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英雄伝説~光と闇の軌跡~(3rd篇)

作者:sorano
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外伝~青珊瑚の隷姫との邂逅~

リースが封印石を解放すると予想外の人物が現れようとした。



~隠者の庭園~



「あれ?」

「レーヴェじゃないようだね………」

光から現れようとした人物を見たエステルとヨシュアは首を傾げ

「……エ、エルフ!?もしかしてレイシアメイルのエルフかい?」

「い、いえ。レイシアメイルの方達は全員知っていますから、違います。それに何より服装が………」

ウィルは驚いた後セラウィを見つめ、見つめられたセラウィは戸惑いながらウィルの推測を否定し

「王族が着ているような服装ですね………?」

「フム。ということはどこかのエルフ領の姫君か………?」

プリネは不思議そうな表情で呟き、リフィアは考え込み

(なっ!?どうして貴女が………!………か、母様…………!!)

リウイの身体の中にいたセオビットは驚き、信じられない表情をした。そして光が消えるとそこにはドレス姿のエルフの女性が倒れていた!

「………?私は一体………?」

倒れていたエルフの女性は目を覚まし、地面に手をついた状態で首を傾げた後、自分達を見つめる視線――リース達に気付いた。

「貴女達は一体誰ですか………?………え!?ど、どうして”魔族”がエルフと人間どころか、天使と一緒にいるの………!?」

女性はリース達を見回した後、リウイ達に気付いて信じられない表情で呟いた。

「………どこの誰か知らないけど、私達にとって”魔族”は最大の侮辱よ。2度と口にしない事ね。」

「っつ………!」

女性の言葉を聞いたファーミシルスは顔を顰めた後、女性を睨み、睨まれた女性は身体をすくめた。

「やめろ、ファーミシルス。」

「ハッ。」

そしてリウイに制されたファーミシルスは頷いた後、女性を睨むのをやめた。

「初めまして。私はセテトリ地方南方の森、”レイシアメイル”で生き、今はこちらのユイドラ領主―――ウィルフレド・ディオンに嫁いだ、セラヴァルウィ・ディオンと申します。身分が高い方に見受けられますが、どの地方の森に住んでいる方ですか?」

一方セラウィは静かに前に出て、女性に尋ねた。

「セテトリ……?……………リガナール半島から遥か離れた地方のエルフがどうして……?」

「え!?」

「なんですって!?」

女性が呟いた言葉を聞いたセラウィとエリザスレインは驚き

「………リガナール半島…………だと?……………」

「あ、ありえません…………!あの半島一帯はどんな生物も生きれない土地のはずですよ………!?」

リウイは驚いた後考え込み、イリーナは信じられない表情で言った。

「え…………それはどういう事ですか!?」

一方イリーナの言葉を聞いた女性は呆けた後、血相を変えてイリーナを見て尋ねた。そして事情を知っているイリーナとセラウィ、エリザスレインが”リガナール半島”が今はどんな生物も生きれない腐敗の土地である事を説明した。

「そ………ん…………な……………ルア=グレイスメイルが………みんなが……………エフィ……………アレサ……………」

事情を聞いた女性は顔を青褪めさせた後、涙を流して悲しそうな表情で呟いた。

「ルア=グレイスメイル………!?まさか貴女は今は滅びたはずのあの森の…………!」

女性の言葉を聞いたセラウィは驚きの表情で見つめ

「…………はい。………名乗るのが遅れましたね。私の名はシルフィエッタ。ルア=グレイスメイル王女で………ザルフ=グレイスに人質として生きているシルフィエッタ・ルアシア。よければ私がここにいる事情の説明をお願いします………」

見つめられた女性――――シルフィエッタは気を取り直したが、それでもわずかに表情を暗くした状態で自己紹介をし、尋ねた。そしてリース達は事情を説明し、自己紹介をした。



「…………………そう………ですか…………正直信じられない気持ちですが………私がこうして貴女達の前にいるのだから、信じるしかありませんね…………」

事情を聞いたシルフィエッタは戸惑いながら呟いた。

「あの………一つ気になった事があったのですが………尋ねてもよろしいでしょうか?」

「貴女はクローディア姫でしたね…………?何でしょうか?」

不安そうな表情で尋ねたクローゼの言葉を聞いたシルフィエッタは先程の自己紹介の時を思い出しながら尋ねた。

「先程シルフィエッタ姫は”人質”として生きているとおっしゃっていましたがそれは一体…………」

「………………………」

クローゼの疑問を聞いたシルフィエッタは辛そうな表情で黙り込んだ。

「………なるほど。お前がかの魔人―――”破戒の魔人”イグナートの傍にいたエルフの姫、シルフィエッタか。」

「へ………?シルフィエッタさんの事、リウイは知っているの?」

(シルフィエッタ………?最近どこかで聞いた覚えが………?)

