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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルート

作者:sorano
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第54話

~バリアハート・クロイツェン州統括領主の城館・客室~



「フウ…………(ようやく……クロウ以外のみんなが揃う事ができたな……それにしてもエリゼが”騎神”に似た存在を手に入れた事には本当に驚いたな……剣士としてエリゼに追い抜く為に……”起動者”(ライザー)としてエリゼに追い抜かれないようにもっと精進しないとな……)」

客室で身体を休めようとしていたリィンは今日一日の出来事を思い出していた。

(後はヨアヒムを討てばようやく”かけがえのない毎日”が戻ってくるな…………だけどその場にはクロウは…………)

元通りの生活に戻ってもクロウはその生活に戻って来ない事を察したリィンは辛そうな表情をしたが

(……さすがにそれは望みすぎか。クロウはエレボニアの人達に対して自分の罪を償うべきだし、陛下達が卒業式だけにはクロウを出席させる頼みに応じてくれたから会長達との”約束”は守れるんだから、それだけでも十分と思うべきだな……そしてその為にはヨアヒムの元にいるクロウを…………)

すぐに気を取り直して真剣な表情で外の景色を見つめていた。



(それにしても……何でエリゼはあんなに睨んできたんだ??)

食後の後それぞれの部屋に戻る際にエリゼが膨大な威圧を纏って睨んできた事を思い出したリィンは冷や汗をかいた。

「リィン君、少しいいかしら?」

「え……クロチルダさん!?ええ、いいですよ。」

しかし扉がノックされ、予想外の訪問者が来た事に我に返ったリィンはエリゼの様子を一端頭の隅に追いやった。

「―――失礼するわね。」

(うふふ、来たわね♪――――結界を展開っと♪)

(ふふふ、”対価”の内容を知ったご主人様の狼狽ぶりが見物(みもの)ですね。)

(狼狽はしても、結局はクロチルダ様の身体を存分に貪るのでしょうね。現に私の時もそうでしたし。)

(すみません、リィン様……全く反論が見つかりませんわ……)

(今思えばエリゼがリィンを睨んでいたのは”対価”の内容を知っているレンから知らされて”こうなる事”がわかっていたからでしょうね……と言う事は明日になればアリサ達にも知れ渡って”いつもの展開”になるのでしょうね……)

クロチルダが入室するとベルフェゴールは結界を展開し、リザイラは静かな笑みを浮かべ、ジト目になったアルティナの念話を聞いたメサイアは疲れた表情をし、アイドスは苦笑しながら二人の様子を見守っていた。



「え…………ちょっ、何でここで結界を展開するんだ、ベルフェゴール!?」

展開された結界に気付いたリィンは驚いた後ベルフェゴールに尋ねたが

(うふふ、ヴィータを私の”使徒”にする”対価”を払って貰う為に必要な事をしただけよ♪)

「へ…………」

予想外の答えを聞いて呆けた。



「えっと……クロチルダさん、ベルフェゴールの”使徒”になる為に一体何を”対価”にしたのですか?」

「フフッ、ベルフェゴールの”使徒”になる為に提示された条件は『エリスを誘拐した罰としてご主人様の性奴隷になる事。その証拠として今夜ご主人様に貴女の処女を捧げなさい。当然奉仕も忘れないように♪』、よ。」

「…………………………」

クロチルダの答えを聞いたリィンは石化したかのように固まり

「ええええええええええええええええっ!?」

やがて我に返ると大声を上げた。



「ベ、ベベベベベ、ベルフェゴール!何でそんなとんでもない条件を出したんだ!?」

(あら、ヴィータがご主人様の性奴隷になれば、メンフィルもヴィータが絶対逃亡したり裏切ったりしないという保証も手に入る上ご主人様に対する償いという事で彼女に対する印象も良くなって処分の内容も少しはマシになるだろうし、第一エリスの件でご主人様に迷惑をかけたんだから、その”お詫び”としてご主人様に”自分自身を捧げて”もおかしくないでしょう?)

「あ、あのな…………俺はそこまでして償って貰いたいとは思っていないし、そもそも女性にとって大切な操をその人自身の意思を無視して奪っていい訳がないだろう!?」

ベルフェゴールの念話を聞いたリィンは脱力した後すぐに真剣な表情で指摘した。

(うふふ、それならご主人様専用の”娼婦”だと考えればいいじゃない。”娼婦”は好き嫌い関係なくお金の為に自分達の身体を男達に抱かせているんだから、似たようなものでしょう?)

