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英雄伝説~光と闇の軌跡~(零篇)

作者:sorano
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第75話

~月の僧院~



「す、凄い………」

「あ、あれだけいた亡霊達を一瞬で………」

(あら?あの娘もヴァイスハイトとリセルが持っていた写真に写っていたわね………)

一瞬で大量の亡霊達を滅した少女を見たロイドとノエルは驚き、エルファティシアは不思議そうな表情で少女を見つめた。

「ふう……………皆さん、大丈夫ですか?」

一方少女は安堵の溜息を吐いた後、ロイド達に振り向いて可愛らしい微笑みを浮かべて尋ねた。

「あ、ああ………一体君は………」

少女の言葉に頷いたロイドが尋ねかけようとしたその時

「………お久しぶりですね、リタさん。」

ティオが少女―――リタに話しかけた。

「へっ!?」

「ティ、ティオちゃんの知り合いなの!?」

「………もしかして”影の国”とかいう場所で出会った知り合いか?」

ティオの行動を見たロイドとエリィは驚き、ランディは驚きの表情でティオに尋ね

「――はい。」

尋ねられたティオは静かに頷いた。

「わあ、ティオちゃんじゃない。久しぶり♪フフ、ようやくまた会えたね。まさかこんな所で再会する事になるとは思わなかったけど………」

一方リタはティオに気付いた後嬉しそうな表情でティオを見つめた。

「!?この気配は………まさか、貴女は………”死者”なのですか!?」

そしてリタを見て何かに気付いたエリナは驚きの表情でリタを見つめて尋ね

「はい、そうですよ。正真正銘、本物の幽霊です。」

「嘘………!?霊体なのにこれほどの理性があるどころか、とてつもない神聖な気配も感じるわ……!」

「しかも彼女が乗っている槍からはとてつもない”聖気”を感じられますね………」

尋ねられたリタは可愛らしく微笑み、エルファティシアは信じられない表情でリタを見つめ、セティは真剣な表情でリタが乗っている槍を見つめていた。

「フフ、疑うのなら今、証拠を見せてあげますよ。」

驚いているロイド達の様子を見たリタは姿を消し、槍だけ浮かしていた。

「……………………」

「や、槍だけ浮いているなんて、これはどう見ても……」

「本物の幽霊みたいだな………」

それを見たロイドは口をパクパクし、ノエルは表情を引き攣らせ、ランディは疲れた表情で溜息を吐いた。するとその時

「これで信じてもらえましたか?」

リタが再び姿を現してロイド達に微笑んだ。すると

「フウ……………」

なんとエリィが地面に倒れかけ

「エ、エリィ!?」

エリィの様子に気付いたロイドは慌ててエリィを支えて状態を確かめ

「………駄目だ、完全に気絶している………」

首を横に振って答えた。

「ただでさえ怖がっていたのに、まさか本物の幽霊に話しかけられるなんて、お嬢にとっては卒倒ものだったみたいだな……」

「エリィさんの気持ち、あたしでもわかりますよ………」

そしてランディとノエルはそれぞれ疲れた表情で溜息を吐き

「あれ?もしかして私のせいなのかな?」

「今のやり取りを見れば、どう考えてもリタさんが100%悪いですよ。」

その様子を見たリタは首を傾げ、ティオがジト目で突っ込んだ。その後リタと共に一端僧院を出たロイド達はエリィを解放し、エリィが目覚めるとリタの正体を聞いた。



「死した者達が集まる”冥き途”の見習い門番………!?」

「要するに地獄の門番って事かよ………」

「信じられない………こんな可愛い女の子が……」

リタの正体を聞いたロイドは驚き、ランディは疲れた表情で溜息を吐き、ノエルは信じられない表情でリタを見つめ

「………まさか貴女があの”冥き途”を守護する者の上………”神殺し”の元・使い魔だったなんてね………」

エルファティシアは真剣な表情でリタを見つめていた。

「フフ、まさかヴァイスさんとリセルさんの時代から現代に飛んで来た方がいるなんて、まるでセオビットさんのような方ですね。2件とも”エリュア”の仕業なのですかね?」

「………一応、確認しておきたいんだけど、”冥き途”で私の魂を見かけた事はないかしら?」

自分を見て微笑んでいるリタにエルファティシアは真剣な表情で尋ね

「いいえ、見ていませんよ。」

「そう……………」

リタの答えを聞いて、考え込んでいた。

「リタさんはどうしてこちらにいるんですか?」

一方ある事が気になっていたティオはリタに尋ねた。

「このクロスベルで”冥き途”を統べる方―――タルタロス様に頼まれた事を調べている最中にこの遺跡が目に入って、遺跡からさらけ出されているおかしな気配が気になって、遺跡内を調べていたんだ。」

「おかしな気配?」

「それってどんな気配なの??」

リタの話を聞いたロイドは首を傾げ、シャマーラは尋ねた。

「――――”冥界”の気配です。それも”冥き途”とは違った気配を。」

「め、”冥界”!?」

「そ、そそそ、それってまさか!?」

「本物の地獄かよ………」

そしてリタの答えを聞いたロイドは驚き、エリィは身体を震わせ、ランディは疲れた表情で溜息を吐いた。

「ええ。その為か、死者だけでなく冥界の魔獣とかも出て来たんです。この世界に来て初めてです、こんなケース……………あ、そうだ。”影の国”で出て来たようなこちらの世界では”ありえない存在”も出て来たよ、ティオちゃん。」