一方静かに呟いたリウイの言葉を聞いたエステルは驚いて尋ね、ヨシュアは自分の記憶の中にシルフィエッタの名前が引っかかり、思い出そうとしていた。そしてリウイはシルフィエッタが遥か昔かつて人間だった人物が魔人へと変貌した人物――――”破戒の魔人”イグナートが支配するザルフ=グレイスによって支配されたルア=グレイスメイルを守る為に取引として、シルフィエッタが人質になった事を説明した。

「敗戦した自国を守る為に人質になった王族の姫君か………」

「……………フム。その魔人はよほどシルフィエッタ姫に執着していたのかな?シルフィエッタ姫が国の自治権と同等の条件だったなんて………ま、これほどの美しい姫君だ。国を引き換えにして欲しいというのも男としてわかるよ。」

「………少しは状況を考えろ、阿呆………!」

事情を聞いたユリアは重々しい口調で呟き、真剣な表情で考え込んだ後いつもの表情に戻して呟いたオリビエの言葉を聞いたミュラーは顔に青筋を立ててオリビエを睨んだ。

「………違います………!あの男は………イグナートは私を”道具”としてしか、見ていません…………!」

しかしその時、シルフィエッタは怒りが籠った表情で呟いた。

「………”道具”………?それは一体どういう意味ですか……?」

シルフィエッタの言葉を聞いたリースは眉を顰めて尋ねた。そしてシルフィエッタはかつての事―――イグナートが魔力を得る為や実験の為に何度もイグナートに凌辱された事を辛そうな表情で涙を流しながら説明した。

「酷い…………!」

「クソ野郎が………!」

「………外道が………!」

「………それほどの外法が存在していたとは………!」

「………許せん!闇夜の眷属の面汚しが!」

事情を聞いたクローゼとアガット、ジンとリースは怒りの表情で呟き、リフィアは怒りに震えて叫び、また他の人物達もそれぞれ驚きや怒りの表情を浮かべていた。



「―――なるほどな。だからお前は俺達”闇夜の眷属”に普通の者達以上に恐怖や嫌悪を感じているのだな。」

「…………………」

一方リウイは冷静な表情で呟き、イリーナは辛そうな表情でシルフィエッタを見つめていた。

「………正直、貴方達の話は信じられません。半魔神の貴方が…………魔族が私達―――エルフや人間と…………全ての種族達が共存している国を創っているなんて………それに人間の貴方も全ての種族が共存できる国を創っているなんて………」

見つめられたシルフィエッタはわずかに怯えが入った表情でリウイを見つめた後、少しの間だけウィルに視線をやり、顔を下に向けた。

「………………」

「ウィル…………」

その様子を両手の拳を握って辛そうな表情で見ているウィルに気付いたセラウィは心配そうな表情で見つめた。

「………すぐに信じろとは言わん。だが、しばらくは共にいる事になる。その間に俺達”闇夜の眷属”を知るといい。……誇り高き闇夜の眷属を率いる王にして初代メンフィル皇帝たる俺の名にかけて、ここにいる者共にお前に危害を加えさせない事を誓おう。」

「…………………(え………どうして………?この方から優しさが伝わってくる………他にも誇り………気高さ………それに他の魔族達からも同じ気持ちが…………どうして………?……………魔族なのに…………)……………わかりました。………それと皆さんの探索のお手伝いもします。何もせずお世話になるのは心苦しいですので……………」

真剣な表情で自分を見つめ、覇気を纏って言ったリウイをシルフィエッタは戸惑った表情で見つめた後、リースに視線を変えて静かに呟いた。

「………ご協力ありがとうございます。同じエルフのセラウィさんの戦い方から推測すると貴女も弓や魔術を?」

「いえ、私は弓はできません。その代り精霊魔術は他のエルフの方達よりある程度強力なのは使えます。………ですので、皆さんの御力にはなれると思いますので、いつでも連れて行って下さい。」

そしてシルフィエッタを仲間に加えたリース達は再びメンバーを編成し、リース、アドル、エステル、ヨシュア、リウイ、セリカ、シルフィエッタ、エクリア、ティオのメンバーで探索を再開する為に転移した。



~ベルゼビュート宮殿・合流地点~



「これが”方石”の力ですか………魔力もなしに転移をするなんて………」

転移して来たシルフィエッタは驚きの表情でリースが持つ方石を見つめた。

「では、早速探索を再開しましょう。」

そしてヨシュアは仲間達を見回して提案した。

「待て。」

「?どうしたの、リウイ。」

しかしその時リウイが制止の言葉を呟き、それを聞いたエステルは首を傾げて尋ねたその時

「……………いつまで隠れているつもりだ、セオビット!」

「え………!?」

リウイはセオビットの名を呼び、それを聞いたシルフィエッタは驚いた。するとリウイの傍にセオビットが召喚された!

