遊戯王ARC-V 千変万化
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第3話
前書き
今回はかなり独自解釈・予想が含まれております。読まなくても話に支障は出ませんので気になる方は前半を飛ばしてください。
久しぶりの自宅に戻り、ゆっくりと休むことができた。母さんは何も聞かずに、ただお帰りと言ってくれた。それから遅くなるなら連絡ぐらいしなさいと拳骨も貰った。それがありがたかった。隠し事をしていると言わなければならないのはオレにとっても辛いことだから。
朝食のパンケーキを食べ終わった後は身だしなみを整えて、変装用の衣装を用意してからLDSに向かう。かあさんには、昨日のペンデュラムの量産に関してLDSで打ち合わせがあると言ってある。実際、それは真実だ。ペンデュラムはデュエルをさらに進化させる。そのためにはどんどんカードを量産して普及しなくてはならない。
それとは別としてアカデミアの侵略行為に対しての対策なんかも話し合わなくてはならない。赤羽零児と手を組まないとハートランドの立て直しはどうすることもできない。
約束している時間の10分前にLDSに到着し、そのまま社長室へと通される。扉の先には赤羽零児が待っていた。
「おはよう、寝坊しちゃったかな?」
「いや、時間通りだ。榊遊矢。昨日のデュエルは見せてもらった。ペンデュラム召喚、あれは確かに素晴らしいものだった。中々に興奮させてもらった」
「そう言ってもらえて嬉しいよ。それで、隼から説明されていると思うけど、アカデミアのトップ、赤羽零王、奴は君にとっての何?」
「血の繋がった父であり、私たち家族を捨てた敵だ!!」
「そうか」
その答えを聞いてオレは昨日使ったデッキを投げ渡す。
「昨日のデッキ、解析するなりしてペンデュラムを量産して普及してほしい」
「いいのか?」
「いいさ。デュエルの可能性はもっと大きくなってほしい。それがオレの望み。いつかはオレさえも超えるデュエリストが現れるのをオレは待っているんだ」
「超えるデュエリストが現れたら?」
「一人のエンタメデュエリストとして再出発さ」
オレの答えに赤羽零児から笑いが溢れる。
「君は本当にバカだ。黒崎隼から話を聞き、ハートランドの現状も見せてもらった。それでも君は人の笑顔のためにデュエルを行ってきたのだな」
「それがオレの誇りだからな。それにピエロはサーカスの花形だぜ」
「そうか。それから、すまない」
急に赤羽零児が頭を下げたことに首をかしげる。
「何がだ?」
「君が心を病んでしまった原因の一端が私にあるからだ」
原因の一端、繋がりが見えないが繋がりがありそうな部分はあそこにしかない。
「父さんは、協力者だったんだね」
「気づいたのか!?」
「オレは多分、何か強力なカードを生み出したか、拾ったからだろうけど、父さんが次元を超えるには事故か、転移装置を使うかだ。それで原因の一端があるってことは、転移装置を使ったんだろう?」
「そうだ。3年前のあの日、私に協力してくれていた彼は父を説得すると言って融合次元へと飛んだ。父と遊勝さんは、友人だったそうだ。だから、友人である自分が止めると。だが、帰ってこなかった。君達の話でエクシーズ次元に飛ばされたことがようやく分かったほどだ」
「なるほどね。その父さんはまた何処かの次元へと飛ばされた。スタンダードでもないのなら、シンクロ次元、もしくは融合次元に」
「おそらくはそうだろう。君には本当にすまないことをしてしまった」
「いいよ。オレも、今は秘密にしている。3年前、オレに事実を離さなかったのは仕方ないことだと思うから。それよりも今後をどうするかだ。アカデミアの目的がわからないけど、鍵を握るのはエクシーズ次元の瑠璃、スタンダード次元の柚子、シンクロ次元と融合次元にいる同じ顔を持つ二人。そっちがメインだろうけど、それらとは別にオレと同じ顔を持ち、召喚名をその名にもつドラゴン、エクシーズ次元のユートとダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン、スタンダード次元のオレとオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン、融合次元のユーリとスターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン、そしてシンクロ次元のオレと同じ顔を持つ誰かとシンクロ・ドラゴン」