「いや、それと今の状況とは話が全然違うだろ……」

(そ・れ・に♪ヴィータもご主人様に抱かれる事に満更じゃないわよ♪)

「へ…………」

ベルフェゴールの説明に呆れていたリィンだったが、クロチルダが自分に抱かれる事に忌避感を持っていない事を知ると呆けた表情をした。



「もう、目の前に極上の女がいるのに余所見をするなんて酷いわよ、リィン君♪これはその罰よ……ん……」

「!!!!!!??????」

そして自分に口付けされたリィンが混乱している中、クロチルダははその場で身に纏っている服を脱ぎ、大人の色気をさらけ出す漆黒のレースの下着だけの姿になり、リィンをベッドに押し倒した。

「ちょっ、クロチルダさん!?こんなの間違っていますよ!もっと自分の事を大切にしてください!」

(既に多くの女性と不埒な関係になっているマスターがそれを言う資格はないと思うのですが。)

(まあアリサ達と違って、接した期間が短いにも関わらずリィンと”そういう関係”になった私達もリィンの事を責められないと思うけどね……)

(ふふふ、私達を含めて一般の男性が一生で味わえない程の数の異性と肉体関係になった上いざ始めると積極的に私達の身体を貪っているにも関わらず、今更”この程度”の事で慌てるご主人様の思考は相変わらず理解できませんね。)

(や~ね♪たくさんの女の子達を食べても初心な所がご主人様の良い所の一つなんじゃない♪)

(ハア……もうここまで来たらいっそリィン様はお父様を見習って、開き直った方がいいような気がしてきましたわ……)

慌てているリィンの様子を呆れた表情で見守るアルティナの念話を聞いたアイドスは苦笑し、リザイラとベルフェゴールはリィンの事について面白おかしく談義し、メサイアは疲れた表情で溜息を吐いた。



「フフ、本当に優しい子ね……そういう所がますます好きになったわ♪それに心配しなくても私は嫌々君に抱かれに来た訳じゃないわよ?」

「へ……………な、何でですか?」

「大切な(エリス)の誘拐を指示した憎き敵であった私をも”仲間”扱いして庇おうとしてくれた君の優しさに心を打たれたわ…………だから私に気を使わないで、存分に私の身体を犯して。というか私にとってその方がむしろ望む所よ♪」

「ク、クロチルダさん………」

クロチルダの大胆な告白にリィンは驚くと同時に目の前の妖艶な魔女を自分の好きなようにできるというクロチルダの言葉によって強い興奮を感じた。

「あら、もう硬くなっているわね♪それじゃ、まずは奉仕をするわね――――――」

その後リィンはクロチルダの奉仕を受けた後クロチルダの純潔を奪い、自分の気が済むまで何度もクロチルダを犯した。



「失礼するわね、エリゼ。―――あら?」

クロチルダがリィンに奉仕を始めたその頃エリゼが泊まっている部屋を訪れたアリサは部屋にいる人物達を見て首を傾げた。

「あ……もしかしてアリサさんもエリゼお姉様に呼ばれたのですか?」

「え、ええ……もしかしてセレーネ達も?」

セレーネの疑問にアリサは頷いた後訊ね返した。

「はい。エリゼさんから話したい事があると。」

「うふふ、ですがこのメンツを考えると何となくエリゼさんがわたくし達に話す内容が推測できますわよね♪」

エマが答えるとアルフィン皇女はからかいの表情で答えた。



「え……それはどういう事ですか、姫様?」

「………………なるほどね。集まっているメンツの”共通点”を考えると十中八九あの節操なしな男に関する事でしょうね。」

エリスがアルフィン皇女に訊ねるとエマの傍にいたセリーヌが周囲にいる人物達――――リィンと関係を持った女性達ばかりである事に気付くと呆れた表情で溜息を吐いた。

「そ、それってもしかして……」

「リィンがまた新しい女を増やしたって事!?」

セリーヌの推測を聞いてある事を察したトワは表情を引き攣らせ、アリサが血相を変えて声を上げた。

「―――その通りです。」

するとその時エリゼが部屋に入って来た。



「エ、エリゼお姉様。”その通り”という事は…………」

「ええ。今頃クロチルダさんと”そういう関係”になっているのでしょうね。兄様が泊まっている客室に既にベルフェゴール様の結界も展開してあったし。」

「ええっ!?ね、姉さんとリィンさんがですか!?」

「ハアッ!?何であの節操なしな男とヴィータがそんな関係になるのよ!?」

表情を引き攣らせているセレーネの疑問に答えたエリゼの話を聞いたエマとセリーヌはそれぞれ信じられない表情で声を上げた。そしてエリゼはレンから聞いたベルフェゴールの”対価”について説明した。

