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ガンドゥーラ

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第六章

「あれがトゥアレグ族の人の服だ」
「綺麗な色の服ですね」
「鮮やかな青で」
「砂漠にも映えますね」
「いい青です」
「あの服はガンドゥーラというんだ」
 権田原は服の名前から話した。
「そしてターバンはシュシュというんだ」
「へえ、そうした名前ですか」
「ガンドゥーラにシュシュ」
「そういうんですね」
「あの青はサヘルの方の植物の色だ」
 その植物を染料にしているというのだ。
「サハラの南の方のな」
「サヘルのですか」
「あそこの植物で染めて、ですか」
「あの青ですか」
「そうなるんですか」
「ああ、そうなんだよ」
 実際にというのだ。
「ああした青にな」
「あの奇麗な青はあっちの植物から出ますか」
「何か不思議ですね」
「あんな奇麗な青が砂漠にあるなんて」
「思いも寄りませんでした」
「あの青からあの人達は青の民と呼ばれるんだ」
 トゥアレグ族、彼等はというのだ。
「そうな」
「そうですか、青の民ですか」
「いい名前ですね」
「あの青だとそうも呼ばれますね」
「納得しますね」
「そうだな、それでな」
 さらに言う権田原だった。
「そのトゥアレグ族の人とも会えたしな」
「正確に言うとすれ違っただけですけれど」
「それでも奇麗な青を見られましたね」
「オアシスの青にも負けない位の青を」
 スタッフ達もその権田原に笑顔で応える。
「服でもいいものを見られました」
「じゃああらためてですね」
「出発しますか」
「そうしましょう」
「あと少し砂漠の海を泳ごう」
 権田原はスタッフ達に笑顔で言った。
「そして日本に帰って思いきり風呂に入って水を飲むか」
「ええ、それを楽しみにして」
「それで残りの調査もしましょう」
「帰ったら果物もありますし」
「何もかも楽しみにして行きましょう」
 スタッフ達も笑顔で応える、会えないと思っていた人にも会えて彼等は満足していた。そのうえで意気揚々と街を出て調査に出発した。砂の海のそれに。


トゥアレグ   完


                       2016・5・26 
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