Three Roses
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第三話 幸福と孤独その二
「島の他の二国とも隣の島の国とも」
「倍以上よね」
「三国を合わせたよりもです」
さらにというのだ。
「我が国は強いです」
「そうよね」
「ですが王国がいます」
「あの国が」
「あの国は我が国と同じかそれ以上に強く」
しかもというのだ。
「腹黒く常に三国を煽っています」
「我が国を攻めよと」
「そうしています」
「あの国のことは私も聞いてるわ」
マリアは暗い顔になり王国のことを話した。
「何かとね」
「我が国に害を為してきていますね」
「この数百年の間ね」
「そうです、何度も戦ってきていますし」
「策謀もよね」
「常にしてきています、ですがあの国の敵は我が国だけではありません」
さらにあるというのだ。
「帝国、そして法皇庁ともです」
「仲が悪かったわね」
「あの国は我が国以外に二つの敵を抱えています」
「帝国、そして法皇庁ね」
「その二つも敵なので」
それ故にというのだ。
「そこがあの国の弱点です」
「帝国の領土は王国を囲んでいたわね」
「はい、三方から」
「そして我が国もあるから」
「我が国と帝国が手を結べばです」
「完全に囲めるわね」
「その通りです」
こうマリアに話す、そして。
マリアもだ、その話を聞いて言った。
「それなら」
「そうです、我が国は帝国とです」
「仲良くするべきね」
「実際にそうしていますし」
「ここで」
「マイラ様がです」
今ここにいない彼女がというのだ。
「婚姻を結ばれますので」
「お姉様がよね」
「そうです」
「そうなのね、よかったわ」
マリーはセーラの言葉を聞いて素直に喜んだ、そのうえでこうも言った。
「お幸せに」
「マイラ様が」
「是非にと思うわ」
「そうね」
マリアもマリーの言葉に微笑んで頷いて応えた。
「マイラお姉様が幸せになるのなら」
「いいことね」
「そう思うわ」
二人で心から話す、しかし。
セーラはその二人にだ、不安を感じる顔でこう言ったのだった。
「あの、ですが」
「ですが?」
「ですがというと」
「お二人、私もそうですが」
三人共というのだ、要するに。
「新教ですね」
「ええ、宗派はね」
「そちらよ」
「マイラ様はお母上がそうであられたので」
「旧教というのね」
「宗派が」
「しかもグレゴリー様が教師ですので」
セーラはこのことも指摘した。
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