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スペインの真実

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第四章

 義勇兵の一人がだ、フィッシャー達に囁いた。
「内部分裂が酷いみたいだな」
「左派の中でか」
「そうなのか」
「それぞれの組織でだ」
 左派の政権の中の、というのだ。
「路線等を巡っていつもな」
「内部分裂をしていてか」
「満足に動けないのか」
「だからか」
「右派に遅れを取っているのか」
「そうらしい」
 どうもというのだ。
「そのこともあってだ」
「内部で荒れているとな」
「余計にだな」
「まずいことになるな」
「おかしくないか」
 フィッシャーは同志達に問うた。
「同じ共産主義者じゃないのか」
「左派はな」
「そうだっていうんだな」
「それでどうしてなんだ」
 真剣にいぶかしむ声で問うた。
「内部でいがみ合っているんだ」
「色々路線が違うんだ」
「何かとな」
「細かいところでな」
「それに権力闘争もあるからな」
「路線、権力・・・・・・。馬鹿な」
 その二つの言葉をだ、フィッシャーは即座に否定した。
「同じ同志だ、同志同士でなのか」
「それでも意見が違うらしいぞ」
「左派の中でな」
「政治のことでも軍事のことでもな」
「どれでもだ」
「路線がそれぞれ違っていてな」
「揉め続けているんだよ」
 義勇兵達も戸惑いつつ言う。
「暗殺もあるらしいぞ」
「お互いの派閥の間でな」
「それぞれの中でスパイの摘発もしているらしい」
「不穏分子の粛清もだ」
「やっているらしいぞ」
「不穏分子、それもだ」
 フィッシャーはまた言った、唖然として。
「何故そんなものが」
「共産主義を認めない者はだ」
「殺しているらしい」
「それも人民の中にいるな」
「カトリックの者達も含まれるとのことだ」
「特に聖職者はな」
「いや、宗教は確かにまやかしだが」
 共産主義ではそうなっている、実際にフィッシャーもそう考えている。だがそれでもとだ、彼は言うのだった。
「彼等も教化すればいい」
「共産主義をだな」
「それを教えればいい」
「そして共産主義の同志とする」
「そうすればいいんだな」
「違うのか」
 彼が信じているものを言うのだった。
「それは」
「俺達もそう思っていたがな」
「それがだ」
「どうも違うらしいぞ」
「共産主義だと」
「違う、まさか」
 フィッシャーはふとだ、この話を思い出したのだった。
「異端審問か」
「キリスト教のだな」
「それだな」
「バチカンが行っていたな」
「それだというんだな」
「そうしたことをしているのか」
 まさかと思いつつ言うのだった。 
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