世界をめぐる、銀白の翼
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
ひぐらしのなく頃に ~目覚し編~
次の日、蒔風はバイクで圭一の家の前に向かった。
エンジェルモートの場所を知らないので、一緒に行くことにしたのだ。
ちなみに他のメンバーは着替えだとかの準備があるらしいので先に行っているらしい。
「あなたが蒔風さんですか。うちの愚息をよろしくお願いします」
圭一の父親が挨拶をしてきたので蒔風も挨拶を交わす。
ちょうど圭一が出てきたので、ヘルメットを渡し雛見沢よりも発展した隣町、興宮に向かう。
長い山道を10分程下って行く。
「そこの店ですよ」
圭一のナビでエンジェルモートに到着した。
蒔風はバイクを消し、階段を上がって店に入る。
エンジェルモートはようはファミレスだ。
ただ・・・・
「なんだ・・・この店員さんの衣装は」
「すごいでしょう。これが興宮名物、エンジェルモートです!!」
(まるでメイド喫茶・・・あれ?ここって昭和58年だよな?)
蒔風がもっと考えようとしたが、蒔風の本能がストップをかけた。
「ま、悪くないし、いいか」
「舜さーん、こっちこっち」
圭一が席をとる。
蒔風もその向かいに座る。
「で、ここで罰ゲームってことは・・・ってか、お店でそんなことやっていいの?」
「この店、魅音のおじさんがやってるんですよ」
園崎家は雛見沢や興宮を含む鹿骨市の全域に影響を持っているいわゆる名士だ。
市会議員と県会議員にも園崎性の人がいるし、街の八百屋から弁護士まで、園崎家の人々がいる。
ここもそんな店の一つだ。
魅音は実を言うと園崎家次期当主だ。
だからというわけではないが、まあそれなのに融通がきくのだ。
「で、あれを?」
あれ、とはさっきから言っている衣装のことだ。
その衣装はほとんどコスプレだ。
足はほとんど出ていて、胸の上半分は出ていて・・・・描写に苦労するコスチュームである。
しかし言えることは一つ
エロい
「いやぁ・・・いいなぁ・・・眼福眼福」
「萌えって素晴らしいですよね!?」
「萌え?」
「あれ?知りません?萌えって言うのは」
「いや、知っている。知っているが・・・あれが萌え?」
「え、ええ・・・」
「ふぅ~、いいか前原圭一。貴様は萌えとエロをごちゃまぜにしているようだな。矯正してやる!そこになおれ!!」
「は、はい!!」
「確かに、エロと萌えを最近ごちゃまぜ逃げるしているものが多い。しかし諸君、忘れてはいないか。萌えとは、かわいい、愛おしいの延長線上のものであると!確かにエロに萌えを掛け合わせれば更に興奮するだろう。それゆえにきさまらの目は曇ったようだな。性的興奮と萌えは違うんだよバカヤロー!!それがわかるか前原圭一!!」
「オレは・・・萌えを見失っていたのか?・・・」
「そうだ!あのコスチュームは確かにいい。だか、萌えではない!例えればあれだ、「可愛い」と「綺麗」が別物なのと同じだ!!」
「お・・・・おお!オレの目は・・・今完全に覚めた!!」
「なにやってんだか・・・エンジェルモートにようこそ!」
そこに彼女たちがやって来た。
それは素晴らしかった。
魅音、梨花がブルマ姿、沙都子、羽入がメイド服、レナが巫女服だ。
「あぅあぅ!あれはボクの巫女服なのです!」
「ふむ、素晴らしい。イベントとかでコスプレに出れば優勝できるぜ、これは」
「イベント?」
「有あ・・・いや、今は晴海だな。そこのイベントでだよ。まあ、優勝とかはないけど、大人気にはなる」
「でもそんなとこまで行かなくても良くなくては?そういう場所はたくさんありますもの。ここで十分ですわ」
「こ・・・こんなとこだと?・・・お前・・・」
「まずい・・・沙都子逃げろ!!!」
「え?」
圭一の警告虚しく、蒔風の演説が始まった。
注意:ここから先、蒔風君の暴走が入ります
彼のイメージを壊したくない方は飛ばすことをお勧めします。
「馬鹿野郎おぉぉぉぉぉォォォォォォォォ!!!!!現日本文化の最前線、萌えの聖地になにいってんだあぁぁぁぁぁぁぁァァァァァァァァァ!!!!!!
