英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルート
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第8話
A班のメンバーと共にカレル離宮に急行していたマキアスだったが、何かに躓いて転んだ。
~カレル離宮~
「うわっ!?」
「大丈夫か、マキアス?」
「フン、早速足手纏いになるとは。これでは先が思いやられるな。」
転倒したマキアスを見たラウラは声をかけ、ユーシスは呆れた表情で指摘した。
「う、うるさいなっ!全く僕は一体何に躓いてしまったんだ―――――え。」
ユーシスの言葉に反論したマキアスだったが、自分が転倒した原因―――――近衛兵の生首を見て呆けた。
「な―――――」
「う、うわああああぁぁぁぁっ!?」
「……………離宮を守護する近衛兵達の生首……ですね。」
「……恐らくはリフィア殿下率いるメンフィル軍に殺害されたのであろうな……」
「………首を斬られて絶命したみたいだね。」
そして近衛兵の生首を見たユーシスは絶句し、マキアスは声をあげ、クレア大尉とアルゼイド子爵は重々しい様子を纏って呟き、フィーは生首と傍にある死体の状態を軽く確かめて静かに呟いた。
「………この鮮やかな切り口……剣―――それも”斬る”事に特化している”太刀”によるものであろうな。」
「た、”太刀”って事は近衛兵達をこんな殺し方をした人は……!」
「メンフィル所属で”太刀”の使い手かつ”聖魔皇女”と一緒にカレル離宮に突入していた人物は一人しか思い当たらないね。」
「エリゼか…………このような惨い殺し方をするという事はユミルが襲撃された事やエリスが誘拐された事に、エリゼもメンフィル同様相当腹を立てていたのであろうな……」
「……………………」
近衛兵の死体を調べて呟いたアルゼイド子爵の話を聞いてある人物――――エリゼを思い浮かべたマキアスは信じられない表情をし、フィーとラウラは重々しい様子を纏い、ユーシスは辛そうな表情で近衛兵達の死体を見つめて黙祷をした。
「……行くわよ。離宮内はもっと悲惨な事になっているでしょうから、今の内に気をしっかり持っておきなさい。」
そしてサラ教官達が離宮内に入ると、離宮内のホールは到る所に血だまりの中に近衛兵達や魔獣の死体があり、ホール内は血で真っ赤に染まっていた!
「こ、これは……っ!」
「うっ……おぇぇぇっ……!」
「うっ………!」
”地獄絵図”と言ってもおかしくない光景を見たラウラは目を見開き、マキアスはその場で胃の中にあるものを吐き出し、ユーシスはマキアスのように吐かない為に必死に口を閉じると共に片手で口を塞いで耐えていた。
「……どうやらみんな、”聖魔皇女”やエリゼ達に殺されたみたいだね。」
「……………この様子では陛下達を除けば離宮内の生存者は”ゼロ”でしょうね…………」
「”聖魔皇女”達の部隊の同行の許可が出されなくて、正解だったわね……」
「ハハ……帰りを考えると憂鬱だね……父上達も”この光景”を見る事になるのだから……」
フィーは静かな表情で呟き、クレア大尉とサラ教官は重々しい様子を纏って呟き、オリヴァルト皇子は疲れた表情で呟いた。
「…………―――!何だあれは……?」
重々しい様子を纏って近衛兵達の死体を見回していたアルゼイド子爵はある事に気付いて呟き
「へ――――」
アルゼイド子爵の言葉を聞いたマキアス達がアルゼイド子爵が見つめている方向に視線を向けると、何と近衛兵達の死体から”何か”が現れ、”何か”は近衛兵達の姿を形どった!
「イヤダ、シニタクナイ………!」
「イタイ、イタイ、クルシイ……!」
「陛下達ヲマモレ……!」
「なっ!?こ、これは一体……!?」
「ま、まままままま、まさか近衛兵達の亡霊か!?」
近衛兵達の亡霊を見たクレア大尉は驚き、マキアスは表情を青褪めさせ
「……どうやらそのようだね。まさか現実の世界でゼムリア大陸では”ありえない存在”――――亡霊と戦う日が来るとはね……!」
「チッ、急いでいるっていうのに面倒ね……!――――手伝いなさい、バルディエル!!」
「……お前達がそうなってしまった原因の大半はアルバレア公爵家…………せめてもの償いにこの俺自らの手で成仏させてやる……!」
オリヴァルト皇子は厳しい表情で銃を構え、サラ教官はバルディエルを召喚し、ユーシスは決意の表情で鞘からかつてウィルが作成し、今でも使い続けている聖剣クラウソラスを抜いた。
「父上!父上はこちらをお使いください!」
「ラウラ……?」
アルゼイド子爵はラウラに手渡された大剣――――聖剣アロンダイトを見て戸惑ったが
「”特別実習”で彼らのような存在―――”亡霊”とも戦って来ました!亡霊には通常の武器での攻撃は全くと言っていいほど通りません!その剣は亡霊たちに有効な”聖剣”ですので、攻撃が効きます!私には”とある方”から授かったこの剣―――”スウァフルラーメ”がありますので、大丈夫です!」
「……わかった。ありがたく使わせてもらおう。」
ラウラの説明を聞いて納得した後ラウラから聖剣を受け取って構えた。
「―――ラウラの説明にあったように、亡霊には通常の武器での攻撃は効かないわ!その代わり火属性か空属性のアーツが良く効くわ!」
「わかりました!」
サラ教官の助言に頷いたクレア大尉はオーブメントを駆動させて周囲を警戒し
「―――来る!」
フィーの言葉を合図にA班は戦闘を開始した!
