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新妹魔王の契約者~龍剣使いの神皇帝~

作者:黒鐡
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2巻
  対勇者戦(1)

戦闘が始まると同時に俺は空間から聖剣エクスカリバー擬態モードとなっている刀を取り出し、こちらへ向かって駆け出して来る高志を見た。あちらはスピードタイプの特性を活かした電光石火と言っていい程の急発進と急加速。高志に焦りもなければ胡桃も柚希もであり、開始と同時に奇襲攻撃は戦闘の常套手段で強さで劣る側が行う不意打ちだろう。

「速度的にはまあまあだが、力ではどうだろうな」

「お兄様、先程の策で参りましょう」

「そう言うと思ったぜ、深雪」

『深雪は私が守るから一真は行っちゃって』

早瀬高志は自ら前に出る事で、スピードタイプの加速に乗って一方的に来たがこちらはすぐに加速して槍に向かい剣で応じた。

「俺を本気にさせるんだったらもう少し力を付けるべきだったな」

「何を!おおおおおおおおおおおおおっ!」

『白虎』とエクスカリバー・・・・互いが繰り出した斬撃が交差したようだけど力が上だと感じた高志。今放ったのは力を見る為のであり、斬撃を捌きそのまま懐へ入る事だと理解したのか地面を蹴って横薙ぎの軌道で振るう。

「フン・・・・」

「甘いぞ小僧、そんなので俺を倒すなど百年早いわ」

エクスカリバーの間合いの外、長槍だからこそ届く間合いによる斬撃は風切り音だけであって俺自身は軽く避けただけである。俺は速度を緩める事なく、高志の横を抜けて胡桃と柚希らがいる所まで行った。三対二の戦いで、誰が誰の相手をするか戦闘における重要ポイントであり斯波はラードゥンの側にいる。高志・胡桃・柚希の三人なら、現在の戦闘力は間違いなく高志らがトップだと錯覚していた。

「・・・・何?」

「俺を倒すのであればまずは深雪に勝ってからそう言いな」

「どう言う事だ、俺を倒すのであれば一真が相手をするのだと思っていたのだが」

「長老達から『白虎』の持ち出し許可されているぐらいで、俺を倒せる何て考えは止めとけ」

「だとしたら・・・・」

「そう言う事です」

高志が視線を背中から前方へ戻すとそこにいたのは、可憐で清楚な妹兼娘の深雪がそこにいた。まだ剣や鎧を纏っていないが、隙無しの状態なので高志は動けずにいた。軽いドラゴンブラスターを放つと、爆音が包み込んだようだがこっちはこっちでやらせてもらおうか。俺は前へと駆けて、視線の先にいるのは二人の少女である柚希と胡桃。

「柚希、剣を抜け。今の俺は敵だ、抜かないとどうなっても知らんぞ」

「っ!」

「お姉!何なのこの殺気は・・・・アンタが刃更だと言うのはお姉から聞いたけど、嘘でしょ?五年前とは段違いの殺気を放ってるじゃない」

「胡桃は詠唱に入っているが、柚希は霊刀『咲耶』を抜いたな。そろそろこちらも始めようか!」

具現化した霊刀『咲耶』と共に『戦闘装束(バトルフォーム)』へと服装が変わった二人共で、戦う事に迷いがない柚希に対して剣で戦う。

「行くぞ・・・・柚希!」

「来い、一真!」

戦う意志を持ちながらも剣同士での鍔迫り合いとなり、力ではこちらの方が上だと感じたのか胡桃のフォローが入ったので横からの突風が俺を襲うようだが吹き飛ばす前に斬撃だけで風を叩き斬った。

「ほうやるじゃねえか、突風から暴風となり俺を宙に上げさせる魂胆だったようだが残念だったな」

「なっ!剣一振りだけで風を無効化させた!」

「おいおい、こんなのだけで驚いた顔をしていたら俺の相手は務まらないぜ!」

一度剣を右手に持ってから風刃の舞を喰らわせようとしたら、柚希と胡桃はマズイと思ったのか胡桃の力により風の力を借りて空を飛んだ。美しい東京の夜景を見下ろす位置まで避難したようだが、すぐに風術によって同じように飛んでから至近距離からの抜刀術をやった。風の力により躱したが、もし当たっていたら致命傷になるぐらいの傷だっただろう。

