世界をめぐる、銀白の翼
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
とある魔術の禁書目録 ~とある二人の誤答考察~
「風紀委員第177支部 白井黒子ですの。あなたの身柄を、拘束しますわ!!」
風紀委員
志願学生による、学園都市の治安機構の一つ。
あれだけ暴れたのだ。
確かに、監視の目に引っ掛かるのは至極当然のこと。
ともあれ、気にするのはそれよりも足元のこれだ。
(この鉄矢・・・どっから来た?・・・ま、とにかく)
蒔風が屈伸して、ジャンプする。
ジーンズの裾がビリビリと裂けたが特に気にせず、ビルの屋上に向かって跳んだ。
「ま、めんどいし、このまま」
蒔風が逃走しようとする。
着地し、駆け出し、このまま逃げるか。
そうプランを立て、そのつもりでと足に力を込め準備する。
だが、飛び上がった先。
屋上に立つ少女の声が、蒔風のプランを打ち壊す。
「このまま、どうするおつもりですの?」
「な!?」
着地しようとした地点。
驚くはずである。そこには、ついさっき地上で顔を合わせていた少女が立っていたのだから。
(こいつも高速移動か!?気配なかったぞ!?)
蒔風が思考に身を固めると瞬間、黒子の姿が蒔風の目の前の宙に突如として現れた。
「なぁ!?ブェ!」
黒子が蒔風の顔面にドロップキックをかます。
ビルのフェンスにぶつかるが、老化していたのか。蒔風の体重に耐えられず、また地面へと落下してしまった。
着地し、鼻の辺りをさすりながら蒔風が周囲を警戒する。
(なるほどね・・・瞬間移動者か!!)
推測する。
そこで、答えを示すかのように黒子も蒔風の前にテレポートしてきた。
「さあ、観念してもらいますわよ。大人しく御縄につきなさい!」
(テレポーターってことは力のほとんどは視力に頼っているはず・・・だったら・・・)
「・・・どうやら、大人しくしているつもりはないようですわね。でしたら!!」
黒子がスカートで隠れてる、太ももに巻き付けられたベルトにある新たな鉄矢に手を伸ばす。
しかし、蒔風が一瞬早く動いた。
「乱立!畳返し!!」
ドガガガガガガガ!!!
蒔風が地面を両手で叩き弾く。
すると蒔風と黒子がいる広範囲に、バラバラに地面が起き上がる。
突如として地面の板が何枚も起き上がり、視界を遮られた黒子は、別の事に気を取られていた。
(たしか報告であった映像では彼の能力はパイロキネシスでは!?どういうことですの!?)
そんなことを考えているうちに、畳返しのうちの一枚が黒子に飛んできた。
蒔風が蹴り飛ばしたのだが、向こう側の見えない黒子はそんなことには気付けない。
むしろ「物を飛ばす」という能力も持っているのでは、と勘繰ってしまう。
(いいえ・・・・多重能力者なんてありえませんわ!!きっとなにかあるはずですの・・・なにか・・・!!)