お前が言っていることはあれだ、エルサレムにお祈りしに行くキリスト教信者に対して「祈るなら教会でいいじゃん」と言っていることと同じことだぞ!貴様には萌えがなんたるかを教えてやらねばならんな。特にネコミミだ。そしてメイド!スク水!制服!ブゥゥゥゥゥルマァァァァァァァァァ!うをぉぉぉぉぉォォォォォォ!!これで萌えないやつは男じゃない!そいつは自分を偽って生きているムッツリだ!まず、自分に誠心誠意仕えてくれるメイドさん!あの主従関係は特別なものだ!金を払って雇うのならそいつにメイドさんに仕えてもらう必要などない!メイドさんが自分に仕えてくれる、その代わりにご主人様である私たちはメイドさんを守ってあげるという契約ができるのだ!それをただの仕える人としか見ていないやつは真のご主人様になどなれはしない!!おぉォぉォォォォぉぉぉぉぉ!!次にネコミミだ。ネコミミはオプション、つまりパーツとして存在していた。だが今ではそれだけで主流となり、萌えの王道と言っても過言ではないところまできている。これに他の萌えコスチュームを着けたらどーなりますか!?足し算?かけ算?乗法?それ以上だあぁァぁァぁァぁぁぁぁぁぁァァァァァァ!!!!!!!ただえさえヤバイ萌えレベルなのにここまできたら、MAXを超えますよ!?あぁネコミミよ、永遠なれ!それにスク水!あの身体にフィットするのがたまらない!あれはボインな女子が着けてもだめなんだ。まだ発育途中の女の子が一番フィットしていいんだよ!なぜ無くなりつつあるのだ!?スク水ぅぅぅぅぅぅぅゥゥゥゥゥゥ!最後にブルマだ。あのはち切れんばかりの太股!もはやブルマと他の萌えアイテムと一緒に使用することが多いが・・・シンプルなものに究極が見え隠れする事がある!それがブルマなのだ!なのに今やブルマは絶滅!うぅゥゥゥゥゥゥゥッ!ブルマを返せ!ブルマ!カーーーーーームバーーーーーーーーーーァック!!!!!!!!ふ、ふはは、ふははははははは、ふははははははははははははははははははッ!!!!萌えは考えるのではない、全身で感じるのだ。萌えはある程度の常識を守り、それでいて理性で推し量るものじゃないんだ。萌えと理性はまさにトイレ用洗剤。混ぜるな、危険!それを混ぜると萌えは鎮圧され意味を失い、消滅してしまいます。もし萌えを感じられなくなったらどうなりますか?それはつまり我々のロマンの絶滅ッ!!その時、月は砕け悲しみの雨を地上に降らし、地球をアステロイドベルドが覆う!!それこそが預言書に記された最後の審判の日ッ!!全世界を偉大なる萌えのヴェールが覆いし時、真の萌王が復活する!!ふはははお静かに、諸君は世界最強の目の前にいるのだ!!跪けッ!命乞いをしろッ!小僧から石を取り戻せッ!!!同情するなら金をくれ!イタイ目で見るな軟弱者!!もうイヤだ?止めてくれ?ここまでくるので目が疲れた?お前なんかもう知るかってか?!やってみろ!だがしかし覚えておけよ、忘れるな!私は戻って来るぞああ来るさ!世界がどうなろうとも、そこに萌が存在する限り、我が存在と精神は不滅だあぁぁぁ!ふおおおおおおおおおお!!!!!」
「なに店でバカ騒ぎしてんですかこのスカポンタンが!!!!!!」
バギョ!!!バチチチチチチチ!!!!!