「お姉だけじゃなくて私をも上回るですって!それに私以外にも精霊を使って飛んでいる!?」

「胡桃、一真の力は精霊の力を借りて発揮させる。それも武装じゃなく周辺にいる精霊と会話出来るのよ」

「どこまでお姉を苦しめれば気が済むんだ、と言う顔をしているがそんな突風では俺を飛ばせないぞ?」

俺の風によって封殺したかに思えたが、こちらの方が精霊を味方にしているのであちら側だと弱まっているように見えた。胡桃狙いでもあったが、柚希も戦う決意をしたので二対一であっても優勢なのは変わらない。今回の戦いで柚希は戦力にならないと承知していた胡桃だったが、一真から放たれた殺気により強制的に決心を付けさせて戦闘開始させた。

「胡桃は高志対深雪により、勝つのは高志だと思ってんのか?」

「だったら何よ!いくらアンタの妹であっても『白虎』を持つ高志が勝つに決まってるでしょ!」

「チッチッチッ・・・・甘い、甘すぎる。俺ならば兎も角、深雪が高志に負けるとでも思ったら大間違いだ。あちらが『白虎』ならこちらはドラゴンの力を使うが、こちらは手加減しないとお前らを殺してしまう程だからな。精々瞬殺されないよう願ってるぜ」

「胡桃・・・・一真の言ってる事はホント。五年前と同じ、一真がまだ刃更だった頃と姉である私に後を付いて回る妹分のままだと見ているから」

勘違いでは無い程に、一真の力は五年前よりも違う力に目覚めたと言っていい程になっている。緑のオーラを覆いながら胡桃は己の魔力を解放した事で、ここから本気と出るのか怒りを見せていた。結界内にいた刀花と澪&万理亜、ラードゥンが障壁を斯波に囲って監視していたが状況を窺っていた事で想像以上に戦闘展開を読んでいなかった様子。

「ふむ。こりゃ柚希ちゃんと胡桃ちゃんは苦戦してる様子だね」

「当たり前だわ、一真の力を甘く見たからそう言えるのよ」

「澪様、本来だと私達が戦う側だったのですから」

「過去だと我が主は大人しい柚希さんと同様に、活発な胡桃は主にとれば妹のような存在だったらしいと。胡桃さんと戦う羽目になったとしても、想いを寄せる大切な幼馴染と妹が戦うのを放っておく事が出来なくて自ら戦う覚悟を決めた感じですね」

「一真は手加減をしている・・・・果たして本気を出せる程力があるのか」

この展開は最善であり、一対一とはいえ高志の『白虎』は先代魔王の娘を倒す為に《里》が持ち出し許可した特別な霊槍である。斯波が見た所、高志の相手をする深雪では負担が大きいと思ったらしいが空回りとなって考え方を改めた。

一真達の目指す結末は、この戦いに勝利と共に二度と《里》が手出ししないようにする為である。澪を消滅対象に指定し、守護する為に戦うとはいえ魔族の敵対勢力に狙われている。

「うーん、勇者の一族まで本格的に動き出したとしても敵に回したと言う感じではなさそうだねぇ」

「当たり前だ、一真を舐めていると後悔してももう遅い」

斯波と刀花が話していると、投影型の映像によって深雪は剣を抜いて槍との間合いに入ってから、剣劇をしていたが剣術だけでは時間稼ぎにはならないので禁手化する事となった。

