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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
  Air ~生きる、ゴール、スタート~

ある物語の終末

少女と母が向きあい、言葉を交わす。


「もう一度だけ、がんばろうって決めた、この夏休み。
 往人さんと出会ったあの日からはじまった夏休み。
 いろんなことがあったけど、つらかったり、苦しかったりしたけど

 私、がんばってよかった!

 私のゴールは幸せと一緒だったから、ひとりきりじゃなかったから
 だから、だからね、もうゴールするね・・・ 」


「あかん、観鈴。きたらあかん、ゴールしたらあかん!はじまったばっかりやんか、昨日やっとスタートきれたんやないか!取り戻していくんや、10年前にはじまってたはずの幸せな暮らしを、これから観鈴と取り戻していくんや!うちらの幸せは始ったばっかりやんか! 」





海辺で母と子が抱き合う。

母の名は神尾晴子
少女の名は神尾観鈴

いま彼女の命は古の呪いに蝕まれて、消えようとしていた。



[Gate Open---Air]


その海辺のある町のとある一軒家の屋根の上。



そこにゲートが開く。

と、同時に蒔風が飛び出し、海辺に向かって跳躍した。
隣を見遣ると時空が歪んで「奴」も現れた。


「蒔風ェ!わかってんな!?」

「奴」の叫び。
それで、蒔風は瞬時に理解した。


「くそっ、仕方ねぇ!」

ガシッ!!


蒔風の腕を「奴」が掴み、海辺の親子に向かって投げ放った。




蒔風が二人に急接近する。
蒔風が力を借り受け、右手が淡く光る。

「その|悲劇(幻想)!いまここでぶち壊す!!」


ダンッ!

蒔風が着地する。
晴子は突如として現れた蒔風から観鈴を守ろうと身体を振る。
しかし蒔風はそれに構ってる暇はないのだ

「彼女を死なせたくないならどいてくれ!」

蒔風が半ば強引に晴子を退かし、右手を背中に当てる。

バギン!!と砕けた音が鳴り響く。

消えようとしていた彼女の命が留まる。
蝕んでいた呪いが身体から消えた。


「っは!・・・・・ごホッ・・・お・・・お母さん?」

「み、観鈴?観鈴!!大丈夫なんか?なああんた!!観鈴はもう大丈夫なんか!?」

「大丈夫に決まってます。そうじゃなきゃ、オレが困る」


答えたのは蒔風ではない。

三人がいる海辺の町側の堤防の方に「奴」がいた。
浜辺に降り立ち、こちらに歩いてくる。


「最主要人物に消えられて、そいつにまで死なれたら困るし」

「あ・・・あんたも助けてくれたんか?」

疑問を口にする晴子。
それに答えたのは「奴」ではなく蒔風だ。


「確かに助けてはくれた・・・だが決して味方じゃない」

「どういうことや?」

「「奴」はな、自分の手で殺すために神尾観鈴を助ける手伝いをしただけだ!」

「な・・・嘘やろ?」

「そこで見ててください」


蒔風が「林山」を突き立てる。
神尾親子を「山」がバリアが包み、「林」が観鈴の体力を回復させていく。

「玄武、頼んだぞ」

「どこまでですかな?」

「説明から護衛まで」

「了解じゃ」



蒔風が「奴」に向き合う。

「ああ胸クソ悪ぃ。お前と共同なんざ吐き気がするよ」

「そうか?蒔風。オレは少し面白かったぜ?」

「ふっ、ふふふ。ははははははははははははは」

「くかかかかかかかかかかかかかかか!!!」
「うはははははははははははははははは!!」

ダンッ、ゴガァッ!!


蒔風と「奴」が衝突する。

「奴」の拳を、残った「風」「火」で受ける蒔風。
しかし「奴」の拳は裂けない。

蒔風がさらに蹴り上げる足を、「奴」が踏み付け押し止める。


「ぐぎぎぎ・・・」
「このクソったれ・・・」

ギシギシと音が響いてくる。

それは二人の噛み締める歯ぎしりの音か
それともせめぎ合っている箇所の音か

「「ダァッ!!」」

ドッ、フン!!
ブワァアアア・・・・

「奴」と蒔風が同時に力を不動で相手にたたき付けた。
その衝撃は周りに散り、浜辺が窪み、周囲に砂を撒き散らした。




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バリア内
晴子が蒔風と「奴」の戦闘を見て驚きの表情をする。


「な、なんやこれ。ほんまにあんたの言った通りなん?」

「そうじゃ。さっき儂が説明したとおりです」

「あの・・・」

「!!観鈴!身体、大丈夫か?」

「うん・・・あの人は、どうして」

「戦う理由ですか?」

「ううん。実はさっきから聞いてたんだ。でも、それなら私がこのまま・・・・」

「確かに観鈴嬢があのまま召されておれば「奴」は手だし出来なくなりますな」

「あんた!」

晴子がその言葉に少し憤る。
それを観鈴が止める。

「大丈夫だよ。でも、助けてくれたもん。あの人は・・・蒔風さんはなんで?」

「・・・・主は様々な世界をめぐっておる。その中で世界を救い続けてきてのう。しかし、主にも救いきれないものがなかったわけではないのじゃ」

玄武が一旦言葉をとぎらせ、また話す。

「自らの世界がその一つだった。その瞬間から主は決めたのじゃ」

「なにを?」

玄武は戦う主に視線を向ける。
いくら傷ついても倒れず、決して見捨てぬその意志と、世界を背負うその背を見、誇りを持ってこう言うのだ。



「救えるモノは根こそぎ救う。だた一つの信念、彼自身の願い」

「信念・・・・」

「主はいろいろな事を考えておる。しかし、その根幹はたった一つのそれなのじゃ」



ガッ、ゴオオオオ!!!!

蒔風の背に銀白の翼が現れる。


そして叫ぶのだ。

「物語?世界?そんなんかんけぇねえ、関係ないんだ!!!」



ただそこで理不尽に消えていく命があるんだ。

救う理由はただそれだけでいい。
戦う理由もそれだけでいい。
それ以上もそれ以下も必要ない。

誰かが助かって誰かが笑うなら
なんだって相手にしてやる
世界も、運命も、自分自身でも!!!

なんであろうと相手になるぞ。


オレは世界最強、銀白の翼、願いの翼人!!!


「見ておけ・・・これが俺の正義だ」






to be continued

 
 

 
後書き


アリス
「次回、純白、翼、開翼」

ではまた次回







が、がお・・・ 
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