全ては我が趣の為に

私、ヴァリオット・ゲイザーは教師である。

「さて、ここの数字が邪魔になってくるわけですが―――」

麻帆等と呼ばれる学園都市では、明らかな以上風景が普通として成り立っている。
ひび日常と化したふざけた日常に気づくものは少なく、それでも公言はできないと言う残念状態。

「先生、そこ間違ってるネ」

「おっと、これは失礼」

そんな異常な場所で、何故教師をやっているかと言えば、ここが女子中学生エリアだからだ。
何故中学生なのか、とか高校じゃないの？とかはあるだろう。
しかしながら、私がここに来たのは面白そうな事に発展するだろうと言う間から来るものだった。
そしてそれは間違っていない。

”キーンコーンカーンコーン”

「おや、今日の授業はここまで。
それでは今日のこのページにある問題をどれか一つだけ、明日までに解いておいてください。
わからない子は是非是非、先生のところまで来てください。
手取り足取り腰取り、教えて差し上げましょう」

「先生変態ー」

「あっはっはっは。
私は自分に正直なだけです。それでは日直の方、号令を」

放課後になれば大勢居る生徒たちの部活動が始まる。
水泳部にバスケットボール部、サッカーは男子しかいないのでスルーして、バドミントンにテニス、茶道部も良いですねぇ。

「生徒、今日はどの部活見に来るの？」

「おや、気になりますか？
しかしそれは秘密です。対策されては敵いませんから」

「わかった、テニス部だ」

「馬鹿な…何故わかったのですか……！」

「何となくスコートが見たそうな顔してたから」

くっ…なるほど。
どうやら私は顔に出やすいようだ。以後、気を付けようじゃありませんか。

「起立、礼、かいさーん」







「ふう。今日もまた、無事に終わってしまいました。
テニス部は警戒されているようですし、茶道部辺りにでも行きましょうか」

茶道部と言われれば浴衣が拝めると言うもの。
どのような体型であっても、余程ひどくない限り女性を美しく仕上げてしまう日本文化の最高着衣である。

「やあ、エヴァンジェリンさん。
今日も浴衣が似合っていますね」

「む、また貴様か。
私のところに来ても特に何もないだろうに、物好きなやつだ」

「そんな事はありません。
私の守備範囲は誕生から墓場までと広範囲ですので」

「広すぎだ馬鹿者め」

この幼げな容姿の女性はエヴァンジェリンさん。
金髪で要請のような輝きを持つ彼女は、知る人ぞ知る吸血鬼なのだそうだ。

「まぁいい。どうせ来たのだ。一杯くらい飲んでいけ」

「ご同伴、有り難く預かりましょう」

それほどまで高いレベルではないにせよ、彼女の入れる御茶は心がこもっている。
私から見た彼女は何処かぶっきらぼうだが、時々見せる可愛らしい表情がまた、魅力を飾る物だと思っております。

「ところで。
貴様は何時になったら私の執事になるつもりだ？」

「ふふふ。
私を欲しているのもかわりないようで…しかしながら私は今、教師と言う役職についておりますので、執事に定着するのはもう少し先になることでしょう」

「ふん。今更待つことには慣れているが、あまり気は長いほうじゃない。
早めに来るのが貴様のためだぞ」

「そうは言われましても、ふふっ。
茶々丸嬢がいじけてしまいますよ？」

「はっ。茶々丸はロボだぞ。
私の従者である以上、手放しなぞするわけなかろう」

そんな他愛もない話し合いは、夕方になるまで続いた。
そして翌日、私の感性を刺激する、重大な事件が発生する―――。