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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルート

作者:sorano
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第85話

~ジュライロッジ・最奥~



「オォォォォォォ――――――ッ!!」

ジュライ特区内が混乱に満ちている中エンド・オブ・ヴァ―ミリオンは咆哮を上げ

「ヒャハハハハハッ!真ナル神ニ加エテ魔王ノ力モアレバ、女神モ敵ウマイ!」

その様子を見ていたヨアヒムは凶悪な笑みを浮かべて笑い続けていた。



「……ッ……!何て力……!」

「結界から一歩も離れてはいけませんわよ!」

「……あれ程の”負”の霊圧に封印されている”ユリス”に影響を与えないとよいのですが……!」

フィーナやフェミリンス、エイドスは結界を展開してリィン達を守り続け

「ぐううっ……!」

「きゃああ……っ!」

「うわあああっ……!」

「……ッ……!兄様……!」

「なんちゅう霊圧や……!」

「”輝く(オーリオール)”を取りこんだワイスマン―――いや、もしかしたらワイスマンすらも比べものにならないかもしれない……!」

「ええっ!?」

「しかも”教授”とヨアヒムもいるから、かなり厄介よ……!?」

結界越しに伝わるエンド・オブ・ヴァ―ミリオンの霊圧を受けたリィン達が呻いたり悲鳴を上げている中、ケビンやヨシュアは信じられない表情をし、ヨシュアの推測を聞いたミントは驚き、エステルは厳しい表情で声を上げた。



「…………―――エイドス様、御身の御力でヨアヒムに従っているあの2体を別の異次元へと転移させられないでしょうか?」

するとその時真剣な表情で考え込んでいたルフィナはエイドスに視線を向けて問いかけ

「ね、姉様?一体何を……」

ルフィナの問いかけの意味がわからなかったリースは戸惑いの表情をした。

「ゼムリア大陸から常に祝福を受け、数々の”奇蹟”を起こす事ができるエイドス様ならライサンダー卿の”(はこ)”のような事もできると思っているの。」

「副長の”(はこ)”……―――”アレ”か!」

「フフ、確かに何でもアリな”空の女神”なら可能っぽいよねぇ?」

ルフィナの説明を聞いたケビンは目を見開き、ワジは静かな笑みを浮かべてエイドスを見つめた。



「へ………い、今何て言いました……?」

「そちらのシスターが”ライサンダー卿”と言っていたが……確か”ライサンダー”性の名前の教官がオレ達の学院にも一人いるが……」

「まさか……トマス教官も”星杯騎士団”の方なんですか!?」

一方ある事が気になったマキアスは呆け、ガイウスは戸惑いの表情をし、リィンは信じられない表情でケビン達に尋ねた。

「フフ、その”まさか”さ♪――――”守護騎士(ドミニオン)”第二位にして”星杯騎士団(グラールリッター)”副長”匣使い(はこつかい)”トマス・ライサンダー。それが君達がよく知る副長の正体さ♪あ、それとちなみに君達の学院の平民学生として通っているロジーヌは副長の”従騎士”だよ♪」

そしてワジがリィン達の反応を面白がるかのように口元に笑みを浮かべて答えた。

「……………………」

ワジの答えを聞いたリィン達は黙り込み

「ええええええええええええ~~~~っ!?」

やがて全員信じられない表情で声を上げた!



「ト、トマス教官が”星杯騎士”―――それも副長を務めている人だなんて……!」

「し、信じられない……!」

「前々から疑問に思っていたが俺達の学院の教官達の採用基準はどうなっている!?」

「とても副長を務めておられるような方には見えませんでしたが……」

「しかもロジーヌさんまで”星杯騎士”だなんて……」

「青天の霹靂だね。」

「アハハ……オジサンも士官学院に”星杯騎士団”が潜入している事までは予想していたけど、まさか”守護騎士(ドミニオン)”―――しかも”星杯騎士団”の副長が潜入していたなんてね~。」

「フフ、『人は見かけによらない』という諺とはこの事を言うのだろうな……」

我に返ったエリオットやアリサは信じられない表情をし、セレーネは呆け、ユーシスは疲れた表情で声をあげ、信じられない表情をしているエマの言葉に続くようにフィーは目を丸くして呟き、ミリアムは表情を引き攣らせ、ラウラは苦笑し

