転生とらぶる
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機動戦艦ナデシコ
1351話
木星蜥蜴の転移と、クロッカス、そして時間移動。
それらの事をアカツキに対して聞く為に、俺の姿はネルガル本社にあった。
それも、アポなしでの突然の訪問だ。
勿論こういうのは社会人としてマナー違反だろう。……いや、今の俺って社会人になるのか? その辺は多少疑問だが、曲がりなりにもシャドウミラーの代表という立場にいるんだから、多分社会人と言ってもいい筈だ。うん、多分。
俺自身にそんな自覚はあまりないけど。
当然こんな行動を取るには理由がある。
普通にアポを取って、どんな用件での話があるのかというのを連絡してからアカツキと会った場合、どんな誤魔化しをされるか分からないからだ。
何だかんだと結構俺と気が合いそうなアカツキだが、それでも1人の人間である前にネルガルグループという、地球圏でもかなりの大きさを持つグループ企業の会長な訳だ。
そんな人物が前もって用件を告げておいた場合に馬鹿正直に俺の疑問に答えるかと言われれば……答えは否だろう。
アカツキの場合は俺と違ってそういう腹芸も得意なタイプだけに、最終的に誤魔化されるというか、煙に巻かれる可能性の方が高い。
そうである以上、やはり相手の不意を突き、一気に木星蜥蜴についての情報を得る必要がある。
そんな訳で、この時間にアカツキは本社にいるという情報をそれとなくエリナから聞き出し、こうしてやってきた訳だ。
「にしても、さすがにネルガル。ナデシコ世界の中でも有数の規模だけの事はあるな」
そのビルの高さは、まさに天まで届けとでも無言で主張しているかのようだ。
そして会社の中には大勢の人間が入っていき、また出てくる。
数分程その光景を見ていた俺だったが、いつまでもこうしていれば、ただの怪しい人物という事で警備員に声を掛けられる可能性もある。
まぁ、別に声を掛けられたからといって、特に不都合がある訳でもないんだが。
何しろ、まだネルガルの身分証明書を持っているのだから。
一応ネルガルから……より正確にはナデシコから降りたが、それでもナデシコにいる時に稼いだこの世界の金は使う必要がある訳で……
で、俺の銀行口座とかに使う身分証明書とかは、プロスペクターによって作って貰った代物だ。
それは同時に、当時の俺の状況でもあったネルガルの社員であるというのを示しているカードなのだから。
会社の中に入る前に警備員にカードを見せると、特に何の反応もない。
ここでカードを見せなかったり、怪しげな行動をしていれば警備員に止められたりしたのかもしれないが。
そのままカウンターの方へと向かっていく。
さすがにネルガルと言うべきか、用意されている受付嬢は美人だ。
まぁ、受付嬢はその会社の顔であり、当然のように美人が選ばれるのだから当然かもしれないけど。
美人……いや、どちらかと言えば庇護欲を刺激するような可愛らしいと表現すべき女に、声を掛ける。
「悪いが、アカツキに会いたいんだけど」
「は? えっと、その……どこの課に所属するアカツキでしょうか?」
「ここの会長のアカツキ・ナガレだ」
会長の名前が出た事に驚いたのだろう。その受付嬢は唖然とした表情を俺へと向けていた。
いや、その受付嬢だけではない。カウンターに座っている他の受付嬢達も同様であり、それどころか周囲を通り過ぎようとしたネルガルの社員、またはネルガルを尋ねてきたのだろう会社員達も同様に俺の方を見ている。
「な、なぁ。あの男……今、アカツキ会長に取り次げとか言ってたんだけど。俺の聞き間違いか?」
「いや、俺も聞いた。大体、見てみろよ。受付嬢達も唖然とした顔をしてるぞ」
「……どこかの大物か?」
そんな風に周囲の声が聞こえてくるが、そんな中で受付嬢は再起動する事に成功する。
「えっと、その……アカツキ会長に、ですか? お約束の方は……」
「いや、約束はしていない」
そう告げるや否や、近くにいる者達はあからさまにこっちを侮蔑した視線を向けてきた。
いや、それどころか警備員に向かっている奴すらいる。
……まぁ、その気持ちは分からないではない。
俺が何も知らないネルガルの社員であっても、いきなりアポもなしに会長と会わせろと言うような奴が出てくれば警備員を呼びに行くだろうし。