そこにさらに蒔風が畳返しを蹴り飛ばしてきた。
それを飛んできた物の後ろに回り込んで回避する黒子。
そして襟元を捕まれた。
蒔風は蹴り飛ばした畳返しの裏についていくかたちでジャンプしていたのだ。
完全に意表を突かれた黒子は混乱にとっさのテレポートもできず、地面に叩きつけられそうになる。
しかし
「うお!?」
そこに電撃の槍が飛来し、蒔風を襲った。
蒔風が吹き飛ばされ、土煙が上がる。
黒子は叩きつけるまではされなかったものの、中途半端なところで投げ出されてしまい、苦しそうに咳込みながら喉を押さえた。
「そろそろあたしも手を出させてもらうわよ。いいわね?」
「お、お姉様・・・」
「後輩の尻拭いくらいはしてやるわよ」
「お姉様・・・」
「だからあんたは大人しく・・・い゛っ!?」
もう一人の少女が現れた。
その少女、御坂美琴が黒子の方を見ると、目を異常にキラキラと輝かせていた。
「あぁ!お姉様!!黒子の、この黒子の敵討ちの為にお姉様が立ち上がって!!!黒子はもう昇天してしまいそうですわ!!」
そんなこといって黒子は身を悶えている。
しかし、体力が尽きたのか本当に昇天してしまったのかはわからないが、黒子はパタリと気絶してしまった。
御坂はそんな黒子を放っておき、蒔風が吹き飛んだ方を睨む。
煙の向こうから蒔風がひょっこり出てきた。
「なるほど。学園都市超能力者・レベル5の第三位、超電磁砲(レールガン)の御坂美琴か。どうしてなかなか・・・・電撃使いの頂点と言うだけあるな」
「私のこと知ってんのね・・・ま、そりゃそうか・・・あんた!私の後輩が世話になったわね!今度は私の相手をしてもらうわよ!!」
「はは・・・超電磁砲だかレベル5だかなんだか知らねぇが、それだけじゃお前の勝因にはなりえないね」
口上を述べ、それと同時に
ほとんど不意打ちに近い形で、御坂が蒔風に電撃を投げつける。
それを蒔風は「風」で巻き上げ、地面に向けて奮った。
方向を変えられた電撃は地面を少しえぐった。
「へぇ・・・この程度は効かないか・・・でも、あんたの力、少しわかったかも」
「ほっほっ!オレさんの能力がわかった?じゃあ、答えてみてくれ。正確かどうか採点してやろう」
「あんたの能力はずばり・・・原子操作!」
「炎は火の原子を空気中の酸素を操って、畳返しも原子を構築し直して作り出しただけってか?」
「でも、そんな能力、あたしの電撃で・・・なに?なにが可笑しいのよ」
あんたの能力はわかったと、意気揚々と語る御坂に、蒔風が頬を膨らませてニヤついていた。
プフー、とばかりにわざとらしく吹き出し、それから軽快に息を吐き出して語りだす。
「いや、可笑しいてっの。ははは。オレの力は、そんなもんじゃないよ。圧水砲!!!」
そして今度は蒔風の攻撃。
先ほどの御坂のように、不意打ちのように撃ち出される水の砲撃。
「!?チッ!!」
バツッ!!ボッシュァ!!!
それを、電撃によって即座に吹き飛ばす美琴。
だが防げたとしても、疑問ばかりが脳内をぐるぐると周回していく。
「どぉーだい?これでもまだ、原子だとか言ってられんのかい!?」
さらに雷旺弾を撃つ。
が、これは美琴に吸収されてしまう。
まるで、この攻撃にはどう対処するのかと、試しているかのように打ち出す蒔風。
そして、一通り気が済んだのか、拳を握ってよし!とやる気をだし
「ま、そうなるわな。でもこうして見ると、見たくなるよな。電気対決!!!」
蒔風が美琴に向かって右腕を伸ばす。
「力を借りる!!(パァン!)バルディッシュ!!セットアップ!!」
《yes,sir.set up》
異世界の仲間の力を借り、蒔風の服が黒く染まって、腰に赤いベルトがつく。
自分の服装を恐る恐る確認し、男物の服装に代わっているのをみて安堵の声を上げる。
「あーー、よかった。色が変わるだけか。ま、さすがに男のオレがあの恰好はいけないもんな」
「な、な、な、な・・・・」
「どうした、やらないのかい?」
「なんじゃそりゃーーーーー!!!」
ドバァ!!!