「な、何よ、その滅茶苦茶非常識な理論は!?ベルフェゴールは何を考えているのよ!?」

「た、確かにクロチルダさんがお兄様とそんな関係になれば、メンフィル帝国のクロチルダさんに対する印象も少しは良くなりますが……」

「クロチルダさん自身の意思を無視してクロチルダさんの操をリィン君に捧げさせるなんて、幾ら何でも酷いと思うんだけど……」

事情を聞き終えたアリサは信じられない表情で声をあげ、セレーネとトワはそれぞれ表情を引き攣らせていた。

「―――その心配は無用かと。ベルフェゴール様によるとその話をクロチルダさんに持ちかけた際、クロチルダさんは驚きはしたとの事ですがすぐに了承した事を考えるとクロチルダさん自身兄様と”そういう関係”になる事に抵抗感を持っていないかと思います。」

「という事は、今頃姉さんとリィンさんが…………」

「9割くらいは状況を更に面白おかしくする為にそんな対価を持ち出したのでしょうね、ベルフェゴールは。」

エリゼの話を聞いたエマは呆然とし、セリーヌは呆れた表情で呟いた。



「今はそんな事よりも兄様です!昨日一晩で二人も増やしたばかりなのにもう増やすなんて……!」

「うふふ、リィンさんの新たなるハーレムの一員が増えましたわね♪クロチルダさんはクレア大尉同様大人の女性としてとっても魅力的な方ですから、わたくし達ももっと女を磨く必要がありますわね♪」

エリスが真剣な表情をしている中、アルフィン皇女はからかいの表情で呟いた。

「アルフィン殿下の仰る通り私達も女性として自分自身を磨く必要があるでしょう。――――だからと言って兄様を甘やかしてはいけませんが。」

「そうね……!甘やかしていたら後何人……ううん、何十人増やすかわからないものね……!というか下手したらシャロンやミルモもその内落とされる気がしてきたわよ。フフフフフフ……!」

(ヒッ!?いつものようにアリサが怖くなった……!)

「さ、さすがに何十人はありえないと思うのですが……」

エリゼの言葉に同意した後膨大な威圧を纏って微笑み始めたアリサを見たミルモは悲鳴を上げ、アリサの推測を聞いたセレーネは表情を引き攣らせて指摘したが

「うふふ、こんなにも多種多様なジャンルの女性達を落として、天然でハーレムを築いたリィンさんならありえるとわたくしは思いますわよ♪」

「ええ……!これ以上増やさない為にも兄様と改めて”お話”をする必要があります!ウフフフフフフ………!」

「………………」

からかいの表情をしているアルフィン皇女の言葉に同意した後膨大な威圧を纏って微笑み始めたエリスの言葉に反論をなくし、大量の冷や汗をかいて黙り込んだ。



「…………フフッ、クレア大尉にも後で教えて説教してもらうべきですね。それとエリオットさんとマキアスさんは確か姉さんの大ファンでしたから、お二人にも教えた方がいいかもしれませんね。」

「む~……!それとやっぱり胸が大きな人達が好みかどうかもリィン君に聞く必要があるよ!確かクロチルダさんってスタイル抜群の上胸も結構大きかったよね!?」

エマも膨大な威圧を纏って微笑み、トワは頬を膨らませ

「フフ、ベルフェゴール様の対価を言い訳にしても無駄ですから明日は覚悟していて下さいね、兄様?ウフフフフフフ………………!」

エリゼも膨大な威圧を纏って微笑み始めた!

「ハア………冗談抜きで後何人増やせば気がすむのよ、あの節操なしな男は……」

(あわわわわわ……!み、みんなが怖いよ~!?)

(あのリア充め~!何で世界はこんなにも不公平なのよ~~!?)