「重要なのはおそらくだが前者なのだろう。後者は、おそらくは前者を守るために存在する何かだろう。そう考えるのが自然だ」
「だろうね。さて、話は変わるけど問題だ。赤羽零王はスタンダード次元ではなく、態々融合次元で1から立場を作り戦力を集めて、侵略を開始した。何でだと思う?」
「それが何か意味があるのか?」
「意味は絶対にあるさ。同じ結果にたどり着くなら誰だって楽はしたいはずだ。そしてそれが融合次元に渡った理由だ」
「融合次元でなくてはならない理由?」
「エクシーズ次元に行ってみてわかったよ。エクシーズ次元ではエクシーズ関連のカードが力を持ちやすいんだ。おそらく、シンクロ次元ならシンクロ関連のカードが、融合次元あら融合関連が、スタンダードはペンデュラムだね。ペンデュラムカードの創造が、エクシーズ次元じゃできなかったんだ」
「なるほど。つまり、父は何かを融合するためにこの世界を捨てたのか」
「たぶんね。さて、この仮説が正しいとすれば柚子たちの正体がおぼろげながら見えて来る。そこにペンデュラム、融合、シンクロ、エクシーズ、各召喚をそのまま柚子たちで当てはめるんだ」
「つまり、融合ならすべてを一つにして条件にあった新たなものを生み出すか」
「そうだな。まあ特徴を際立たせるなら、全員レベル3で柚子がペンデュラム、瑠璃はエクシーズ素材にする際に2体分になる効果モンスター、シンクロ次元のはチューナー、融合次元のは融合素材の代わりになれる融合モンスターかな?」
「柊柚子とシンクロ次元の者がチューナーだというのは分かる、レベル3の理由も黒崎瑠璃が素材2体分になれるというのもだ。だが、なぜ融合次元のが融合素材の代わりになれる融合モンスターなのだ?」
「いや、ユーリとデュエルしている時にちょっとだけ話題に上がって、ポンコツ臭がしてきて」
オレの言葉に赤羽零児の顔が引きつる。
「もしかして知っているのか?」
「いや、ああ、知り合いといえば知り合いか。一度だけ融合次元に、父の説得のために向かったことがある。その時に、少しだけ会ったことがある。名はセレナだ。彼女の性格が変わっていないのなら、確かにポンコツだろう。だが、デュエルの腕は確かだ」
「ポンコツな柚子や瑠璃か。あまり想像がつかないや」
「話がずれたな。つまり父は融合を行おうとしているのだな」
「たぶんね。それで、最初の仮定、柚子たちが世界にとって何か重要なもので、オレたちと各ドラゴンが守護者で、プロフェッサーは柚子たちを狙っている。プロフェッサーの融合の先にあるのはおそらくプロフェッサーの望む新たなスタンダード次元だろうな」
「新たなスタンダード次元?」
「この次元、スタンダードって呼ばれてるけどおかしいとは思わなかったか?」
「ペンデュラムが公表されたのはつい昨日の話だ。別段おかしいことではない」
「そうか?各次元の名前はその次元において最も主流な召喚方法を冠している。それならこの世界の最も主流な召喚方法は?」
「……通常召喚、あるいはアドバンス召喚か」
「そうだな。だが、この次元は全ての召喚方法が揃う特別な次元だ。そのことからアドバンス次元なんて呼ばれ方はしていない。だけど、スタンダードって名前がつく必要があるのか?」
「……なるほど。確かにそうだ」
「つまり、スタンダードってのはそのままの意味で受け取る必要があるんだ。つまり、デュエルモンスターズの基準はこの世界。融合だけでもシンクロだけでもエクシーズだけでもない。それらが全て揃っているのが本来のデュエルモンスターズなんだ。そのスタンダードに新たな召喚方法が生まれても、それはいずれスタンダードになる。それがこのスタンダード次元なんだろう」
