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ご都合主義な盤上の中で

作者:白玉
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お前にやっと言える

 
前書き
ここからがご都合主義 

 
約束の土曜日、待ち合わせ場所は碁会所だった。
ランドセルを背負ったヒカルが小走りでやってくる。
今日は短縮授業の日だから、午前で学校は終わるのでその後に会うことになっていた。

「わりい、待たせた」

「いや、僕の方が碁会所に近いだけだから、それより早く行こう」

「おう!」

そう言って二人はヒカルの家に向かった。
道中、最近あったことを話すがほぼ碁に関することを話していたらあっという間に着いてしまった。
ヒカルの母親にあいさつした後、ヒカルの部屋に入った。
ちらっと部屋を見渡して意外なことに、そこには碁盤がなかった。

「進藤、碁盤はどこだ?」

それにヒカルは、はっきりと「ないよ」と言った。
碁盤がないとは棋士として塔矢には考えられないことだった。
どういうことだと思ったが、ヒカルはアキラの方はみずパソコンを立ち上げていた。

「マグネット碁ならあるけど、碁盤はないんだ。欲しいけど高くて今じゃ手が出せないんだよ。爺ちゃん家にはあるけど」

それに、なるほどと納得した。
塔矢にとって碁盤がない生活は考えられないが、値段を考えると子供が持つには高価である。

「なるほど、だが進藤。パソコンを立ち上げてなにをするつもりだ?」

「ネット碁」

端的にヒカルは言うと、ネット碁に繋がったらしく「よし!」と小さくヒカルがこぼした。

「塔矢、これから俺の師匠を紹介する」

体をずらして、塔矢に画面を見せるとそこには一つメッセージがあった。

『初めまして、saiと申します。ヒカルの師匠です』

短い文章だが、それだけで分かった。
ヒカルの師はネット碁の中にいた。そして、その名前は塔矢も聞いたことのある無敗の棋士だった。

 
 

 
後書き
白玉はここが書きたかったのです 
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