「燃えろっ!バーニングフォース!!」
「アァァァァァ――――ッ!?」
マキアスの銃撃によって起こった炎の大爆発を受けた亡霊たちは悲鳴を上げて怯み
「アークス駆動――――ダークマター!!」
「オォォォォ―――――ッ!?」
クレア大尉が放った弱点である空属性のアーツを受けて消滅した!
「これでも喰らいなさい!鳴神!!」
「排除する。」
「フッ、浄化してあげよう!!」
「斬!!」
「ハァァァァァ……セイッ!!」
「ハアッ!!」
サラ教官とフィー、オリヴァルト皇子の銃撃によって怯んだ亡霊達にはユーシスやラウラ、アルゼイド子爵が一気に詰め寄って聖剣で斬り捨て
「我が雷の力、思い知るがいいっ!」
バルディエルは膨大な雷を纏った槍で圧倒的に戦っていた。その後サラ教官達は襲い掛かってくる亡霊たちを殲滅し終えた。
「……何とか撃退できたみたいだね。」
「チッ、時間との勝負だって言うのに余計な時間を取ってしまったわね……!」
亡霊たちを殲滅し終えたフィーは静かな口調で呟き、サラ教官は舌打ちをし
「父さんや陛下達が彼らに襲われていないといいのだけど……」
「―――急ごう。式典の間はあそこから行ける。」
マキアスの言葉にオリヴァルト皇子は頷いた後”式典の間”へと向かう通路に視線を向けた。その後サラ教官達は時折襲い掛かってくる亡霊達を撃退しながら、式典の間の扉の前まで来た。
「この扉の先が”式典の間”だ。」
「ここに父さん達が……!」
オリヴァルト皇子の話を聞いたマキアスは目を見開いて扉を見つめ
「……例の如く近衛兵達は殺されているね。」
「……彼らが亡霊と化して、襲って来ない内に陛下達を救出して急いで脱出しましょう。」
扉の傍に血の海の中で倒れている近衛兵達の死体を見たフィーは静かな口調で呟き、クレア大尉は重々しい様子を纏って先に進むように促した。
フフ、中々やるじゃないか。さすがはあの忌々しい”特務支援課”と色々似ているだけはあるね。
するとその時眼鏡をかけた司祭服を着た男性の亡霊が扉の前に現れた!
「チッ、また亡霊か。」
「クッ、父さん達は目の前だって言うのに……!」
「敵は一体。集中攻撃をしてさっさと排除するよ。」
男性の登場にユーシスは舌打ちをし、唇を噛みしめたマキアスはフィーと共に武器を構えた。
「!?あんたはまさか……!」
「―――”D∴G教団”司祭ヨアヒム・ギュンター!何故貴方がこの場にいるのですか!?貴方はクロスベルの”太陽の砦”での”特務支援課”との決戦にて肉体ごと消滅したと報告で聞いていますよ!?」
男性――――ヨアヒムの姿を見て何かに気付いたサラ教官とクレア大尉は血相を変えて声を上げた。
「”D∴G教団”……レン姫の過去を聞いた際にプリネ達の口から出た外道の集団か……!」
「……君も近衛兵達のように”亡霊”と化したという事だね。―――それで、エレボニア帝国に一体何の用で、面識もない初対面の私達の前に何故現れたのだい?」
「まさか中にいる陛下達に危害を加えてはいないだろうな……!?」
クレア大尉の言葉を聞いたラウラは厳しい表情でヨアヒムを睨み、オリヴァルト皇子は目を細めて問いかけ、アルゼイド子爵も続くように全身に膨大な闘気を纏って問いかけた。
「ああ、中にいるエレボニア皇帝達には何も危害を加えていないから、安心していいよ?むしろ君達には彼らを救出して彼らと共に内戦終結に向けて活動してもらった方が、僕にとっても都合がいいんだよ。」
「何だと?」
「あたし達がユーゲント陛下達を救出して、陛下達と共に内戦終結に向けて活動する事がどうしてあんたにとって、都合がいいのよ?」
ヨアヒムの話を聞いたユーシスは眉を顰め、サラ教官はヨアヒムを警戒しながら問いかけた。
「フフ、今回のメンフィルの襲撃と報復に加えて君達に自分達の”切り札”であるセドリック皇太子を含めたエレボニア皇族達まで奪われた事で大義名分を失い、追い詰められた貴族連合が藁にも縋る思いで僕――――教団の”真なる叡智”に頼る機会を待っているんだよ!」
「セドリックが貴族連合の”切り札”だって……?」
「教団の”真なる叡智”―――”グノーシス”ですか……!」
「……なるほどね。”貴族連合”を”ルバーチェ”のようにあんたの手駒にするって事ね。それでアンタは貴族連合を手に入れてどうするつもりなのよ!?」
ヨアヒムの話を聞いてセドリック皇太子が貴族連合の”切り札”である事が気になったオリヴァルト皇子は眉を顰め、ある事を察したクレア大尉は目を見開いて厳しい表情をし、サラ教官は怒りの表情で問いかけた。
「フフッ、決まっているじゃないか。我等が教団の崇める御子――――キーア様が”真なる神”としてクロスベルに降臨した今、キーア様とキーア様をお迎えした僕達の”スポンサー”と合流する為の手土産だよ!」
「世迷言を……!」
(”D∴G教団”の”スポンサー”………―――――エオリア達の話にあった”IBC”の”クロイス家”ね……!)