「つまり父が目指す新たなスタンダードとは」
「2種類だ。融合のみの新たなスタンダードか、それとも全ての次元をスタンダードに引きずり込むか。どちらにせよ、混乱するだろうな。それこそ神とも言えるような力で強引に全てを捻じ曲げない限り」
「ならばやはり止めなくてはならない。協力してもらえるだろうか?」
「う~ん、とりあえず条件が一つ。プロフェッサーの野望を止めた後だけど、可能ならでいいけど努力して欲しいことが一つあるんだ」
「何だ?」
「各次元をつなぐゲートみたいなものを作って国交でいいのかな?とりあえずそんな感じに物も人もある程度行き来できるようにしてもらいたい。デュエルモンスターズの可能性は無限大だけど、時間がかかる。その可能性をできるだけ早く手に届く位置に持っていきたい。後、エンタメデュエルで世界に笑顔を届けたい」
「ああ、いいだろう。段階的に順次開放という形にはなるだろうが、約束しよう。どのみち黒崎兄妹からハートランドの復興支援を頼まれているからな」
「ありがとう。それじゃあ、『千変万化』の力、託すよ」
赤羽零児との協力体制を確立した後、ペンデュラムに関する講座を週1で遊勝塾主催、LDS協賛で行うことにして、場所はLDSのホールを借りることにするまで話が進んだ。その後、更衣室を借りて変装(ネクタイなしの黒いスーツを着崩して、髪をオールバック)をしてから隼と瑠璃に会いに行く。二人はこのままスタンダード次元へと留まり、対アカデミア部隊『ランサーズ』に所属することになっている。そして、ランザーズへの参加メンバーは次の舞網チャンピオンシップの結果によって選出されるらしい。
二人はLDSからの推薦で出場する予定だったのだが、瑠璃はそれを断り、自らの実力でその権利を勝ち取るためにLDSに所属したそうだ。
「公式戦で8連勝か、公式戦で50戦以上で勝率6割が大会の出場権みたいね」
「そうだったっけ?昔のことであまり覚えてないな」
「ふん、呑気なものだな。この次元のデュエリスト達は」
「平和な頃のハートランドの住人にそっくりそのまま返すよ。それにしても今からだと50戦は無理だね。となると8連勝か」
「試合の方は大会に間に合うように組んでくれるみたいだから、それまではアクションデュエルに慣れるところからかな」
「そっか、なら、今日は街の案内をして明日は遊勝塾でアクションデュエルの簡単な講義をやろうか。実際にやってみないとアクションカードが分かりにくいからね」
「ありがとう、遊矢。お兄ちゃんはどうする?」
「オレは開発の方に協力する。それからユースチームの実力を測ってほしいと頼まれている」
「そっか。3年前に比べれば多少は強くなってるし、1対1ならオベリスクフォースには負けないと思うよ。ただ、集団戦術には慣れてないからね。そこら辺を鍛えてあげて」
「ああ、良いだろう」
「さてと、それじゃあどこから案内しようか?」
「とりあえずはカードショップを何件かと、それから服を見に行きましょう。ハートランドより舞網の方が服のセンスが良いみたいですし」
「アルティメット・ファルコンでダイレクトアタック!!」
「蘇生してマスドライバーで全モンスターを射出。ふはははは、これがガエルドライバーの力だ!!」
「「ぐわああああ!?」」
ナンパJ LP900→0
ナンパK LP4000→0
新しく購入した服に着替えた瑠璃を狙ってナンパを仕掛けてくる相手を怖いお兄ちゃんと一緒に潰し終えること早3組目。隼は大真面目に潰しにかかっているけど、オレは面倒になってガエルドライバーで爆殺した。
「鉄の意志も、鋼の強さも持たない貴様らに瑠璃は渡さん!!」
「まあ、そういうわけだから、隼が大人しいうちに引き上げたほうがいいよ。リアルファイトでも強いから」
それを聞いて慌てて逃げ出す二人組みを見送りながらデッキを戻す。
「モテモテだな、瑠璃」
「有象無象に好まれてもあまり嬉しくないわ。それに軽い男は嫌いよ」
瑠璃のきつい物言いに苦笑が漏れる。それにしても、柚子と同じ顔なのにここまで差が出るか。まあ、瑠璃の方が雰囲気が大人っぽいからな。その差だろう。
