戦姫絶唱シンフォギア~海神の槍~
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EPISODE3.護るための刃
「翼さん!私、今はまだ全然ダメダメですけど、これから一生懸命頑張って、奏さんの代わりになれるように頑張ります!ですから、一緒に闘いましょう!」
「そうね、あなたと私、今から一緒に戦いましょうか?」
翼は響に刃を向ける。
「おいおい、あいつは何をしているんだ?」
キョウヤは呆れる。
「あの馬鹿!一体何を考えているんだ!」
弦十郎は立ち上がり、入り口を抜けて行く。
「司令、一体どこへ。」
「決まっているだろ!あの馬鹿達を止めに行く!」
弦十郎はそのまま行ってしまった。
「はあぁ、まったく、まだ味方と断定出来ていない装者を残して現場に行くとは、部下の事をどう思っているのやら。」
「それは簡単な話よ。弦十郎さんはキョウヤ君を信頼しているし、キョウヤ君にはここでやってもらうことが在るからよ。」
キョウヤが振り向くと、そこには地球のシンフォギアの製作者、櫻井了子がいた。
「オバハン、誰?」
「せめてお姉さんって言って!私ここでシンフォギアの研究、開発を行う天才科学者、櫻井了子よ。」
「で、その科学者さんが俺に何の用?もしかして逆ナン?無理無理、だって俺婚約者いるし。」
「ええ~、そ、そんな…じゃ無くて、私はあなたのメディカルチェックを頼まれたの。」
「マジ?年増の前で脱がないと行けないの?」
「年増って、私これでも34歳、まだまだこれからよ!」
「それでも18の俺にとっては34って十分年増ですぅ!」
「ああ、もう!とにかくメディカルチェックよ!」
「ほいほい。」
キョウヤは呆れながら移動を始めるが、モニターを覗くと翼が放った天ノ逆鱗を抑えて、シンフォギアを解除し崩れる翼に近づく弦十郎が映っていた。
『翼、お前泣いているのか?』
『泣いてなんかいません!風鳴翼は剣、剣に心など要りません!』
「あいつ、案外かわいいところあんじゃん。」
モニターを観たキョウヤはそう呟き、メディカルルームに向かいチェックを行った。
キョウヤのメディカルチェックが終わる頃、翼と響を連れて弦十郎が帰って来た。
「あのッ、この人は!」
響はキョウヤの事を弦十郎に聴く。
「彼はキョウヤ・タカナリ君。我々の居る地球とは違う世界からノイズを倒す為にやって来た少年だ。」
「あのッ!言っていることがよく解らないのですが…」
響は弦十郎の説明に困惑する。
「オッサン、順を追って話さそうよ。」
キョウヤは弦十郎に告げる。
「そうだな。キョウヤ君、任せていいか?」
「こればかりは俺が話した方がいいだろう。」
キョウヤは響を相手に弦十郎達にした説明をもう一度行った。
「異世界ですか、、なかなか実感が湧きませんねぇ~。でもまあ、私達の味方になってくれるんですよね?」
「そいつはちっと違うぜ、響ちゃん?」
「あのぉ、なんで私の名前を?」
「決まっているだろ。あんた達が来るまでの間にそこのオバハンから聴かせてもらったの!」
「だからオバハンって言わないでぇ!」
「あぁぁ、もしかして了子さんから聞いたのですか?」
「まあな。で、これでも俺は君の事はある程度見込んでいるんだよね~。」
「本当ですかッ!」
「ああ、ただこれだけは覚えておいて欲しい。人助けと救済は違うって事。これを間違えると、とんでもない事になる。それからもう一つ、これは俺の好きなドラマの受け売りだが、楽して助かる命は無い。この2つの言葉、覚えておけよ!それじゃ、俺は書類を書いたりしないと行けないからここら辺りでお休み。平和に暮らしていた響ちゃんには解らない事だらけだと思うけど、少しずつ覚えて行ければなんとかなるから。」
キョウヤは明るい言葉で響を励ましながら去って行った。
「キョウヤさん、凄い人ですね。」
「ああ、キョウヤ君は翼君より長きにわたって戦場に立っていた戦士だ。上手く連携がとれるようになるといいんだがな。」
弦十郎去って行くキョウヤを見ながらそう響に伝えた。
結局、キョウヤはその日の深夜まで身体情報から地球での生活の方法まで様々な書類を書くのに勤しんでいた。しかし、キョウヤにとって見入りも在り、事態が収束するまでの間は二課の一部屋をあてがってもらう取り決めをした。
翌朝、キョウヤは着替えて二課のメインフロアに向かうと、響と翼が居た。
「おう、お早う。」
「お早うございます!」
キョウヤの挨拶に返したのは響だけであった。
