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英雄伝説~焔の軌跡~ リメイク

作者:sorano
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外伝~真の再会の誓い~

~1年後・クロスベル大聖堂・墓地~



1年後、行方不明となったガイの捜索は打ち切られ、状況から考えてガイは何者かに殺害され、”死亡”扱いとなった。ガイの遺体すら見つからなかった事でガイの婚約者の女性セシル・ノイエスはガイの葬式では泣き崩れ、その様子を悔しい思いで見ていたガイの弟ロイド・バニングスは兄の死の真相を知るためとセシルを守る為に警察学校の入学を決意した。

(兄ちゃん………僕―――いや、”俺”は絶対に”兄貴”の死の真相を突き止めて見せる!)

自分に背を向けて墓を見つめている女性――――セシルをガイ・バニングスの弟である茶髪の少年―――ロイド・バニングスは決意の表情で見つめた後その場から去り、教会の階段を降りる際に菫色の髪の少女―――レンとすれ違った。

「―――悪いけど、”今は”ロイドお兄さんに”依頼人”と会わせられないわ。」

レンはロイドとすれ違いざまに呟き

「え―――――」

レンの声を聞いたロイドは呆けて固まった後慌てて振り返って自分の名前を知るレンを一目見ようとしたが、既にレンは階段を登り終えてどこかに向かい、遠目での後ろ姿しか見えなかった。

「今の娘は一体……?俺の事を知っていたようだけど、俺は記憶にないぞ?」

その様子をロイドは不思議そうな表情で見つめた後、気を取り直してその場から去って行った。



「ガイさん……………」

葬式が終わり、ロイドを先に帰らせたセシルは悲しそうな表情でガイの墓を見つめていた。

「―――セシル・ノイエスさんよね?少しいいかしら。」

その時レンがセシルに近づいて、声をかけてきた。



「……?貴女は………?」

「仮準遊撃士のレン・ブライトよ。正遊撃士のルークお兄様の出張の関係で今一緒にクロスベルに来ているの。それで貴女に話しかけた理由なんだけど、貴女に会いたいって人が”依頼”を出したから訪ねさせてもらったの。お手数だけど今からレンと一緒に来てくれないかしら?」

「ごめんなさい……後日にしてくれないかしら………今はとても他の人に会う余裕は……」

レンの依頼をセシルは断ろうとした。するとその時レンは周囲に誰もいない事を確認した後セシルに更に近づいて小声で話しかけた。

(――――遺体すら見つからなかった貴女の婚約者さん――――ガイ・バニングスの事、知りたくないの?)

「!!!ガイさんの事で何か知っているの!?」

レンの口から出た何者かに殺され、遺体すら見つからなかった婚約者の話を聞いたセシルは血相を変えた。

「うふふ、レンについてくればわかるわ♪」

そしてレンはセシルに背を向けて歩き出し

「あ、待って……!」

セシルはレンの後を追って行った。



~マインツ山道~



「お望み通り連れて来てあげたわよ。」

「一体誰が私に――――え。」

山道の外れの滝がある所まで連れて来られたセシルは滝を見つめている髪の色や髪型は自分が知る人物のものではなかったが、あまりにも見覚えがある背中姿の青年を見て呆けた。

「わざわざすまねえな。」

そして青年―――ガイは振り向いて笑顔をレンに向け

「うふふ、いつか恋のキューピッド役をしたいと思っていたから、許してあげるわ。それにこれも遊撃士の仕事の一つよ。――――それじゃあ”ごゆっくり”。」

レンは小悪魔な笑みを浮かべて答え、ウインクをした後その場から去って行った。



「ガイさん………なの……?」

先程葬式を挙げた人物が目の前にいる事が信じられないセシルは震える声でガイを見つめて尋ね

「―――ああ。これなら、証明になるだろう?」

尋ねられたガイは頷いた後懐から銀色の指輪を取り出して見せた。



「あ……………」

自分達の婚約指輪である指輪を目にしたセシルは呆け

「『今まで待たせてすまなかった。―――ガイ・バニングスは誰よりもセシル・ノイエスを愛している。』………これでもまだ信じられねえか?」

「ガイさん………ガイさん!生きていたのね……!よかった……!本当によかった………!」

「すまん……今まで悲しい思いをさせちまって……」

そしてガイが口にしたかつて自分にプロポーズした言葉を聞くとセシルは嬉しそうな表情でガイに抱きついて涙を流し始め、抱きつかれたガイはセシルを優しく抱きしめた。



「―――セシル。事情があって、今俺が生きている事を誰かに知られる訳にはいかねえんだ。」

「………もしかして、その為に髪を染めていたり、髪型を変えているの?」

「ああ。俺が生きている事がバレたら、お前やロイドの身まで危ないからな。俺が今追っている事件が解決するまで、黙っていてくれないか?」

「ロイドに隠し事をするのは凄く辛いけど、命に係わるのなら仕方ないわね………」

ガイの話を聞いたセシルは複雑そうな表情で溜息を吐いた。



「それと………これは俺の自分勝手な希望なんだが……全部解決できたら、今度こそ結婚してくれるか……?もしかしたら、大分待たせちまう事になるかもしれねえが……」

「はい、喜んで……!私は、いつまでも待ってるからね。ん……!」

「セシル………」

真の再会を誓った恋人達は深い口付けを交わした後別れ、セシルはレンにクロスベルまで送ってもらい、ガイは”星杯騎士団”が所持する”天の車”と呼ばれている”守護騎士(ドミニオン)”専用の飛行艇―――”メルカバ(なな)号機”に回収され、クロスベルから離れた。



~オールドランド・タタル渓谷・セレニアの花畑~



ゼムリア大陸とは異なる世界にある渓谷の白い花畑で薄い茶色の髪を腰までなびかせる一人の美しい女性が歌を歌っていた。

「トゥエ レイ ズェ クロア………」

女性の歌に応えるかのように風が吹いて花畑を白く染める白い花―――”セレニアの花”をゆらし、地面からは神秘的な光の球体が次々と発生した。



「クロア トゥエ レイ レイ~~!…………………」

歌を歌い終えた女性は一息つき

「ルーク…………………やっぱりもう、会えないの?アッシュはちゃんと帰ってきたのよ?どうして貴方だけ帰って来ないの……?」

蒼耀石(サフィール)のような透き通った蒼い瞳から一筋の涙を流して呟いた。





大丈夫……必ず会えるよ………







その時、聞き覚えのない少女の声が聞こえてきた。

「!?誰!?」

声を聞いた女性は目を見開いて懐から短剣を取り出して投擲の構えをして周囲を警戒し始めた。



”この世界”で、後1年待って………そうしたら貴女が…………と思っている……に………会えて……それから………一緒に………から……



「―――まさかルークの事!?ルークの事で何か知っているのね!?ルークは生きてるの!?」

少女の声を聞いた女性は血相を変えて声を上げたが、返事は返って来ず、その場には風が吹く音だけが聞こえていた。



「………………………1年、ね。―――信じさせてもらうわよ、その言葉。」

かつてルークや仲間達と共に長い旅をし、今でも心からルークを愛し続けている女性――――ティア・グランツは踵を返し、その場から去って行った。







そして月日は巡り、エステルとヨシュアが準遊撃士の試験を受ける日の朝、運命の歯車が回り始めた……!
 
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