ドリトル先生北海道に行く
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第十二幕その五
「いいね」
「そうしようね、ただね」
ウルは先生ご自身も見て言いました。
「先生何かね」
「僕が?」
「疲れてきてるね」
「いや、僕はね」
「いやいや、疲れてきてるから」
ウルは先生が大丈夫と言おうとした時にあえて言いました。
「無理はよくないよ」
「そういう訳にはいかないよ」
「疲れたら交代だよ」
「交代?」
「そう、 僕も掘ってるし」
「君は今から掘ってるから交代にはならないよ」
「なるよ」
暖かい顔で言ったウルでした。
「ちゃんとね」
「というと」
「私が交代します」
シホレさんが先生に暖かい笑顔で言ってきました。
「後はお任せ下さい」
「シホレさんがですか」
「町やお家の仕事でシャベルを使うことも多いですから」
だからというので。
「お任せ下さい」
「そうですか」
「この子の為ですから」
ウルも見て言うのでした。
「宜しくお願いします」
「そうですか、ですが」
「私がお婆さんだからですか」
「激しい肉体労働は」
「ですからそうしたことはお気遣いなくです」
「うん、見たところね」
「そうよね」
動物の皆もここでシホレさんを見て彼等の中でお話しました。
「先生よりもだね」
「シホレさんの方がこうしたこと得意だね」
「服の上からの身体つき見たらね」
「そんな感じだよね」
「先生、だからね」
今度は先生に言うのでした。
「ここは交代してね」
「先生は誰かが怪我をした時の手当てがいいんじゃないから」
「先生はお医者さんだしね」
「だからね」
「皆がしているのに自分は、というのは」
どうもと返した先生でした。
「あまりよくないけれど」
「そうした問題じゃないよ」
「手当担当もちゃんとした仕事だよ」
「だからね、先生はそっちに回って」
「シホレさんに任せた方がいいよ」
「ここはお任せ下さい」
笑顔でまた言って来たシホレさんでした。
「掘ることはお料理と同じだけ得意ですから」
「そこまで言われるのなら」
先生も頷くしかありませんでした、こうしてです。
先生はシホレさんにシャベルを手渡しました、するとすぐにでした。
しホレさんはそのシャベルを上手に使って穴を掘ってです、その穴を大きくしていきました。すると瞬く間にでした。
穴は大きくなりました、ウルもその両手で掘っているので。
忽ちのうちにです、相当な大きさになってでした。
ウルは笑顔で、です。皆に言いました。
「もうこれ位大きいとね」
「君もだね」
「冬眠出来るよ」
「うん、確かにそれ位の大きさになったね」
「だからね」
それでというのです。
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