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マゾヒズム

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5部分:第五章


第五章

「けれどそれでも」
「お母さんが折角って言ってるし」
「それじゃあね」
 二人でも話してだ。そのうえでだった。
 貴弘も雛子も玄関からあがった。その二人はだ。
 地下室に続く隠し扉の前に案内された。その前に連れて来られてだ。
 貴弘は蒼白になった。雛子もだ。
 そしてだ。彼はその青くなった顔でだ。美也子に言ったのだった。
「ま、まさか僕達のことを」
「パーティーって」
「大丈夫よ。貴方達には何もしないわ」
 妖しい微笑みだった。ここで美也子が二人に向けた微笑みは。
 そしてその微笑みでだ。二人に言ったのである。
「何もね」
「何もって。ちょっとお父さん」 
 雛子は今の事態に戸惑いを隠せずだ。そのうえでだ。
 父の省吾、妻と共にいる彼にだ。慌てて言ったのだ。
「お母さん止めてよ。何考えてるのよ」
「何をって。パーティーのことをだよ」
 しかしだ。父もだった。
 このうえなく優しい微笑みで娘、そして貴弘に言ったのである。
「雛子のお友達の歓迎のね」
「地下室って。確かに私達は」
 戸惑いのあまりだ。また事実を言ってしまった雛子だった。
「あの部屋一回使ったけれど」
「ならわかっているわよね。あのお部屋で何をするのか」
「それはそうだけれど」
「だから。雛ちゃんにも貴弘君にもね」
 母の顔でだ。また言う美也子だった。
「何も悪いことはしないから」
「けれど」
「見ているだけでいいのよ」
 安心させる、そうした誘惑の言葉だった。
「だからいらっしゃい」
「見ているだけなら」
 譲歩されたと受けてだ。雛子もだ。母の言葉を受けた。
 そしてそのうえでだ。貴弘の服の袖を持って言うのだった。
「じゃあそうしましょう」
「うん、じゃあ」
 逃げられない雰囲気を感じて仕方がなかったのでだ。貴弘もだ。
 蒼白になりながらも頷いた。そうしてだった。
 二人は美也子と省吾に案内されてだ。隠し扉をくぐった。
 そしてそのうえで暗い階段を一段ずつ降りてだ。その地下室に入った。地下室に入るとだ。
 美也子はだ。早速だった。
 自分からその服を脱いだ。娘と彼の目の前でだ。
 服を一枚ずつ脱ぎながらだ。美也子はうっとりとした目で娘に言ってきた。
「雛ちゃん、よく見て」
「お母さん、本当にこのお部屋で」
「お母さんの姿見てね」
 こうだ。その衰えを感じさせない豊満な肢体をだ。徐々に露わにさせていく。
 そうしながらだ。口からは涎さえ垂らしていた。そうしながらだ。
 遂に下着姿になった。紫の淫靡な下着だ。その下着姿になりだ。
 夫の前に来てそうしてだ。その服を一枚ずつ脱がしてだ。
 その身体のあらゆるところを撫で回し舌を這わせながらだ。こう言うのだった。
「何かいつも以上に」
「感じているんだな」
「雛ちゃんに。娘に見られていると思うと」
 もうだ。それだけでだというのだ。
「私、もう」
「感じて仕方ないか」
「見られながら犯されるのね、これから」
 これから自分がされることも夢想して言うのだった。
「自分の娘に。今から」
「そうだ。君は今から犯されるんだよ」
「そうよね。雛ちゃんとその彼氏の前で」
「だから。もっと見せてあげるんだ」
 あえて優しい声でだ。夫も妻に言った。
「君のその奇麗な姿を」
「ええ、それじゃあ」
「雛子もよく見なさい」
 父としてだ。省吾は母のあられもない姿に呆然となっている娘に優しく告げた。
 
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