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昔の歌

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9部分:第九章


第九章

25.春雷
 目を覚まさせたのは雷だった

 不意になった雷鳴が春の終わりを告げる

 それはまるで龍のようで

 その音だけでどうにも不安になる

 雨が降り嵐となって

 春が終わるのを見る

 終わった春がそのまま去って

 やって来るのは梅雨だ

 春の終わりを懐かしみ

 今度は梅雨の静かな雨を待つ


 春雷が鳴り止んでからは

 雨も止んで急に静かな空に戻った

 今までのことが嘘のよう

 騒がしさはほんの一瞬だった

 雨も雷も消え去った

 けれど春空も消えた

 静かにやって来る梅雨の音は

 まだ聞こえはしないけど

 春は今確かに終わった

 春雷をその別れの言葉にして


 終わった春がそのまま去って

 やって来るのは梅雨だ

 春の終わりを懐かしみ

 今度は梅雨の静かな雨を待つ


26.気が変わって
 今日の予定はまた別の日に

 気が変わってそうした

 これで後でどうなるかわからないけれど

 今はそうすることにした

 気紛れに生きているけれど

 後でどうなるかなんてわからないから

 だから今はこうすることを選んだ

 風が変われば心も変わる

 気紛れな僕の心は

 今日も風を見てふらふらと変わる

 まるで羽根のように

 
 昨日まで意気込んでいたけれど

 結局はしなかった

 また次の日にでもしようと思う

 そうするかは実は
 
 また変わるのかも知れない

 けれどその時はその時なのだから

 今はこれでもいいと思う

 天気が変わればそれでまた

 やる気になったりもする

 お日様を見て思うことといえば

 気紛れな自分のこと


 風が変われば心も変わる

 気紛れな僕の心は

 今日も風を見てふらふらと変わる

 まるで羽根のように


27.つれないあの娘
 つれないあの娘は全く気ままで

 来ると言ったのに来ない

 来ないと思って外に出ようとすると

 急に来る

 どうしたものかと思っていたら

 連れて行けと急にせがむ

 大した我儘だと皮肉を言えば

 それがどうしたと言わんばかり

 呆れて一緒に行こうと言うと

 今度は自分の行きたいところを言う

 こんな彼女の我儘に呆れても

 それでも一緒に街へ出た

 
 我儘なこの娘は相変わらずで

 あれがいいこれがいいと

 あれやこれやと欲しがるばかり

 それは同じ

 最後は僕が我儘を言おうと思うと

 それより前に我儘を言うのだった

 今度はホテルに行きたいと

 それは僕も同じだと返すと

 私の金でおごってあげるとのこと

 何か変わった我儘だけれど

 何故か悪い気はしない


 呆れて一緒に行こうと言うと

 今度は自分の行きたいところを言う

 こんな彼女の我儘に呆れても

 それでも一緒に街へ出た
 
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