英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルート
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第16話
~カレイジャス・ブリーフィングルーム~
「そ、そんな……!”百日戦役”が起こった理由がエレボニア帝国の自作自演だったなんて……!」
「しかも戦争を起こす為に内密に雇った猟兵達に自国の村を滅ぼさせるなんて……!」
「ひ、酷すぎるよ……!」
「リベールは完全に被害者だね……」
「愚か者共が……!」
「余りにも卑劣で愚かすぎる話です……!」
「……そうね。人間はたまに信じられない程愚かな事をするのは確かね。」
事情を聞き終えたエリオットとセレーネは信じられない表情をし、トワとジョルジュは悲痛そうな表情をし、ユーシスとエマは怒りの表情をし、セリーヌは静かな表情で頷き
「父上、今の話は本当なのですか!?」
「ああ……残念ながらな。」
ラウラに尋ねられたアルゼイド子爵は重々しい様子を纏って頷いた。
「ね、姉様……姉様はあまり驚いてらっしゃらないようですけど、姉様もご存知だったのですか……?」
「ええ。リフィアの専属侍女長を務める事になるから、機密情報も開示されたから、その時に知ったのよ。」
表情を青褪めさせているエリスに視線を向けられたエリゼは頷き
「シャロンは……当然知っているのよね……?」
「―――はい。”蛇の使徒”は当然ですが”執行者”も全員”ハーメルの悲劇”の真相は知っていますわ。」
不安そうな表情をしているアリサに尋ねられたシャロンは静かな表情で頷いた。
「その……クレア大尉やミリアムは……」
「当然知っているよ~。」
「……鉄道憲兵隊も私を含めた将校クラスには全員情報が開示されています……」
リィンに視線を向けられたミリアムとクレア大尉はそれぞれ答え
「………当然正規軍の総指揮権を持っていたオズボーン宰相閣下もご存知であったのであろうな。知らなかったのは私だけだったと言う事か……」
「父さん……」
重々しい様子を纏って呟いたレーグニッツ知事をマキアスは辛そうな表情で見つめていた。
「……”百日戦役”にまさかそのような”真実”が隠されていたとは……」
「……猟兵達に虐殺されたハーメルの人達はどんな気持ちだったんだろう……」
ガイウスは真剣な表情で呟き、フィーは複雑そうな表情をした。
「そ、そんな……エレボニアがリベールの領地欲しさに守るべき民達を………」
「お、お母様もご存知だったのでしょうか……?」
セドリック皇太子は辛そうな表情をし、アルフィン皇女は悲痛そうな表情でプリシラ皇妃に問いかけ
「ええ………貴女達にもいつかは教えるべき話だったのだけど……」
プリシラ皇妃は辛そうな表情で答えた。
「兄上はいつ、”ハーメルの悲劇”を知ったのでしょうか……?」
「2年前だ。そして……”ハーメルの悲劇”から運よく生き残った民達が今も生きている。そしてその民達は君達の知り合いだ。」
セドリック皇太子の問いかけに答えたオリヴァルト皇子は真剣な表情をした。
「な――――あの悲劇から生き残ったハーメルの民がいるのか!?」
「し、しかも僕達の知り合いって……!」
「一体誰なんですか!?」
オリヴァルト皇子の言葉を聞いたユーゲント三世やエリオット、マキアスは驚き
「……一人はカシウス准将の養子であるヨシュア・ブライト―――いえ、ヨシュア・アストレイ。もう一人は現在トールズ士官学院の”Ⅶ組”の副担任を務め、プリネ皇女の親衛隊の副長を務めているレオンハルト少佐です、陛下。」
サラ教官は静かな表情でユーゲント三世を見つめて答えた。
「!!」
「なっ!?カシウス准将と言えば、”百日戦役”の際エレボニア帝国軍を撃退したリベールの”英雄”……!」
「嘘っ!?」
「ヨシュアさんとレオンハルト教官が”ハーメル”の…………」
サラ教官の答えを聞いたユーゲント三世は目を見開き、レーグニッツ知事は驚き、アリサとリィンは信じられない表情をし
「……二人が”ハーメル”の出身である事をサラは知っていたの?」
「……ええ。」
フィーに尋ねられたサラ教官は静かな表情で頷いた。
「―――ちなみにお二方が”結社”入りした理由は”ハーメルの悲劇”が一番の理由と聞いておりますわ。」
「ヨシュア君は自分の目の前で大切な姉君を失った事が原因で心を壊してしまい、その結果”リベールの異変”を起こし、主戦派を唆せた”結社”の”蛇の使徒”の一柱―――”白面”ワイスマンに操られ……そしてレーヴェ君は”ハーメルの悲劇”の件を知り、”人”に絶望した彼が”人という可能性”を試す為に結社入りしたそうだ。」
「”人という可能性”……ですか。」
「アタシはてっきりハーメルの復讐の為かと思っていたけど……」
「お二方が結社に入った理由も全ては”ハーメルの悲劇”によるものだったのですね……」
「僕達の不甲斐なさでお二人は辛い人生を歩んでこられたのでしょうね…………………」
