| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

Blue Rose

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第十四話 表に出てきてその八

「そうさせてもらうよ」
「有り難う」
 優子は優花の今の言葉を受けて彼に礼の言葉を述べた。
「それじゃあその信頼にね」
「応えてくれるんだ」
「そうする様に務めるわ」
「そうなんだね、じゃあ」
「大人がすることは任せて」
 優子はその大人としてだ、弟に言った。
「姉さんがやるから」
「大人がすることは」
「そう、全部やるから」
「じゃあ僕のこれからのことは」
「女の子に本格的になりだしたら」
 その時のことをだ、優子はあえて言った。
「周りも気付くでしょ」
「そうだよね」
「だからね」
「その時はなんだ」
「少し身を隠さないといけないから」
「僕が女の子になるまで」
「それからのこともあるから」
 優花が完全にだ、女の子になってしまった時もというのだ。
「任せてね」
「それじゃあね」
「そう、その時もね」
「姉さんが全部やってくれるんだ」
「戸籍のお話もあるから」
「男の子から女の子になったら」
「そのこともね」
 戸籍は絶対に関わる話だ、何しろそこから様々な法的なことや権利が生じるからだ。逆に言えば戸籍から全てがはじまるのだ。
「あるから」
「だからだね」
「任せてね」
「それじゃあ」
「ただ、高校生の間はね」
「その間はだね」
「八条学園に戻らない方がいいかも知れないわね」 
 優子はこう考えその考えを優花に話した。
「貴方のことを皆が知ってるから」
「高等部の皆が」
「そう、若し女の子になっても」
 それでもというのだ。
「貴方のことに気付く子がいるから」
「どうしてもだね」
「そうしたらおかしなことになるでしょ」
「それで高等部はだね」
「戻らない方がいいかしら」
「大学は?」
「その時は時間も経っているから」
 高等部からというのだ。
「もう貴方のことを忘れているわ、龍馬君は別としてね」
「うん、龍馬はね」
「貴方のことを忘れないわ」
「友達だから」
「けれど他の子はね」
「もう僕が高等部からいなくなったら」
「貴方のこと、特に顔や外見のことをね」
 そうしたことまでというのだ。
「忘れるわ、特に貴方が女の子になって外見がかなり変わったら」
「それでだね」
「わからない様になっているわ、服装も変わるから」
「女の子の服を着るから」
「声もね、実際次第に女の子の声になってきているわね」
「声のことも」
「あるから」
 だからだというのだ。
「髪型も変えて、お化粧もしたりするから」
「それが女の子だから」
「まずわからないわ、後は名前も少しね」
「変えるの?」
「姉さんと一緒に住んでいても」
 それでもというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