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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルート

作者:sorano
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第95話

学院内を周っていたリィンが技術棟に入るとある人物達がいた。



~トールズ士官学院・技術棟~



「あ…………」

「やあ、リィン君。」

「今日の授業は終わりかい?」

技術棟に入って来たリィンに気付いたアンゼリカとジョルジュはそれぞれリィンに声をかけた。

「ええ、つい先程。ひょっとしてそれが……」

ジョルジュの傍にある見覚えのない導力バイクが気になったリィンは導力バイクに視線を向けた。



「ああ―――アン用の新しい導力バイクさ。」

「改めて君用にと思ったが……もう思い入れもあるだろうし、こっちを私が使おうと思ってね。」

「すみません……気を遣わせてしまって。でも、こちらも相当格好いいデザインですね。」

改めて導力バイクを見つめたリィンは感心した様子で呟いた。

「基本的なスペックは君のヤツと変わらないけどね。アン用のチューニングとロングツーリング用の装備を追加するつもりさ。」

「え……確かレン姫の所での秘書の仕事を終えたら旅に出るんでしたよね?」

「モラトリアムってやつさ。私の武術の先生もそうだったが色々なものを見て見たくてね。とりあえずゼムリア大陸を一周してみようと思っている。まあ、レン君の仕事関連でフィールドワークもあるそうだから、その時に旅に備えて自分の身体に馴染ませようと思っているよ。」

「大陸一周、ですか……」

「ふう、まったく行動力がありすぎるっていうか……」

アンゼリカの未来を知ったリィンは驚き、ジョルジュは呆れた表情でため息を吐いた。



「そういう君こそ人の事は言えないだろう?名だたる技術工房巡りなんて武者修行もいい所じゃないか。」

「うーん、そうかな?」

「ジョルジュ先輩もしばらく国外に行くんですよね?」

「ああ、まずはリベールのZCF(ツァイス中央工房)に行ってみるつもりさ。その後はレマン自治州にあるエプスタイン財団本部……できればカルバード―――いや、メンフィルのヴェルヌ社や異世界の”匠王”が納める”工匠”の都市――――”ユイドラ”も訪ねてみたいかな。」

「元共和国のメーカーや異世界のディオン卿の所にも……」

「どちらもメンフィルが関係している所だから思い切ってプリネ君のコネに頼ってみたら、何とかどちらとも行けそうでね。技術屋として僕なりにこの状況をどう改善できるか……各国の技術者と交流しながら見極めていきたいんだ。」

「ジョルジュ先輩……俺の方からもどうかよろしくお願いします。エレボニアから奪い取った領地を納める事になる俺が言えた義理じゃないですけど……」

ジョルジュの話を聞いてジッとジョルジュを見つめたリィンは頭を下げた。



「リィン君、頭を上げてくれ。」

「君が恥じる必要など何一つないさ。貴族連合―――エレボニアが自らメンフィルに戦争を仕掛けた以上、メンフィルと和解する為にああいう形で治める以外の方法は無かった。ユーゲント陛下達もそれをわかって、エレボニアを滅亡の道に歩ませない為にも”戦争回避条約”に調印なさったのだろう?」

「それは……」

アンゼリカの言葉を聞いたリィンは複雑そうな表情をした。

「もしメンフィルが提示した”戦争回避条約”に調印しなかったら、メンフィル・クロスベル連合はエレボニアを滅ぼし、貴族連合に所属する人達を”皆殺し”にしていたかもしれないだろうね。そうなれば、ユーゲント陛下達もどうなっていたかわからないし、貴族連合に所属する人達が犠牲になって、その人達の家族が悲しむ事になっていたに違いない。その意味で、君が果たす役割はすごく大きいと思うよ。」

「………………」

「罪悪感を感じるなとは言わない。それは君自身が向き合うものだろうから。ただ、私達やトワ、もちろん君の仲間達も……君の事を理解している事だけはどうか忘れないでくれ。」

