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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~ 戦争回避成功ルート

作者:sorano
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第6話

同日、12:50――――





~カレイジャス・ブリッジ~





「うわっ!?あのゼルギウスって将軍、強すぎだよ~!」

「生身で機甲兵を易々と破壊している事に加えて、飛行艇すらも撃ち落していますね……」

「……画面越しであるにも関わらず、あの人から凄まじい”風”を感じるな。」

「おいおいおい……!リィンから話には聞いていたが、幾ら何でも非常識すぎだろ、あの強さは!?」

「ほ、本当にあの人、わたし達と同じ”人”なの……!?」

「生身で近代兵器を破壊するなんて、僕達からしたら普通ならありえない出来事だよね………」

「……まあ、生身で近代兵器を破壊する人は他にもたくさんいるけどね。」

「ああ……エステルさん達といい、非常識な人がこの世には多すぎだろ……」

「下手をすればリウイ陛下達にも迫るかもしれませんわね。」

「”空の覇者”の跡継ぎ候補と言われているだけはあるって事だね。」

モニターでゼルギウス率いるメンフィル軍と領邦軍の戦いを見ていたミリアムは驚き、エマとトヴァルは信じられない表情をし、ガイウスは静かな表情で呟き、表情を引き攣らせているトワとジョルジュの言葉を聞いたアリサとマキアスはそれぞれ疲れた表情をし、シャロンとフィーはそれぞれ真剣な表情をしていた。

「……これがメンフィル帝国の”力”か。」

「ハハ……あの信じられない程の強さを持つ人がいる事に加えて、自分達の”切り札”である”機甲兵”までメンフィル軍が所持している上自分達よりも上手く使いこなしているなんて、領邦軍にとっては悪夢のような出来事だろうね……」

アルゼイド子爵は重々しい様子を纏って呟き、オリヴァルト皇子は疲れた表情で呟いた。



「……わかってはいた事だけど、メンフィル軍、領邦軍の兵士達を次々と殺しているよね……」

「はい……これが本当の”戦争”なのですわね……」

「こんなのまだマシな方だと思うわよ?離宮内はもっと悲惨な事になっているでしょうし。」

「ええ……間違いなく近衛兵達はエレボニアに対して怒りを抱いているリフィア殿下達によって殺され、血の海に沈んでいるのでしょうね。」

「…………ッ…………!」

「ユーシス………」

エリオットとセレーネ、セリーヌとクレア大尉がそれぞれ重々しい様子を纏っている中、辛そうな表情で唇を噛みしめて身体を震わせながら次々と討ち取られて行く様子の領邦軍の兵士達を見つめているユーシスをガイウスは心配そうな表情で見つめていた。するとその時通信の音が聞こえ、通信士が端末を操作した。



「!艦長!またメンフィル帝国から通信が来ています!」

「すぐに繋げてくれ。」

「イエス・キャプテン。」

アルゼイド子爵の指示によって通信士が端末を操作するとモニターにエリゼが映った!



「あ……っ!エリゼ……!」

「エリゼお姉様……!エリスお姉様の救出は無事成功したのですのよね!?」

「―――はい。今エリスに代わります。」

エリゼの登場にアリサは声をあげ、セレーネの言葉に頷いたエリゼは通信をエリスと代わった。

「―――お久しぶりです、皆様。今まで御心配をかけてしまい、本当に申し訳ございません。」

「エリスお姉様……!」

「フフ、無事で何よりよ。」

「……父がユミルに猟兵を差し向けた事、本当にすまなかった……俺がもっと早く父を止めていれば男爵閣下も傷を負う事無く、ユミルは平穏に保たれ、お前も誘拐されずに家族と離れ離れになる事も無かったかもしれないのに……」