「それ以前に”真なる神”とか意味不明だし。というかその”キーア”とか誰?」
嬉しそうな表情で語ったヨアヒムをラウラとサラ教官は厳しい表情で睨み、フィーはジト目で呟いた。
「フフ、君達がキーア様の事を知る意味はないから悪いがこれ以上は教えてあげられないよ。それと貴族連合を手に入れたい理由は他にもあってね……そのもう一つの理由とは七耀教会がまやかしで創った存在――――”エイドス”と名乗る愚か者をこの世から葬る為さ!」
「ええっ!?エイドスさんを!?な、何でだ!?」
「……”D∴G教団”は”空の女神”の存在を否定しているのです。よってその否定している存在―――”空の女神”が存在している以上、彼女を葬ろうとしてもおかしくありません。」
「貴様、正気か?確かに奴はふざけた女神だが、貴様如きが敵う相手ではないぞ。」
「”あんなの”でも”空の女神”なんだから例え貴族連合を手に入れても、ぶっちゃけ返り討ちになると思うけど。」
ヨアヒムの説明を聞いて驚いているマキアスにクレア大尉は説明し、ユーシスとフィーは呆れた表情でヨアヒムを見つめていた。
「―――貴様の狂った目的等、どうでもいい。ゼムリア大陸に住まう多くの幼子達をおぞましい人体実験に使って命を奪い取り、多くの両親達を悲しませたその罪、今こそその魂を持って購ってもらうぞ!」
「君をこのまま野放しにすれば、エレボニア帝国は更に混迷に満ち、そしていずれはゼムリア大陸全土に混乱が生じる。―――本来ならこう言うエクソシストのような真似事に関しては”彼ら”の役割だけど、エレボニアを……ゼムリア大陸を守る為に私達が”彼ら”の代わりを務めさせてもらうよ。」
するとその時アルゼイド子爵は全身に闘気を纏って闘気によって発生した光を纏った”宝剣ガランシャール”を構え、オリヴァルト皇子も続くように銃を構え、他の者達も次々と武器を構えた!
「やれやれ……君達の行動を邪魔しないと言っているのに、何故戦おうとするのか理解できないね。そんなに戦いたいのなら、”彼ら”と戦うといい。」
オリヴァルト皇子達の様子を呆れた表情で見守っていたヨアヒムは杖を取りだして詠唱をした。すると何かの物体らしき魔物が4体召喚された!
「!あの魔物はまさか……!」
見覚えのある魔物を見たオリヴァルト皇子が目を見開いたその時魔物達はそれぞれ光を放ち、光が消えると魔物達は何とロイド、エリィ、ティオ、ランディの姿に変身した!
「なっ!?魔物がロイドさん達に変身した!?」
「あの魔物は”グリモア”――――変身能力を持つ魔物だ……!能力も変身する本人の能力をある程度コピーするから、厄介な相手なんだよ……!」
魔物―――”グリモア”が変身した姿を見たマキアスは驚き、オリヴァルト皇子は仲間達に説明し
「ハハハハハハッ!エレボニア帝国という”力”に抗おうとしている彼らがエレボニア皇帝達を救おうとしている君達の行く手を阻むなんて、皮肉が効いていていいだろう?―――それでは僕はこれで失礼するよ。」
「待ちなさい!」
クレア大尉は高笑いしながら消えるヨアヒムに銃撃を放ったが、銃弾がヨアヒムに命中する直前でヨアヒムは消えた為ヨアヒムに命中しなかった。そしてロイド達の姿に変身したグリモア達は武器を構えてサラ教官達の前に立ちはだかった!
「本物程の力を持っていないとは言え”特務支援課”が相手か。ちょっと手こずりそうだね………!」
「とっとと片付けて陛下達を救出して、ここからトンズラするわよ!―――来なさい、バルディエル!!」
そしてサラ教官達A班はロイド達に変身したグリモア達との戦闘を開始した!
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