「セドリック……」
シャロンとオリヴァルト皇子の話を聞いたエマは複雑そうな表情で考え込み、セリーヌは目を丸くし、セレーネは悲しそうな表情をし、辛そうな表情で語るセドリック皇太子をプリシラ皇妃は心配そうな表情で見つめた。
「―――そして。プリネ姫もある意味ヨシュア君やレーヴェ君同様”ハーメルの遺児”と言ってもおかしくない。」
「ええっ!?」
「なっ……!?」
「ほえっ!?プリネってメンフィルの皇女だよね!?な、何でなの!?」
「……プリネは”英雄王”と”闇の聖女”と血が繋がっている正真正銘のメンフィル皇女だよね?なのにどうしてエレボニア帝国の滅びた村に住んでいたの?」
オリヴァルト皇子の話を聞いたアルフィン皇女やクレア大尉、ミリアムはそれぞれ驚きの表情で声を上げ、フィーは不思議そうな表情をした。
「……確か君達はメンフィルの本国―――つまり異世界に”特別実習”に行った時、”転生”について教えられたとの事だね。」
「え、ええ……―――!ま、まさか……!?」
「プリネがエステルみたいに既に死んだ人物―――”ハーメルの悲劇”によって無念の死を遂げた人物の魂が宿っているというのですか!?」
オリヴァルト皇子の話を聞いてある事を察したリィンとサラ教官は目を見開き
「――――カリン・アストレイ。ヨシュア君の姉にしてレーヴェ君とはいつ恋人同士になってもおかしくない間柄の女性だったそうだ。」
「”カリン”……プリネのミドルネームにもあった名前だな……」
「 プ、プリネにヨシュアさんのお姉さんの魂が…………」
「嘘だろ、オイ……」
「……なるほど。あのレーヴェ様がプリネ様と恋仲の関係である事にようやく納得がいきましたわ。」
プリネの正体を知ったガイウスは考え込み、マキアスは呆然とし、トヴァルは疲れた表情をし、シャロンは納得した様子で呟いた。
「えっと、その転生だったっけ?プリネに”漆黒の牙”のお姉さんが宿っている証拠とかあるの?」
「殿下には失礼かと思いますが、”転生”等、正直夢物語のようにしか思えないのですが……」
その時ある事を疑問に思ったミリアムは不思議そうな表情で尋ね、レーグニッツ知事は戸惑いの表情でオリヴァルト皇子を見つめた。
「……彼女が自らに秘められる魂の力を解放するとヨシュア君と同じ漆黒の髪と琥珀の瞳になる。ヨシュア君の話によると生前のカリンさんはヨシュア君と同じ漆黒の髪と琥珀の瞳だったそうだ。」
「あ……っ!」
「……そう言えばプリネが凄まじい力を解放した時に髪や瞳の色が変わったな……」
「―――ヨシュアと同じ漆黒の髪と琥珀の瞳だったね。」
オリヴァルト皇子の説明を聞いてある事を思い出したアリサは声を上げ、ラウラとフィーは考え込む動作で呟いた。
「そして生前のカリンさんはハーモニカで”星の在り処”を二人の前で奏でていたという。」
「ええっ!?ほ、”星の在り処”って言ったら昔エレボニア帝国内で流行った曲ですよね!?」
「わ、私も知っています……確か他国にはあまり知られていない曲のはずですが……」
オリヴァルト皇子の口から予想外の話が出るとトワとエリスは驚き
「確かプリネ姫は吹奏楽部に所属していたと聞いているが……その時彼女は”星の在り処”を演奏した事はなかったかい?」
「そ、そう言えば……!確かにプリネ、”星の在り処”を演奏した事があります……!あの時は何で他国の皇女のプリネがエレボニア帝国内でしか流行っていなかった昔の曲を知っているのかと疑問に思っていましたけど……」
「うふふ、それもカリン・アストレイという”魂の記憶”なのでしょうね。」
オリヴァルト皇子の問いかけを聞き、ある事を思い出したエリオットの言葉に続くようにレンは口元に笑みを浮かべて言った。
「―――それと知事閣下。先程”転生”について疑問を持っているが……それは真実だ。実際、その”転生”によってリウイ陛下の”初代の正妃”の魂を宿したクロスベルのマクダエル議長の孫娘はリウイ陛下の正妃になれたと言っても過言ではないだろう。」
「な―――――」
「ええっ!?リウイ陛下の正妃になれたマクダエル議長の孫娘というのは、まさかイリーナ皇妃の事ですか!?」
「なるほどね~。道理でボク達の情報網に引っかからないはずだよ~。」
「さすがに伝承としか思えない出来事を信じるような調査は現実的に考えて不可能ですものね……」
オリヴァルト皇子の口から語られた驚愕の事実にユーゲント三世は絶句し、プリシラ皇妃は驚き、ミリアムの言葉を聞いたクレア大尉は苦笑していた。
「話を戻すが……―――レン姫。”ハーメルの悲劇”を世界中に公表してしまえば、貴国と同盟を結んでいるリベールにも混乱が生じる事は承知の上なのですか?」
その時話を戻したアルゼイド子爵は真剣な表情でレンに問いかけ
「うふふ、承知も何も”リベール王国自らの申し出”なんだけどねぇ?」
レンは意味ありげな表情でリィン達を見回し、驚愕の事実を口にした!