「……アンゼリカ先輩……ジョルジュ先輩も…………ありがとうございます……」

ジョルジュとアンゼリカの慰めの言葉に感謝したリィンは再び頭を下げた。

「フフ、そんなに暗い顔をするもんじゃないよ。後2ヶ月であの”空の女神”に祝福される歴史上初のアルフィン皇女殿下との結婚式だろう?君に降嫁されるアルフィン殿下や将来君と結ばれるアリサ君達を幸せにする事とエレボニアから貰ったクロイツェン州を繁栄させる事こそが君の”義務”だよ。」

「はい……!」

そしてアンゼリカの助言にリィンは力強く頷いた。その後技術棟を出て学院内を見回っていたリィンは裏庭にいるエーデルに気付き、声をかけた。



~裏庭~



「エーデル先輩。」

「あら、リィン君。こんにちは。授業は終わったのかしら?」

「はい。えっと……今は”エーデル先輩”ですよね?」

エーデルの言葉に頷いたリィンは恐る恐ると言った様子でエーデルを見つめて訊ねた。

「もう、リィン君ったら……いつも”私達”の身体を荒々しく犯している癖に”私達”の見分けがまだできないのかしら?」

するとその時エーデルは妖艶な笑みを浮かべてリィンを見つめた。

「え”。ま、まさか”カトレアさん”の方ですか……?」

「正解~♪さすが私の”ご主人様”ね♪」

表情を引き攣らせているリィンにエーデル――――魔族化した事によって具現化したエーデルの裏の人格であるカトレアはからかいの表情でリィンにウインクをしたが

「こーら。学院に通っている間の身体の主導権は”私”だって、約束したでしょう?えっと、ごめんね?カトレアが混乱させちゃって。」

すぐに人格がエーデルに戻り、エーデルは申し訳なさそうな表情でリィンに謝罪した。



「い、いえ。もうすっかり人格の切り替えが自由にできるみたいで安心しました。」

「フフ、これもみんなベルフェゴールさん達のお蔭よ。」

冷や汗をかいて苦笑しているリィンにエーデルは微笑んだが

「後はリィン君のセックスのテクニックによって数え切れないくらいイカされたからでもあるわよ♪」

すぐに人格がカトレアに変わり、からかいの表情で呟いたカトレアの言葉を聞いたリィンは表情を引き攣らせた。

「お願いだから、私の口からそんなはしたない事を言わないでよ……」

再び人格がエーデルに戻るとエーデルは疲れた表情で溜息を吐き

「(な、何だかベルフェゴールがもう一人増えたみたいに感じるな……)……え、えっと……前から聞こうと思っていたんですけど、エーデル先輩が名付けた裏のエーデル先輩の名前―――”カトレア”にはもしかして意味とかあるんですか?」

その様子を冷や汗をかいて見守っていたリィンは話を変えた。



「?どうしてそう思うのかしら。」

「花が大好きなエーデル先輩でしたら、花言葉とかも知っていそうですからその関係かと思って。」

「あら、中々鋭いわね。」

リィンの話を聞いたエーデルは目を丸くした後微笑み

「これで”ある一定の部分”についてだけ恐ろしい程鈍感だから不思議よね♪」

「う”っ…………」

(ふふふ、全く持ってその通りですね。)

(うふふ、後はたくさんの女の子達を食べても初心な所を忘れているわよ♪)

(いい加減少しはマシにならないのでしょうか。マスターのこの罪作りで超鈍感な性格は。)

(多分それは無理でしょうね……)

(エーデルさんも大変ですわよね……)

カトレアの言葉を聞いたリィンは唸り、リザイラは静かな笑みを浮かべ、ベルフェゴールはからかいの表情になり、ジト目のアルティナの念話を聞いたアイドスは苦笑し、メサイアはエーデルに同情していた。



