Three Roses
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第一話 運命の薔薇その十二
王は大公と二人で部屋を出た、そのうえであらためて大公に顔を向けてそのうえで今度はこう言ったのだった。
「ではだ」
「はい、これよりですね」
「今は政の時ではない」
「それではですね」
「武術の鍛錬をするとしよう」
「剣ですか、馬ですか」
「剣としたい」
王は微笑んで大公に答えた。
「今はな」
「では場所は」
「中庭だ」
王はまた大公に答えた。
「中庭においてだ」
「はい、薔薇達を見ながら」
「剣を嗜もう」
「それではお供します」
「昔からだな」
「幼い頃からよく共に稽古をしていましたな」
「今もな、では相手を頼む」
王は大公に申し出た。
「中庭での剣術の稽古だ」
「薔薇達を見つつ」
「それではな」
こう話してだ、王は今度は大公とだった。
中庭で薔薇達を見た、そのうえで剣術の稽古をし。
休んだ時にだ、こんなことを言った。
「香りがいいな」
「薔薇のですね」
「薔薇はそれもいい」
「ただ美しいだけでなく」
「香りもいい」
そちらもだというのだ。
「やはり最高の花だ」
「だから愛されているのですね」
「そうだ」
その通りという返事だった。
「余はな、そしてな」
「薔薇以外のものも」
「国家も民も家も」
「そしてですね」
「子供達もな」
まさに全てをといいうのだ。
「愛しているのだ」
「そうなのですね」
「そうだ、私はだ」
まさにというのだ。
「全てを愛している」
「薔薇達と共に」
「これからもな」
「そして薔薇達をですね」
「子供達にも渡そう」
こう誓って言うのだった、その全てのものに。王はこうしたことを話してだった、そのうえで剣術の稽古で汗を流してだ。次のすべきことに向かった。
王は国家のことを考えていた、だがそれは全てが国家もそこにいる者達も幸せにはしない、王も大公もそのことは知らなかった。
第一話 完
2016・3・11
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