英雄伝説~菫の軌跡~(零篇)
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第38話
~ミシェラム~
「しまった………!」
汽笛を聞いたロイドが叫んだその時、水上バスは去って行った!
「お船、行っちゃったね~。」
「そんな………まだ出航時刻では………」
「騒ぎを聞いて出航を早めたのかもしれないわ……正しい判断といえばそうかもしれないけど………」
「僕達にとっては最悪の判断だったみたいだね。」
去っていく水上バスを見たキーアは呟き、ティオは戸惑い、ティオの疑問にエリィが答え、ワジは真剣な表情で呟いた。
「いたぞ………!」
「追い詰めろ……!」
するとその時マフィア達の声が聞こえて来た!
「くっ………」
「ジョーカーお兄さん達が攪乱しているのに、そっちには目もくれずにレン達を追いかけるなんて、中々やるわね。」
「逃げるだけ逃げるぞ!ボートかなんか波止場に泊まってるかもしれねえ!」
「ああ………!」
ランディの提案に頷いたロイドは仲間達と共に波止場に向かったが、船らしき物は何もなかった。
「チッ………何もねえのかよ!」
「くっ………このままじゃ……!」
何もない湖面を見たランディは舌打ちをし、ロイドは考え込んだ。するとその時銃を持ったマフィア達が攻撃を仕掛け、エリィやティオ、レンが牽制攻撃を行いながら後退し、ランディ、ワジがしんがりを務めてマフィアや軍用犬達の攻撃を受け止め、エリィ、ティオ、レンが二人の後方から援護をしながら、徐々に後退して行き、ついにロイド達は行き止まりまで追い詰められた!
「囲まれちゃった………」
「……ここまでか……」
「―――仕方ないわね。レンの別荘を貸してあげるから、そこを一時的な避難場所にするわ。まずは速攻で目の前のルバーチェの下っ端さん達を―――――」
キーアが呟き、ロイドが悔しそうな表情で呟き、レンが提案しかけたその時
「やれやれ………テメェらだったとはな。」
ガルシアが数人のマフィアや軍用犬達を連れてロイド達に近づいてきた。
「ガルシア・ロッシ……」
「支援課のガキども………ずいぶん久しぶりじゃねえか。クク、道理で見た事のあるガキどもだと思ったわけだ。まさか招待カードを手に入れて競売会に潜入するとはなァ。」
ロイドに睨まれたガルシアは不敵な笑みを浮かべた。
「………別に警察の人間が参加しちゃいけないという決まりは無かったみたいですけどね。」
「ああ、別に構わないぜ?来る者は拒まず………お得意様だったら大歓迎だ。しかしまあ、正直侮ってたぜ。まさか”黒月”と結託してここまでの騒ぎを起こすとはなァ。」
「へいゆえ?」
「な、なんでそうなる!?」
「………”銀”と私達は何の関わりもありません。気絶した部下の方達に聞いてみたらどうですか?」
「むしろ侵入していた彼を追い払ったようなものだしね。」
ガルシアの話を聞いたキーアは首を傾げ、自分達が”黒月”と共謀している事に疑われている事にロイドは戸惑い、エリィとワジはそれぞれ自分達ではない事を言った。
「んー、そうなのか?………ま、そんなのは今更どうでもいいんだよ。問題はテメェらが俺達の面子を潰したこと……その落とし前だけはキッチリと付けさせてもらわねえとなあ……?」
「………投降すると言っても聞いてくれなさそうですね……」
「クク、せっかくの狩りに獲物の悲鳴を聞かないってのも締まらねぇ話だろ………?安心しろ………命までは取るつもりはねえ。腕の一本か二本で勘弁してやるからよ……!」
ロイドの言葉にガルシアは凶悪な笑みを浮かべ、手甲を付けた拳を構えてロイド達を見つめた!
「っ………」
「本気みたいですね……」
「ったく、トシを考えろよ、オッサン。」
「クク、せいぜい楽しませてくれよ?久々の狩りで血が滾っているこの”キリングベア”をなァ!!」
エリィ達に睨まれたガルシアは凶悪な笑みを浮かべて叫んだ!するとその時!
「クク、狩られるのは果たして”どちら”やろうな?」
「何……っ!?」
ガルシアの背後から軽そうな男の声が聞こえ、それを聞いたガルシアが驚いて背後に振り向いたその時ガルシア達の背後にいたゼノがブレードライフルでガルシア達を銃撃した!
「うお……っ!?」
「ぐ……っ!?」
「喰らえ……っ!」
「チッ……!」
銃撃でマフィアや軍用犬達が怯んでいる間にゼノと共にいたレオニダスはガルシア達に一気に詰め寄って斬り込み、それに気づいたガルシアはマフィア達の前に出てレオニダスの奇襲攻撃を受け流し、攻撃を受け流されたレオニダスはそのままゼノと共にロイド達がいる所に向かって、ロイド達の前に到着すると立ち止まってガルシア達へと振り向き、それぞれの武器を構えた!