「………それは厄介ですね……………幽霊だけでも厄介なのに、”影の国”の魔獣はどれも手強かったですし、中には死に際に自爆や呪いの叫びでわたし達を道連れにしようとした魔獣もいましたし……」

リタの説明を聞いたティオは考え込み

「…………………………なあ、リタちゃん。よければ俺達と一緒に探索してくれないかな?」

一方真剣な表情で考え込んでいたロイドはリタに提案し

「ロ、ロイド!?」

「おいおいおい………本気か!?」

提案を聞いたエリィは驚き、ランディは驚いた後尋ねた。

「勿論、本気さ。リタちゃんが既にこの遺跡内にいたという事は当然、鐘楼まで行く道や仕掛けなんかも知っていそうだし、何よりも先程の彼女の力を見ただろう?」

「なるほど………確かに既に仕掛けや道を知っている奴が一緒なら、探索はスムーズになるな。」

「ええ………鐘楼までの道のりは今の所、見つかっていませんしね……」

「………それにあれほどの数の冥界の者達を一瞬で滅するなんて、相当の腕を持っている証拠ですね。そんな方がいっしょに付いてきてくれたら心強いですね。」

ロイドの説明を聞いたランディとノエルは納得した様子で頷き、エリナは頷いた後リタを見つめた。

「それで、どうかな?」

「別に構いませんよ。魔物の数が多くて私もうんざりしていましたから、人手は多い方が助かりますし。」

「そうか………よろしくな、リタちゃん。」

「はい、よろしくお願いします。」

口元に笑みを浮かべて見つめられたロイドをリタは微笑みながら見つめて頷いた。

「ううっ………まさか本物の幽霊と一緒に行動する事になるなんて………」

「ハハ、可愛いからいいじゃねえか。」

「フフ、確かにそれは言えてますね。」

一方エリィは疲れた表情で溜息を吐き、エリィの言葉を聞いたランディとノエルは苦笑していた。その後リタを加えたロイド達は時折現れる亡霊や変わった魔獣達を倒しながら、リタの先導によって迷う事なく道を進み、さらに仕掛けを解いて礼拝堂に隠されていた隠し扉を開いて、扉の中へと入った。するとそこに地面に巨大な目が描かれ、魔法陣らしきものをいくつも描かれていた。



「こ、これは………」

「なんつーか………やたらと怪しげな場所だな。なんでこんな場所が礼拝堂の裏側にあるんだ?」

地面に描かれている魔法陣や周囲にある松明を見たノエルは驚き、ランディは溜息を吐いた後目を細めて呟いた。

「そうだな………七耀教会の遺跡にしては不気味すぎる感じだけど………」

「そ、その床に描かれた紋様は一体なんなのかしら………?目………みたいな形だけど………」

「「「「……………………………」」」」

「どうした、ティオ?それにセティ達も。」

「な、何か気付いた事でも?」

地面に描かれている紋様を見て真剣な表情で考え込んでいるティオやセティ達に気付いたロイドとノエルは尋ねた。

「………どうやらこの場所は何らかの”儀式の間”だった可能性が高いかもしれません。それも生贄などを奉げるような禍々しいたぐいの……」

「そうね………その紋様から強烈な”魔”を感じるわ………」

一方尋ねられたティオは答え、エルファティシアが説明を補足した。

「い、生贄………!?」

「ええ………赤黒く見える染みの跡は多分、血糊ではないかと。成分を分析してみないと正確なことはわかりませんが………」

「ゾッとしねぇ話だな………」

「でも、どうして教会の遺跡にそんなものが………」

ティオの話を聞いたロイドが考え込んだその時、再び鐘の音が聞こえて来た!

「ま、また………!?」

「クッ………今度はなんだ!?」

鐘の音が聞いたノエルは驚き、ロイドは警戒した。すると目の前の魔法陣から巨大な悪魔のような姿をした存在が次々と現れ、合計で4体現れた!

「こいつは………!?」

「あ、悪魔………!?」

「気を付けてください……!どれも物凄い”霊圧”を感じます………!」

「ええ!恐らく目の前にいる悪魔達は上級クラスの悪魔達よ!」

目の前の敵達を見たロイドは驚き、エリィは警戒の表情になり、ティオとエルファティシアはそれぞれ助言した。

「おいおい、俺たちゃ教会の悪魔祓い(エクソシスト)じゃねえんだぞ………!?」

「来ます………!」

ランディは目の前の敵達を睨んで叫び、ノエルは今にも襲い掛かってきそう敵達を見て警告し

「力を貸して―――メヒーシャ!」

「頼む―――ルファ姉!」

「一体は私一人で引き受けます!あとの3体は皆さんで分担して、滅してください!」

エリィとロイドはメヒーシャとルファディエルを召喚し、リタは敵達を睨みながらロイド達に言い

「メヒーシャ!1体は貴女一人に任せるわ!その代わり、ロイド達の援護は私がするわ!」

「わかりました!」

ルファディエルはメヒーシャに指示をし

「セティ、シャマーラ、エリナ!君達に1体を任せてもいいか!?」

「はい!」

「まっかせて!」

「お任せ下さい!」

そしてロイドの指示にセティ達は頷き、

「エルファティシアさん!セティ達の援護をお願いします!」

「わかったわ!」

さらにエルファティシアにも指示をし

「よし―――行くぞっ!」

号令をかけて戦闘を開始した!



こうしてロイド達は悪魔達との戦闘を開始した………!


 
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