「もう、あの娘ったら……―――さっきの話の続きだけど、勿論意味はあるわ。」

「へえ……どんな意味なんですか?」

「”カトレア”には花言葉がいくつかあるのだけど……その中の一つに”魅惑的”という意味があってね。カトレアの普段の行動や性格を考えたらピッタリな名前でしょう?」

「ハハ……そうですね。………………」

エーデルの説明を聞き、カトレアの性格を思い返したリィンは苦笑しながら同意したがすぐに複雑そうな表情になって黙り込んだ。

「リィン君?」

「その……ずっと気になっていたんですけど、もしかしてエーデル先輩がミントさんの力を借りて人間に戻りたくない理由はカトレアさんの件ですか?」

「…………フフ、リィン君には気付かれちゃっていたか。リィン君の推測通りよ。もし私の身体の時間を戻したらあの娘まで消えちゃうしね。あの娘も”私”なのだから、それだけは絶対にしたくなかったのよ。」

「エーデル先輩……ハハ……さすがはセレーネやあのフィーも尊敬する優しい先輩ですね。」

自分の指摘に優しげな微笑みを浮かべて答えるエーデルをリィンは静かな表情で見つめた後エーデルに微笑んだ。



「…………フウ、もし私が魔族にされなくても結果は同じだったかもしれないわね。」

「???」

リィンの言葉を聞いて呆けた表情で黙り込んでいたエーデルは疲れた表情で溜息を吐き、エーデルの言葉の意味がわからなかったリィンは不思議そうな表情で首を傾げた。

「うふふ、ちなみにエーデルがミントの力を借りて人間に戻る事を拒否したのは他にも理由があるのよ♪」

するとその時エーデルの人格がカトレアに変わり、カトレアはからかいの表情でリィンを見つめて意外な答えを口にした。



「へ……その理由は何なのですか?」

「それはね……あの時のリィン君の性魔術によって私達のお腹の中にリィン君の赤ちゃんを孕んでいた可能性もあったからよ♪」

「いい”っ!?」

カトレアの口から語られた驚愕の答えを聞いたリィンは大量の冷や汗をかいて表情を引き攣らせ

「あら、もしかしてあの時のセックスで私達がリィン君の赤ちゃんを孕んでいる可能性は考えていなかったのかしら?私達の身体の中に何度も溢れるくらいたくさんのリィン君の体液を注ぎ込んだのだから、妊娠していてもおかしくないでしょう?」

「そ、それは……!で、でもあの時のは”性魔術”でしたから妊娠しないはずじゃ……!」

カトレアに問いかけられたリィンは慌てた様子で反論したが

「……その”性魔術”で人格を私に戻した後何度も私を犯してたくさん中に出したでしょう?」

「………………そ、その……まさかとは思いますけどエーデル先輩もアリサのように……」

人格が再び戻ったエーデルにジト目で指摘されると恐る恐るエーデルを見つめて問いかけた。



「………ええ、”できている”わ。ちなみに今月で”2ヶ月目”よ。」

「……………………………」

そして頬を赤く染めて幸せそうに自分のお腹に視線を向けた後両手で優しくお腹を撫でるエーデルの爆弾発言を聞いたリィンは凍りついた!



(アハハハハハハハッ!まさかアリサ以外にも”できて”いたとはね♪)

(ふふふ、しかも彼女は新顔ですからね。新顔の彼女に出し抜かれたエリゼ達の反応が今から楽しみですね。)

(間違いなくアリサさんの時同様怒るでしょうね……あら?”2か月目”ですと、おかしいですわよね?)

(……はい。もし”ジュライロッジ”での件でしたら、”3ヶ月目”のはずですから計算が一致しません。その為妊娠したのはそれ以降の性行為によるものとなってしまいます。)

(しかも妊娠して2ヶ月だから、かなり早期からリィンに抱かれる時に妊娠防止の魔術を使っていなかったとしか考えられないわね。)

エーデルの爆弾発言を聞いたベルフェゴールは腹を抱えて笑い、静かな笑みを浮かべるリザイラの念話に疲れた表情で答えたメサイアだったがある事に気付くと首を傾げ、メサイアの疑問にアルティナは静かな表情で答え、アイドスは苦笑しながら自身の推測を口にした。



