オズのボタン=ブライト
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第五幕その五
「あんたは最高の猫よ」
「あら、あんた程度じゃないっていうの」
「ええ、あんたは私の次に最高よ」
「そう言える根拠は何かしら」
「この毛並みよ」
全身のその毛を誇らしげに誇示しています、そのうえでの言葉です。
「どうかしら、この毛並み」
「奇麗だっていうのね」
「こんな毛並み他にはないわよ」
「私は毛がないからっていうのね」
「そう、あんたは私の次なのよ」
「言うわね、じゃああんたにはね」
ガラスの猫も負けじとエリカに言い返します。
「このピンクの脳とハートがあるかしら」
「その二つがっていうのね」
「そうよ、あるのかしら」
「あるわよ、ただ見えないだけよ」
エリカも言い返します、この娘も。
「けれど最高の脳とハートがあるわよ」
「私のこのピンクのものみたいな」
「ええ、あんたのと同じものがね」
「じゃあ毛並みでっていうのね」
「私の方が最高なのよ」
「あんたの身体は透けて輝かないわよ」
「この毛並みのよさを見て言えるかしら」
こう言い合う二匹でしたが。
その二匹にです、ジュリアが言いました。
「二人共どっちが最高とは言えないわよ」
「あら、そうなの」
「どっちともなの」
「どっちも同じ位よ」
ガラスの猫もエリカもというのです。
「私から見たらね」
「このガラスの身体が最高じゃないの?」
「この見事な毛並みが」
「透けて見える脳とハートが」
「あえて見せない脳とハートが」
「脳ならかかしさんが最高でハートは木樵さんでしょ」
それぞれこの二つについてオズの国で勝てる人はいません。かかしはオズの国で一番の知恵者。木樵はオズの国で最も心優しい人だからです。
「そうでしょ」
「まあその二つはね」
「その人達には負けるわ」
「そうでしょ、それにガラスの身体も毛並みもね」
ジュリアはそれぞれの自慢のもののお話をしました。
「そのままだと汚れたりするでしょ」
「まあそれはね」
「確かにね」
二匹もその指摘には頷くしかありませんでした。
「この身体はいつも磨いてもらわないと」
「ブラッシングが必要よ」
「洗ってもらうことも必要よ」
「お風呂は欠かせないわ」
「幾ら奇麗でもね」
ガラスの身体も毛並みもです。
「手入れしないと奇麗なままでいないでしょ」
「ええ、そうよ」
「どうしてもね」
「磨けば光るってものじゃないし」
だからというのです。
「それならどっちもね」
「同じ位なのね」
「差がないのね」
「私はそう思うわ」
二匹の間に優劣はないというのです。
「貴女達の間にはね」
「そうしたものはなの」
「ないのね」
「どっちも同じだけ最高よ」
そうだというのです。
「それで言い合うのはね」
「ううん、それじゃあ」
「どっちも最高なの」
「そうよ、優劣はないわ」
それこそというのです。
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