蒔風の体がグラリと傾き、座席に倒れる。
そこ後ろには魅音と同じ顔をした少女がいた。
その手にはふちの凹んだ金属トレーと、ごついスタンガンがあった。
彼女は園崎詩音。エンジェルモートでバイトをしている魅音の双子の妹だ。
「お姉、なんなんですか?この人」
「あー、その人ね。じつはね・・・」
魅音が詩音に蒔風の事情を話す。
すると詩音があきれた感じのため息を吐いた。
「そんなことホントに信じてんですか?」
そこに羽入が真剣に言った。
「本当なのです。彼は確かに別の世界の人間なのですよ」
「じゃあ・・・梨花ちゃまが狙われるって・・・やばくないですか?」
「でも、彼がいれば大丈夫なのですよ。あぅ」
「本当にですか?この人そんなに強くなさそうですよ」
「詩音、わかってないね。なぜ彼がこの罰ゲームで勝者の位置にいるのかが」
「・・・まさか・・・勝ったんですか!?お姉たちに!?」
圭一が昨日の部活の事を詩音に語った。
詩音は驚いていたが、みんなが本当のことを言ってるかどうかはわかるらしい。
「そうですか・・・」
「む・・・・はっ!!おれはしょうきにもどった!!!!」
「もう起きたんですか!?」
「詩音!!あんたスタンガンどんだけ強くしてたの!?」
そうしてみんなでくっちゃべって時間が過ぎる。
お昼ごろになって詩音が用事があるからと抜けたが、皆は夕暮れになるまでそこで遊んだ。
帰りは蒔風が誰にも見られないように車を出し、それにみんなを乗せて帰る。
魅音、レナ、圭一を降ろし、梨花、沙都子、羽入を送った。
梨花と聡子と羽入は一緒に暮らしてる。
両親ともに既に他界してるらしく、がんばって生活してるんだそうだ。
そしてみんなを送りきって、車を消して帰る蒔風。
テントに戻る途中、止まっているスクーターを見つけた。
「どうしたんだ?詩音」
そこで止まってるのは詩音だった。
どうやらパンクしたらしく、どうにもならないそうだ。
「いやぁ・・ま、いいですよ。このまま今日はお姉の家に泊まっていきますよ」
詩音と魅音は別々に暮らしており、詩音は興宮に住んでいる。
ここから歩いて帰るのは危険だ。
「でも、お前の用事って雛見沢にあったんだな。なんのようだったの?」
「・・・・あんた、他の世界から来たんですよね?」
「そだよ」
「だったら、この世界では無理なことでも、できますか!?」
「・・・何かによる。言ってみ?」
そうして詩音は話し始めた。
雛見沢症候群
その病気の末期症状にかかってしまった少年、北条悟史。
詩音の想い人で、沙都子の兄だ。
雛見沢症候群の原因はウイルスのような寄生虫らしい。
それは感染した人間が死ぬと身体から消え、故に長らく解明されてきていなかったものだ。
現在ではこの村の診療所の地下の研究所で、密かに解明が進められているが、いまだ進展はない。
そこで彼は目覚めるのを待っているのだ。
そんな彼を、詩音は毎日のようにみまっていた。
今日もその帰りだそうだ。
「あんたがこの世界の人間じゃないなら、ほかの世界の方法で、何とかできませんか?」
「・・・一つだけ聞こう。なぜ?」
「もう・・・沙都子を一人にしたくないんです。悟史君を、起こしてあげたいんです!!」
それを聞いてニッ、と蒔風が笑う。
「残念だな。お前の願いうんぬんより、オレがそいつを助けたくなっちまった」
「え?」
「ダメだな・・人の願いを奪うなんざ。でもまあ、結果オーライか」
「それじゃ・・・」
「連れてけよ。どこにいるんだい。愛しの悟史君は」
詩音が来た道を戻り、蒔風を案内する。
もうあたりはすっかり暗い。
街灯もないので本当に真っ暗だ。
それでも詩音には慣れた道で、すいすいと進んでいく。
そしてこの村の診療所「入江診療所」についた。
詩音がカードを通し、地下までの扉を開く。
