英雄伝説~光と闇の軌跡~(3rd篇)
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第11話
今までのように封印石を解放すると、光の球が降りて来てケビン達にとってまた懐かしい人物が現れようとした。
~隠者の庭園~
「あ………!」
「も、もしかして………」
「ふむ………彼まで取り込まれていたとは。」
「ええ………この様子だとミントちゃん達も取り込まれていてそうですね。」
「真打ち登場………といったところだな。」
光の中から現れようとした人物を見たジョゼットとティータは明るい表情をし、ミュラーとツーヤ、ユリアは静かな笑みを浮かべ
「………やっぱり知り合い?」
仲間達の様子を見たリースはケビンに尋ねた。
「はは、その通りや。一言で言うと………黒髪の王子様ってとこかな。」
「???」
ケビンが呟いた言葉にリースが首を傾げたその時、光の中から以前と違い白いジャケットを着たヨシュアが現れた!
「くっ………エステル、ミント!いったん床に伏せて――――な……!?」
地面に膝をついていたヨシュアはすぐに立ち上がって双剣を構えて一端後退して警告したが、目の前にいる人物達を見て驚いた。
「ヨ、ヨシュア………!」
「ヨシュアお兄ちゃん!」
「フフ、久しぶりですね。」
「お元気そうで何よりです。」
驚いているヨシュアにジョゼットとティータが真っ先に嬉しそうに声をかけ、続くようにリタとツーヤが微笑んだ。
「ジョゼット、ティータ………それにリタとツーヤまで………夢………いや、攻性幻術の一種か………?」
「はは、その可能性に思い至るんはさすがやね。残念やけど………これは夢でも幻でもないで。」
考え込んでいるヨシュアにケビンは感心した後、苦笑しながら説明した。
「ケビンさん………ユリアさんにミュラー少佐も………一体これは………どういう状況なんですか?」
そしてケビン達はヨシュアに状況を説明した。
「………………………」
「えっと………さすがに今の説明だけでは納得できへんかな?」
自分達の話を聞いて考え込んでいるヨシュアにケビンは尋ねた。
「………いえ、その逆です。幻術の可能性も考えましたがそれだと、そちらの方々の存在が説明できなくなりますから。」
「あたしやナベリウスの事ね。」
「はい。後そちらのシスターの方も含みます。」
「私が………?」
マリーニャの言葉に頷いたヨシュアの言葉を聞いたリースは首を傾げた。
「はい。失礼ですが”騎士団”の方とお見受けしますが………?」
「!………わかりますか。」
「ええ、ケビンさんの連れで”法剣”を下げているとなれば。―――僕の名はヨシュア。ヨシュア・ブライトといいます。」
「あたしはマリーニャ。マリーニャ・クルップ。よろしくね。」
「わたし………ナベリウス………よろ………しく………」
「……星杯の従騎士、リース・アルジェントです。どうやら我々の世界に馴染みのある方のようですね。」
「ちょ、ちょっとヨシュア!どうしてその女達がいるのが幻じゃないって証明になるのさ?このボクを差し置いて!」
和やかに自己紹介をしているヨシュア達を見たジョゼットはヨシュアのある言葉が気になり、ヨシュアを睨んで尋ねたが
「そういえば………そのバイザーは初めて見るかな。よく似合っているけど……前に言っていた運送業の?」
ヨシュアはジョゼットが求める答えとは見当違いの答えを優しい微笑みを浮かべて言った。
「あ、うん。おかげさまで結構繁盛させてもらってるよ。………じゃなくて!ボクが本物なんて見ればすぐにわかるだろ!?」
「幻術の場合、登場するのは知り合いであることが多いんだ。対象者が持つ知識やイメージを誘導し、操作する技術だからね。その点、そちらのリースさん達は
僕にとって完全に初対面………それでいて、十分すぎるほど複雑性のある背景を持っている。そういう人がいる時点で幻術にかかっている可能性は低いと判断できるんだ。」
「わ、わかったような、わからないような…………要するにそれってボクのことは良く知ってるから逆に証明にはならないってこと?」
「うん………まあ、そういう風に言えるかな。」
「へへ………ならばよし!」
「クスクス………あの、ヨシュアお兄ちゃん、ほんとーにお久しぶりです!」
ヨシュアとジョゼットの会話を微笑みながら聞いていたティータは嬉しそうな表情でヨシュアに話しかけた。
「うん、ティータこそ元気そうでなによりだよ。2か月ぶりかな………少し背も伸びたみたいだね?」
「えへへ………」
「でも、まさか君まで巻き込まれているなんて………さすがにビックリしただろ?」
「あ、うん………まだちょっと夢を見ているような気分かも。あ、そうだ、ヨシュアお兄ちゃん。えっと、その………エステルお姉ちゃんとミントちゃんは………?」
「………わからない。でも、僕と一緒に白い光に巻き込まれたのは確かだと思う。この”影の国”という場所に取り込まれた可能性は高そうだ。」
