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オズのボタン=ブライト

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第二幕その九

「王様と王子はあの子達に会ってないよね」
「うん、まだね」
「そうだよね、じゃあね」
「今回はだね」
「いい機会だよ」
「あの子達に会うね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「楽しみにしていてね」
「そうさせてもらっているよ」
「王様はもうかな」
 馬は王子と一緒に今は玉座から降りてつぎはぎ娘の踊りを観ている王様にも尋ねました。
「楽しみかな」
「うむ、実にな」
 王様は明るくです、馬に尋ねました。
「楽しみで仕方ないぞ」
「そうなんだね」
「そうじゃ、一体どんな子達かな」
「とてもいい子達だよ」
 馬は王様に彼等のことをお話しました。
「だから楽しみにしておいてね」
「そうしておるぞ、それでな」
「それで?」
「このお菓子も食べてもらう」
 見れば王様は今はポップコーンを食べています、食べながらそのうえでつぎはぎ娘の踊りを観ているのです。
「そして賑やかに楽しんでもらうぞ」
「王様が普段そうであるみたいにだね」
「そうじゃ、しかしな」
「しかし?」
「姫様にも言ったがな」
「遠慮は無用だね」
「わしは一切遠慮せぬしじゃ」
 それにというのです。
「遠慮されることもじゃ」
「好きじゃないんだね」
「だからな」
「この宮殿の決まりにしたんだね」
「誰も遠慮してはならん」
 それこそ宮殿の中に入った人はです。
「一切な」
「それで姫様にも言って」
「うむ、遠慮してもらわなかったのじゃ」
「そうなんだね」
「そしてその子達にもな」
「遠慮してもらわないんだね」
「ボタン=ブライトにもな」
 五人と一緒に遊びに来ている彼にもというのです。
「遠慮はしてもらわんぞ」
「遠慮なく屈託なくだね」
「楽しんでもらう、しかしな」
「しかし?」
「このポップコーンは美味いのう」
 お口の中にどんどん入れて味わいながらの言葉です。
「幾らでも食べられるわ」
「シェフが焼いてくれたんですよ」
「おお、そうなのか」
「はい、王様がそう言われると」
 どうかとです、王子が言うには。
「シェフも喜びますよ」
「そして笑顔になるな」
「はい、心から」
「ならよい、落ち込んでるとそれだけで不幸になる」
「しかし笑っていると」
「それだけで幸せになる」
「だからな」
 だからこそというのです。 
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