡り終えたところで。
「まだ何処か行くような場所あったかしら」
「そうですね。それじゃあお化け屋敷とかどうですか?」
 今度はこう言ってきました。
「そこは」
「映画村にもお化け屋敷があったの」
「結構いい感じですよ」
「行ったことあるの?」
「話を聞いたんですけれどね」
 どうやら阿波野君もまだ行ったことはないみたいです。
「それでもまあ。よさそうですよ」
「お化け屋敷なの」
 私はその話を聞いて少し考える顔になりました。
「行ってみようかしら」
「それじゃあ二人で」
 阿波野君はここでまた急ににこにこと笑ってきました。
「行きますか」
「それはいいけれど何でそんなににこにこしてるの?」
「えっ、そんなににこにことしています?」
「してるわよ」
 阿波野君の顔を実際に見ると本当ににこにことしています。
「とてもね」
「そうですかね」
「そんなにお化け屋敷に行きたいの?」
「はい」
 そのにこにことした顔でまた答えてきました。
「実はそうなんですよ」
「ふうん。映画村のお化け屋敷ね」
 私はそれを聞いて考える顔になりました。
「じゃあ。行くのね」
「一緒に行ってくれるんですね」
「そうじゃないと嫌なんでしょ?」
 阿波野君に対して尋ね返しました。
「やっぱり」
「ええ、まあ」 
 そして阿波野君もこのことを隠しませんでした。
「そうですけれど」
「まあわかったわ。それじゃあね」
「先輩、映画村のお化け屋敷ってかなり怖いらしいですよ」
「私そういうのは結構平気なのよ」
「あれっ、そうなんですか」
「実はね」
 これは本当のことです。結構何を見てもです。だからこう答えることができました。
「そういうのはね。平気なのよ」
「ふうん、そうなんですか」
「阿波野君もこういうのは平気なの?」
「だから好きなんですよ」
 また笑顔で私の言葉に答えてきます。
「ですから」
「だといいけれど。怖がって叫び声とかあげたら嫌よ」
「目の前にバロム1の怪人が出て来ても平気ですよ」
「バロム1!?」
 何か今はじめて聞いた言葉でした。けれど何となくわかったことは。 
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