「はぁ、ゆっくりと街を見ることもできないなんて」
「なら、遊勝塾に来る?もう講義は終わってるだろうから人は捌けてるはずだし、遊ぶにはアクションフィールドが一番だ」
アクションフィールドはオレの庭だからな。二人を連れて遊勝塾に向かうと、そこにはいつもとは違い多くの塾生が残っていた。
「あれ?とりあえず裏口に案内するよ」
二人を連れて裏口から入ると電話が延々と鳴り続けていた。そして、塾長が俺に気付いて駆け寄ってくる。
「遊矢ーー!!よくぞ帰ってきてくれた!!朝からずっとこんな感じで、みんなペンデュラムのことを聞きたがっていて詰め寄せてるんだ!!」
「なるほどね。じゃあ、そっちの方の報告と告知をしないとね。LDSの方に話をつけてきて、向こうにペンデュラムの開発・生産は任せちゃったから。それからこっちの主催で場所だけ借りて週1でペンデュラムの講義をやることになったんだ」
「そうか。負担は大丈夫か?昨日のデュエルを見た限りじゃあ、悩みは吹っ切れたのはわかるが、今度は肉体的に辛くなると意味がないからな」
「大丈夫だよ。肉体的にはあんまり変わらないからね。それより、紹介しておくよ。旅先で世話になった黒崎隼と瑠璃」
「柚子?」
「似ているけど別人だよ」
「初めまして、黒崎瑠璃よ。こっちは私のお兄ちゃんの」
「黒崎隼だ。オレ達こそ遊矢に世話になった。今回も遊矢に手を貸してもらっている」
「本当に柚子じゃないみたいだな。ああ、オレは柊修造だ。この遊勝塾の塾長をやらせてもらってる。本来は遊勝さんが塾長だったんだけどな。遊矢もまだ若いから名だけの塾長だけどな。アドバンス召喚しか教えられないし」
「こんな風に言ってるけど騙されないでね。塾長の本気のデッキ、帝バーン1kill風味だから。ライフを8000にしても回せば後攻のスタンバイフェイズで全部削られるから」
「こら、遊矢!!過去をほじくり返すな!!」
「10歳児相手に大人気なく吹き飛ばしたんだよねー。ライフを8000にしたのもそっちの方が楽だからって理由だし」
「いや、だから遊矢黙れ」
「ごめん、ごめん。それじゃあ、集まっている人たちには1回デュエルを見せてから解散してもらうよ。デュエルコートを使うよ、塾長」
「ああ、頼む」
服を着替え直してデュエルコートに顔を出すと歓声が上がる。
「やあ、みんなよく来てくれたね。今日はみんなにお知らせすることがあるから静かにしてもらえるかな?」
少しずつ静かになってきて、声が全員に届くと感じたところでLDSとの話し合いの結果を伝える。みんなはペンデュラムが量産されることに喜び、講義の予約に走り出す。話を最後まで聞いていないと損をするんだけどな。残ったのは遊勝塾のジュニアユース組だけだった。
「さて、それじゃあ最後にペンデュラムを相手にデュエルしてみる?」
「「「はい、は~~い!!」」」
「よし、それなら鮎。やってみようか」
「うん、遊矢お兄ちゃんがいない間も、いっぱい考えて強くなったよ」
「そうか。それじゃあ、やろうか。今回は普通にスタンディングでやるよ」
「わかったよ」
デッキを入れ替えて構える。
「「デュエル」」
「まずはオレから行こう。まずはペンデュラム召喚に必要なペンデュラムカードを場にセットするよ。でも、手札には欲しいペンデュラムカードがないからサーチするよ。手札から【召喚士のスキル】を発動。デッキから【クリフォート・ツール】を手札に加える」
「【召喚士のスキル】ってレベル5以上の通常モンスターを手札に加えるカードじゃないの?」
「そうさ。ここがペンデュラムカードの特殊なところなんだ。ペンデュラムゾーンにセットするまではペンデュラムカードはモンスターカードとして扱うんだ。【クリフォート・ツール】は通常モンスターでもあるから召喚士のスキルで手札に加えられる。オレは、スケール9の【クリフォート・ツール】をライトペンデュラムゾーンにセット」
オレの左側に青い光の柱が現れ、その中にツールが浮かんでいる。
「ペンデュラムゾーンにセットされたカードは魔法カード扱いになる。だから魔導師の力の上限値が更に1000上がって3500になるよ。まあ、このデッキには入ってないけどね。そして【クリフォート・ツール】の効果を発動」