「おいおい、ちょっと冷たく無いか。一応、これからは共に闘うんだろ?」
「私は防人、敵を仕留める役目は私一人で十分だ。立花も、ましてやどこの誰とも知らない者も、私には必要無い。」
「そうか。弦十郎のオッサン、ここってトレーニングルームって在りますか?」
「一応あるが?」
「じゃあ決まりだ。人気アーティストさん、あんたに勝負を挑みたい。決着の条件はここのスタッフ達がどちらかが戦闘の続行が出来ないと判断するまで。どうだ?」
キョウヤは翼に提案する。
「そんな戦いに何の意味が在る?」
「俺達の世界では、シンフォギアの力が敵になった時の事を考えて装者同士で戦術を変えてのトレーニングを行っていた。やってみる価値はあると思うぜ。俺もこの訓練のおかげで弱点が把握出来たし。」
「いいだろう。戦士の戦い方、お前に刻み込んでやろう。」
「期待しているぜ。」
キョウヤは弦十郎と翼の許可を取り、翼と一緒にトレーニングルームに入って行く。
「あのぉ、大丈夫なのでしょうか?」
「まあ、我々にとっては新鮮な事だ。翼もきっと、学ぶことがあるはずだ。」
トレーニングルームに入って行く二人を響と弦十郎は眺め、メインフロアに入り、回線を繋げる。
『それでは、今から模擬戦を始める。勝敗は、我々の観点でどちらかが戦闘不能と判断するまで。それでは、始め!』
弦十郎がアナウンスを入れる。
「-♪I have needful Trident to now♪-」
「-♪Imyuteus Ameno Habakiri tron♪-」
開始の合図と同時にキョウヤと翼はシンフォギアを纏う。
「-♪疾風を射る如き刃~-」
翼は序盤から千ノ落涙を使いキョウヤを狙い撃つ。だが、
「-♪砕~け散れ!破滅の刃よ!この手でき~っと お前を止める!-」
キョウヤは敵の刃を弾く技、ミスティセクタムを使い千ノ落涙を打ち落とす。
「二人とも、凄いです。」
モニターに釘付けとなっていた響の口からそんな言葉が漏れる。
「やはりそう思うか。」
「えっ?」
「俺も、ここまでのものになると思っていなかったんだ。」
「-♪この俺の眠りを邪魔し 苛つかす 雑音は!-」
キョウヤはシューティングハレーを放ち攻撃するが、翼は間一髪で回避する。しかし、衝撃は抑えきれず脚部の刃が破壊されてしまう。
「-♪荒波に押~し込んで 後悔~ させ~る~さ~!-」
更にキョウヤは四肢に突撃を放つスターダストモノケロスを放つ。しかし、それも翼のバックステップで回避され、翼は逆立ちでキョウヤを蹴り上げようとするが、キョウヤもバックステップで回避する。
「-♪決まって~いる 事なんて無い!だから何時でも戦うだけだ!-」
キョウヤは更にシューティングハレーを放つが翼の回避がやや遅れ、斬撃によって脚部の装甲が破壊される。
(なんだ。こいつは一体何が目的なんだ?)
翼は考える。すると、
「その調子じゃあ、お前が負けるのも時間の問題だな。」
キョウヤは翼に威圧する。
「うるさい!黙れ!」
翼は裏技の一つである陰縫いを封じられ困惑する。
「-♪砕~け散れ!破滅の刃よ!この手でき~っと お前を止める!-」
キョウヤはスクラッチコロカロを放ち、翼は避けるが、
『そこまで!勝者、キョウヤ・タカナリ君!』
弦十郎が判定を下した。
「何故ですか!!」
翼は不満を申し立てる。
『翼、自分の状態を見てみろ。』
翼はそう言われて状態を確認すると、装甲は全て砕け散り、シンフォギアも胸と股関節以外なくなっていた。しかし、翼にこれといった傷はひとつもなかった。
「私はまだ平気です!」
『翼、キョウヤ君は翼が避けるの計算し、判断したうえで全て攻撃をしていた。そして、見事にシンフォギアの弱点をついて一部分残して破壊。翼は最初からキョウヤ君にからかわれていたんだ。』
「そんな!」
「考えても見ろ。お前が怪我をすれば、お前のファンが悲しむ。そう考えれば、手を抜かざるを得なかったんだ。それに、お前が負けたのにはもう一つ理由がある。お前は自分の事を戦士だ剣だなんだと言っているが、お前は一人戦う敵しか見ていない。俺はそれに対して常に誰かを守りながら戦って来た。俺に取って刃は、敵を倒す道具じゃ無くて、戦士が民を護るための命だと思っている。そう、護ること一つ出来ないお前は、戦士失格だ!風鳴翼ッ!」
キョウヤは、翼にそう力説した。
戦姫絶唱シンフォギア~海神の槍~
つづく
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