Blue Rose
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第十六話 神戸を後にしてその四
「子供の頃から」
「うん、けれど姉さんも出来るから」
「だからなのね」
「そう、お願いするね」
「任せてね」
微笑んでだ、優子は弟に答えた。
「お家のことも」
「そうさせてもらうわね」
「僕がいない間は」
「姉さんもこれでもやれるから」
「大変でもね」
「大変なのは貴方の方がずっとじゃない」
優子はすぐに弟に返した。
「私はただ家事をするだけよ」
「けれどお仕事もしてるじゃない」
「それでもよ」
「僕は女の子になるから」
「ずっとね」
それこそというのだ。
「大変よ」
「じゃあ」
「そう、私のことは気にしなくていいから」
それよりもというのだ。
「自分のことをね」
「考えてっていうんだ」
「そう、貴方はね」
「じゃあね」
「ええ、神戸のことは気にしないで」
つまり優子のことはというのだ。
「私は大丈夫だから」
「それじゃあね」
「安心してね」
「長崎でだね」
「女の子になってね」
「そうしてくるね」
優花は姉に約束した、そうしたことを話してだった。
優花は長崎に行く用意をはじめた、その中には姉に教えてもらった女のもの服や生活用品も持っていくものの中にあった。
その話をだ、優花は学校の屋上で龍馬に話した。
すると龍馬は笑ってだ、優花にこう言った。
「ああ、そうだな」
「うん、女の子になったらね」
「ナプキンとか必要だな」
「そうだよ」
それこそというのだ。
「下着だってね」
「トランクスじゃなくてな」
「ショーツね、それにね」
「ブラジャーもね」
下着のこともだ、優花は話した。
「必要だからね」
「服もスカートになってな」
「女ものの服ね」
優花は龍馬に笑顔で話す。
「それを着ないと駄目だからね」
「そうだよな、もう全然変わるんだな」
「だからそっちの用意もしているんだ」
「そうだよな、じゃあな」
「もうちょっとしたら女の子になるよ」
「神戸を出てか」
「長崎でね」
優花は長崎の方を見た、これから行く場所にだ。
そうしてだった、龍馬にこうも言ったのだった。
「あと一月もしないうちに」
「短いな」
「うん、本当にね」
「神戸を出るんだな」
「そうなるから」
「じゃあな、俺も行くからな」
「待ってるよ」
長崎でとだ、優花も答えた。
その話の後でだ、龍馬は優花にこうも言った。
「戻って来るにしてもな」
「神戸にだね」
「大学はこっちだろ」
「受けるつもりだよ」
八条大学をというのだ。
「勉強もするし」
「そっちも頑張らないとな」
「うん、絶対に戻って来るから」
「それでもな」
あらためてだ、龍馬は優花に言うのだった。
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