世界をめぐる、銀白の翼
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
ディケイド ~五色の戦士~
「この世界はなんだ?わかるか蒔風?」
「いや・・・あの絵柄からライダーに関する情報はなかったぜ?」
士が蒔風に訊く。
ここはすでに新たな世界だ。
今は四人で町を歩いていて、今はビルに囲まれた広場にいる。
階段式の噴水があり、ベンチがあり・・・・
何の変哲もない世界だ。
「ま、この世界からライダーの情報は得られないと思うけど?」
「じゃあこの世界はライダーの世界じゃないのか?」
「そう言うことさ。ここは、ライダーの存在しない世界だよ、士」
「ライダーのいない世界か。ディケイドが回る世界だからといって、ライダーのとは限らないのな」
「ああそうか。君はライダーのいない世界を回る方が多いんだっだね」
「そうだな。だから取り立てて騒ぐほどでも」
「おい待て、なんで海東が当然そうに会話に参加してんだ!!」
士が叫ぶ。
そう、さっきまで会話していたのは蒔風と海東だ。
士たちは突如現れた海東にポカーンとしていただけだった。
「なに言ってるんだい士。僕はお宝を手に入れて忙しいんだ。あとにしてくれないか?」
「来たのはお前のほうからだろ・・・・」
「というか士よ。なぜそんな恰好してんだ?」
「黒子とは・・・また面白い。似合ってるよ、士」
「うるせえ!!」
この世界で士に振られた役割は「黒子」だ。
一体何をやらされるのか・・・
「士、「で・す・の」って言ってみてくれ!!」
「わけわからんこと言うな!!海東!お前もさっさと行っちまえ!!「ですの」やかましい!!」
「はいはい・・・っと」
海東が足元に置いておいたクーラーボックスを担ぎ、その場を去っていった。
「なんだったんだあいつは」
「それにしても士。ライダーのいない世界ってことは、ここに怪人はいないんじゃないか?」
ユウスケが士に問う。
「いや、そうでもないようだ」
士の返答に合わせたように、噴水のタイルの「スキマ」から異形の怪人が無数に現れた。
「ライダーがいなくても、怪人はいるみたいだな」
「別にそれって普通じゃね?」
カードを構える士と、並び立つ蒔風。
戦闘開始!!と意気込んだところで和太鼓の音が鳴り、多くの黒子たちがいきなり現れた。
さらには何かの家紋入りの陣幕とのぼり旗が立てられ、そこに袴姿の五人の男女が出てくる。
「凝り性もなく現れて・・外道衆!!おとなしく「スキマ」に帰れ!!!」
五人のうちの一人が怪人たちを指さし言い放つ。
だが気にも留めずに、うごめき続ける怪人達。
「もう!そんなんで帰るわけないでしょう!」
「むう・・・一回やってみたかったんだが、ダメか~」
「だから私達が送り返してあげましょう。「三途の川」に」
シュキン!!!
各人が携帯電話を取り出し、それを筆の形に変え空中に文字を描く。
「「「「「一筆奏上!!」」」」」
バッバっバッ!!
各々が「火」「水」「木」「土」「天」の文字を書き、それを身にまとい「変身」した。
彼らこそがこの世界の秩序と平和を守る戦士。
その名も
「天下御免の侍戦隊」
「「「「「シンケンジャー!参る!!」」」」」
「シンケンジャー?ああ、そゆこと」
シンケンジャーなる者たちが突如として現れた怪人たちを次々と切り裂き、倒していく。
その様子を見てつぶやく蒔風に、夏海が聞いた。
「知ってるんですか?」
「舜、知ってるのか?」
「ああ、今知った。あいつらシンケンジャーはこの世界とは別の、三途の川ってとこにいる妖怪集団、外道衆と戦ってるってわけだ」
「じゃああそこで倒されているのが・・・」
「外道衆だな。ま、あいつらは使い捨ての雑兵らしいが」
「なるほど・・・ってあれ?士は?」
周りを見るとどうやら外道衆の駆除は終わったらしく、シンケンジャーたちが変身を解き、帰っていく。
その周りで黒子たちが先ほどの陣幕やのぼり旗の撤収作業に入っていた。
そしてどうやら士もそれに駆り出されたようだ。
皆黒子なのでどれが士かわからない。
「士君?どこですか士君!」
「あれは?いや、あっち?」
「そんなこと言っててもしょうがないだろ。とりあえず行こうぜ」
「どこにですか?」
「この世界でやるべきことがあるんだろ?それを探しにだよ」
「でも士君は?」
「あいつには護衛付けてるから」
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「で?お前が俺の護衛?」
「そうだ。この天馬さんが護衛してやっから、ありがたく思っとけコノヤロー」
あのまま黒子の波に押されて士がやってきたのはシンケンジャーのリーダー、シンケンレッドに変身する志葉丈瑠の所有する志葉家の屋敷だ。
そして頃合いを見て人型になって天馬が現れた。
「護衛なんざ必要ない」
士が余裕の態度で天馬に言うが、天馬にとってはそんなこと知ったことではない。
「だまれやモヤシが」
「モヤッ!?」
「この世界の事よくわかってねえんだからよ。オレさんが教えてやっからまあ聞けよ」
士を座らせ、自身も胡座(あぐら)をかいて説明を始める天馬。
その説明が終わったと同時、志葉丈瑠の声がある部屋の中から聞こえてきた。
「じい!何度言えばわかる。しっかりと病院に行け!」
「いいえ。じいはまだまだ現役です!これくらい、なんてことありませぬ!」
「このわからず屋が!」
「殿はこの私を厄介払いするおつもりですか!?」
「そうじゃないと言ってるだろう。ここは大丈夫だからその腰を治して来いと言ってるんだ!!」
じい、というのはシンケンジャーのサポートをしている志葉家に仕える家臣、日下部彦馬の事だ。
どうやら病院に行け、という丈瑠と、大丈夫だ、というじいのケンカらしい。
「なんだなんだ?ケンカか?」
「殿さまっても案外普通なんだな」
「つかよー。あれかなりキテルぜ?」
「わかっているがもう止まらないんだろ」
「だろうなー。あーもー鬱陶しいな」
士と天馬が話しているところで、ついに丈瑠が部屋を飛び出してくる。
そこでふと立ち止まり、士と天馬に気付く。
「なんだお前たち?ただの黒子じゃないな?」
「そんなことないですよ「殿さま」?」
あからさまに、それはもうあからさまに小馬鹿にしたような言い方に、丈瑠がムッ、とした顔をする。
「お前ら、一体なにも・・・」
「ハイこっち来ようか、二人とも」
丈瑠の言葉をさえぎり現れたのは蒔風だ。
いつの間にか士と天馬の背後にまわり、二人に肩を回す。
「蒔風!?」
「舜・・・いきなり出てくんのは止めろっての」
「わりわり。じゃ、お殿様。オレたちはこれで」
「舜!!なに勝手に出てってんだ!」
そこにさらに一人の黒子が出てきた。
「その声・・ユウスケ?」
「ちょ、ユウスケ、待て、引きずるなオレをどこに(連れうわあぁぁぁ・・・・・)」
途中から外に連れ出されていき、蒔風の声が遠ざかっていった。
丈瑠がそれを眺め呆れて、士達のほうを向くと、そこに士、天馬はいなかった。
to be continued
後書き
アリス
「次回、イカ泥棒海東?」
ではまた次回
愚かだから、転んで怪我してみないと判らない。時には道に迷い、間違えたとしても、それでも旅をしている。お前に道案内してもらう必要はない!
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