そしてセリーヌは呆れた表情で溜息を吐き、ミルモはアリサ達を怖がり、ヴァレフォルは悔しそうな表情でリィンの顔を思い浮かべていた。



~2時間後~



「―――すみませんでした、クロチルダさん!」

”行為”を終えて寝間着に着替えたリィンは自分のベッドで裸で寝転んでいるクロチルダに土下座をして頭を下げた。

「?どうして謝るのかしら?私にとっては素敵な初体験だったし、私は元々君の気がすむまで存分に犯されるつもりで来たのよ?」

リィンの行動の意味がわからないクロチルダは不思議そうな表情で首を傾げて問いかけた。



「その………クロチルダさんは償いの為にあんな事をしたのに、暴走してあんなに何度も……」

「さっきも言ったように私は君に犯されに来たのだし、当然何度も犯される事くらい予想していたわよ。まあ、リィン君の絶倫っぷりには驚いたけどね♪」

「う”っ。」

からかいの表情で呟いたクロチルダの言葉を聞いたリィンは何度もクロチルダを犯した事を思い出し、大量の冷や汗をかいて唸った。



「リィン君、私を犯したからと言って責任を取って、私まで貴方の妻にする必要はないわよ。」

「へ…………」

しかしクロチルダの口から出た意外な言葉を聞くと呆けた表情をし

「私は愛人で構わないし、セックスフレンドでもいいわよ?リィン君が望めばいつでも君の性欲のはけ口になってあげるわ。勿論私とセックスをする時は避妊なんて考えず、存分に中に出していいわよ。」

「……………………」

クロチルダの言葉を聞いたリィンは一瞬固まったがすぐに我に返って首を何度もブンブンと横に振って答えた。



「そんな……!クロチルダさんをそんな酷い扱いになんてできません!」

「いいのよ、私は……今まで散々君達に酷い事をしたのだから、私には君と結ばれる権利なんてないわ。私が愛している男性である君に私の身体を求められ、その過程によって君の子供を孕み、そしてその子を産んでその子の母親になれる……それだけで私は幸せよ。」

「クロチルダさん……」

「君に恋をすると共に自分を恥じたわ……大切な家族を誘拐した憎き敵の命を救う為にあそこましてくれた優しい君やエマ達を結社の”幻焔計画”の為に利用した事をね…………―――だから私には幸せになる権利なんてないわ。」

「………………確かにクロチルダさんは罪を犯しました。ですがだからと言って犯罪者にも幸せになる権利がないなんて事はありえません。」

「え…………」

寂しげな笑みを浮かべていたクロチルダはリィンの言葉を聞くと呆けた表情をした。



「―――ヨシュアさんにレオンハルト教官。二人は”結社”の”執行者”でしたが、それぞれ幸せに生きています。」

「……あの二人は”ハーメル”の件がある上、”漆黒の牙”は”教授”の操り人形のようなものだったからむしろ幸せになるべき存在よ。自分の欲の為に禁忌を破って里を飛び出して”結社”に身を置いた私とは違うわ。」

「――では、シャロンさんはどうですか?」

「それは………………って、まさか”死線”が自分の過去を君に話したの!?」

かつてのシャロンを思い出したクロチルダは黙り込んだがある事に気付き、血相を変えた。



「いえ。シャロンさんがイリーナ会長にヘッドハンティングされた話くらいしかしりませんし、シャロンさんの過去は俺が聞くより先にアリサが聞くべきですから聞くつもりはありません。―――ですが、俺には”ラインフォルト家”のメイドとして働く事やイリーナ会長やアリサに仕える事が”今のシャロンさんにとっての幸せ”です。」

「……………………」

「それに……その、テロリストであったスカーレットも罪を償って俺の所に戻って来た時、彼女も幸せにするつもりです。―――勿論俺の使い魔になってくれたアルティナも。」

(マスター……)

リィンの話を聞いたアルティナは呆け

「ええっ!?アルティナって、”黒兎(ブラックラビット)”の!?あの娘は既に死んでいるはずだし……それに使い魔ってどういう事かしら?」

「え、えっと……色々と複雑な事情がありまして。それと…………―――アルティナ!」

クロチルダの問いかけを誤魔化したリィンはアルティナを召喚した。



「え……あ、貴女はアルティナ!?”聖魔皇女”達に討ち取られた貴女がどうして…………しかもこの”気配”は死者……!?」

「はい。―――お久しぶりです、クロチルダ様。経緯は諸事情で省きますが、今の私はマスター―――リィン様の使い魔としてマスターにお仕えしています。」

アルティナは自分の登場に驚いているクロチルダを見つめながら淡々と答えた。

「アルティナはクロチルダさんも知っての通りエリスとアルフィンを誘拐し、クロチルダさん達同様内戦の裏で様々な暗躍をしていました。―――でも俺はアルティナを生涯ずっと大切にするつもりです。」

