ラドゥの更新停止作品&短編作品集
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第五話『未来の武神と真剣《マジ》勝負《バトル》ですか。
サイド;三人称
初めに動いたのは百代。
「ハアアアア!!」
その拳は川神院の準師範代にもひけをとらないもの。
そこらの武道家ならそれだけで吹き飛ばすそれを、
ガキィン!
「なっ!?」
四季は片足で抑えた。
百代が驚愕しているが、それは四季にとって大きな隙となる。
「はああああ!」
百代の拳を踏み台に繰り出すのは右後ろ回し蹴り。
「!?くうっ!?舐めるなあ!!」
四季の奇襲を百代はかろうじて受け流した。
蹴りを外された四季に、大きな隙が生まれた。
はずだった。
「まだまだあ!」
「な!?」
四季は体を捻り追撃を加える。
一撃目を防いで安心していた百代は、防げないと分かるととっさに後ろに飛び、ダメージを軽減する。
「ぐっうう!?」
ダメージを軽減させたはずなのにこの威力。百代の額に冷や汗が浮かぶ。
今度攻めるのは四季。
足に気を纏い、一瞬で百代との距離を詰める。
(早い!?)
【縮地法】
気を使い、相手との間合いを詰める歩法である。
これは、鬼道流の技ではなく、四季が漫画を思い出しながらやったらできた技である。
今では、埃が殆どでないほど上達している。
「シッ!」
「ぐあ!?」
四季の拳が百代の腹を捉える。
しかし、
ガシィ
「なっ!?」
「つ~かま~えた♪」
百代の腹に刺さった四季の拳を、百代が掴み取る。
何故百代が平気でいるのか?
それは、百代が腹に気を集中させ四季の拳の衝撃を抑え込んだためである。
これはいわば賭けだった。四季の攻撃力は百代に匹敵。いや、種類によってはそれを上回るものだ。
防御が薄い所をつかれると、それだけで試合が終わる可能性がある。
しかし、百代はその天性のバトルセンスで賭けに勝ったのである。
この絶好の機会、百代は今自分が使える最強の技で攻撃する。
「川神流奥義」
「やば!」
大技が来ることを悟った四季はとっさに気の防御幕をはる。
しかし、
(無駄だ!)
「川神武双正拳突き!!」
ドゴオオオン!
「ガアアア!」
川神流の奥義は、防御壁ごと四季を吹き飛ばした!
「・・・・・・。」
百代は四季が吹き飛ばされたほうを見ていた地点をつまらなそうに見ていた。
(見込み違いだったか。)
こいつなら、私も満足できると思ったんだが・・・・・・。
自分の奥義を至近距離でまともに食らったのだ。起き上がれるはずはない。
まあ、今後の成長に期待だな、と百代は鉄心に試合終了の合図をさせるためにその場から背をむけた。
まだ死合いは続いていたのにも関わらず(・・・・・・)
トン。
「余所見とは余裕だな。」
「!?」
まさか!?
百代が首だけ振り向くと、
倒れた筈の篠宮四季がそこにいた。
片手を百代の背中に添えて。
(不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味いこれは不味い!)
武神の孫としての本能が、この攻撃を食らってはならないと告げているが、それに反して体は全く動かない。
そして、
「鬼道流奥義」
鬼道流の奥義が、
「【鬼来一発(ききいっぱつ)】。」
チュドーーーーーン!!
炸裂した!!
サイド;四季
「ハァ、ハァ、ハァハア。」
やばかった。
今のはやばかった。
新しい技を覚えていなかったら負けてたな、おい。
四季が何故無事でいるのかというと、鬼道流の奥義の一つを発動したからだ。
鬼道流奥義【鬼流し(きながし)】
相手の気の流れに自分の気を使って干渉し、受け流す技。
まさかこれを七歳児に使うとは思わなかった。
ていうか、なんだあの人。七歳であれほどって!絶対あの人も転生者だろう!!
攻撃自体も完全には受け流し切れなかったし。
俺は百代さんが吹き飛んでいったほうを見つめた。
普通ならあれで終わっただろう。
しかし、四季には確信があった。百代は、あの武神の卵は、確実に起き上がってくるだろうと。
そして、
「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
「ああ、やっぱりね。」
あのまま倒れていてくれればよかったのにという本音を混ぜながら四季は自分の予想通りの事態に嘆息する。
百代は宙返りをして、修練場の中央に着地。
再び、四季と相対する。
「いいぞ、最高だお前は。もっと私を楽しませろ!!」
吹き飛ばされて、傷だらけになっても、その獣のような笑みを百代は消さなかった。
それを見て四季は若干辟易する。
「俺にはそんな義務はないんですがねえ。」
「ふん!私のような美少女が誘ってやってるんだ。男ならそれにしっかり応えて見せろ!!」
自分で自分を美少女とかいうか普通。
あながち間違ってないところがムカツクし。
でも まあ、
「そこまでいわれたら、応えてみますかねえ。」
俺は静かに気を高める。
「くくく、それでいい!」
百代さんの気も、俺に呼応するかのように上がっていく。
「いくぞ、川神百代!」
「こい、篠宮四季!」
「「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」
武神と戦鬼の闘いは、激しさを増していく!!
