英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)
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第178話
~鳳翼館~
「所で……そちらのリース君に似ているシスターの方だが、まさかリース君の?」
「はい、私の姉です。」
「―――星杯騎士の”正騎士”ルフィナ・アルジェントと申します。以後お見知り置きを。」
オリヴァルト皇子の質問にリースは頷き、ルフィナは自己紹介をした。
「ほえっ!?星杯騎士のルフィナ・アルジェントって、まさか”千の腕”!?」
「”千の腕”は6年前に事故死したとの情報ですが……」
ルフィナの自己紹介を聞いたミリアムは驚き、クレア大尉は信じられない表情でルフィナを見つめ
「ハハ、ルフィナ姉さんの事まで知られていたとはな。」
「フッ、さすがは”鉄血宰相”子飼いの”情報局”だな。」
「まあ、僕の正体どころか”零の至宝”の情報まで掴んだくらいだからね。世俗の勢力も随分成長したものだよ。」
「もう……感心している場合ではないですよ……」
呑気そうな様子でいるケビンやセルナート総長、ワジの反応を見たルフィナは疲れた表情で溜息を吐いた。
「じ、事故死したって……」
「ま、まままままま、まさか幽霊なんですか!?」
「い、いえ……”死者”の気配は一切しません。彼女は純粋な人間です。」
「まさか情報を偽っていたのかしら?」
クレア大尉の話を聞いたエリオットは表情を引き攣らせ、マキアスは表情を青褪めさせ、エマが戸惑いの表情でルフィナを見つめている中、セリーヌは目を細めて尋ねた。
「……オリヴァルト殿下、彼らは”彼女”の事を知っているのですか?」
「”彼女”……ああ、ミント君の”力”の事か。様々な経緯があって彼らもミント君の力の事も知ったそうだ。勿論他言無用である事を理解しているよ。大方6年前に事故死した彼女が今この場にいるという事はミント君が連れてきたのだろう?」
リースに尋ねられたオリヴァルト皇子は頷いた後ルフィナを見つめた。
「ええ、”空の女神”より私の助力も必要との事でしたので。」
「とはいっても彼女もこの時代に来て私達と共にクロイス家との戦いに向かうという”現在の正しい歴史の流れ”を未来のミントさんから聞いていましたから、私は”歴史の流れ”を守っただけなのですけどね。」
ルフィナに続くようにエイドスは静かな表情で説明した。
「え、えっと……尋ねるのが遅くなりましたが貴女が本当にゼムリア大陸の人々が崇めつづけて来た”空の女神”様なのでしょうか?」
「違います♪私は”空の女神”の名前とそっくりなだけの”ただの新妻”のエイドス・クリスティンです♪」
エリスに質問されたエイドスは笑顔で答え、エイドスの答えにその場にいる全員は冷や汗をかいて脱力した。
「え、えっと……?」
「め、女神様が”ただの新妻”、ですか……?」
「フフ、中々ユニークな自己紹介じゃないか♪」
我に返ったトワとアルフィン皇女は戸惑い、アンゼリカは口元に笑みを浮かべてエイドスを見つめた。
「こ、このハチャメチャ女神は……!この期に及んでまだそんなふざけた自己紹介をするの!?」
「お願いですから、一度くらいはまともな自己紹介くらいしてくださいよ~!」
「もう誤魔化そうと思っても無駄だぞ。第一お前さん、別れ際に本物の”空の女神”である事を認めたし、”神狼”からお前さんの事は色々聞いているぞ。」
サラ教官とアリサは疲れた表情で声をあげ、トヴァルは呆れた表情でエイドスを見つめた。
「ん?”神狼”って事はツァイトに会ったのか。」
「色々聞いていると仰いましたが、ツァイトから何を聞いたのですか?」
トヴァルの話を聞いたワジは目を丸くし、エイドスは不思議そうな表情で尋ねた。
「そ、その……人々から称えられて付けられた”空の女神”の名前が痛々しいって思っている事や普段は猫を被る”女神モード”で人々と接している話とか……」