「え……………………」
「!!」
「リ、”リベール王国自らの申し出”って……!」
「まさかアリシア女王陛下達は”戦争回避条約”の件も知っているのかい?」
レンの答えを聞いたアルフィン皇女は呆け、ユーゲント三世は目を見開き、マキアスは信じられない表情をし、オリヴァルト皇子は真剣な表情で尋ねた。
「ええ。シルヴァンお兄様達がリベールに”ハーケン門”のメンフィル軍の通行の許可を取りに行った際にアリシア女王自らが通過の許可を出す代わりにその条約を追加するように要求したそうよ?」
「何ですって!?」
「アリシア女王陛下が……」
「……何故女王陛下はそのような要求をしたのですか?自国が混乱に陥る事は目に見えているでしょうに……」
レンの説明を聞いたサラ教官は声を上げ、セドリック皇太子は呆け、アルゼイド子爵は驚きの表情で尋ねた。
「うふふ、それを答える前に”Ⅶ組”のお兄さん達に聞きたいんだけど……確かレグラムでエステル達とも会っているわよね?」
「え、ええ……」
「その時に正体を隠して彼女達と共に行動をしている”空の女神”とも会ったけどね。」
レンの問いかけにアリサは戸惑いの表情で頷き、セリーヌは説明を続けた。
「ふえええええ~っ!?」
「空の女神だって!?」
セリーヌの言葉を聞いたトワとジョルジュは驚きの表情で声を上げ
「ええっ!?エ、空の女神が兄様達と……!?兄様、それは本当なのですか!?」
「ハハ……信じられない事に本当の話だ。」
「一体どういう人物だったのですか?」
驚いているエリスに尋ねられたリィンは苦笑し、アルフィン皇女は信じられない表情で尋ねた。
するとその瞬間エイドスの顔や今までの行動、言動を思い出したリィン達はそれぞれ冷や汗をかいて表情を引き攣らせ
「え、え~と…………」
「……恐らく話をしても、正直信じられないと思います。」
「だよなぁ?あの”性格”だなんて言っても絶対に信じられないと思うぜ……」
「その……聞いてしまえば、間違いなく今まで抱いていた”空の女神”のイメージが破壊されるので、できれば聞くべきではないかと思います。」
(うふふ、”空の女神”と呼ばれる事を心から嫌がり、”ただの新妻”を名乗っている方ですものね♪)
(シャ、シャロン!)
(天然で滅茶苦茶で自由奔放な性格って言っても実物を見ない限り信じられないだろうね。)
(フィ、フィーちゃん!)
