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並木道

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10部分:第十章


第十章

28.愚か者
 愚かな男が一人いた

 たった一人の女の子のことだけを見ていた

 彼女がいないと何もできないし

 何をする気もなく彼女だけを想っていた

 愚かだったけれど彼の心は

 何よりも純粋で美しいものだったから

 幸せはそんな奴のところに舞い降りる

 彼女と結ばれたその愚か者は

 今も彼女と一緒にいるよ

 幸せを両手に抱えて  満面の笑顔で


 馬鹿な男が一人いた

 自分の側の女の子だけを考えていた

 彼女だけを見詰めていたし

 彼女の為に全てを犠牲にして動いた

 馬鹿だったけれどそんな奴でも

 そんな奴だからこそ皆嫌いになれず

 彼のそのささやかな幸せを心から祝ったのさ

 彼女が側にいる馬鹿な男は

 何時までも幸せだったよ

 何時までも彼女と  二人で笑って


 彼女と結ばれたその愚か者は

 今も彼女と一緒にいるよ

 幸せを両手に抱えて  満面の笑顔で


29.不安と期待
 不安と期待を一緒に胸に持って

 今日も僕達は道を歩く

 その二つがない交ぜになった心は

 晴れたり曇ったりするけれど

 それでもその二つをいつも持ったまま

 先を歩いていくんだ

 何があるのか何が見えるのか最後までわからない

 全く先が見えない道だけれども

 それでも二つの心を一緒にして

 最後まで歩いていく  たった一人で

 それが人生の道なんだ

 
 不安と期待は離れはしないよ

 けれどそれを受け入れて

 そうして僕達は歩いていくんだ

 晴れの日も曇りの日もある

 移ろいやすいものではあるけれど

 先に進んでいくんだ

 何処までいけるのかは最後までわかりはしないよ

 何もわかりはしない道だけれども

 それでも知恵や勇気を足していって

 何処まであるか確かめ  その何処かに

 辿り着くのが人生さ


 全く先が見えない道だけれども

 それでも二つの心を一緒にして

 最後まで歩いていく  たった一人で

 それが人生の道なんだ


30.小さな女王様
 つんと澄まして気ままに振舞い

 好き勝手なことをいつも言う

 そんな小さな女王様  いつも僕に我侭ばかり

 あれやこれやと注文をつけて

 自分は何もしようとしない

 そんな我侭な女王様の相手をするけれど

 何故か悪い気はせずにまたプレゼント

 真珠のブレスレットを女王様の御手に

 すると女王様はいつもの澄ました顔で一言

 有り難うと言うだけ

 けれどそれで充分なのが僕の気持ち

 
 気取った顔で街を歩いて

 その眼差しを僕に向けて

 我侭ばかり言う女王様  けれど我侭は僕にだけ

 僕の前だけでは女王様で

 他では可愛い美少女に

 そんな僕だけの気ままで仕方ない女王様

 気が向けば僕にもキスとプレゼント

 そのうえ優しい言葉をかけてくれる

 我侭だけれどいつも僕だけを見てくれている

 そんな勝手な女王様

 それでも僕だけの一人だけの女王様


 すると女王様はいつもの澄ました顔で一言

 有り難うと言うだけ

 けれどそれで充分なのが僕の気持ち



                    2007・3・23
 
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