「フフッ、まさかトマス様が”星杯騎士団”の副長だったとは、わたくしも驚きましたわ。」

「……正直俺も信じられない思いだ。フッ、ケビン・グラハムに続いて欺けられるとは俺もまだまだだな。」

シャロンとレーヴェは苦笑していた。

「ま、まさかトマス教官が”星杯騎士”―――それも”守護騎士”だなんて……」

「しかも”星杯騎士団”の副長だなんて、実際に知っても信じられない思いだわ。」

「ふ~ん。じゃああの眼鏡教師、結構強いんだ。」

「うふふ、まさかこんな形で”星杯騎士団”の副長の正体を知るなんてね♪」

「フフ、一本取られたな。」

「はい。―――さすがは教会の裏組織と言った所ですね。」

「フフッ、リウイ陛下達もトマス殿の正体を知れば驚かれるでしょうね。」

「プリネ姫達もご存知でなかったのですか……」

「何だか最近驚く事が多い気がするわ……」

ツーヤとプリネはそれぞれ表情を引き攣らせ、エヴリーヌは呑気そうな様子で呟き、レンはからかいの表情で呟き、静かな笑みを浮かべて呟いたパントの言葉に頷いたルイーズは真剣な表情をし、シグルーンは苦笑し、プリネ達の反応を見たエリスは信じられない表情をし、エリゼは疲れた表情で呟いた。



「……なるほどね。トリスタの防衛戦の時からトマス教官が”只者”じゃない事はわかっていたけど、まさか”星杯騎士”――――それも”守護騎士(ドミニオン)”だなんてね。完全に騙されたわ……”執行者”の連中は知らなかったようだけど、アンタ達なら知っていたのじゃないかしら?」

疲れた表情で溜息を吐いたサラ教官はリアンヌとクロチルダに視線を向け

「ええ。ただ彼の正体が判明したのはおよそ半年前ですから”剣帝”殿達がご存知でないのも無理はありませんが。」

「私も最初”匣使い”が貴方達と一緒にいる所を見た時は驚いたわよ。内戦や”騎神”は”星杯騎士団の領分”じゃないから、関わって来ないと予想していたのだから。」

「今思い返してみると”双龍橋”でアタシ達の前から姿を消した方法も”古代遺物(アーティファクト)”関係でしょうね。……まあ、あのポヤンとした眼鏡教師が”守護騎士(ドミニオン)”で、しかも”星杯騎士団”の副長だなんてアタシも信じられないけど。」

リアンヌは静かな表情で答え、クロチルダは苦笑しながら答え、セリーヌは疲れた表情で呟いた。

「フフ、期待通りの反応だね♪」

「あのな、ワジ……」

「ワジ君も他人(ひと)の事は言えないわよ。」

「お前も正体を隠して特務支援課(俺達の所)に潜り込んでいただろうが!?」

「あたし達もワジ君の正体を知った時は本当に驚いたんだからね……」

「みんな、すっごく驚いていたもんね~。」

「というかせっかく正体を隠していたのに本人達の許可もなくわたし達の前で正体を言っちゃってよかったのですか?」

リィン達の反応を面白そうに見ているワジをロイドとエリィは呆れた表情で見つめ、ランディとノエルは疲れた表情で指摘し、キーアは無邪気な笑顔を浮かべ、ティオはジト目で指摘し

「ア、アハハ……”特務支援課”どころか”トールズ士官学院”にも”守護騎士”がいたなんて、驚いたよね~。」

「むしろ驚かない方がおかしいから。」

「ケビンさん?”守護騎士”って正体を隠してみんなを驚かせる事が趣味なの?ケビンさんといい、ワジ君といい、そのトマスさんって人といい、みんな正体を隠してあたし達を驚かせてるんだからそうとしか思えないんですけど?」