「そ、その……エーデルせ――――」

「待って。謝るのは私の方よ。」

そして我に返ったリィンが謝罪しようとするとエーデルが制止した。

「へ……ど、どういう事ですか?」

「あのね、リィン君。私は”今月で2ヶ月目”って言ったのよ?もしジュライロッジでの性行為で妊娠していたらおかしいでしょう?”ジュライロッジでの出来事は3ヶ月前”なのだから。」

「あ…………―――!?じゃ、じゃあどうしてですか……!?あの時以降は先輩もアリサ達のように妊娠防止の魔術を使っていたんじゃ……」

エーデルの説明を聞いて呆けたリィンだったがすぐに血相を変えてエーデルを見つめた。



「……………」

リィンの疑問に対してエーデルは頬を赤く染めてリィンから視線を逸らして黙り込んでいたが

「フフッ、エーデルの代わりに私が答えてあげるわね♪エーデルはね、怖かったのよ。」

「へ……こ、怖い??一体何が怖いんですか?」

人格がカトレアに変わり、カトレアの説明を聞いたリィンは不思議そうな表情で首を傾げた。

「今はこうやって頻繁にリィン君と会っているけど、卒業したら結婚するまでお互いの未来の為に忙しいから滅多に会えないでしょう?まあ、1ヵ月に1回は会う約束はしているみたいだけど……それでもエーデルは怖かったのよ。リィン君にその内飽きられて、婚約を破断にされちゃうんじゃないかって。」

「なっ!?そんな事をするつもりは絶対ありませんよ!?エーデル先輩を助ける為とは言え、エーデル先輩の大切な操を奪ってしまったんですから、その責任は取るつもりです!」

「それをわかっていてもエーデルは怖かったのよ。アリサやセレーネ達と違ってリィン君との接点は今までほとんど無かったしね。魔族になった事でできた”魔の衝動”をリィン君の協力無しで制御できるようになった事や人格の切り替えが自由にできるようになったのに、今もアリサ達と同じ頻度でリィン君に抱かれていたのは、リィン君の心を繋ぎ止める為であると同時に”既成事実”――――リィン君との赤ちゃんを孕む事で、リィン君が将来ちゃんと責任を取って自分もアリサ達と一緒に結婚してくれる”証”が欲しかったのよ。」

「どうしてそこまでして……」

カトレアの話を聞いたリィンは呆けた表情でカトレアを通してエーデルに問いかけた。



「フフ、そんなの決まっているじゃない。”本気でリィン君を好きになったから”よ♪」

「ええっ!?」

そしてカトレアの答えを聞いたリィンは驚き

「もう、私の許可なく私の気持ちを勝手に答えないでよね……」

再び人格が戻ったエーデルは呆れた表情で溜息を吐いた。

「エ、エーデル先輩……その……」

「………カトレアの言った通りよ。学院に戻ってリィン君と接する機会が増えて、リィン君の事を良く知れば知る程リィン君をどんどん好きになったわ。だから卑怯だとは思ったけど、リィン君への気持ちを自覚した日から妊娠防止の魔術を一切使わないでリィン君に抱かれていたの。……ごめんね、こんな卑怯で重い女の子で……」

「そんな!?悪いのはエーデル先輩の気持ちに気付かなかった俺ですよ!エーデル先輩が謝る必要はありませんし……その……エーデル先輩との婚約はむしろ俺には勿体ないくらいだと思っています。だから俺がエーデル先輩を飽きるなんて絶対にありえませんし、一度交わした約束を破るなんて人として最低な事をするつもりはありません。」

「リィン君……フフ、そんな優しい君が大好き……!ん……」

(あ…………)

リィンの言葉に感激したエーデルは自らリィンに抱きついて口付けをし、リィンはエーデルの気持ちに応えるかのようにエーデルを優しく抱きしめていた。



「フフ、よかったわね、エーデル♪次は私の番よ♪ん……ちゅ……ちゅる………!」

「んんっ!?そ、そこは……っ!?ちゅる……ちゅ……!?」」

リィンとの口付けを終えたエーデルだったが、人格がカトレアに変わるとカトレアは舌を絡める深い口付けをリィンと交わしながら片手をリィンの身体のある部分へと持って行って触り始め、カトレアの官能的な口付けと行動によってリィンは強い興奮を感じた。