エリスが映るとセレーネとサラ教官は明るい表情をし、ユーシスは頭を深く下げ

「ユーシスさん…………」

ユーシスの行動にエリスは複雑そうな表情をしていた。



「エリス君、父さん達はまだカレル離宮にいるんだよな!?」

「!はい!陛下達やレーグニッツ知事閣下はカレル離宮の”式典の間”にまだいらっしゃいます!どうか陛下達の救出をお願いします……!」

その時血相を変えたマキアスの問いかけに我に返ったエリスは必死の表情でアリサ達に伝え

「ああ、後は私達に任せてくれ。」

エリスの嘆願にオリヴァルト皇子は静かな表情で頷いた。

「はい……!」

そしてモニターにはエリスから再びエリゼへと代わった。

「―――エリスを救出した以上、メンフィル軍はもうカレル離宮や帝都には用はありません。先程”蒼の深淵”と戦っていたプリネ姫達や帝都や宮殿内で戦闘を繰り広げていたメンフィル軍もバルヘイム宮や帝都からの撤退を終えたとの報告が入りましたので、リフィア殿下達が戻り次第メンフィル軍はカレル離宮と帝都から撤退する手筈になっています。カレル離宮周辺の戦況はゼルギウス様達の獅子奮迅の活躍によって、私達が撤退する頃には領邦軍は”全滅”する可能性が高いでしょうが、私達が撤退をすれば援軍の領邦軍は総力をあげてユーゲント陛下達を確保しようとして来るはずです。ユーゲント陛下達を救出をするのならば急いでください。」

「了解した。忠告、感謝する。」

エリゼの言葉にアルゼイド子爵は頷き

「―――それでは私はこれで失礼します。皆さんの武運を心から祈っています。」

エリゼはアリサ達に応援の言葉をかけて、通信を切ってモニターから姿を消した。



「!艦長、帝都上空にいるメンフィル軍の戦艦の一部に動きがあります!」

「―――モニターに映してくれ。」

「ハッ!」

アルゼイド子爵の指示によって船員達が端末を操作するとそれぞれの砲口をバルヘイム宮に向けている”グロリアス”が映った!

「あの紅い戦艦はユミルの時にも現れた……」

「――――かつて結社が所持していた最大級の兵器―――”紅の箱舟グロリアス”ですわね。」

「そ、それより……バルヘイム宮に砲口を向けているけど……まさか……!」

「―――エレボニア帝国に対する”報復”の一つ――――バルヘイム宮の爆撃ね。」

グロリアスを見たフィーとシャロンは真剣な表情をし、トワが表情を青褪めさせ、目を細めたセリーヌが呟いたその時グロリアスは一斉に砲撃を行ってバルヘイム宮を崩壊させた!



「ああっ!?」

「そ、そんな……バルヘイム宮が…………」

「クッ…………!」

「クソッ!よりにもよって”結社”から奪い取った戦艦で砲撃するとか、貴族連合に協力している”結社”に対する皮肉のつもりか!?」

崩壊するバルヘイム宮の様子を見たアリサは声をあげ、エリオットは悲痛そうな表情をし、ラウラは唇を噛みしめ、トヴァルは厳しい表情で呟き

「…………ッ………!申し訳ございません、殿下……!アルバレア公爵家の暴走によって、このような事に………っ!」

「―――何度も言っているように君の責任ではないよ。それより今は父上達の救出が先だ。」

「陛下達の身柄を確保する為に現れる援軍の領邦軍が駆け付けてくるまでに陛下達を早急に救出し、こちらも撤退します!エマさん、お願いします!」

ユーシスに謝罪されたオリヴァルト皇子は静かな表情で答えた後決意の表情になり、号令をかけたクレア大尉はエマに視線を向け

「はい!」

エマはその場で詠唱をして転移魔術を発動した。

「みんな、気をつけてね……!」

「絶対に全員無事で帰ってくるんだよ……!」

「はいっ!!」

そしてトワとジョルジュの応援の言葉にアリサ達が頷いたその時、エマの転移魔術によってアリサ達は地上へと転移した!



~カレル離宮~



「それじゃあ手筈通りB班は援軍で駆けつけてくる領邦軍の相手を頼むわ!―――トヴァル、”死線”!その子達をしっかり守ってあげてよ!」

「ああ、任せとけ!」

「――――お嬢様や皆様はわたくし達が必ず守りますので、サラ様達は陛下達の救出に専念してください。」

「ミルモ、お願い!!」

「力を貸してください、ヴァレフォルさん!!」

地上に転移し終えたサラ教官は陽動班に指示をした後陽動班と共に戦うトヴァルとシャロンに視線を向け、アリサとエマはそれぞれミルモとヴァレフォルを召喚した。

「ええ!―――A班、行くわよっ!」

「おおっ!!」

「父さん、もうすぐ助けるから無事でいてくれ……!」

そしてユーゲント三世達を救出するメンバーであるA班―――サラ教官、クレア大尉、アルゼイド子爵、オリヴァルト皇子、ユーシス、マキアス、ラウラ、フィーはカレル離宮に向かい、残りのメンバー―――アリサ達B班は陽動としてその場に残った。



オリヴァルト皇子達がユーゲント三世達の救出に向けて行動を開始していたその頃、メンフィル軍はオルディスとバリアハート制圧を終えようとしていた。 
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