「セ、セオビット!?行方不明になったはずの貴女がどうして………!」

「…………………」

驚きの表情で自分を見つめるシルフィエッタにセオビットは何も答えず、辛そうな表情をして黙り込んだ。

「お知り合いなのですか?」

「は、はい。………イグナートによって孕まされた………私の娘です。」

そしてティオに尋ねられたシルフィエッタは戸惑った表情で答えた。

「へ!?む、娘!?セオビットがシルフィエッタさんの!?確かに顔つきとか、どことなく似ているようだけど………」

「そういえば、シルフィエッタさんが自分の母親だって話をセオビットから聞いたことがあったな……」

セオビットとシルフィエッタの関係を知ったエステルは驚き、ヨシュアは祝賀会の夜の事を思い出した。



「何故、シルフィエッタが現れた時に自分から現れなかった。」

「………………………」

リウイの問いにセオビットは何も答えず、辛そうな表情で黙っていた。

「………まあいい。シルフィエッタの補佐はお前に任せる。」

「え………ど、どうして?」

そしてリウイの指示を聞いたセオビットは戸惑いながら尋ねた。

「…………お前を使い魔にして数ヶ月…………両親の事を今はどう思っているか尋ねた時、お前はこう言っていたな。『イグナートはどうでもよくなった……それどころか嫌悪を感じているが、シルフィエッタ―――母様には償いをしたいと。』」

「え………!?」

「………………」

リウイの話を聞いたシルフィエッタは驚きの表情でセオビットを見つめ、セオビットは辛そうな表情で黙っていた。

「丁度いい機会だ。戦いに不慣れなシルフィエッタを守ってやれ。」

「…………はい。行くわよ、………し、シルフィエッタ……様……………」

「…………え、ええ…………(………確かにあの娘だけど………前と違って私を見る目が違うし、わずかにだけど優しさや………そして喜びも感じるわ………今のこの娘ならちゃんと向き合ってゆっくり話せるかもしれないわね………それにしても一体何があったのかしら?あの娘がここまで変わるなんて………)」

リウイの言葉に頷いたセオビットはわずかに怯えが入った表情でシルフィエッタを見つめて言い、シルフィエッタは戸惑いながらセオビットを見つめて頷いた。そしてリース達は先を進み始め、ある地点に来ると妖しげな光陣が3つ現れた!



「………来たか。」

(フム。この気配………”魔神”だな。クク、たえぎってくるだの………!)

それを見たセリカは仲間達と共に武器を構えて静かに呟き、ハイシェラは不敵に笑った。そして妖しげな光陣からそれぞれすざましい気を纏った圧倒的な存在が現れた!

「奴等は………アガチオンとサブナク!それにあの少女の姿をした”魔神”はラテンニール……か?皆、あの時宮殿に現れた”魔神”共か………!」

「ちょっ、”魔神”が3体って反則すぎじゃない!」

敵達を見たリウイは警戒した様子で呟き、リウイの言葉を聞いたエステルは慌てた。

「道を阻むのなら斬るだけだ。エクリア、行くぞ。………来い、リ・クアルー!!」

「承りました!」

「うむ!」

一方セリカは静かに呟いた後自分の使い魔である龍人(ナーガ)族の女性―――リ・クアルーを召喚し、剣を構えて魔神の一柱―――アガチオンにエクリアとリ・クアルーと共に向かい

「私達も行きましょう、アドルさん!」

「ああ!」

セリカ達を追うようにリースとアドルも魔神アガチオンに向かい

「エステル。お前達はラテンニールを相手しろ。奴の場合は以前と違い、少しは力が落ちている可能性がある。………それにお前にはカファルーがいる。奴と共なら倒すのも不可能ではないだろう。」

「わかったわ!………カファルー!!ヨシュア、ティオちゃん!行くわよ!」

「グオオオオオオオオオオ――――ッ!!」

「了解!」

「わかりました!……お願いします、ラグタス!!」

「うむ、任せておけ!」

そしてカファルーを召喚したエステルはヨシュアとラグタスを召喚したティオと共に魔神ラテンニールに向かった!

「どコだ………ココ………ワカラナイが敵は倒ス………!」

一方ラテンニールは周りを見回して戸惑った後、自分に向かって来るエステル達に気付いて愛用の両手剣―――”魔剣インフィニー”を構え

「………来い、マーリオン!………セオビット、シルフィエッタ!行くぞ!」

リウイはマーリオンを召喚した後、セオビットとシルフィエッタに号令をかけた!

「はい、父様!」

「え!?は、はい………!」

「お任せを………!」

リウイの号令にセオビットは力強く頷き、それを聞いたシルフィエッタはセオビットを見て驚いた後返事をし、マーリオンは静かに頷いた。そしてリウイ達は魔神サブナクに向かって行った!



こうして3柱の魔神達を同時に倒す戦いが始まった…………!


 
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