《Photon lancer》
御坂の額から放たれる雷撃と、雷をまとった魔力弾が正面からぶつかり合う。
周囲に雷を放ち、糸のような電火を走らせながら、両者のそれは弾けて消えた。
「っと、さすがに電気量じゃあっちのほうか上か・・・」
「なんなのよあんた!!」
「気にすんなよ。ただの・・・そう、ただの世界最強だ」
「世界・・・最強?」
「そそ。んじゃ、そろそろ帰りたいんで、一気に終わらせますわね」
バシィ!!という音とともに、御坂のバランスが崩れる。
何事かと足元を見ると、美琴の両足がバインド魔法で固定されていた。
御坂からすれば未知の現象。
そうしてうろたえているうちに両腕もロックされ、身動きが取れなくなってしまった。
そして、その無防備な御坂に向かって、蒔風の容赦のない一撃が叩き込まれる。
《Phalanx Shift》
「ファランクス・シフトォ!!!!」
先ほど以上の雷のこめられた砲弾が、動けぬ御坂に向かって飛来していく。
手足は動かない。
とはいっても、彼女は学園都市の超能力者・レベル5の第三位。
この程度で沈む、そんな第三位では当然ない。
ピィン・・・・ドジュァ!!!!!
あはは、と笑っていた蒔風の声が止まる。
一筋の光線が蒔風のわきを通り過ぎて行ったのだ。
砲弾は、強力な電磁膜にはじかれていた。
電撃魔法にしたのがあだになったか。
冷や汗が垂れ「あり?」とひきつった笑みを浮かべる蒔風。
百人が見て百人が「焦ってる」と断言できる表情だ。
「はい?」
「あんたがどうやって手首足首縛り付けたかは知らないけどね・・・こちとら指先一本でも動けば十分なのよ」
煙の中から美琴が腕を突き出してきている。
その指先にはコインが一枚。
ドシュ!!!ゴゴオッ!!!
今度は外さない、と的確に蒔風を狙ってくる。
超電磁砲
彼女の代名詞だ。
本来、彼女自身の能力は電撃使い。
だが、彼女がこの攻撃を得意とするために、彼女自身がつけた名前。
電気を操作する彼女にとって、ゲームセンターのコインを電磁で打ち出すなど、そう難しいことではないのだ。
再び放たれる超電磁砲。
蒔風がそれをバルディッシュで弾くが
ベキイッ!!!
「ンな、折れたァ!?」
バルディッシュがあろうことか、真ん中からひん曲がって折れてしまったではないか。
さすがに耐えきれなくなり、蒔風の手元からバルディッシュが消え、さらに服装ももどっていく。
「バカですかあんた?あたしのこれ真っ向から受けたらそうなるわよ。あいつ以外だけど・・・・」
「くそ・・・まだ一分しか使ってないのに退場かよ・・・まただし直すのもありだけど・・・・」
「さ~~あ、観念しなさい。あんたもこれ以上怪我したくないでしょう?」
「・・・怪我・・・怪我、ねぇ?」
バチバチバチ
「!?」
「どうやら精密操作と総電気量はそっちの方が上見たいだが・・・」
ババババババババ!!!!
「チッ!!!後悔しても知らないからね!!!」
「オレの方が攻撃力は高い。持久戦に持ち込むべきだったな」
ピィン・・・・
美琴がコインを指で弾く。
コインが宙を舞い、美琴は腕を蒔風に向け、標準を合わせる。
そしてコインが腕の前まで落ちてきたらレールガンを放つ。
それだけのことである。
だが
それよりも早く、蒔風の雷旺砲が襲いかからなければ、だが
ドゴゴゴンゴンゴンゴン!!!!!!!
雷の嵐。
大地を抉り、ただそこには「破壊」の跡だけがあった。
「どうだい?オレの雷旺砲。ま、これでもまだ本気ではないんだけど」
チーーーン、と
コインが静かに落ち、地面に当たった。
美琴は立ち尽くしている
雷旺砲は美琴を直撃せず、脇を通過しただけだった
「これで充分だろ?オレは帰る。お友達もちょっと揺さぶっただけだから、怪我してないし。あと二、三分で目ぇ覚ますよ。じゃね」
「待ちな・・・さいよ」
「ん?」
「ふざけないでよ!!学園都市第三位の私を相手にして去っていくなら!!!」
バチバチバチバチ!!!