「…………ぁ…………――――クロチルダ様とあれだけ淫らな行為をしたにも関わらず、次は私とするつもりなのですか?相変わらず性欲旺盛な方ですね。」

リィンに頭を撫でられたアルティナは呆けたがすぐに気を取り直してジト目でリィンを見つめ

「ちょっ!?何でそうなるんだよ!?」

アルティナの指摘にリィンは慌てた様子で答えた。



「え、えっと。まあそう言う訳ですから、クロチルダさんにだって幸せになる権利はあります。その……多くの女性達と結婚する事になっている俺なんかでよければ、クロチルダさんの事も責任を取るつもりです。」

「リィン君…………もう、益々好きになったわ!」

リィンの言葉を聞いて一筋の涙を流したクロチルダはリィンを自分の方へと引き寄せてリィンの唇を奪って舌を絡めるほどの深い口付けを交わし始め

「ク、クロチルダさ―――んんっ!?」

「…………なるほど。クロチルダ様に追い討ちをする為に私をこの場に呼んだのですね。さすがは天然で不埒なマスターです。目的は果たしたようですし、私は一端失礼します。」

リィンとクロチルダの様子をジト目でリィンを見つめていたアルティナはリィンの身体の中に戻った。



「ちゅ♪フフッ、それじゃあお言葉に甘えて期待させてもらってもいいかしら?」

「え、ええ……クロチルダさんが良ければですけど………」

「―――ヴィータ。」

「へ…………」

クロチルダが呟いた言葉の意味がわからなかったリィンは呆けた表情をした。



「君と私は将来家族の関係になるのだから、”クロチルダさん”だなんてそんな他人行儀で呼ばないで欲しいわ。最後のあたりに私を荒々しく犯していた時みたいに”ヴィータ”って呼び捨てで呼んでいいのよ?」

「う”っ…………あ、あの……そう簡単には慣れませんので、呼び方については追々という事で……」

「フフ、わかったわ。――――そうだ。リィン君、もしよければ私の子守歌を聞きながら眠ってみる?”蒼の歌姫(ディーバ)”である私の膝枕で私の子守歌を聞きながら眠るなんて、私のファンが聞いたら発狂するくらい羨ましすぎる出来事よ?」

「え、えっと…………そ、それはそうなのですが…………大丈夫ですよね?」

クロチルダの提案を聞いたリィンはクロチルダが得意としている魔術が”子守唄”である事を思い出し、言葉を濁しながら問いかけた。



「フフッ、私にとって恩人で心から愛している君に”子守唄”を歌って操ろうなんてそんな恩知らずで女として最低な真似はしないわよ。小さい頃のエマにも歌って上げた子守歌だから安心して。―――ほら、こっちに頭を乗せて寝転んで。」

クロチルダはベッドで正座をした後リィンに膝枕を誘った。

「わ、わかりました。―――失礼します。」

「それじゃあ始めるわね?―――――♪」

(綺麗な歌声だな………………さすがに今日は疲れたな………眠気が………………)

そしてリィンはクロチルダに膝枕をされた状態でクロチルダの純粋な子守歌を心地よさを感じながら眠り始めた。

「フフッ、まだ最初の方しか歌っていないのにもう眠るなんてよほど疲れていたのね………………」

リィンの頭を優しく撫でながらクロチルダは優しげな微笑みを浮かべてリィンの眠り顔を見つめていた。



「うふふ、すっかりご主人様に夢中になったみたいね♪」

するとその時ベルフェゴールが現れた。

「ええ、おかげさまで。―――約束通りリィン君のハーレムの一員になって、その証拠として純潔を捧げたわ。これで私を貴女の”使徒”にしてくれるのよね?」

「ええ、いいわよ。―――受け取りなさい。」

そしてベルフェゴールははその場で集中して、小さな光の球体を両手から出し、球体はクロチルダの身体に入り、クロチルダは”七大罪”の一柱――――”怠惰”を司る魔神ベルフェゴールの”第二使徒”になった!

「……!何て凄まじい霊力(マナ)……!魔王である貴女の”使徒”になったからかしら?」

「まあね。―――それじゃ、用は済んだし私は失礼するわね♪」

クロチルダが自身の”使徒”になった事を確認し終えたベルフェゴールはリィンの身体に戻り

「愛しているわ、リィン君…………ん……」

その場に二人きりになるとベルフェゴールは眠っているリィンに口付けをし、その後リィンを抱きしめた状態で眠り始めた



翌朝目覚めたリィンはいつものようにアリサ達に連行されて新しい女性を増やした事に関する説教等を受ける羽目になった。なおその中にはクロチルダがベルフェゴールの”使徒”になる代わりの対価の内容を知ったクロチルダの大ファンであるマキアスとエリオットも混じっていたという…… 
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