ストライクウィッチーズ 119航空隊【リメイク】
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第501統合戦闘航空団
『こちら根岸。艦隊前衛にて攻撃を開始します。艦隊の回避行動をお願いします』
発艦してから十分以上戦っていますけど、被害を抑えるので手がいっぱいです。
艦隊の被害も少なくありません。
駆逐艦は何隻かは落とされてしまっています。
でもここで引いてしまっては、さらに多くの被害が出てしまう。
赤城に乗っている宮藤さんたちにも被害が出る。
そんなことを考えると何があっても引くことはできないね。
『方位確認、誤差修正。うちーかーたー、始め!』
‘援護射撃の中動き回るのはきついけど、でも私のためにやってくれてると考えるとさ、さらにやる気になるとね。
とにかく一刻も早くコアを壊さないと。’
ネウロイの攻撃は凄まじく、シールドを張って艦隊を守りながら戦っている根岸は普段のような十分な戦いができていなかった。
攻撃によってかなりの数の人が犠牲になっている以上、早めに今の戦いを終わらせなければいけない。
そんな気持ちが根岸の心を埋め尽くしていた。
「いつも作戦指揮ばかりで腕がなまったのかな?」
‘訓練は行っていたんだけど、やっぱり戦闘とは違うんだよね。
いつもみたいにみんながいれば今の状況は変わっていたのかな?
そうすればここまで被害が出なかったのかな?
私が昨日、基地に向かえなんて言ったばかりにこんなことになったなんて。’
『坂本美緒、出撃する!』
‘赤城の航空隊も発艦か。
でも戦闘機でどこまでできるかわからないけどね。
やはり早急に手を打たないと!’
『こちら根岸。相手の通意を引き付けるので、コア破壊をお願いします』
『了解した』
‘もうひと踏ん張りしますか。
そしてとっとと撃墜してやるんだから。’
根岸は再度、安全装置を確認したうえで威嚇射撃を行い、ネウロイの注意を自分自身に向けようとしたのだが、ネウロイはそれに気づくと、根岸への攻撃を強めてきたのである。
それに根岸は、先ほどまでとは違う動きに反応が遅れ、一歩で遅れた感じになってしまったのです。
一歩遅れてしまったことで、攻撃にも反応が遅れてしまったのです。
その反応の遅れが根岸に大打撃を与えたのです。
「グハッ・・・」
ネウロイの攻撃が腹部にかすり、それによりバランスを崩した根岸は海へと落ちていったのです。
わずかな失敗が死へとつながる
それが戦争なのです。
「魔法力が・・・維持、できない・・・」
‘私はここで死ぬのかな?
欧州到着間近のここで?
そんなの嫌だよ。
死にたくない、死にたくない・・・・・’
根岸は死というものを間近に感じ、それから逃げたいという気持ちでいっぱいだった。
初めて感じるものではないけど、この感覚は何度感じても恐ろしいものがあった。
根岸は以前訪れた時にも死を間近に感じていた。
前回は周りに多くの人がいたから助かったが、今回はそんなに多くの人はいない。
「・・い、いや」
死という恐怖に直面したことで、理恵の感情はだんだん不安定になっていった。
それでも根岸は、死ぬことだけは拒んでいた。
「たす・け・て・・・だれか・・・」
聞こえているかすらわからない小さな声だったけど。
根岸は救いを求めてひたすら願ったのだ。
その時だった。
根岸に周りを魔法力が包み込んだのだ。
突如のことに戸惑う根岸だが、ただそれを見ることしかできなかった。
そしてその魔法力は根岸の腹部、つまり負傷部に集中し始めたのです。
そして徐々に傷が塞がっていくのですが、根岸の額には尋常ではない汗が流れていたのです。
「あっ、あつい・・・やける、よ」
負傷部の治癒にかなりの力を有しているためか、かなりの熱がたまっていた。
それにより根岸の体力はかなり削られていたのです。
それと同時に治っていく実感も感じていたのです。
治癒にかかったのは一分未満で、かなりの自己治癒能力であることが分かったのです。
しかし、傷がふさがったところで急降下をしていることに変わりはありませんでした。
治癒によってかなりの魔力を消耗した根岸にストライカーで空をかける力は残っておらず、戦闘続行は不可能だったのです。
そのため根岸は着艦を瞬時に決めて、赤城に戻ろうとしたのですが
‘ここで戻っていいの?
多くの人が頑張って戦っているのに私だけ逃げるの?
そんなことをしていたら、きっと※※に怒られちゃうよね。
ならもう一度、あそこに戻らないと。’
根岸は自分の魔法力の限界を無視して、再度空に飛び立ったのです。
しかし武器である銃器は落としてしまったため持っていなかったので、できるのは艦船への被害削減をするための防御行動。
それでもやらないよりはましと考えて進む根岸の前に、空母から飛び立とうとする宮藤の姿が見えたのです。
‘あれは宮藤さん?
なんでストライカーを?
・・・いや、今はそんなことより宮藤さんの発艦を援護しないと。
でもこの距離だと間に合わないよね。
となると・・・やっぱりこれしかないよね。’
「みやふじさん!!とんでーーー!!!」
「とべー!!みやふじ!!!」
‘私と同じく位のタイミングで坂本少佐も叫んだのです。
私よりも大きな声で、叫んだ坂本少佐の声に私の声は消されてしまったかもしれないけど、それでも私が叫んだことには意味があったのです。’
‘インカムの調子も悪くなってきましたね。
そろそろ限界でしょうか?
ストライカーも愚図りだしてきたことですし、そろそろ戻りましょうか。
後のことは坂本少佐、宮藤さん、頼みましたよ’
根岸は赤城に向かって飛んでいたが、それはかろうじてのものであった。
ストライカーのプロペラはいつ止まってもおかしくないような感じであり、着艦が急がれていた。
「もう、すこ、し・・・」
しかし根岸の魔法力はすでに限界に達し、着艦間際で意識が途絶えたのであった。
「はっ!!」
ここは?
私は一体どおして眠っていたんでしょう。
たしかネウロイと戦っていて負傷したところまでは覚えているんですが、それ以降の記憶がありませんね。
「おっ、気づいたかね」
私は聞き覚えのある声のほうを向くと、そこにはマロニー大将が椅子に座っていたのです。
私は何か違和感を感じましたがそれよりも、なぜここにマロニー大将がいるのかが気になって仕方がなかったのです。
「まったく、無茶をして死なれては困るのだよ」
「すいません」
私はマロニー大将をよく見るとあることに気付いたのです。
それは、あの魔女嫌いで知られているマロニー大将の手にタオルが握られていたのです。
きっとそれは私を看病してくれていた時のものだとすぐにわかったのです。
そして私はあることを思いだしたのです。
「マロニー大将。一つ伺いたいのですが?」
「なんだね」
「マロニー大将と私の父である根岸昌哉はあったことがありますか?」
「・・・」
無言ということは、きっとあったことがあるということ。
となると、父の死後、仕送りをしてくれていたのはきっとこの人だ。
「マロニー大将、私は今まで色々とお世話になっていたみたいですね」
「・・・」
「なんとお礼を言っていいかわかりませんが、ありがとうございます」
私は思いました。
きっと根は悪い人ではないんだと。
後書き
少しマロニーさんを優しくしてみました。
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