ちなみに、このネルガルの社員とのやり取りを見てれば分かるのだが、ナデシコ世界でシャドウミラーの存在が広まっていても、珍しく俺の顔は公表されていない。
公表されているのは、シャドウミラーの政治班担当でもあるエザリアだ。
そっちの方が受けがいいってのは分かるが……
「申し訳ありませんが、お約束がないのであればアカツキ会長とお会いする事は出来ません」
「アクセル・アルマーが来た。そう言って貰えば分かると思う」
「ですから、お約束のない人とは……」
「取りあえず、上の奴に聞いてみるといい。アクセル・アルマーがアカツキに会いに来たって。それで駄目なら、俺もこれ以上は何も言わないで帰るから」
その言葉に、これ以上何を言っても絶対に俺が自分の言葉を曲げないと判断したのだろう。受付嬢は溜息を吐きながら手元の電話へと手を伸ばす。
「おいおい、あいつまだ諦めきれてないみたいだぜ? 大人しく諦めて帰れば、これ以上恥を掻かなくて済むってのによ」
「放っておけ。アポの存在も知らない奴なんだから」
「けど、ちょっと見てみたくないか? ああまで自信満々なのが、結局何も出来ないままで帰るってのは」
知り合い同士で、周囲に聞こえないように小声で話しているのだろうが、残念ながらというか、不幸ながらというか、混沌精霊である俺の耳にはしっかりと聞こえている。
意図的に俺に聞こえるようにして話をしないってのは……まぁ、褒められてしかるべきなんだろうが。
「え!? は、はい。分かりました。すぐに社長室へとご案内します」
ざわり、と。
受付嬢の言葉が聞こえたのか、周囲の社員達が唖然とした表情で俺の方へと視線を向けてくる。
まぁ、身の程知らずで常識知らずの、一種の狂人と思っていた相手が、何故か社長室に通されるというんだから、そうなってもおかしくはないか。
そうなると、数秒前まで俺に侮蔑の視線を送ってきた奴等が見る目も瞬く間に違う視線へと変わる。
「なあ、おい。あの男は誰だ? どこかの企業の社長とか、そういうのか?」
「いや、でもこの業界で見た事ない顔だぞ?」
「こうして見ると、結構いい男よね。服装がサラリーマンっぽくないけど」
「あ、やっぱり? 私もそう思ってたんだ。これで社長との間にコネがあるんなら、アタックするチャンスがあるかもね」
「……でも、会長に会いたいって言ってた筈なのに、何で会長じゃなくて社長なのかしら」
そう、それは俺も疑問に思った。
受付嬢が上に連絡を取り、そして言われたのが社長室へと案内するという事。
俺が会いたいと言ったのは会長であるアカツキにも関わらず、だ。
もしかして、社長室に会長がいるのか?
何らかの会議をしているとか、そういう可能性を考えれば不思議じゃない、か。
「あの……」
そんな風に考えていると、座っていた椅子から立ち上がった受付嬢が恐る恐ると俺の方へと話し掛けてくる。
「社長室の方へ案内いたします」
「ああ、頼む」
先程までのやり取りがある為か、どこか俺を怖がっている様子を見せる受付嬢。
別に取って食う訳じゃないし、そこまで気にする必要はないんだけどな。
俺の方も今回の件が色々とおかしいってのは分かってるし。
そうして受付嬢に案内され、少し離れた場所にあるエレベーターへと向かう。
「うん? 誰もいないな」
「はい、このエレベーターは社長室への直通のエレベーターですから」
「……なるほど」
こういう大企業のお偉いさんに会った事は……いや、雪広財閥や那波重工の社長や会長とは会った事があるな。
ただ、そちらはプライベートで、こっちに来て貰っての会話で、直接会社に行った事はないんだよな。
その辺を思えば、こうして社長室とかに行くのは初めての経験に近い……か?
まぁ、会社の社長じゃなくて、一国の代表と会う機会はそれこそ幾らでもあるんだが。
あ、でも最近は直接会いに行くってことは少ないか。
何か話がある時はホワイトスターから通信で済ませる事もあるし、全員の通信を繋いで会議を……いわゆるトップ会談をするのも珍しくないのだから。
「随分と豪華だな」
「社長の趣味ですから」
エレベーターだから普通に立って乗るものだとばかり思ってたんだが、中にはソファが用意されている。
いや、ネルガル本社の大きさを思えば、これくらいは不思議でも何でもないのか?
