英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)
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外伝~果たせぬ約束~前篇
同日、15:30――――
メンフィル・クロスベル連合軍襲撃、そしてオーレリア将軍並びにウォレス准将率いる部隊の全滅の可能性が非常に高い報告を受けていたカイエン公爵は慌てた様子でクロチルダ達と共にユーゲント三世達の元へと向かっていた。
~カレル離宮・式典の間~
「―――失礼しますぞ、陛下。」
「貴方達は……………!一体何をしに来たのですか?」
「カ、カイエン公爵閣下!?それに君は……!」
カイエン公爵達の登場にプリシラ皇妃は驚いた後厳しい表情でカイエン公爵達を見つめ、レーグニッツ知事は戸惑いの表情でクロウを見つめ
「………知事には悪いが再会話をしている程、今の俺らに余裕はねぇんだよ。」
レーグニッツ知事に視線を向けられたクロウは悔しそうな表情で答えた。
「え……それは一体どういう事ですか……?」
クロウの言葉が気になったセドリック皇子は不思議そうな表情をし
「……………どうやらその様子ではオリヴァルト達が何らかの形でメンフィルと接触し、メンフィルとの戦争を回避する条約に調印した後に設けられた”期間”が切れたようだな。」
ユーゲント三世は重々しい様子を纏ってカイエン公爵達を見つめた。
「!!そ、それってまさか……!」
「メンフィル帝国がエレボニア帝国侵攻を再度始めたというのですか!?」
「そ、そんな…………」
ユーゲント三世の推測を聞いたセドリック皇子は目を見開き、レーグニッツ知事は信じられない表情で声をあげ、プリシラ皇妃は表情を青褪めさせた。
「既にご理解されているのなら話は早い!セドリック皇太子殿下!再起を図る為、貴方には我々について来て貰いますぞ!」
「え―――――離してください!」
「セドリック!」
カイエン公爵はユーゲント三世達を見つめて言った後兵士達に視線を向け、視線を向けられた兵士達はセドリック皇子の両腕を掴んでカイエン公爵の元へと向かい、それを見たプリシラ皇妃は悲鳴を上げた。
「セドリックを連れてどこに行くつもりだ、カイエン……!」
「フフ、私が皇太子殿下の後見人となり、必ずや忌々しきメンフィルとクロスベルを滅ぼしてエレボニアを取り戻し、殿下を皇帝の座について頂き、しかる後旧き善き秩序を帝国に戻して行くので安心して、メンフィルとクロスベルの生贄になってください。」
ユーゲント三世に睨まれたカイエン公爵は得意げな笑みを浮かべて答えた。
「まさかまだエヴリーヌ達に勝てると思っているの?だとしたらおめでたい頭をしているね、キャハッ♪」
するとその時娘の声が聞こえ
「何っ!?」
「この声――――エヴリーヌか!?」
「どこにいるのよ!?」
娘の声を聞いて驚いたカイエン公爵やクロウ、クロチルダは周囲を見回し
「上ですわ!」
声の持ち主―――室内の高い段差がある窓の傍にいつの間にかいた弓に矢を番えているエヴリーヌを見つけたデュバリィは声を上げた。するとエヴリーヌは神速の矢を次々と人間業とは思えないスピードで解き放った!
「グッ!?」
「ガッ!?」
「ガアッ!?」
「グアッ!?そ、そんな……ごんな所……で……」
「え――――ギャアアアアアアアッ!?」
矢で眉間を貫かれたセドリック皇子を拘束している兵士達は絶命して地面に倒れると共にカイエン公爵達の護衛の兵士達も次々と矢で喉元や眉間を貫かれて絶命し、残り一本の矢に肩を貫かれたカイエン公爵は悲鳴を上げ、その瞬間エヴリーヌは転移魔術でセドリック皇子の目の前に現れ
「え―――――」
「はい、確保。何でエヴリーヌがこんなめんどくさい事をしなくちゃならないんだか………」
そしてすぐにセドリック皇子を連れて元の場所に転移して疲れた表情で呟いた。
「セドリック!」
「エヴリーヌく―――いや、エヴリーヌ殿!セドリック皇太子殿下をどうされるおつもりですか!?」
プリシラ皇妃はエヴリーヌの傍にいるセドリック皇子を見つめて悲鳴を上げ、レーグニッツ知事は真剣な表情でエヴリーヌを見つめて尋ね
「ええい、何をしている!ボサっとしていないで早く皇太子殿下を取り返して来い!」
カイエン公爵は血を流している肩を片手で抑えながらクロチルダ達を睨んで指示をした。
「公爵閣下!”魔弓将”がこちらに姿を現した時点でメンフィル帝国軍がすぐそこまで迫っている事を察する事ができないのですか!?今はセドリック皇太子殿下の身は諦めて、早急に撤退をするべきです!」
そしてクロチルダが悲鳴を上げるかのように声を上げて杖を構えて術を発動しようしたその時!
