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Three Roses

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第二話 幼きよき日々その六

「今は国教ではないがな」
「それでもですね」
「そうだ、当家は基本としてな」
「新教になりました」
「王となるならば新教でなければならない」
「それは王室典範で決めましたが」
「王位継承者はな」
 そこまではというのだ。
「定めていないからな」
「定めますか」
「いや」
 王は躊躇いと共に大公に答えた。
「それには及ばない、むしろだ」
「王位継承者にまで旧教を排除すれば」
「それが余計に旧教を刺激してしまう」
「今もかなり緊張していますし」
「貴族も民も多くは旧教だ」
 この国の深刻な問題である、旧教の影響を排除する為に心境を選んだ。しかしそれでもだったのである。
 旧教の信者達は多い、それが為になのだ。
「彼等は王家が新教になり不満を感じている」
「そして周辺の諸外国も」
「旧教の国が多い、だからな」
「王位継承者にまで旧教を排除すれば」
「より刺激することになる」
「だからですね」
「ここはだ」
 王は真剣な顔で大公に話した。
「それはしない」
「わかりました」
「ましてやマイラは第五位だ」
 その王位継承権はというのだ、王はこのことに安心しているものを感じていてそれで大公にもこう言うのだ。
「そうそう王位は回らない」
「そうですね、それはあります」
「だからだ、そこまでしなくてもいい」
「ではその様に」
「今我々がすべきことはだ」
「はい、国内を治めることですね」
「新教の者を増やそう」
 即ち王家と同じ宗派の者達をというのだ。
「そうしよう」
「では新教優遇策をですか」
「進めていこう、しかしだ」
「旧教を迫害はしない」
「彼等の権利はそのまま認める」
 これまで通りというのだ。
「そしてそのうえでだ」
「新教には優遇策を行うのですね」
「そうしていこう、旧教は害しないが」
「新教は重く遇する」
「それでいく、そして王権もだ」
 それもというのだ。
「これまで以上にな」
「拡大していくのですね」
「その通りだ、これでどうだ」
「よいかと」
 大公は王に確かな声で答えた。
「旧教徒への迫害はあってはなりません」
「それを行えばな」
「はい、やはり旧教徒の反感を受けます」
「周辺諸国にも侵攻の口実を与える」
「ですから」
「だからだ、余もだ」
 王にしてもというのだ。
「それはしない」
「断じて」
「これまで通りな」
「新教徒は増えています」
 大公は王にこのことをここで話した。 
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