「織斑深雪、本当だったら一真の相手は俺だったが相手として務まるのか?」

「ええ。私はお兄様からの命により、貴方をお兄様の元には行かせません。策だと時間稼ぎとも言いますが、私も少しだけ本気を出させて頂きます。・・・・禁手化!」

『Chaos karma Dragon Balance Breaker!!!!』

全身オーラが高まり続けて一瞬見えなくなったと思えば、深雪は蒼いオーラと共に鎧化した事で剣は鎧化の一部となっている。高志は目を開けるとそこにいたのは、女性のフォルムをした蒼い全身鎧でそのオーラは異種族共思える程である。本来だと澪と万理亜の策により、高層ショッピングセンター内に行くようだが深雪はそんな事をしないで正々堂々としていた。

「何だその鎧は?」

「この鎧こそドラゴンの力を具現化した物です。ティアマットまたはティアマトと言えば分かるかもしれませんが、私が纏ったこの力は五大龍王と呼ばれた『天魔の業龍(カオス・カルマ・ドラゴン)』ティアマットの力を鎧化にしたのですよ。貴方には分かるはずです、このオーラと『白虎』に勝るぐらいのね」

「ドラゴンの力を纏った鎧化など聞いた事がないが、ハッタリでもなさそうだ。その力、俺に見せてみろ!」

「少しだけ本気を出した所で、私達の勝利は変わりませんが精々瞬殺されないよう願ってますよ」

鎧化となった深雪に驚いたのは何も高志だけではなく、見学にいた斯波と澪&万理亜も初めて見る鎧化によって目を奪われていた。いくら西方を守護する役目を担う白虎は守るべき領域内に脅威となる敵だったとしても、白虎の力が発揮するかは分からないだろう。高志は感じなくとも白虎は無意識で感じていた、神族で上位神の女神雪音のオーラだと言うのをな。

「・・・・行きます」

「来い!」

「私の鎧が勝るか貴方の霊槍が勝るかは、戦闘によって分かる事です」

「ぐっ・・・・なっ!?」

深雪は近接格闘術である徒手空拳での戦闘に対して高志は、咄嗟の判断で防御を選択したが『白虎』の柄で深雪の蹴りを防いだと思えば想像以上のパワーによって受け止められず、高志は宙を横へと吹っ飛んだ。建物の壁にぶつかるが、直前に足でバネのようにしてから電光石火の如く深雪に向かう。が、深雪の姿が見えないと思えば、既に後ろに居た事に気付いた。

「欠伸が出る程遅いですね、本当に貴方はスピードタイプなのですか?」

「舐めんな!」

『白虎』をガードとして使った後、一度後方へ退避してから槍の先を深雪に向けて行くが槍の先を片手だけで防がれてしまった事で驚愕をする高志だった。そして霊槍の柄を持ち、そのまま三連衝撃拳で殴った事で後から高志の内に衝撃が広がり血反吐を吐いた。回避ばかりしていたかと思えば、逆に懐へ入られてしまったと言う隙が生んでしまったので驚愕と共に血反吐が出るぐらいに。

「ゴホッゴホッ・・・・何故だ、先週だと何も感じなかったオーラだから自分で倒せる程だと思っていたが勘違いだっただと?」

「私の力はこれでも手加減しています。最も私やお兄様が本気を出せばどうなるか、貴方も分かるはずですよ。そろそろ貴方が持つ『白虎』の力とやらを見せてほしいのですが」

「・・・・なるほど、今までお前を舐めていた俺だが今度は本気を出すから後悔するなよ」

「どうぞ、私に傷一つ負わせる事が出来たらの話ですが・・・・」

高志は反撃と言う刺突と斬撃を直線と曲線の攻撃を繰り広げながら、深雪を追い詰めようとしていたが手応えのない下からの斬り上げだった。『白虎』の刃を先程のようにして受け止めていたようで、高志はA級からS級へと認識変更をしてから『白虎』の力を使う。

「・・・・唸れ『白虎』」

周囲に旋風が発生し、深雪を後方斜め上へと吹き飛ばそうとしていたが逆にその力を使ってドラゴンの翼を使って飛行。そんで高志より上にて静止した事で、『白虎』は全てを薙ぎ払う豪風を生み出したとしてもそれは深雪にとって礼をしているとも言える。一方的な攻撃をしていたのは、何も深雪だけではなく一真のその中の一人でもある。 
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