そんな疑問を抱きながら、エレベーターに乗り込むと、やがて上へと動き出す。
一瞬だけ襲ってくる浮遊感は、エレベーター特有のものだろう。
もっとも、ニーズヘッグとまではいかないが、PTを始めとする人型機動兵器に乗っていればこんな浮遊感は幾らでも経験するのだが。
そして1分程エレベーターが上がり続けると、沈黙に耐えかねたのか受付嬢が口を開く。
「アカツキ会長は自分の専用エレベーターとかは作らないんですけど、社長はこういうのが好きな方なので……」
「そうなのか?」
「はい。その、何と言うか何につれて自分を特別扱いしたがる人なんです。実際そうしてもいいだけの能力はあるんですが」
そう言いながら、受付嬢はそっと視線を逸らす。
上層部批判か? いや、そもそも上層部批判をするにしても、何だって見ず知らずの男の前でそれを口にするんだ?
それに、社長についてはあまり良い感情を持っていないようだが、アカツキに関しては好意的と言ってもいい。
だとすれば、いわゆる会長派って奴なのか?
ネルガルでもやっぱりそういう身内同士の争いは避けられないって事なんだろうな。
俺としては付き合いのあるアカツキの方が優勢になってくれればいいんだが。
……うん? だとすれば、俺がこうして社長室に行くってのは結構不味いのか?
そもそも、俺はアカツキに木星蜥蜴の件を聞きに来た訳で……
そんな事を考えていると、やがてエレベーターが止まり、扉が開く。
「どうぞ、こちらです」
そうして受付嬢に案内された先には、見るからに豪華な扉があった。
そして扉の前には護衛と思われる警備員2人が左右に分かれて立っていた。
ネルガルほどの大企業ともなれば、やっぱり護衛とかは必須なんだろうな。
いや、それはネルガルに限らないか。
そもそも、俺のように生身での戦いに自信があり、更には魔力や気といったものを使った攻撃をしない限り効果がないような存在でもない限り、護衛とかは必須だろう。
近右衛門辺りも麻帆良の長だけど、護衛は連れていなかったような気もするが、それは例外だろう。
そもそも、近右衛門自身がかなりの力を持っているって話だし。
「アクセル・アルマー様をお連れしました」
受付嬢が警備員にそう言うと、その警備員は2人共無言で頷く。
警備員というだけあって、ゴートに負けず劣らずの巨漢だ。
そして身体つきに関しても、ゴートと同レベルだ。
……ただ、やっぱりこうして見る限りだと、黙って立っている重心の僅かな移動とかを見ても、そこまで腕は立たないように見える。
いや、基準をネギま世界にしているのから仕方ないのかもしれないが、どうしても主力が機動兵器になると、生身での戦いというのはそこまで追求されないんだよな。
ともあれ、その警備員が扉を開く。
俺に入れという事だろう。
受付嬢はそのまま一礼して去って行く。
俺に1人で入れって事か? いやまぁ、いいけど。
取りあえずそのまま社長室の中に入ると、そこでは2人の男が待っていた。
いや、1人は社長で間違いないだろう。
だがもう1人の方は、鋭い視線を俺の方へと向けているのを見る限り、恐らく護衛か。
俺が社長室の中に入って、数秒。やがてソファに座っていた社長が立ち上がる。
年齢としては、40……いや、50代か?
かなり太っており、そのせいで年齢を見分けにくくなっている。
「やぁやぁ、よく来て下さった。アカツキ会長からアクセル代表の話は聞いていましたが、こうして直接お会い出来るとは嬉しい限り。私はネルガルの社長を努めております、サワガサキ・シュンといいます」
「アクセル・アルマーだ」
見掛けとは違い、随分と爽やかな名前だな。
名は体を表すとか言うが、それとは正反対の方向に進んでいるような男だ。
体重100kgは超えてるだろう男は、笑みを浮かべながら手を出してくる。
……その手を握り返し……こうして、俺とネルガル社長、サワガサキとの初の会談が意図せぬ感じで始まりそうになったのが……
「おおっと、社長。アクセルは僕を訪ねてきてくれたんだろう? なのに、横入りするのはよくないなぁ」
扉が開き、アカツキが姿を現すのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1188
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