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Three Roses

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第五話 ロートリンゲン家その七

「マリー様のお考え通りです」
「戦よりも」
「政治ですね」
「国の中の」
「その為にはですね」
「周辺諸国との戦いをなくすことが大事です」 
 まずそれがというのだ。
「ですから私達はその為に」
「そうね、嫁ぎ王子を迎え」
 マリアはマリーを見つつ確かな顔で応えた。
「そのうえで」
「国の為に尽くすべきです」
「王家の、国の為に」
「そうしましょう」
「そうね、では私が島国に行くことになっても」
 ここではだ、マリアは微笑になった。
 そのうえでだ、こうマリーに言ったのだった。
「私はあの国で務めを果たすわ」
「そうされて下さい」
「国、そして民の為に」
 マリーに約束した、そして。
 セーラもだ、微笑んで言ったのだった。
「私もですね」
「ええ、貴女は半島に行って」
「そうしてきますね」
「お願いするわ」
「半島に行きましても」
 セーラも約束した、三人は信仰を越えて一つのことを考えようとしていた。そして大公も王に対して言っていた。
「北の王国には王子以外に強い継承者がいません」
「正統性を持つ、ですね」
「王子は女王のただ一人のお子です」
 北の王国の女王、彼女のというのだ。
「男子でありそうであられる為に」
「あの国の他の誰よりもですね」
「強い正統性をお持ちです」
 まさにそうだというのだ。
「ですから」
「王子をですね」
「マリー様の養子とすれば」
「若しもの時は我が国の王となり」
「そして北の王国の王ともなります」
 双方の国の、というのだ。
「女王の夫君は我が叔父上ですし」
「そうですね、血筋も確かであり」
「双方の国を継げるのです」
「では」
「王子です」 
 まさにだ、彼をというのだ。
「我が国に迎えましょう、そして」
「我が国のですね」
「優れた者達を教育係と護衛につけましょう」
「是非」
「そしてです」
 大公は王にさらに言った。
「半島、そして島国にもそれぞれ手を打っていますが」
「そういえば両国も」
「はい、どうもです」
 ここでだ、大公は。
 眉を顰めさせてだ、こう王に言ったのだった。
「どうやら帝国が動き」
「そのせいで、ですね」
「王国派の者達が次々と急死、失脚しています」
「その様ですね」
「はい、裏から手を回している様です」
 謀略、それを使ってというのだ。
「法皇庁とも協力して」
「法皇庁ですか」
「法皇庁はです」
 剣呑極まるものを見る目でだ、大公は王に話した。
「やはりこうしたことにかけては」
「他の誰よりもですね」
「秀でています」
 謀略、その中でも陰にあるものについてはというのだ。 
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