「えっ、通常モンスター、そうか、魔法カード扱いだからそっちの方は効果があるんだ!!」
「よくわかったな、鮎。その通り、モンスターとしての効果がなくてもペンデュラムの効果を持つ場合があるんだ。もちろん逆もね。【ツール】の効果はライフを800払い、デッキから『クリフォート』カードをサーチするんだ。オレはスケール1の【アセンブラ】を手札に加えてそのままレフトペンデュラムゾーンにセット」
次は右側にアセンブラが現れる。
「これでペンデュラムスケールがセットされる。2枚のペンデュラムカードのスケールの間の数字をペンデュラムスケールって言うんだ。それじゃあ、今のオレのペンデュラムスケールは幾つか分かるかな?」
「えっと、ツールが9でアセンブラが1だから2~8!!」
「そう、オレのペンデュラムスケールは2~8!!つまりレベル2~8の召喚条件・特殊召喚条件を持たないモンスターを手札と、エクストラデッキに加えられたペンデュラムモンスターを1ターンに1度、同時に特殊召喚できる!!それがペンデュラム召喚!!」
「じゃあ、ほとんどのモンスターが呼び出せるんだね」
「ところがクリフォートはちょっとだけ特殊なんだ。『クリフォート』モンスターの共通のペンデュラム効果、オレは『クリフォート』モンスター以外特殊召喚できない。そしてクリフォートには今の所エクシーズもシンクロも融合も存在しないんだ。さらに言えば、ペンデュラム召喚、【ゲノム】【アーカイブ】」
クリフォート・ゲノム ☆6→4 ATK2400→1800
クリフォート・アーカイブ ☆6→4 ATK2400→1800
「弱くなっちゃった!?」
「『クリフォート』モンスターは多くの共通効果を持っているんだ。ペンデュラム効果の方は説明したからモンスターとしての共通効果を説明しよう。まずは、リリースなしで召喚できる。次に、リリースなしでの召喚、または特殊召喚するとレベルが4になり、元々の攻撃力が1800になるんだ。そして通常召喚した『クリフォート』モンスターは自分のレベル以下のレベル、またはランクのモンスターの効果を受けない。ちょっとした実験用のペンデュラムカードが『クリフォート』なんだ。シンクロやエクシーズに派生しない分、ペンデュラムの動きがわかりやすいだろう?」
「うん」
「それじゃあ、カードを1枚伏せてターンエンドだ」
榊遊矢 LP3200 手札1枚
場
P1[クリフォート・アセンブラ][クリフォート・ツール]P9
クリフォート・ゲノム ☆4 ATK1800
クリフォート・アーカイブ ☆4 ATK1800
セットカード1枚
「私のターン、ドロー。やった、魔法カード【テラ・フォーミング】を発動するよ。デッキからフィールド魔法をサーチするの」
「おっ、『アクアアクトレス』でフィールド魔法ってことはあれかな?」
「【湿地草原】を手札に加えてそのまま発動するよ。フィールド上の水族・水属性・レベル2以下のモンスターの攻撃力は1200アップするよ。そして【アクアアクトレス・テトラ】を召喚して、【テトラ】の効果を発動するよ。デッキから『アクアリウム』カードを手札に加えるよ。私はね、えっと、【水照明】の方が上昇値は高いから【水照明】を手札に加えて【水舞台】と一緒に発動するよ。この3枚で【テトラ】がパワーアップ」
アクアアクトレス・テトラ ATK300→1500
「それじゃあバトルだよ。【テトラ】で【クリフォート・ゲノム】に攻撃」
「攻撃力が低いのに、破壊時に効果でも?」
瑠璃が首を傾げているが仕方ない。
「ダメージ計算時、【水照明】の効果で【テトラ】の攻撃力が倍になるよ」
「倍!?」
アクアアクトレス・テトラ ATK1500→3000
遊矢 LP3200→2000
「破壊された【ゲノム】はエクストラデッキに送られる」
「カードを1枚伏せてターンエンドだよ」
鮎 LP4000 手札2枚
場 湿地草原
アクアアクトレス・テトラ ATK1500
水照明
水舞台
セットカード1枚