エリオットは困った表情をし、ユーシスとトヴァル、マキアスは疲れた表情をし、からかいの表情になったシャロンとジト目になって小声で呟いたフィーの言葉を聞いたアリサとエマは慌て
「ハ、ハア……?」
リィン達の様子を見たアルフィン皇女は戸惑った。
「まさかゼムリア大陸が再び混迷に満ちている時に、”空の女神”が降臨するなんて……」
「もしかして女神様は再び混迷に満ちたゼムリア大陸を何とかする為に、降臨されたのかもしれませんね……」
「……うむ。そして”ハーメルの悲劇”を知れば女神は間違いなく、エレボニアを許さないだろうな。」
「父上……」
エイドスの存在を知ったレーグニッツ知事は信じられない表情をし、プリシラ皇妃は複雑そうな表情で呟き、重々しい様子を纏って呟いたユーゲント三世をセドリック皇太子は心配そうな表情で見つめていた。
「……その話は本当なのかい?」
「は、はい。信じられない事ですが。ちなみに別れ際にエイドスさんはエマには凄まじい効果を持っていると思われるアーツを、ラウラに凄まじい”力”を秘めた魔剣を授けてくれました。」
「何……!?ラウラ、その話は本当なのか?」
オリヴァルト皇子の問いかけに答えたリィンの話を聞いたアルゼイド子爵は驚きの表情でラウラに尋ねた。
「―――はい。先程離宮の際に私が使っていた魔剣――――”スウァフルラーメ”。エイドス殿より賜りし魔剣です。」
そしてラウラは”スウァフルラーメ”をその場にいる全員に見えるようにデスクに置いた。
「!これは…………」
「ふえええっ!?よ、よくわからないけどその剣、凄い力を秘めているって事がわたしでもわかるよ……!?」
「わ、わたくしもですわ……エリスは?」
「はい、私もその剣から凄まじい魔力を感じます。」
「一体どんな材質でできているんだ……?リィン君達が持っている武具―――”匠王”によって創られた武具すらも霞む程で並ぶとしたら、リィン君の”太刀”ぐらいだと思う……」
改めて見た事によって魔剣から感じる凄まじい霊圧を感じたアルゼイド子爵や初めて見るトワ達が驚いている中、ジョルジュは興味深そうに魔剣を見つめていた。
「うふふ、よかったじゃない。空の女神から魔剣を貰えるなんて剣士として光栄でしょう?」
「え、ええ。確かにそうなのですが…………」
レンの指摘を聞いたラウラは困った表情をし
「エイドス本人は在庫処分ができて大助かりだって、言ってたけどね~。」
「ミ、ミリアムちゃん!」
「よりにもよってその言葉を皆さんの前で言ってはいけませんよ……」
「いい加減空気を読むという事を覚えろ。」
ミリアムが呟いた言葉を聞いたクレア大尉は慌て、セレーネは疲れた表情で指摘し、ユーシスは呆れた表情で指摘した。
「え、えっと……?」
「ざ、”在庫処分”ですか……?」
「これほどの魔剣をそんなぞんざいな扱いをするとは……空の女神とは一体どういう人物なのか、気になってきましたわ。」
「わ、私も思いました……」
ミリアムの言葉を聞いたアルフィン皇女とエリスは冷や汗をかいて表情を引き攣らせ、シグルーンとエリゼは目を丸くし
(クスクス、どうやらエステルの性格を遥かに強化した性格のようね♪)
(ハハ……エステル君の先祖だけあって、さすがだな……)
ある程度エイドスの性格を察したレンはからかいの表情になり、オリヴァルト皇子は苦笑した。
「それで……話を戻すがこのゼムリアに降り立った空の女神とリベールが第12項の件を要求したのとどう関係があるのだい?」
「シルヴァンお兄様から聞いた話なんだけど、空の女神がこのゼムリアの地に降り立った事を知ったアリシア女王自身がクローディア姫達やシルヴァンお兄様達の前でこう言ったそうよ。―――――『ハーメルの民達の無念を切り捨てたエレボニアは勿論ですが、私達リベールも”空の女神”御自身がこのゼムリア大陸に降臨した今こそ”空の女神”にエレボニアとリベールが犯した罪を告白し、償う時だと思うのです。』、とね。」
「それは………………」
「……アリシア女王陛下は国内に混乱が起きる事を承知の上で、”ハーメル”の民達の無念を晴らそうとされているのですか…………」
「………アリシア女王は”ハーメルの悲劇”を秘匿した事すらも、責任に思っているのか……それに比べて国の立場を守る為に”ハーメルの悲劇”を闇に葬る事を決めた私は何と愚かな皇だ……」
「陛下………御自分ばかりを責めないで下さい。」
「「「………………」」」
オリヴァルト皇子の問いかけに答えたレンの説明を聞いたセドリック皇太子は複雑そうな表情をし、アルゼイド子爵は重々しい様子を纏い、辛そうな表情で肩を落としているユーゲント三世をプリシラ皇妃は慰め、レーグニッツ知事とクレア大尉、アルフィン皇女は辛そうな表情で黙り込んだ。
(案外本人がその話を聞かされても、『ただの新妻』にそんな事を言われても困るって言いそうだけど。)
(さ、さすがにそれはないと思いますよ、フィーちゃん……?)
(………そうかしら?あのふざけた女神だと本当にそう答えそうで洒落になっていないわ。)
重苦しい空気になっている中ジト目になったフィーの小声を聞いたエマは冷や汗をかき、セリーヌは疲れた表情をし
(”実物”を知っている身とすれば、色々と複雑ね……)
(だよなぁ?頑なに”空の女神”扱いされる事を嫌がる自称”ただの新妻”だぞ?)
サラ教官とトヴァルはそれぞれ疲れた表情で小声で会話をしていた。
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