苦笑しながら呟いたミントにヨシュアは疲れた表情で指摘し、エステルはジト目でケビンに尋ねた。



「いや~、それについては不可抗力やから勘弁してや………―――というか、ワジ!そんなアッサリと副長たちの正体をバラすなや!?」

「例え”守護騎士(ドミニオン)”であられるヘミスフィア卿でも最低でも始末書を書かなければならないと思うのですが……」

エステルの問いかけに苦笑しながら答えたケビンは疲れた表情でリースと共にワジに指摘し

「やだなあ。最初にヒントを出したのはルフィナなんだから僕のせいじゃないよ♪というか僕達が崇めている”空の女神”に取りなしてもらえば、問題なしだよ♪」

「いや、明確な答えを言ったのはワジさんなのですが……」

「どう考えても責任転嫁なの。」

「トマスという人の正体が判明したのも9割くらいは彼のせいよね……?」

「しかも仮にも聖職者なのにエイドスさんを利用しようとしていますよね……?」

「エイドスなら普通に取りなしそうだから、冗談になっていないよ……」

「ううっ、ライサンダー卿には後で謝罪しないと……」

指摘されたワジの答えに全員が冷や汗をかいている中、ナユタとノイ、クレハは呆れた表情をし、エレナとアドル、ルフィナはそれぞれ疲れた表情で呟いた。



「あ、あの~……皆さんのお気持ちはわかりますが今はそれどころではないのですが……」

「まずはあの三体をどうにかする事が最優先である事を忘れたのですか!?呑気に漫才をしている余裕があるくらいなら、あの三体に遠距離攻撃でもしなさい!」

するとその時結界を展開し続けているフィーナは冷や汗をかいて苦笑しながら指摘し、フェミリンスは呆れた表情で声をあげ

「フフ……ルフィナさん。ヨアヒムを守護する2体を異次元に追放すると仰いましたが……一体何の為ですか?」

その様子を微笑みながら聞き、結界を展開し続けていたエイドスは表情を引き締めてルフィナに問いかけた。

「三組に別れてヨアヒム・ギュンター達を撃破する為です。これだけのメンバーが揃っているのですから、敵の戦力を分散させて各個撃破する事が最善の方法かと思います。」

「あ………」

「ん。あんな存在を三体も同時に相手にするなんて厳しいけど、各個撃破なら作戦成功率は格段に上がる。」

ルフィナの提案を聞いたリィンは呆け、フィーは真剣な表情で頷いた。

「……わかりました。ではそれぞれに挑むメンバーを早急に決めてください。」

「―――だったらあたし達は”教授”を相手するわ!既に2回も戦った事があるから、”教授”との戦いに慣れているあたし達の方がいいだろうし。」

「それやったらオレとリースもエステルちゃん達を手伝うわ。―――今度こそ奴とケリをつけなあかんしな。」

エイドスの言葉を聞いたエステルとケビンは真っ先にワイスマンと戦う事を申し出、それを見たロイド達は互いの顔を見合わせて頷いた後申し出た。

「なら俺達はあの緋き巨大な存在――――エンド・オブ・ヴァ―ミリオンの撃破に当たる。」

「ええっ!?」

「き、危険です……!ロイドさん達には”騎神”もありませんのに……!」

ロイドの申し出を聞いたアリサは驚き、エマは不安そうな表情で忠告した。

「フフ、心配してくれてありがとう。でも”ああいう存在”との戦いは慣れているから大丈夫よ。」

「ま、こう見えても俺達は”神機”を生身で倒した事があるから、心配無用だぜ。」

「それにわたし達もリィンさん達のように異種族達と契約していますから、その人達の力も借りますから大丈夫です。」

エマの忠告に対し、エリィとランディ、ティオは自分達の心配は無用である事を伝えた。



「ええっ!?ロイドさん達にもリィン達のように異種族の人達がいるの……!?」

「一体どんな方々なんでしょう……?」

ティオの話を聞いたエリオットは驚き、セレーネは不思議そうな表情をし

「……ヨアヒムとの決着はいいのかしら?奴との因縁があるのはアンタ達の方でしょう?」

サラ教官は複雑そうな表情でロイド達に尋ねた。

「はい。ヨアヒムとの決着は”太陽の砦”でついていますし、今回の事件が起こったのはエレボニアです。だったらそちらでヨアヒムとの決着を付ける事が”筋”だと思いますし、俺達がここに来たのはヨアヒムの最後を見届ける為です。」

「ロイドさん……―――わかりました。どうかご武運を……!」

「”女神(エイドス)”のご加護を……!」

ロイドの話を聞いて呆けたリィンは力強く頷き、エリスは応援の言葉を送り

「加護も何も、”空の女神本人”がそこにいるけどね~。」

「あ、言われてみればそうだね。エイドスに何か加護を付与してもらったらどうかな?」

「ミ、ミリアムさん……それにエヴリーヌお姉様も……」

「このガキ共は……」

「そこは突っ込んだらダメな事くらい何でわからないんだ!?」

ミリアムとエヴリーヌの指摘に仲間達と共に脱力したプリネは疲れた表情をし、ユーシスは顔に青筋を立て、マキアスは疲れた表情で指摘した。



「フフ…………――――では私は”特務支援課”に加勢致します。」

「へ…………」

「ええっ!?シ―――いえ、リアンヌさんがですか!?一体何故……」

リィン達の様子を微笑ましく見守った後申し出たリアンヌの言葉を聞いたロイドは呆け、ツーヤは驚きの表情で尋ねた。

「エンド・オブ・ヴァ―ミリオンと”かつての私”とは因縁の間柄ですし、”特務支援課”は皆さんと違ってメンバーは完璧ではない為戦力不足です。ですから微力ながら彼らの”代役”を私に務めさせて貰い、彼らの戦力不足を補いたいのです。」