サイド:小雪
「おお・・・。」
すごい、すごいよ四季。
ぼくは目の前の光景に目を輝かせる。
相手の女の子が四季のことを殴ったと思ったら、今度は四季がそれを避けながら蹴り、それを女の子が受け止める。
その動きはどんどん速くなっていって、ぼくの目じゃ見えなくなっていく。
「こいつはあ・・・たまげたぜ。できるとは思っていたがここまでとはな。」
「まったくネ。まさか百代が押されるとはね。」
なんか隣に座っている二人のおじさん(しゃかどうとルーっていったっけ?)がなんかいってる。よくわからないけど、四季をほめていることだけはわかるぞ~。さっすが、四季だね♪
「あそこまでだと、仕込むのに大分苦労したでしょう、奉山さん。」
お養父さんは、えっと、しゃかどう?のおじさんの言葉に、苦笑い。どしたの?
「実はそうでもないのよねえ。・・・・・・あの子が武術を初めてまだ1年なのよ?」
「!?それは本当ですカ!?」
「おいおい、それであの錬度かよ。とんでもねえなあ。」
おお~!なんかわからないけどやっぱり四季すごいや~!!
「でも、百代ちゃんも負けてないわよ?四季の攻撃にもしっかり反応してるし。」
そういうお養父さんの視線の先には、四季の攻撃を防いでいる、モモヨさん?がいた。
むむむ、がんばれ四季!
「ああ、確かに。百代もこの闘いで強くなってってるようだし、それにあわせて四季の坊主のスピードも速くなってってる。」
「確かニ。これはどちらが勝つかわからないヨ。」
むむむ、聞き捨てならないぞ~!!
「勝つのは四季だよ!!絶対だもん!!」
ぼくがそういうと、しゃかどうおじさんがおもしろそうな目でぼくのことをみてきた。
「ほう。譲ちゃんはどうしてそう思うんだ?」
へっへーん!そんなの決まってるよ!
だって、だって四季は、
「だって四季は
ぼくのヒーローだもん!」
そう、四季はぼくにとってヒーローなんだ。だから、
「がんばれー!四季ー!!」
勝つのは四季だ!!
サイド:四季
「はあはあ、あはあはあ。」
「はあはあ、はあ、なかなかしぶといなお前。」
「あなたこそ。」
おれと百代さんは息を切らしながら笑いあう。
まったく、ここまでギリギリの闘いになるとは思わなかったぜ。
しかし、これじゃあ、キリがないな。
「ね、え。百代さん。」
「な、んだあ。」
「そ、そろそろ、
終わりにしません?」
俺が笑いながら百代さんに問いかけると、彼女は不敵に笑う。
「くっ、もう少しこの闘いを楽しみたかったのだがな。
いいだろう!」
そういって、百代さんは両の手のひらをあわせるように重ね、体の脇に構える。
俺も、それに応えるように両の手のひらを前に向けながら重ね合わせ、体の脇に構える。
それを見て、百代さんは少し驚いたように見せた。
「ほう、私の技と同じような技か。」
「そうみたいです。偶然ですねえ。」
「くく、本当にお前は楽しませてくれる。」
百代さんは、くしくもお互いが同系の技を最後に選択した偶然に、楽しそうに笑みを浮かべ、それが終わると真剣な顔で俺に告げる。
「いくぞ。」
「はい。」
「川神流奥義」
「鬼道流奥義」
修練場の空気が軋む。
「か~わ~か~み~」
「鬼道」
観客が息をのむ
そして、
「波あああああああああああ!!!」
「砲ううううううううううう!!!」
お互いの意地(おうぎ)がぶつかりあった!!!
サイド:小雪
「うきゃあああああ!!」
わわわわ、すごいかぜだあああ。
ぼくが突然起きた爆風に吹き飛ばされそうになったいると、
がしっ!
「大丈夫かしら?小雪ちゃん。」
「ありがと~!お養父さん。」
お養父さんがぼくのことを守ってくれたみたい。
ぼくがそれに安心していると、なんかしゃかどうおじさんとルーおじさんが慌てた声をだしていた。
「くっ!まさかここまで衝撃がくるとはネ。子供だと甘くみたみたいネ誰か怪我しているものはいないカ!!」
「んなもんほっとけ!それよりどっちが勝ったんだ!!」
そうだ!四季は四季はどうなったの!!
ぼくたちは四季たちがいたほうを見る。
けむりがはれていく。
そこにいた人影は一人。
立っていたのは四季だった。
周りが静かになってる。
誰も喋ってない。
でも、
でも、
これだけはわかる。
「そこまで!川神百代戦闘不能!よって勝者は、」
やっぱり四季は、
「篠宮四季!!」
ぼくのヒーローだ!!
鉄心が勝者を告げた瞬間、修練場に歓声が響いた!!
後書き
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