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時にはアンニュイ

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第三章

「だからね」
「多分だね」
「明るくなっているわ」
「そうなんだね」
「それで明るくなっていたら」
「今度は明るくだね」
「楽しみましょう」
 こう彼に言った、にこりと笑って。
 そのうえで今日は別れた、後はシャワーを浴びて歯を磨いて寝た。そして次の日は。
「いつも通りだね」
「ええ、今日はね」
 会社帰りにだ、彼ににこりと笑って返した。
「いつもの調子よ」
「明るいね」
「明るいだけじゃないわよ」
「けだるくもないね」
「昨日みたいなことはないわ」
 それこそとだ、彼に返した。
「全然ね」
「じゃあ今日は」
「サッカーね」
「いや、お金がね」
「ないの」
「昨日結構飲んだからね」
「そういえば私も」  
 思い出してみればだ、けだるい中でだ。
 昨日は結構カクテルを飲んだ、そのことに気付いて言った。
「今は」
「明日給料日だしね」
「ないわね」
「そうだよね、だからね」
「デートはなしね」
「お金がないとね」 
 デートをしようにもだ、本当に。
「どうしようもないから」
「だから僕の部屋来る?」
「あなたの部屋で賑やかにね」
「缶ビールなら安いし」
 今の私達でも普通に買える位だ。
「それでね」
「二人で賑やかに」
「いかない?ゲームでもして」
「そうね、じゃあ今日はあなたのお家でね」
「二人でね」
「楽しみましょう」
 こう彼に言ってだ、そしてだった。
 私達はこの日は彼の部屋で楽しく賑やかに過ごした。普段の私で。


時にはアンニュイ   完


                      2015・10・25 
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