「サンドロッド卿がセティちゃん達の”代役”って……」

「しかも”微力ながら”って……」

「戦力不足どころか、むしろ戦力過剰になるよねぇ?」

「リアンヌがいたら、キーア達がいらないくらいだもんね~。」

「わたし達とカーリアンさん達がいる状態に対して一人で互角以上に戦いましたからね……というか冗談抜きで貴女一人でアレを撃破できると思うのですが。」

リアンヌの強さを身をもって知っていたエリィとノエルは大量の冷や汗をかいて表情を引き攣らせ、ワジは口元に笑みを浮かべ、キーアは苦笑し、ティオは疲れた表情で呟いた後ジト目でリアンヌを見つめた。



「ハハ……わかりました。エンド・オブ・ヴァ―ミリオンの方はお願いします……!」

「ええ。―――そう言う訳ですので、よろしくお願いします。今この場にはいない皆さんの仲間の方達の働きができるかどうかはわかりませんが、全身全霊でご協力をさせてもらいます。」

「ああ!こちらこそよろしく頼む……!」

「フフ、かの”獅子戦役”をドライケルス大帝と共に終結させた”槍の聖女”であり、”メンフィルの守護神”と称えられたシルフィア様でもある貴女と肩を並べて戦えるなんて光栄です。」

「いや~、まさかアリオスのオッサンや叔父貴より”化物”だった敵が味方になるなんてな~。俺達にとっては滅茶苦茶心強い助っ人だよな~。」

「『昨日の敵は今日の友』とはこの事を言うのでしょうね。」

リアンヌに視線を向けられたロイドは力強く頷き、エリィは微笑み、ランディとティオは苦笑していた。その後アドル達とシグルーンはエステル達に、ナユタ達はロイド達にそれぞれ加勢する事になった。



「ルフィナ姉さん、エイドスさんの事は頼むで!」

「女神の御加護を……!」

「ええ。貴女達にも女神の御加護を……!」

メンバー編成が終わった後のケビンとリースの言葉に頷いたルフィナは二人に応援の言葉を送り

「エステルさん、ロイドさん。これを。」

エイドスはエステルとロイドにそれぞれ球体らしき物を手渡した。

「これは一体……?」

「”ゼムリアの珠”。皆さんを異界からこのゼムリアに帰還させる為に必要な物ですので戦闘が終わった後この珠にこの場所を念じてください。」

「もし、なくしたり壊したりしたらどうなるの?」

「それは…………ヨアヒムとの決着をつけた”私達”が探しに行かないとダメなので、それだけはめんどくさいので絶対にこの球を”死守”してくださいね♪」

エステルの問いかけに対して真剣な表情で答えをもったいぶっていたエイドスだったが笑顔を浮かべてその場にいる全員が脱力する言葉を口にした。



「め、めんどくさいって……」

「しかも”私達”って事はさりげなくわたし達の事もカウントしているよね。」

「せっかく女神様らしい所を見せたと思ったのに……」

「こんな時くらい”本性”を隠す事ができんのか!?」

エイドスの答えを聞いたアリサとフィーはジト目になり、エリオットは疲れた表情をし、ユーシスは顔に青筋を立ててエイドスを睨み

「わ、私が今まで抱いていた女神様のイメージが崩れていきます……」

「フフ、その内慣れるわよ。」

「え、え~と……慣れてよいのでしょうか?」

遠い目をしているエリスにエリゼは苦笑しながら答え、エリゼの答えを聞いたセレーネは冷や汗をかいた。



「ハア…………―――それじゃあみんな、行くわよ!」

「絶対に全員で生きて帰って来るぞ!」

「おおっ!!」

そしてエステルとロイドはそれぞれの仲間達に号令をかけた後それぞれが相手をする存在へと向かい、それを見たエイドスはその場で集中をし、エステル達とワイスマン、ロイド達とエンド・オブ・ヴァ―ミリオンをそれぞれどこかへと転移させた後気を失っているクロウの安全確保の為にクロウも転移させ、そしてリィン達はそれぞれが契約している異種族達を召喚し、決戦の準備を整え終えた。

「さてと……―――これで全ての準備は整った。後は彼の司祭を討つだけだ。」

「はい……!――――Ⅶ組総員並びに協力者一同。これよりヨアヒム・ギュンターの討伐を開始する。みんな、これが最後の戦いだ……!全身全霊、俺達の全てをヨアヒムにぶつけるぞ!」

パントの言葉に頷いたリィンは仲間達に号令をかけ

「おおっ!!」

リィンの号令に力強く頷いた仲間達はヨアヒム―――――”緋の偽神”ヨアヒムとの決戦を開始した! 
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