「へ………」
「貴方達は一体………」
「!テメェらは……!”西風の旅団”の連隊長――――”罠使い(トラップマスター)”ゼノに”破壊獣”レオニダス……!」
二人の登場にエリィは呆け、血相を変えたランディは厳しい表情で声を上げた。
「ええっ!?”西風の旅団”………!?」
「へえ?随分と大物が出てきたじゃないか。」
「あの若頭さんが以前所属していた猟兵団に所属している猟兵達がどうしてわたし達の味方に……」
「!まさか彼らも……!」
「うふふ、助けに来るのが絶妙なタイミングだったけど、もしかして狙っていたのかしら?」
ランディの口から出た二人の正体を聞いたエリィは驚き、ワジは興味ありげな表情をし、ティオは戸惑い、二人が自分達を味方している理由を察して信じられない表情で自分を見つめるロイドの様子を気にせず、レンは笑顔を浮かべて二人に問いかけた。
「いや~、別に狙っていたワケとちゃうで?」
「屋敷からの増援を全て無力化してから急いで駆けつけた結果、偶然このようなタイミングになっただけだ。」
レンの問いかけに対して二人はいつもの調子で答え
「それにしてもまさかホンマに、”こういう事態”に陥るなんてな~。正直、さっき連絡が来た時もマジで驚いたで。」
「………久しぶりだな、”キリングベア”――――ガルシア・ロッシ。」
ゼノは苦笑しながら呟き、レオニダスは静かな表情でガルシアを見つめた。
「ああ……俺が団を抜けてからは一切会っていないから8年ぶりくらいか。それよりもテメェら……一体何のつもりで警察のガキどもの味方をしている?」
レオニダスの言葉に頷いたガルシアは厳しい表情でゼノとレオニダスを睨んだ。
「クク、何を寝ぼけた事を言ってんねん。猟兵が動く理由は”契約”しかあらへんやろ?」
「何だと……っ!?警察の安月給で最高ランクの猟兵を雇えるはずがねぇ!――――――――!!まさか……市長の差し金か!?」
ゼノの話を聞いて信じられない表情で声を上げたガルシアだったがエリィに気づくと厳しい表情でエリィを睨んだが
「……生憎ですけど”マクダエル家”に猟兵のような”裏の仕事”をする人達の伝手は一切ありません。それはハルトマン議長と親しい関係であり、お祖父さまの第一秘書を務めていたアーネストさんともどこかで繋がっていたと思われる貴方達が一番良くご存知なのでは?」
「チッ………―――答えろ、ゼノ、レオ!テメェらを雇ってそこの警察のガキどもの味方にするように依頼したふざけた野郎はどこのどいつだ!?」
エリィの正論を聞くと舌打ちをしてゼノとレオニダスを睨んで問いかけた。
「クク、何を甘い事を言ってんねん?そんな大事な情報を”部外者”のお前に教えてやるわけにはいかへんやろ。」
「8年前に団を去って”ルバーチェ”に所属したお前は”部外者”だ。既に我らは袂をわかった。”部外者”に団の情報を教えられる道理はあるまい。」
「………ッ!」
不敵な笑みを浮かべるゼノの指摘に続くように答えたレオニダスの答えを聞いたガルシアは表情を歪めて唇を噛みしめた。
「フフ………さすがの”キリングベア”も追い詰めたはずの鼠にまさかこのような”牙”が隠されているとは思いもしなかったようだな。」
するとその時なんと”銀”がロイド達の傍の空間から現れた!
「ほえ~……何もない所からいきなり現れたね~。」
「なっ………テメェは!!」
「”銀”!?」
「ど、どうしてここに………」
「チッ、ただでさえ厄介な事になっているっていうのに………」
銀の登場にキーアは呆け、ガルシアは銀を睨み、ロイドは驚き、エリィは戸惑い、ランディは目を細めて銀を睨んだ。
「フン、勘違いするな。私の相手はお前達ではない。」
しかし銀はロイド達の予想とは逆に得物である斬魔刀を構えてロイド達に味方するかのようにロイド達の前で武器を構えている”西風の旅団”の猟兵の二人と並んだ!
「何ィッ!?」
「なっ………!?」
「おいおいおい……!一体何を考えているんだよ!?」
「うふふ、もしかしてレン達に加勢してくれるのかしら?」
銀の行動にガルシアとロイドは驚き、ランディは信じられない表情で声を上げ、レンは意味ありげな笑みを浮かべて問いかけた。
「――――脅迫状の件で私の依頼を完遂した報酬代わりだ。バルバトス・ゲーティアの時同様今回も特別に手を貸してやろう。」
「………助太刀感謝する。それとそちらのお二人もありがとうございます。これより目の前の障害を無力化し、ミシェラムから脱出方法を探る。行くぞ、みんなっ!!」
銀の話を聞いたロイドは銀やゼノとレオニダスに感謝の言葉を口にした後仲間達に号令をかけ
「おおっ!!」
ロイドの号令に仲間達は力強く頷いてガルシア達との戦闘を開始した!
後書き
と言う訳で既に予想していたと思いますがミシェラムでのガルシア戦ではまさかの”西風の旅団”の二人と銀のゲスト参戦で戦いますwwなお次回の戦闘BGMは原作通りか閃Ⅱの”Severe Blow”のどちらかだと思ってください♪
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