「いっ!?ヤベッ!!」
「あたしをしっかり倒してから行きなさい!!!!」
ドシュっ!!!!
美琴がレールガンを放つ
音速の三倍で放たれたゲームセンターのコインは一筋の光となって蒔風に迫る
しかし
それは蒔風には当たらず途中で軌道を変えて空に伸びていった。
「・・・・な・・・んで」
美琴が蒔風をにらみつける。
蒔風は「火」の切っ先をを美琴に向け、真っ直ぐに伸ばしていた。
レールガンが飛来した瞬間
蒔風は飛んできたコイン―――弾丸に向け「火」を構えた。
そしてその切っ先にそっ、と当て、軌道をそらしたのだ。
一瞬で飛来する弾丸に即座に反応し、寸分の狂いもなく切っ先にあて軌道をそらす。
説明されずとも、美琴はわかっていた。
わかっていたが信じられなかった。
信じたくなかった。
「あいつ」に効かないのはわけわかんない力が作用してるのはわかる。
それは「わけわかんないモノ」だからまだ納得がいく(気がする)。
自分より高位の能力者に効かないのはその特性や性能故にだ
しかしこの男は、自らの技量のみでレールガンを攻略した。
もし蒔風が何らかの力で無理やりはじいたり、かき消していたらこうは思わなかっただろう。
だがそうではなく、たった一本の日本刀と、たった一本の腕だけで。
なんの能力も使わずに攻略されたのだ。
勝てない、と美琴に思わせるには十分だった。
そして蒔風は今度こそビルに飛びあがり、姿を消す。
美琴は目を覚ました後輩の怪我でも見ようとしたが、かすり傷一つ負ってなかった。
若干電撃で手足がしびれるくらいだ。
(あいつ・・・何者なのよ・・・)
それを彼女が知るのはまだ先のことである。
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屋上を跳ねていき、蒔風が病院へと戻る。
道ははっきりと覚えていないが、「奴」の欠片との交戦時にジャンプしてきたあとが残ってる。
たどっていけば、帰れるだろう。
だが、学園都市に蒔風の平穏はないのだろうか。
一発の銃弾が、蒔風に向かって飛んできた。
蒔風はそれを難なく弾くが、このまま帰るわけにもいかない。
蒔風は鉄骨を組まれた建設中の工事現場に降り立った。
「ンだァ?仕事で渋々来てみりャあよ、こンな弱っちそうな奴が侵入者だァ?」
そこに足を踏み入れる一人の少年。
その髪は白く、服は黒を基調としていて
「ッたく。なーーンで、オレがいちいちよォ。こンな配役なーンでーすかーー??」
「お前は?」
「はン!!お前オレを知らねェの?いいねェ。面白おかしくなってきたかもなァ!?」
学園都市最強のレベル5、一方通行(アクセラレータ)がそこに立っていた
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窓も扉もないビルの中のカプセルの中。
アレイスター・クロウリーは思考していた。
(さて・・・あの男は我々で制御できるものなのか、それともそれ以上のものなのか・・・試させてもらおう)
目の前のモニターにはこう映っていた
《「グループ」構成員、一方通行に指令。正体不明の侵入者と交戦し、これを撃破せよ》
《かの男の力量を図るため、学園都市第一位との交戦が最も好ましい》
《地点、×××××、×××××にて交戦開始》
to be continued
後書き
アリス
「次から次へとなんなんですか!?」
言ったしょ?
この世界じゃ戦ってばかりなのさ!!!
でもこう考えるのが普通なんですよね。
アックア・レプリカと戦う
↓
風紀委員+超電磁砲登場
↓
上層部からの依頼で一方通行登場
ちなみにこれからはルビも括弧も抜きで「一方通行」て統一します。
アリス
「次回、VS最強のレベル5。蒔風の戦法は!?」
ではまた次回
たとえ俺達がどれだけのクズでも、どンな理由を並べても、それでもこのガキが殺されて良い事なンかならねェだろォがよ!!
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