「――――無駄だ。貴様らの転移による撤退対策の為にペテレーネが転移封じの結界をこの離宮全体に展開している。よって転移で逃亡する事は不可能だ。」
リウイがヴァイス、アル、リフィア、エリゼ、ゼルギウスと共に出入り口から現れ、リウイ達に続くようにメンフィル兵やクロスベル兵が現れ、素早い動きでカイエン公爵達を包囲した!
「リウイ陛下!?それにリフィア殿下にエリゼ君まで…………!」
「リウイ陛下達がこの場に姿を現したという事は……まさか……!」
「…………既に帝都はメンフィルによって制圧されているのであろうな……」
「そ、そんな…………」
リウイ達の登場にレーグニッツ知事は驚き、ある事に気付いたプリシラ皇妃は表情を青褪めさせ、重々しい様子を纏って呟いたユーゲント三世の推測を聞いたセドリック皇子は愕然とした。
「あ、ああ、あああああああああっ!?」
「”英雄王”達に加えてクロスベルの”六銃士”まで……!カンパネルラ達からクロスベルは”六銃士”によって”国”として建国して、二大国と共に攻める話は聞いていたけど、まさか本当にメンフィルと同盟を組むなんて……!」
「クソッ!もうここまで追って来やがったのか……!」
「一体何故こんな事になったんですの―――――ッ!!」
絶体絶命の状態に陥った事にカイエン公爵は表情を青褪めさせて悲鳴を上げ、クロチルダとクロウは唇を噛みしめ、デュバリィは悲鳴を上げた。
「ほう?あれが”蒼の深淵”とやらか……中々の美女ではないか。”神速”の方も中々可愛らしいな。」
「ヴァイス、さすがにメンフィルが裁く事が決まっている”蒼の深淵”に手を出してはいけませんよ。それに”神速”に手を出したら”彼女”が黙っていないと思いますよ?」
クロチルダを見て興味深そうにしているヴァイスにアルは呆れた表情で指摘し
「そのくらいの事は理解している。――――”貴族連合”並びに”身喰らう蛇”一同。無駄な抵抗は止めて降伏しろ。特に”身喰らう蛇”の方は”盟主”が殺されたのだからこれ以上戦う意味はあるまい。」
指摘されたヴァイスは答えた後カイエン公爵達を見回して降伏勧告を行った。
「へ――――」
「何ですって!?盟主が殺されるなんてそんな出鱈目、信じる訳がないでしょう!?」
ヴァイスの降伏勧告を聞いたデュバリィは呆け、クロチルダは血相を変えて声を上げた。
「奴ならクロスベル解放を行う前日に余達が滅した!その証拠を見せてやろう!―――ゼルギウス!」
「御意。」
リフィアに指示されたゼルギウスは女性と思われる生首をクロチルダの目の前に投げ捨てた。
「えー―――マ、盟主……?嘘ですよね……?貴女が死ぬなんて……!?」
自分にとって見覚えのある顔の生首を見たクロチルダは身体を震わせながら生首に話しかけた。
「―――残念ながら”真実”です。」
するとその時リアンヌがアイネスとエンネアと共に姿を現した!
「アリアンロード!?」
「へ――――って、マスター!?な、なななななななな、何故貴女が”英雄王”達と共にいるんですの!?それにアイネスとエンネアまで!?」
「フム……まず何から説明をするべきやら。」
「簡単に説明すればマスターは”英雄王”と”聖皇妃”に忠誠を誓った為、マスターを含めた私達はメンフィルに寝返る事となったのですわ。」
リアンヌの登場にクロチルダは信じられない表情をし、混乱しているデュバリィを見たアイネスは困った表情をし、エンネアが静かな表情で説明した。
「なあっ!?あ、あああああああ、あり得ませんわ!?マスターに限ってそんな事をするなんて……!マ、ママママママ、マスター、嘘ですよね……!?」
エンネアの説明を聞いたデュバリィは混乱した様子でリアンヌに問いかけたが
「エンネアが言っている事が”真実”です。」
「!!!!!!?????」
リアンヌの答えを聞き、混乱のあまり石化したかのように固まり
「―――デュバリィ。”鉄機隊”は私が”零の御子”殿の願いを叶えた時点で私はリウイ陛下達の許に向かう事になっていましたので、既に”解散”しています。――――今までよく私に仕えてくれました。今後どう生きるかは貴女の自由です。」
「…………きゅう…………」
リアンヌの更なる説明によって止めを刺されてしまい、あまりのショックに気絶して地面に倒れた!
「デュバリィ!?」
「私達の予想以上の反応でしたわね……」
気絶したデュバリィを見たアイネスは驚き、エンネアは苦笑していた。
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