そしてその突きあたりに、一つの病室があり、そこに一人の少年が眠っていた。
彼こそが北条悟史。
雛見沢症候群の末期者だ。
「入っても大丈夫か?警報とかは?」
「大丈夫ですよ。私のカードはここのトップの人からもらったものですから、警報は鳴りませんよ」
「では・・・ふむ・・・このベルト、取っても大丈夫なのか?」
詩音曰く、それはだめだそうだ。
彼は末期症状者。
彼の眼に映るものはすべて敵に見えるらしく、異常な凶暴性をもって襲いかかるそうだ。
それを詩音が悔しそうに言った。
「だったら・・・何とかするか手始めに・・・と」
蒔風が力を借りる。
その右手が一瞬だけ光る。
「さて、この幻想は殺せるのか?」
蒔風が悟史に触れる。
しかし何も起こらない。
「やはり・・・病気相手じゃ無理か・・・じゃ、次」
蒔風が次の力を借りる。
そして爪を少しだけ悟史に食いこませる。
そこからナノデバイスを送り、雛見沢症候群を消そうとするが・・・
「ナノより小さい?クソっ。だったら・・・そういえば、雛見沢症候群って、死んだ奴からは一切見つからないんだよな?」
「そうですけど・・・」
「だったら簡単じゃん」
蒔風が悟史の、ちょうど心臓の真上に手を乗せる。
そして一気に衝撃を送りこんだ。
周りの計器がピーーーーと静かに、一斉に鳴った。
その光景に詩音は取り乱した。
なぜなら、心拍計が0を示しているのだ。
つまりそれは、悟史の死を意味していた。
「な、なにをしてるんですか!!悟史君っ!?」
「静かにしてろ!!大丈夫だ。大丈夫」
そう言って蒔風が力を借りる。
全身に電気がほとばしる。
「オレの雷旺じゃこんな精密作業はできねえけど」
その手を再び悟史の胸にあてる。
「さあ、最強の|電撃使い(エレクトロマスター)の力の見せ所だ」
そう言って電流を流し、ふたたびその心臓を動かしていく。
悟史の心臓が動き出す。
そして一つを除き、すべての計器がさっきと同じ数値を示していた。
その一つとは
雛見沢症候群の進行度を表す数字。
それが問題なしの1にまで下がってるのだ。
「あ・・・・さ、としく・・・・」
「まあ、まだまだ目は覚めないだろう。でも、一週間以内には」
「あ、ありがとうございます!!!本当に・・・本当に・・・・」
蒔風の手を握り、詩音が泣きながら頭を下げてくる。
それを見て蒔風が頭をかきながら言った。
「言ったろ。オレが助けたいと思っただけだ。それに、早くずらからないと、さっきの計器の音、絶対知られたろ」
「はい!!悟史君、また明日ね!!!」
それに答えるものはいない
しかし、彼が目覚めるまで彼女はずっと待っていたのだ
あと一週間
なんてことはない
そうして診療所から出て、詩音を園崎家前まで送る。
詩音が泊まってくよう言ったが、蒔風は遠慮した。
現当主のお魎(りょう)がどんな人間か、頭に情報が流れたからだ。
それはそれは恐ろしいばあさんだった。
蒔風がテントに戻り、トイレをすましてからご飯を用意して、食べた。
星が昨日より、綺麗に、美しく見えた。
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この世界に使えるものはねぇな
しゃーないか
今回は自力でいくかね
あの野郎には|ワーリ(ワールドリンク)があるのにオレにはないとか卑怯だろうよ
ま、明日にでも潰しに行くかね
to be continued
後書き
アリス
「なんですかあの途中の大演説」
ひぐらしらしさを・・・あれ?
アリス
「途中になんか入江のメイドインヘブン入ってますし」
アリス
ア「次回、「奴」きまっす!!」
ではまた次回
あなたは今どこで何をしていますか
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