ティータに尋ねられたヨシュアは真剣な表情で答えた。
「そ、そっか………そういえばお兄ちゃんたち今はどこを旅していたの?最近までエレボニアにいたのは手紙で教えてもらったけど………」
「うん、今はちょっとクロスベルっていう場所にね。帝国と共和国の中間にある小さな自治州なんだけど………」
「それ、ホント!?ボクたちの山猫号もちょうどそのあたりの上空を飛んでいたんだけど……」
「本当かい?うーん、何か関係があるのかな?」
「ふむ、強いて言うならリベールからの距離だろう。自分達も国境に一番近いパルム市に滞在していたからな。」
ヨシュアとジョゼットの会話を聞いていたミュラーは真剣な表情で答えた。
「そうだったんですか………そういえばリタも久しぶりだね。旅の方はどうだい?」
「ええ、今の所は順調ですよ。プリネちゃん達――メンフィル帝国が外国に行くとき色々手配してくれますから、今までの旅は特に問題もなく順調に済んでいます。」
「そっか。………それと、ツーヤ、再会してなんだけど早速聞きたい事があるんだけど……」
リタの答えを聞いた頷いたヨシュアは真剣な表情でツーヤに尋ねた。
「……マスター達の事ですね。状況はヨシュアさん達と一緒であたしが巻き込まれた時、その場にはマスターとレーヴェさん……2人ともいました。」
「そうか……なら2人も取り込まれている可能性が高いな………」
ツーヤの答えを聞いたヨシュアは真剣な表情で考え込んだ。
「………ケビン神父。仮にこの事態が何か強大な古代遺物によって引き起こされたと仮定して……これほど広範囲にまで影響を及ぼすことがあるものだろうか?」
「いや………さすがに無理やと思います。強いて言うなら”輝く環”の導力停止現象くらいですか。アレは両帝国南部まで影響を及ぼしたそうですし。」
ユリアの疑問にケビンは少しの間考えた後、静かな表情で答えた。
「なるほどな………そうすると”七至宝”に匹敵する力が必要になるというわけか。」
「で、でもでも、”輝く環”はあの時お姉ちゃん達が破壊しましたよね?まさか”輝く環”はあれだけじゃなかったんですか?」
ユリアの言葉を聞いたティータは不安げな表情で尋ねた。
「確かにその可能性もあるけど………やけど、それだけでは説明できへんことがあまりにも多すぎるのが確かやで。」
「”敵”………そして異界化した王都か。」
「………加えて悪魔の実体化や属性の影響の変化などもあります。そのあたりが説明できるまで結論は急がない方がいいかと………」
「ふむ………確かに。」
ミュラーとリースの説明を聞いたユリアは静かに頷いた。
「しかし、そうなると………まずは異界化した王都の謎を解明するのが先決のようですね。」
「ああ、その通りや。エステルちゃん達のことが心配やとは思うけど…………君も協力してもらえるかな?」
「………元より、そのつもりです。みんなが巻き込まれている以上、他人事ではいられませんし………何よりエステルや姉さん達を探すにはケビンさん達に協力するのが一番の近道のようですから。」
「ヨシュアお兄ちゃん………」
「ふう………ま、仕方ないか。」
「よっしゃ!あらためてよろしく頼むで。」
その後ヨシュアを仲間に加えたケビン達はメンバーを再編成し、ケビン、リース、ヨシュア、マリーニャ、リタ、ナベリウスのメンバーで探索を再開し、特に新しく行けるようになった所はなく、そこでヨシュアが自分の封印石があった場所に一度行ってみたいと言ったので、再びアリーナに向かった。
~グランアリーナ~
「ここに僕の封印石があったのですか………」
「ああ。あの時は大変やってんで。まるでお約束のごとく敵がババーンと登場してな……」
ヨシュアの言葉にケビンは苦笑しながら答えたその時、ケビン達の目の前に妖しげな光陣が現れた!
「んなっ!?」
「……………ケビン?また?」
それを見たケビンは驚き、リースはジト目でケビンを睨んだ。そして妖しげな光陣から巨大な虫のような魔物が現れた!
「さっきも言ったけど偶然!偶然やから!オレのせいやないって!」
リースに睨まれたケビンは必死に弁解した。
「なっ!?」
「ちょ、ちょっと、ちょっと!!なんでこいつが現れるのよ!?アレはリフィア達が倒したし、アレの元となる”邪竜”は滅したはずでしょう!?」
「わから………ない………」
一方リタとマリーニャは目の前に現れた敵を見て驚き、ナベリウスは戸惑っていた。
「リタちゃん、君達の知っている魔物なんかい?」
リタ達の様子を見たケビンは仲間達と共に武器を構えて警戒した状態でリタに尋ねた。
「”邪竜アラケール”の幼生です!気を付けて下さい!幼生ですが強さはここに来る前に戦った悪魔以上の強さです!」
ケビンに尋ねられたリタは警戒した表情で叫んだ。
そしてケビン達は戦闘を開始した………!
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