「チュッ。フフッ、準備は整えてあげたから後は貴女に任せるわね、エーデル♪」

身体越しに伝わるリィンの興奮を感じたカトレアはリィンに軽い口付けをした後自ら人格を引っ込めた。

「もう、カトレアったら…………………リィン君、こっちに来て。」

「エ、エーデル先輩!?」

エーデルは呆れた表情で溜息を吐いた後周囲を見回して誰もいない事を確認すると、リィンの手を引いて物陰へと連れて行った。



「エ、エーデル先輩、一体何を……ちょっ!?さすがにここでするのは不味すぎ――――」

物陰に連れて来られたリィンは自分の前でしゃがんで自分のズボンのベルトを外し始めるエーデルの行動を見ると慌てて制止しようとしたが

(うふふ、これなら問題ないでしょう♪)

(……今回は場所が場所だし、念の為に私も認識障害の結界を展開しておくわ。)

「ベ、ベルフェゴール……それにアイドスまで……」

ベルフェゴールとアイドスの念話を聞き、二人が結界を展開した事に気付くと表情を引き攣らせた。

「その……ここだったら私以外滅多に人は来ないから大丈夫のはずよ。このままにしていたらリィン君が歩き回れないからカトレアの代わりに私が責任を持ってスッキリさせてあげるわね……」

その後エーデルとの行為を終えたリィンは服装を整えた。



「そ、その……これで、歩き回れるよね?」

行為を終えて服装を整えたエーデルは顔を真っ赤にして身だしなみを整え終えたリィンを見つめて問いかけ

「は、はい。あ、ありがとうございました。」

問いかけられたリィンも顔を真っ赤にして答えたがある事を思い出し、エーデルに訊ねた。

「その……さっきのエーデル先輩の子供の件で聞き忘れたんですけど……ご両親はご存知なのですか?」

「ええ。リィン君の赤ちゃんができているってわかった日にお父さん達に便りを出して知らせたわ。」

「えっと……ご両親はその事について何か仰っていましたか?」

「フフ、二人ともこんなにも早く”ブルーメ伯爵家”の跡取りができた事に喜んでいたわよ。便りが届いた日に通信で、私に『おめでとう』って祝福してくれたくらいよ。」

「へ……それだけですか?大切な一人娘が学院に通っている間に子供ができたのに……」

エーデルの両親の反応が予想外であったリィンは困惑した表情でエーデルを見つめた。



「前にも言ったと思うけど、お父さん達はリィン君に感謝しているし、私とリィン君との結婚に全面的に賛成しているわ。私を助けてくれた事もそうだし、リィン君のお蔭でお父さん達の処罰が他の貴族の人達と比べると軽くなった上サザーラント州の統括領主に任命されたし。だから別に怒ってもいないし、私のお腹の中にいる私とリィン君の赤ちゃんの育成は私達―――”ブルーメ伯爵家”が責任を持ってするから、安心して。………それよりも大変なのはリィン君の方だから、頑張ってね?」

「え……どういう事でしょうか?」

「その……ね?お父さん達、私にリィン君の赤ちゃんができているって知った後嬉しさのあまりわざわざユミルまで行ってリィン君のお父さん達にも報告しちゃったみたいなの。」

「……あ”。」

エーデルの話を聞いた瞬間、リィンはエーデルの両親より自分の両親の反応が怖い可能性がある事に気付き、冷や汗を滝のように流し始めた。

「勿論その時にお父さん達はリィン君のお父さん達にリィン君には感謝している事やまだ学生の私がリィン君に赤ちゃんを孕まされた事も全然怒っていない所かむしろ跡継ぎができたから感謝している事も伝えたそうだから、多分そんなに怒られる事はないと思うわよ?」

リィンの様子を見たエーデルは苦笑しながらリィンに慰めの言葉を送り

「ハ、ハハ……そうだといいのですけど……」

リィンは渇いた声で笑いながらユミルに戻った時の事を思い浮かべ、疲れた表情で肩を落とした。 
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