「ブッ!?」
「そ、”空の女神”が痛々しい……ですか?」
「しかも女神が猫を被る”女神モード”って一体何なんですか……」
「アハハハハハハッ!こりゃ傑作だ!まさか”空の女神”が”空の女神”という名前自体を痛々しいと思っているなんて!」
「ハッハッハッハッ!どうやらその口ぶりでは裏話は他にもまだあるようだが、どんな裏話だ?」
リィンの話を聞いたケビン達がそれぞれ噴いたり表情を引き攣らせている中、ワジと共に腹を抱えて大声で笑ったセルナート総長はリィン達を見つめて問いかけた。
「後はエイドス自身がエイドスの仲間達とやらから”シリアスブレイカー”や”天然女神”に”KY女神”、後は”虹の悪魔”や”ゼムリアの魔王”と呼ばれていたという話も聞いたな。」
「エ、エイドス……」
「女神が”悪魔”や”魔王”に呼ばれるって一体何をしたのですか……」
「ううっ、未来の私とレアは一体どこで育て方を間違えたのかしら……?」
「ハハ……どうやらエステル君の”天然”は先祖代々だったようだね。」
ユーシスの話を聞いたアドルは表情を引き攣らせ、エレナとフィーナは疲れた表情をし、オリヴァルト皇子は苦笑し
「と、とても女神とは思えない裏話ですね……」
「そんな女神、前代未聞なの。」
「もしかしたらエイドスのイメージを壊したくないから、仲間の人達が後世に彼女の性格等についてを残さなかったのかしら?」
ナユタは疲れた表情をし、ノイは呆れ、クレハは苦笑し
「まあ……ツァイトったら、余計な事ばかり喋って。元の時代に帰る前に”お仕置き”をする必要がありますね。」
膨大な威圧を纏って微笑むエイドスの様子を見たその場にいる全員は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。
「フフ、ちなみにその”仲間”とやらは貴女みたいなユニークな渾名があったのかい?」
「おい、ワジ!?」
「ええ、ありましたよ。”シスコン”のミトス、”天然神子”のマーテル、”苦労人”のユアン、”鈍感剣士”のロイド、”ドジ神子”のコレット、”プレセアバカ”のジーニアス、”×××料理人”のリフィル、”親バカ”のクラトス、”アホ神子”のゼロス、”ボインちゃん”のしいな、”にくきゅうまにあ”のプレセア、”ロリコン”のリーガル……フフ、今挙げた12人が私や夫、ツァイトたちを除いた私の”仲間”達が互いに呼び合っていた渾名ですよ。」
「ブッ!?ちょっ、頼みますからそんなさり気なくオレ達にとっては洒落にならん事を次々と口にしないでくださいよ!?」
「エイドスさんの”仲間”って事はどう考えても普通なら”聖典”に載って当然の人物達じゃない……」
「ううっ、まともな渾名を知る前にそんな変わった渾名を知る事になるなんて……」
「ハッハッハッハッ!……ん?”12人”だと?まさかとは思うが”聖痕”も関係しているのか?」
「ああ、そう言えばケビンの話では”聖痕”は貴女が12人の仲間達に授けたって話だったね。」
エイドスの説明にケビンは吹き出して表情を引き攣らせて指摘し、ルフィナとリースは疲れた表情で頭を抱え、豪快に笑ったセルナート総長はある事に気付き、ワジは目を丸くしてエイドスを見つめた。
「ええ。先程挙げた12人が初代の”聖痕”の使い手達ですよ。」
「フフ、という事は僕達はさっき貴女の口から出て来た12人の内の誰かの”聖痕”を受け継いでるって訳だ?」
「フッ、先程の話を知った他の”守護騎士”達の反応が今から楽しみだな。」
「おいおい、勘弁してや……まともな渾名が一人もおらんかったやん……」
エイドスの説明を聞いたワジとセルナート総長は口元に笑みを浮かべ、ケビンは疲れた表情をし、その様子をリィン達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせながら見守っていた。
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