「さて、オレのターンだな、ドロー。よし、それじゃあ『クリフォート』の切り札を見せてやる。【ツール】の効果を発動して、デッキから【アポクリフォート・キラー】を手札に加える。そしてペンデュラム召喚!!手札とエクストラデッキから【ゲノム】を特殊召喚して3体の『クリフォート』をリリース。現われろ、全てを命の停止させる心なき冷たき機械【アポクリフォート・キラー】」
アポクリフォート・キラー ATK3000
「アポクリフォート・キラーは特殊召喚できず、『クリフォート』を3体リリースしなければ召喚することができない。そして魔法・罠の効果を受け付けず、アポクリフォート・キラーのレベル分以下のレベル・ランクのモンスター効果を受け付けない。また、このカードが存在する限り、特殊召喚されたモンスターの攻撃力を500ポイント下げる。まだもう一つ効果があるけど、先にリリースされた【アーカイブ】と【ゲノム】の効果を発動。ゲノムがリリースされた時、相手の魔法・罠を破壊できる。オレは【湿地平原】と【水舞台】を破壊する。そして、【アーカイブ】場のモンスター1体を手札に戻す。【テトラ】を手札に戻す」
「ええっ!?」
「さらに【アポクリフォート・キラー】の効果を発動。相手は手札・場からモンスターを1体墓地に送らなければならない」
「ううっ、手札から【アクアアクトレス・アロワナ】を墓地に送るよ」
「カードを1枚セットして、【アポクリフォート・キラー】でダイレクトアタック。エンドフェイズ、【アセンブラ】の効果を発動。アドバンス召喚を行ったターン、アドバンス召喚のためにリリースした『クリフォート』モンスターの数だけドローできる。オレは3体リリースしたから3枚ドローだね」
遊矢 LP1200 手札3枚
P1[クリフォート・アセンブラ][クリフォート・ツール]P9
アポクリフォート・キラー ATK3000
セットカード2枚
「もう少しなのに。ドロー」
鮎が手札とにらめっこをしながら考え込む。考え込んで、お手上げのポーズをしてからサレンダーする。
「【アロワナ】があればなんとかできたんだけどなぁ」
「【アポクリフォート・キラー】の一番の弱点は攻撃力を超えられることだからな。【アロワナ】と【水照明】のコンボだけは絶対に防ぐよ。セットカードは【サイクロン】と【奈落の落とし穴】さ。それよりも自分で【湿地草原】にたどり着けたんだな」
「うん。一杯勉強して、カードショップを歩いて探したんだよ」
「ちゃんと勉強してたんだな。偉いぞ。そんな鮎にご褒美だ。鮎のデッキに合いそうなカードだ」
ポケットからカードを3枚取り出して手渡す。
「【ペンギン・ソルジャー】【進化する人類】【帝王の烈旋】?」
「使い方はまた勉強だな。分からなかったら訊きに来ればいいからな」
「うん、ありがとう。遊矢兄ちゃん」
「よし。それじゃあ、今度はペンデュラ召喚をやってみたいのはいるか?『クリフォート』を貸してやるよ」
「「「はいはいは~い」」」
「じゃあ達也。相手は」
「私がお相手しましょう」
「柚子姉ちゃん?」
「顔はそっくりだけど別人よ。私は黒崎瑠璃。あっちにいるのが私のお兄ちゃん」
「オレが旅先で会って仲良くなったんだ。デュエリストとしても強いよ」
「少なくとも柚子よりは強いわよ。昨日も圧勝したし」
「柚子お姉ちゃんを!?」
「色々と焦っていたみたいでね。あれなら鮎ちゃんの方が強いんじゃないかしら?」
「柚子が焦ってる?」
やっぱりアカデミアとの戦いに連れて行かないって言ったことに、特に弱いからって言ったのがまずかったか?
「遊矢兄ちゃん、多分遊矢兄ちゃんが考えてるの見当はずれとまではいかないけど、微妙にずれてると思うよ?」
「ずれてる?」
「瑠璃お姉ちゃん、遊矢兄ちゃんこんなのだけどそれでもいいの?」
「それだからこそいいんですよ。実力で奪い取ってこそです。もう少し大人になれば鮎ちゃんにもわかりますよ」
オレ以外のみんなが理解しているみたいだ。一体なんだって言うんだ?
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